第338回 消費増税によって消費は減ったのか?/2016年度税収から見る消費など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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情報としては遅ればせながら・・・という形にはなりますが、2016年度税収がついに決定しました。最終的には7月に決算額として正式なものが発表されるわけですが、2016年4月~2017年5月まで追いかけ続けてきた「2016年度税収」がついに決定しました。

内容としては、

【2016年度(平成28年度)税収】
一般会計総額 55.46兆円(前年比98.5%)

所得税 計 17.6兆円(前年比98.9%)
 内源泉分 14.48兆円(前年比99.3%)
 内申告分 3.1兆円(前年比104.7%)

法人税収 10.3兆円(前年比95.4%)

消費税収 17.2兆円(前年比98.9%)

とまあ、軒並み前年度割れをする惨憺たる結果となってしまいました。

勿論原因はきちんと検証する必要があるわけですが、今回の記事では私がこの「税収」に着目して統計を集めるきっかけとなった、「消費税収」に着目して分析をしてみたいと思います。


消費増税によって本当に消費は減ったのか?

「消費税収」とは、基本的に「消費されたもの」に対して課せられる税金です。
私はこの「税収」以外に「消費者物価」についても着目して記事を作成していますが、それもこれも安倍内閣に於ける「消費」が実際に増えたのか減ったのか、これを分析するためです。

というのも、1997年におこなわれた当時の橋本龍太郎内閣5%消費増税において、橋本増税が行われて以来、それこそ安倍内閣が誕生するまで橋本龍太郎内閣以前の一般会計税収を上回った年度は1年度たりともありませんでした。

理由として、「消費増税が行われたことにより消費が減退し、この事が企業の業績にも悪影響を与えた」という理由が一般的です。

そして2014年、安倍内閣において8%増税が行われた際、「増税は消費に悪影響を及ぼす」として橋本増税の悪影響が再び日本を押そうかの様な主張が日本全国で行われました。

この主張は今でも一般的に行われており、2016年度に消費税収も含めて一般会計税収全体が前年度割れを起こしたことを受けて、これを「2014年度消費増税の影響だ」という説がまことしやかに行われています。

特に強いのは、実は野党を中心とする安倍内閣否定派ではなく、内閣参与まで務めた一部元官僚を含め、現在の安倍内閣を支持ししている人の中での論調です。

ですが、2014年度に消費増税が行われたことにより、本当に2016年度の「消費」は減退したのでしょうか?


2016年度消費税収が前年度割れした理由

さて。既に記していますように、2016年度の消費税収は98.9%と前年度割れしています。

既に述べていますように、「消費税」とは、実際に起きた「消費」に対してかけられるもので、この理屈だけから考えると、消費税収が前年度割れしているということは、2016年度の消費が2015年度の消費を下回ったことを意味しています。

ですが、この理屈は本当に正しいのでしょうか?


【消費税が納税される仕組み】

中間申告の方法

こちらは過去の記事で何度かお示ししたことがあると思うのですが、消費税を納税する際の「中間申告」について示した図表です。

企業の前年度の納税額に応じて1年間の中間申告を含めた申告回数を

1回 2回 4回 12回

に分け、より多く納税した企業ほど中間申告を行える回数が多くなっています。

ですが、その企業が1年間にどれくらい収入を挙げられるかは分かりませんから、中間申告を行う際、企業は「前年度の収入を参考に」消費納税を行うことができます。

確定申告を含めた申告回数が12回であれば、前年度の納税額を12等分し、これを本年度に1か月分ずつ納税していくやり方です。

前年度の納税額が1億2000万円だったとすれば、今年度はこれを12等分し、1カ月に1000万円ずつ納税します。

最終的に確定申告を行う際、不足していれば不足する分を支払いますから当然申告月の納税額は前年を上回る(100%以上)ことになりますし、逆に多く納税しすぎていれば前年を下回る(100%以下)ことになります。


【2016年度消費納税額に感じていた違和感】


【2016年度月別消費納税額前年同月比】
4月 (前年、本年共マイナス)
5月 (前年、本年共マイナス)
6月 (前年プラス、本年マイナス)
7月 95.1%
8月 100.3%
9月 94.7%
10月 92.9%
11月 91.5%
12月 101.8%
1月 102.8%
2月 98.7%
3月 100.4%
4月 101.9%
5月 111.7%

上記図表は、月別の前年同月比です。4、5、6月の実数がマイナスになっているのは、前年度、海外に向けて販売を行った業者が消費納税額の「還付」を受けていることが原因です。

では、私が何に対して「違和感」を感じていたのかと申しますと、前述致しました通り、基本的に「中間申告」は前年度の実績を参考に納税されますから、通常であれば前年度と今年度の申告額は「同額」でなければおかしいはずなのです。

勿論、消費納税には2か月間の猶予がありますから、当月に納めたのか、1カ月後に納めたのか、2カ月後に納めたのかによって多少の誤差は生まれると思います。ですが、例えば特に10月や11月の様に10%近くも前年度割れすることには違和感を覚えます。

そして、消費税の納税方法として、
前年度の納税額に応じて中間申告を行う。
中間申告を行う際、本年度の納税額は本年度が終了するまでわからないため、前年度の納税額を参考にして納税を行う。

という方法がとられます。そして、

確定申告時、中間申告時の納税額が不足していれば不足する分を余分に納める為、確定申告時の納税額は前年度の納税額を上回る

為、中間申告時の納税額を本年度が昨年度を上回れば、年度最終付きの納税額は前年同月比で100%を上回ることになります。

企業によって決算月が異なりますが、最も多くの企業が決算月を迎えるのが政府会計年度末である3月。
そして、消費税納税は2カ月の遅延が認められていることから、年度で最も多くの企業が納税する月は3月より2カ月後、5月になります。

と、ここまでお伝えすれば察しの良い方はもうお気づきかもしれませんね。
2016年度最終付きである5月の消費税納税額は前年同月比111.7%。4月が101.9%、3月が100.4%となっていますね。

これは即ち、2016年度の消費税納税額が2015年度を上回っていることを示しています。

では、なぜ消費税納税額はトータルで前年度を下回っているのでしょうか?


消費税還付金の罠


【2016年度4月~6月の消費納税額】※( )内は2015年度の納税額です
4月 -360億円(-197億円)
5月 -344億円(-318億円)
6月 -1343億円(+222億円)

いかがでしょう。4月~6月までの間で、納税もされていないうちからマイナスされている金額。これは前年度の「還付金」であると考えられます。

例えば、増税年度の2014年から経年で消費税納税額の推移を見てみます。

【2014年度~2016年度の消費税納税額】
2014年 16.03兆円
2015年 17.42兆円
2016年 17.22兆円

ですが、4月~6月にマイナスされている額は、本来それぞれの年度に加えるべきではない数字ですから、2015年度の数字に515億円、2016年度の数字に2060億円をそれぞれ加えます。

2015年 17.47
2016年 17.43

また、2016年4月~6月にマイナスされていた2060億円という数字は本来2015年度分からマイナスされるべき数字ですから、17.47兆円から2060億円をマイナスします。

2015年 17.27兆円
2016年 17.43兆円

という数字が出てきます。ただ、2016年度もまた2017年度分からマイナスされることになりますので、この計算式はまだ途中経過だということになります。

勿論、ここに見えていない還付額もまだあるはずですから、この数字が正しいと言い切ることは出来ませんが、2016年度分の消費納税額が本当に2015年度分と比較して減っているのかということはまだ定かではありません。

また、2014年度の消費税納税総額が16.03兆円ですから、これと比較すれば仮に2015年の納税額を仮に下回っていたとしても、増税年度に比較すれば1兆円を上回る納税額を記録していることが分かります。


さて。ただ、とはいえ「2%の物価上昇」を目指す政府としては、やはり「消費の伸び」は欠かせない部分があります。「横ばい」ではだめです。

物価の記事 でもお示ししましたが、そろそろ「アベノミクスマジック」にも限界が見え始めていることは確かです。

だからこそ、本来の「安倍内閣」の魅力である「経済」についての効果を国民が感じられるよう、切れ目のない政策を打つことがとても大切です。ほんと、森友だ、加計だと大騒ぎしている暇なんてないんですけどね・・・。

今が「正念場」ですよ、安倍さん。


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