第316回 エネルギー物価の動向が消費者物価指数に与える影響/平成28年度3月など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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<継承する記事>
第315回 生鮮食品及びエネルギーを除く総合が前年同月割れした理由(H28年度3月)

いつもであれば、前回の記事の後「教養娯楽」の費目に記事を記事を進め、更に「テレビ」や「PC」等を分析するわけですが、同じ調査を毎月行っていますし、今回も異なった結果が出ることはそれほど想像しにくいことから、今回は「教養娯楽」を深めることはせず、もう一つの調査項目、「エネルギー物価の動向」へと記事を進めてみたいと思います。


消費者物価指数「総合」の内、私が重視ししているのは新コアコアCPIともいえる新たなる指標、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」であることから、態々「エネルギー」を調査する必用はないのではないか、という方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、それでも政府日銀が「2%の物価上昇」の目標としているのはあくまでも「生鮮食品を除く総合(コアCPI)」であり、ここにはエネルギーが含まれているため、無視するわけにもいきません。

また、私がずっと調査し続けている「10大費目」の中には、「エネルギー」に該当する物価とそうではない物価が混在している部分もあり、このあたりをきちんと分けて調べることでより私たち日本国民の生活に寄り添った「消費者物価」が見えてくるのではないか、とも考えていますので、引き続きこの「エネルギー」も分野として抽出して記事にしたいと思います。

エネルギー


「交通・通信」の消費者物価指数の前年同月比

【「交通・通信」消費者物価指数の前年同月比】※( )内は2017年2月の前年同月比です。
交通・通信 ウェイト:1476
0.2(0.3)

 交通 ウェイト:224
 -0.3(0.0)
 自動車等関係費 ウェイト:836
 4.4(3.4)
 通信 ウェイト:416
 (-7.4)-5.4

エネルギーをみる上で、まず外すことができないのは「ガソリン」の物価です。
ガソリンが含まれるのがこちらの「交通・通信」であり、「自動車等関係費」にガソリンの物価が含まれています。

「交通・通信」の費目を見てみますと、「自動車等関係費」はプラス幅を増大させていますが、「交通」が前年同月比0.0%から-0.3%へ悪化。「通信」も前年同月比-5.4%から-7.4%へとマイナス幅を拡大させており、「交通・通信」全体の消費者物価としては0.3%から0.2%に上昇幅を縮小させていることが分かります。

この費目で「交通」に含まれるのはバス、電車、鉄道、飛行機などの公共交通機関の運賃です。
JR在来線が-0.4%から0.0%に改善、高速のバス代が0.0%から0.1%に改善した以外はほぼすべて横ばい。

にも関わらずなぜ「交通」の消費者物価が上昇幅を縮小させているのかというと、実は唯一「航空運賃」のみが前年同月比-2.3%から-5.6%へとマイナス幅を拡大させています。

これが「交通」の消費者物価の上昇幅を縮小させた原因です。
ただし、他の費目にはなりますが、「教養娯楽」中「宿泊料(国内旅行費)」及び「パック旅行費(海外旅行費)」を見てみますと、

宿泊料 ウェイト:113
前年同月比
3月 1.8%
2月 0.0%

パック旅行費 ウェイト:42
前年同月比
3月 4.3%
2月 4.8%

と、パック旅行費は「4.8」から「4.3」に「上昇幅を縮小」させているとはいえ、それでも4.3%の上昇ですし、国内旅行も前年比0%から1.8%に大幅に改善していますので、航空運賃(ウェイト:22)の下落は、消費者物価全体には良い影響を及ぼしているのではないでしょうか。


「自動車等関係費」の消費者物価指数

こちらは全体を一覧表示する形を取らず、ポイントとなる部分をピックアップしてみたいと思います。

「自動車関係費」の前年同月比の上昇幅を拡大させている最大の原因は皆さんご想像の通り、「ガソリン」の物価上昇です。
ガソリンの消費者物価は2月の15.8%から更に20.4%も上昇しており、このことが「自動車関係費」の消費者物価を引き上げる要因となっています。

では、「ガソリン」以外の「自動車関係費」の消費者物価はどのようになっているのでしょう。

【「自動車」の消費者物価指数前年同月比】※( )内は2月の前年同月比です。
自動車 ウェイト:199
-0.3(-0.3)

 軽乗用車 ウェイト:40
 -0.3(-0.3)

 小型乗用車(国産車) ウェイト:55
 0.1(0.1)

 小型乗用車(外車) ウェイト:5
 -9.7(-9.7)

 普通乗用車(国産車) ウェイト:01
 0.1(0.1)

 普通乗用車(外車) ウェイト:-9.7
 -0.6(-0.6)

ガソリンのウェイトが206ですから、「自動車」全体のウェイトは消費者物価指数全体に対して、ガソリンとほぼ同等の影響力を持っていることになります。

「自動車」の消費者物価の前年同月比はほぼ横ばいです。
全体の傾向として外車の物価が「小型」「普通」共大幅に下落しており、また「軽自動車」の物価も下落しています。

「自動車」全体の傾向として、外車を選択する人が減り、国産車も「軽」ではなく「普通車」を選択する人が増えているのではないか、との推測が成り立ちますね。燃費の問題等もあるのでしょうが、これは日本国内で考える上ではとてもよい傾向にあるのではないでしょうか。

「ガソリン」と同じ考え方で、「輸入車」もまたその利益の大部分は海外に吸収されますから、消費者物価全体で考える上では、例え一時的に自動車全体の消費者物価を引き下げることになったとしても国産車が選択される状況の方が好ましいと考えられます。

その他、「ガソリン」が含まれる「自動車等維持費」では、バッテリーやカーナビゲーションの消費者物価が前年度割れしていますが、たの項目は0~プラス成長で、上昇幅にも大きな変動は見られません。


【「通信」の消費者物価】

通信の消費者物価に関しては、第314回の記事 に掲載した日経ニュースにも掲載されていました様に、携帯電話機の物価が-15.9%から-26.6%にマイナス幅を大幅に拡大させており、これが最大の原因となっています。

ただ、日経ニュースでは

「春先の値引きキャンペーンが広がった携帯電話機は26.6%下落した」

と掲載されていましたが、であれば同じ現象が起きると考えられる2016年3月にも同じ様な物価の下落が起きていなければおかしなことになります。ですが、2016年3月の消費者物価前年同月比は8.8%と大幅に上昇しています。

だとすれば、「春先の値引きキャンペーン」以外にも別の理由がある、と考えるべきではないでしょうか。
記事としては非常に安易すぎる内容だと思います。


「光熱:水道」の消費者物価

【「光熱・水道」の消費者物価指数前年同月比】※( )内は2月の前年同月比です。
光熱・水道 ウェイト:745
-0.8(-2.1)

 電気代 ウェイト:356
 -2.0(-4.0)

 ガス代 ウェイト:181
 -5.2(-6.5)

 他の光熱 ウェイト:41
 29.9(29.8)

 上下水道料 ウェイト:167
 0.5(0.5)

「他の光熱」とは「灯油」のことです。
ガソリンの前年同月比が20%増、灯油の前年同月比が30%増とあり、原油から直接精製される「エネルギー」に関してはこれまでの消費者物価の足を引っ張り続ける状況から大きく改善されていることが解りますが、それ以外の「電気代」や「ガス代」については未だに下落し続けていることが分かります。

最大の理由は電力の自由化が行われ、ガス代も価格競争に巻き込まれている状況が考えられるわけですが(ガス代と電気代が前年度割れし始めるのはほぼ同時期です)、ただここで一つ考えると、原発事故が発生するまで政府や電力会社が訴え続けてきた「原発を停止すると電力不足に陥り、電気代が上昇する」として主張は誤りであったのではないか、とも考えられます。

安倍内閣を支持する私たちとしては眼をそむけたくなる一つの事例にはなりますけどね。
勿論原発以外の方法を用いて発電を行うということは、一部の再生可能エネルギーを除いて火力を用いることになりますから、海外の原油価格の動向によって左右される部分も大きくなると思います。

ただ、それでも電気代が政府や電力会社によって「搾取」されていた部分もあったとする一つの「証拠」にもなりますから、個人的にはこのあたりの説明は政府や電力会社がきちんと行う必要のある分野だと思います。

そしてその上で原発を利用し続ける必要があるのであれば、その理由をきちんと国民が納得できるようにするべきなのではないでしょうか?

勿論私は安倍内閣を支持していますし、街中でドラを叩きながら大騒ぎして反原発を叫ぶような「反原発派」や「脱原発派」ではありません。

大切なのはこういった事情を「政府を批判するための材料」にしてしまうのではなく、本当のところはどうなのか。
正しいことは正しい、誤っていることは誤っていると指摘しあえる環境をつくることなのではないかと思います。

勿論、それでも原発を利用し続けなければならない理由はあります。
仮に日本が原発を利用しなくなったとしても、海外では原発は利用し続けられますし、もし日本が原発の利用を止めれば、日本は海外に対して「核を監理する技術」という側面で大きな「後進国」となってしまいます。

こじつけの様に思われるかもしれませんが、国際関係を考える上で、これは一つの大きな理由です。

少し話が大きくなってしまいましたが、電気代やガス代の変化についても今後とも着目していきたいと思います。


さて。税収に関するカテゴリー に於きまして、長らく放置していました「2016年度の税収」の調査結果ですが、「消費者物価指数」でも2016年度年間の指標が公表されたように、「税収」に関してもこれをうかがえるデータが出てき始めました。

法人に関する「税収」は基本的に2か月間猶予期間があり、3月の納税額が出そろうのはこれから2カ月後、5月の納税額が公表された後になるのですが、それでも2016年度3月の納税額が公表されたことで、昨年度通年の予測を行う事が可能になったのではないかな、と思っていますので、次回記事ではこの「2016年度税収」についての記事を作成したいと思います。

確定しているわけではないので、記事にするのはドキドキです・・・。


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