第333回 獣医師会会報(メールマガジン)から検証する加計問題など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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この記事のカテゴリー >>加計学園問題


<継承する記事>
第332回 加計学園問題の真相2/アベノミクスと国家戦略特区

もう一本、加計問題でいきます。

これまでの復習として、

1.今治市は2015年(平成26年)12月15日に国家戦略特区としての認定を受けている。

2.文科省よりダダ漏れになっている資料は全て今治市が国家戦略特区に認定された後のやり取りを示す資料である。

3.京都府や京都産業大学が特区申請を行ったのは今治市が特区に認定された後である。

4.前川文科相前事務次官は「特区選定過程で行政が歪められた」と主張しているが、前川氏は今治市が特区に選定された後で、京都産業大学が特区に認定すらされていない地域への獣医学部新設を却下されたことをその根拠としている。

という流れがあります。これだけでも前川側、あるいは民進・自由・共産・社民の主張を根底から破壊する十分な効果のある「ファクト」だと思うのですが、今回、これらの情報を更に強化する情報にたどり着きましたので、これを今回の記事としたいと思います。

と言っても、別に新しい情報を示すわけではなく、既に出回っている情報として、

 「獣医学部新設を1校に限定したのは政府の意向ではなく、獣医師会からの要請に応じたものである」

という情報。これはもう既に多くの方が見ていますよね?

ただ、私としてもこの情報を裏付ける資料にまだ出会っていませんでした。調べる時間がなかった、というのも正直ありますが、之を裏付ける情報を 第327回の記事 作成する際に参考にさせていただいたツイッターネーム空也さんがシェアなされていた情報 でこれをきれいに裏付ける情報が掲載されていましたので、私としてはこの情報「拡散」する形で記事にさせていただきます。


獣医師会会報(メールマガジン)に掲載されている真実


会長短信「春夏秋冬(29)」 「驚きのニュース」
獣医師会メーリングリスト1


こちらがその資料。資料そのものは全部で5つありますが、全て「公益社団法人日本獣医師会」の会長が記したコラムで、同ホームページに掲載されているものです。タイトルをクリックいただきますと、記事に移ることができます。

上記資料の中から、ポイントになると思われる場所をピックアップしてみます。

12月15日(火)の昼、耳を疑うような驚きのニュースが飛び込んできました。

 午前中に開催された国家戦略特区諮問会議において、国家戦略特区3次指定が決定されました。

 全国16の獣医学系大学、日本獣医学会、日本獣医師政治連盟、本会等が揃って長年にわたり設置に反対してきた獣医師養成系大学・学部の新設案件です。


 本件については、本年6月30日に閣議決定された「「日本再興戦略」改訂2015」において、「⑭獣医師養成系大学・学部の新設に関する検討」として特区指定の候補とされました。しかし、検討に当たっては次の4条件が明記されていました。

①現在の提案主体による既存の獣医師養成でない構想が具体化
②ライフサイエンスなどの獣医師が新たに対応すべき分野における具体的な需要が明らかになること
③既存の大学・学部では対応が困難な場合
④近年の獣医師の需要の動向も考慮しつつ、全国的見地から本年度内に検討

 このように大きな壁が4つもあるため、実質的に獣医学系大学の新設は困難であると考えていました。しかし、今回は、このような条件について検証することなく、特区指定が決定されました。


 今後は、提案主体である学校法人等が、内閣府、文部科学省等と具体的な区域計画等について協議を進めていくことになります。その協議過程においては、上記の4条件や大学・学部の設置基準等への適合状況等について審査が行われるものと見込まれます。

獣医学系大学、政連等における獣医学部新設反対の活動は、これからが本格的な山場に入ったとも考えられます。


 そして更に注意を要することは、本件を契機として次々と設置申請が認可されることは、何としても阻止しなければなりません。今回の特区指定は、文部科学省、獣医学系大学等多くの関係者による30年以上にも及ぶ獣医学教育の世界水準達成に向けた努力と教育改革に、全く逆行するものです。

言うまでもありませんが、これは2015年12月15日、国家戦略特区諮問会議に於いて、今治市が獣医学部新設特区として認定されたことに関する記事です。

あくまでも客観性を大切にしたいですから、私たちの様に獣医学部新設を肯定する側ではなく、反対する側、つまり獣医学部側の視点から考えますと、彼らは獣医学部の新設が、獣医の水準を低下させる要素となる、と考えており、獣医学部の新設に反対することが「日本国民全体の利益になる」と考えている様子が見受けられます。

私としてはこれを否定するための十分な情報を有してませんから、この獣医師会側の考え方について何か意見を述べるつもりはありません。あくまでも「客観的な情報」としてこの文面を見ていきたいと思います。

先ず、②の①~④にあるのは、これは報道でもよく話題になっている「石破4条件」の事です。
ですが、この石破4条件に関して、獣医師会側からは以下のような意見が掲載されています。

 「このように大きな壁が4つもあるため、実質的に獣医学系大学の新設は困難であると考えていました。」

同じ獣医師会ホームページに掲載されている「平成 27 年度 全国獣医師会事務・事業推進会議の開催」 という資料を見ますと、実際に獣医師会が「ハードルになる」と考えていたのは①~③までの内容なのですが、同資料によりますと、

「石破担当大臣と相談をした結果,最終的に,『既存の大学・学部で対応が困難な場合』という文言を入れていただきました」

と記されており、①~③のうち、③については獣医師会側から当時の石破担当大臣に依頼して加えてもらった、という様子が見えてきます。

逆に言えば、既存の大学・学部で対応が困難であるかは既存の大学・学部の人間にしかわかりませんし、若し対応が困難であったとしても「対応できます」と断言してしまえば対応は困難だと判断されることになります。

もし獣医学部側が安倍内閣の特区政策に協力的であり、地域経済の発展や人材の拡充の為積極的に協力しよう、とする姿勢があるのならばこの条件は意味のあるものとなるのかもしれませんが、資料からは獣医学部の全く逆の姿勢が見えてきます。

この「石破4条件」。どうも「獣医学部新設特区を不可能にさせるための条件」であるようです。
獣医学部側の意見とすれば、「獣医学部新設特区ができない様にするために4条件を決めたのに、なんで設立が可能になるんだ!」というところでしょうか。

ここはひとつ、ポイントとなる部分だと思います。


「提案主体」としての加計学園

今回の獣医学部新設に関して、「加計ありき」という言葉を耳にしますね?

この、「加計ありき」という言葉は、「加計学園以外に、『今治市に対して』獣医学部を設置する大学を検討するべきだ」という発想がなければ生まれない言葉です。

ですが、会長短信の③の部分を見てみますと、以下の様に記されています。

「今後は、提案主体である学校法人等が、内閣府、文部科学省等と具体的な区域計画等について協議を進めていくことになります」

と。

もし仮に今治市を国家戦略特区として認定する過程に問題があったとしても、行政側で今治市を獣医学部新設特区として認定した以上は、国家戦略特区として今治市が機能する様、官民が連携し、一体となって取り組む必要があることは誰にでも理解できることだと思います。

そして仮に今治市が単独で獣医学部新設特区の申請を行い、特区に認定された後で大学の募集を行ったのなら「加計ありきだったのではないか」という主張が登場することもまだ理解できます。

ですが、③の文章からわかりますように、加計学園はそもそも今回の今治市獣医学部新設特区構想に於ける「提案主体」であり、加計学園が今後「内閣府、文部科学省等と具体的な区域計画等について協議を進めていく」事は既にこの時点で決まっていました。

続く文章として、

 「獣医学系大学、政連等における獣医学部新設反対の活動は、これからが本格的な山場に入ったとも考えられます」

と記されており、この時点で獣医師会としてのフェイズが「いかにして加計学園の認可を阻止するのか」という段階に入ったことが分かりますね。


「京都産業大学」の特区申請に於ける経緯

④の文章では、「更に注意を要することは、本件を契機として次々と設置申請が認可されることは、何としても阻止しなければなりません」と記されています。ところが・・・

会長短信「春夏秋冬(35)」 「外圧に屈せず一枚岩の団結で」
獣医師会メーリングリスト2


こちらは翌年、平成28年6月24日に記された会報です。

こちらの会報では、冒頭に以下のような文章が記されています。

昨年12月の「春夏秋冬(29)」でお知らせしましたが、6月になって再び国家戦略特区による新たな獣医師養成系大学・学部の新設案件の情報が入りました。

 本件は、学部新設を希望している大学が地元の地方自治体と連携して、しかも同地区内の府県知事との連名で関係府省に要請活動を行ったというものです。

とは京都産業大学のこと。そして、同地区内の府県知事とは京都府知事の事です。

京都産業大学と京都府知事が連名で特区申請を行ってきたんですね。
獣医師会としては、今治市の時と同様猛烈に反発しています。

今治市の時の事例がありますから、京都産業大学としては今治市の時以上により具体的な提案を政府に対して行っています。

この後、しばらくの間会報に獣医学部新設に関連した話題は登場しません。次に開放として獣医学部新設の話題が登場するのは平成28年11月22日の事。


広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り
獣医学部の新設を可能とするための関係制度の改正



【会長短信「春夏秋冬(40)」 「“One Health”国際会議の成功を歓び、禍根を残す無責任な特区決定に憤りを」】
獣医師会メーリングリスト3


該当する部分を赤枠で囲っています。
引用します。

< しかし、このような大成功の陰で、厳しい事態が進展していました。

 それは、かねてから本会及び日本獣医師政治連盟が最重要課題に掲げて取り組んできた国家戦略特区による獣医学部の新設案件です。

 11月9日、国家戦略特区諮問会議が開催され、「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り獣医学部の新設を可能とするための関係制度の改正を、直ちに行う。」ことが決定されました。

 そして、早くも18日には、国家戦略特区による内閣総理大臣の認定を受けた獣医学部の設置については、文部科学省告示による大学設置認可基準の適用外とする内閣府のパブリックコメント募集が開始されました。

 コメント募集期間は12月17日までの1カ月間とされています。

これは、獣医学部新設の基準に、「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り」という文言が加えられた時の内容です。

報道や民進党側からの批判内容としては、「このことで京都産業大学が対象から外れてしまった」ことを問題にしていましたが、どうも獣医師会は別の事を問題にしている様子が見受けられますね。

もし本当にこのことで京都産業大学が対象から外れることになったのだとしたら、獣医師会の反応はもう少し変わっていたのではないでしょうか? 獣医司会としては、それが加計学園であろうが京都産業大学であろうが、そもそも獣医学部新設そのものに反対していました。

そんな中で「京都産業大学」は少なくとも対象から外れることとなるわけですから、ね。

ただ、実は「京都産業大学」が対象から外れた理由として、この部分に関しては民進党側からの批判も強ち間違っているわけではない様には感じます。この時の大臣の記者会見内容を読みますと、以下のような内容が見られます。


山本内閣府特命担当大臣 (地方創生、規制改革) 記者会見要旨
記者: 獣医学部の設置についてお伺いします。
今治市など複数の特区が提案を出していると思うのですけれども、どこを一番有力視してやっていかれるのでしょうか。

大臣: 本件は、これから制度を作るのですけれども、限定された、獣医学部が基本的に広域的に存在しないというようなところを念頭に置くことになりますが、まず制度を変えて、それから具体的に申請等が出てくることになりますので、現時点ではどこだという話は今のところはできません。

記者: 地域の選定のスケジュール感というのはどのようにお考えですか。

大臣: 近々に制度自体は作るようにしますので、その後、区域からの申請を受けて、それからの話になると思います。早ければ、年内にも申請という話になってくるのではないかと思います。

記者: 基本的には、今ある特区の中で選定していくというイメージで構いませんでしょうか。

大臣: 特区の制度ですから、特区の中から申請を受けて検討します。

記者: 新たに特区を指定することを念頭においては。

大臣: 今は、そこまでは考えておりません。

この会見の中で、山本大臣は

「 特区の制度ですから、特区の中から申請を受けて検討します」
「(新たに特区を指定することを念頭においては)今は、そこまでは考えておりません」

と答えています。記者は「 今治市など複数の特区が提案を出している」と問いかけていますが、この時点で特区に選定されているのは今治市のみ。京都府は獣医学部新設特区としてはまだ認定されていません。

そして、この段階で山本大臣は「今はまだ、新たに特区を指定することまでは考えていない」と答えていますから、この時点で事実上京都産業大学は選に洩れている、と考えることもできます。

ただ、山本大臣としては「今はまだ」と答えているわけですから、この時点で京都産業大学にもチャンスがなかったわけでもない様には感じます。

もしこの時政府側が「忖度」した相手がいたとしたら、それは安倍首相ではなく「獣医師会」だったのではないか、という想像は容易に成り立ちますね。


「獣医学部新設」を1校のみとする様懇願したのは「獣医師会」である!!

長々と記してまいりましたが、実は最大のポイントとなるのはここです。

会長短信「春夏秋冬(42)」
「獣医学部新設の検証なき矛盾だらけの決定に怒り
」】

獣医師会メーリングリスト4


はっきりと書いていますね。
語弊を恐れずに言えば、獣医師会新設認定校を1校のみとするよう官邸側に圧力をかけたのは獣医師会であり、獣医師会の要請に応じて官邸側は認定校を1校のみとした、と。

勿論獣医師会側から圧力がかからずとも、政府側の獣医師会に対する忖度により、結果的に対象大学は1校のみになっていたのではないかと思われます。この時点での法整備では。


一連の流れを見ますと、「獣医師会」と「文部科学省」、そして「民進・自由・共産・社民」はお互いに連携していたことは間違いないと思われます。

そして、「獣医師会」側の要請に応じて対象校を1校に絞ったにも関わらず、1校に限定したことを獣医師会と連携する立場にある文科相元事務次官である前川、そして「民進・自由・共産・社民」の4党から批判されたことを逆手に取って、安倍首相は獣医学部新設を1校に限定しないことを宣言しました。

獣医師会を新設することが本当に獣医師の質を上げることになるのか、それとも獣医師会が言っている様に下げることになるのか、それは私には分かりません。

ですが、元来の規制の枠を取り外して、新しい考え方を獣医師会に招き入れることは、決してマイナスとはならない様に思うのですが、皆さまはいかがでしょうか?


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