第315回 生鮮食品及びエネルギーを除く総合が前年同月割れした理由(H28年度3月)など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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第314回 平成28年度(通年)及び3月度消費者物価指数が発表されました

ということで、平成28年度(2016年度)3月消費者物価指数の内、「生鮮食品エネルギーを除く総合」が前年同月割れした理由を記事にしたいと思います。

理由のうち一つは 前回の記事 でお伝えした通り、「持ち家の帰属家賃」がマイナス成長したから。これは毎月記事にしている通りです。

実際これがなければ2016年度3月の生鮮食品及びエネルギーを除く総合はプラス成長していますから、最大の理由と言っても過言ではありません。

ですが、とはいうものの、それでもその伸び率は2月度の伸び率より縮小していますから、「持家に帰属する家賃」以外にも「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」の消費者物価が伸び悩んでいる理由、というのは存在することになります。

それではいつも通り、まずは「10大費目別消費者物価指数」から検証してみます。


2016年度3月10大費目別消費者物価指数

【10大費目別消費者物価指数の前年同月比】※( )内は2017年2月の前年同月比です。
食料 ウェイト:2623
0.5(0.8)

 生鮮食品 ウェイト:414
 -0.4(1.4)
 生鮮食品を除く食料 ウェイト:2209
 0.7 (0.7)

住居 ウェイト:2087
-0.2( -0.2)

 持家の帰属家賃を除く住居 ウェイト:589
 0.2 (0.1)

光熱・水道 ウェイト:745
-0.8 (-2.1)

家具・家事用品 ウェイト:348
-0.8(0.6)

被服及び履物 ウェイト:412
0.6(1.3)

保健医療 ウェイト:430
0.5(0.6)

交通・通信 ウェイト:
0.2(0.3)

教育 ウェイト:316
1.0(1.0)

教養娯楽 ウェイト:989
0.7(0.4)

諸雑費 ウェイト:574
0.4(0.3)

今回見ようとしているのは「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」ですから、「食料」は「生鮮食品を除く総合」で見ます。
また前回の記事で記した通り、「持家に帰属する家賃」は架空の数字ですから、「住居」も「持家に帰属する家賃を除く住居」で見ます。

さて、こうしてみますと、
〇「食料(生鮮食品を除く食料)」は0.7→0.7と横ばい。

◎「住居(持家に帰属する家賃を除く住居)」は0.1→0.2と改善。

▲「光熱・水道」は-2.1→-0.8へと下落幅を縮小

×「家具・家庭用品」は0.6→-0.8と悪化。

△「被服及び履物」は1.3→0.6と上昇幅が縮小。

△「保険・医療」は0.6→0.5と上昇幅が縮小

△「交通・通信」は0.3→0.2と上昇幅が縮小

〇「教育」は0.1→0.1と横ばい

◎「教養・娯楽」は0.4→0.7と改善

◎「諸雑費」は0.3→0.4と改善。

と、こんな感じです。

改善しているのが 「住居」「教養娯楽」「諸雑費」 の4費目。
横ばいが 「食料」「教育」 の2費目。下落幅を縮小させているのが「光熱・水道」の1費目。

上昇幅が縮小しているのが 「被服及び履物」「保険医療」「交通・通信」の3費目。
悪化しているのが「家具・家庭用品」の1費目。

上が2016年度3月の物価上昇幅を拡大させる要因となっているのは 「住居」「教養娯楽」「諸雑費」 の3費目であり、逆に縮小させる要因となっているのは 「被服及び履物」「保険医療」「交通・通信」 の3費目、及び 「家具・家庭用品」だということになります。

「光熱・水道」に関しては「下落幅が縮小した」というだけで、物価そのものの足を引っ張っている要因であることに変わりありません。ただ、「エネルギー」の占める割合が多いですから、一旦調査対象から外します。ちなみにこの費目で唯一「エネルギー」ではない「水道」は0.5%の上昇で2月と比較して横ばいです。


ということは、やはり3月の消費者物価指数が伸び悩んでいる一番の原因はあいつ・・・ですよね、おそらく。そう。「家電製品」です。

これは、前回の記事 で掲載した日経ニュースでも

「春先の値引きキャンペーンが広がった携帯電話機は26.6%下落したほか、ノートパソコンも11.0%下がるなど耐久財が物価を押し下げた格好だ。」

と記されており、「耐久財が物価を押し下げた」ことが記されています。
ただ、「ノートパソコン」は「教養娯楽」分野であり、「家具・家庭用品」ではありませんけどね。

ということで、まずは「家具・家庭用品」を砕いてみます。


「家具・家庭用品」の消費者物価指数前年同月比


洗濯機

【「家具・家庭用品」消費者物価指数の前年同月比】※( )内は2017年2月の前年同月比です。
家具・家事用品 ウェイト:348
-0.8(0.6)

 家庭用耐久財 ウェイト:111
 -1.6(0.6)

 室内装備品 ウェイト:25
 -3.4(-3.1)

 寝具類 ウェイト:27
 2.2(1.1)

 家事雑貨 ウェイト:72
 1.4(3.7)

 家事用消耗品 ウェイト:86
 -2.3(-0.9)

 家事サービス ウェイト:27
 0.1(-0.1)

ということで、「家具・家庭用品」の中で、最も「ウェイト」の大きい「家庭用耐久財=家電」がやはり「消費者物価」の足を引っ張る要素となっていることが分かりました。

「室内装備品(カーテンやカーペット、電気など)」がマイナス幅を拡大していますが、この分野は平成26年4月~平成27年5月にかけて一時的に物価が上昇していた時期もありますが、それ以外では平成5年以降1カ月の途切れもなく前年同月割れをしている分野ですので、今回の対象からは外します。

この他、「家事雑貨」が上昇幅を縮小させており、「家事用消耗品」もまた下落幅を拡大させていますので、この2分類も調査してみます。


【「家庭用耐久財」消費者物価指数の前年同月比】※( )内は2017年2月の前年同月比です。
家庭用耐久財 ウェイト:111
-1.6(0.6)

  家事用耐久財
  -3.8(-2.7)

   電子レンジ
   -26.0(-19.5)

   電気炊飯器
   2.0(2.6)

   ガステーブル
   3.0(3.7)

   電気冷蔵庫
   -5.5 (-6.5)

   電気掃除機
   12.6(16.2)

   電気洗濯機(全自動洗濯機)
   -18.4(-20.2)

   電気洗濯機(洗濯乾燥機)
   -2.1(3.9)

  冷暖房用器具
  -0.4(5.1)

   ルームエアコン
   -0.7(5.9)

   温風ヒーター
   1.0(2.2)

   空気清浄機
   0.1(1.8)

さて。今回も一般社団法人日本電機工業会 より、メーカーベースでの「出荷台数」及び「合計出荷額」について調べてみます。

【2017年3月出荷状況(前年同月比)】
電子レンジ
出荷台数 117.2% 
出荷総額 112.7%

電気炊飯器
出荷台数 112.2%
出荷総額 106.7% 

電気冷蔵庫
出荷台数 107.5%
出荷総額 99.3% 

電気掃除機
出荷台数 109.7%
出荷総額 106.4%

電気洗濯機
出荷台数 121.5%
出荷総額 114.4% 

ルームエアコン
出荷台数 106.1%
出荷総額 104.6% 

と、こんな感じでしょうか。

見ての通り、唯一「電気冷蔵庫」の出荷総額が前年度割れしているものの、他は全て前年度オーバー。
ただ、どの項目も「出荷総額」を「出荷台数」が上回っていますので、「単価は下がったけれども、販売数量が増加した為、結果的に出荷総額が増えた」という状況も想定することは出来ます。

とはいえ、メーカーベースではきちんと「消費」は増えていることが分かります。
後はやはり販売店側の問題でしょうね。


この他、「一般家具」に関しては前年同月比2.9%。2月が2.7%ですから、「物価上昇率」としては非常に優秀な結果となっています。


「室内装備品」に関しては「照明器具」が-14.8%と大きく前年割れしていますが、「照明器具」に関してはデータが集計され始めて以来、ほぼすべての期間において前年度割れしており、どこか特定の内閣に於いて敢えてその影響を問題視する必要はないものと思われます。


「家事雑貨」に関しては、確かに前年同月比3.7→1.4と大きく上昇幅を縮小させてこそいますが、それでも1.4%という物価上昇率はそれほど悪い数字ではありません。

また、今回の「家事雑貨」という項目の中で、その最も大きな影響がみられるのは「台所用密閉容器」。つまり「タッパー製品」のことです。

理由はよくわかりませんが、この「台所用密閉容器」。2016年3月より2017年2月にかけての丸1年間、前年同月比70%超という物価上昇率を記録していました。これは、何かメーカー側の事情があったものとしか考えられません。

これが3月に入って前年同月比2.6%と落ち着いたため、このことが「家事雑貨」の消費者物価指数の上昇幅を大きく縮小させる結果となりました。ただこれは先月までが異常すぎたのであり、今月は「正常に戻った」と表現する方が正確だと思われます。


「家事用消耗品」は2月の下落幅0.9%から更に大きく物価が下落し、-2.3%となっています。

家事用消耗費の中で下落幅が広がっているのは「ティッシュペーパー」の-1.8%→-3.3%、台所用洗剤の1.4%→-3.6%の二つ。
共に石油精製品です。

正確な理由は分かりませんが、実際に原油が前年度を上回り始めたのは2016年11月以降の話であり、まだその影響が反映されきっていない、ということなのでしょうか。まあ、このあたりは特に付加価値が重要視されない分野ですから、それほど深く考える必要はないのかもしれません。


総括ですが、日経記事にもあった通り、「新生活応援」の影響もあったのかもしれませんが、やはり「家具・家庭用品」分野の内、「家電製品」の物価下落が「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」の伸び悩みに一つの大きな影響を与えているものと考えられます。

もう一つの家電分野、「テレビ、パソコン」に関しても同じ現象が起きているものと推察されますが、今回はこの分野に関しては深入りをせず、次回記事ではもう一つの気になる分野、「エネルギー」に関して調査を進めてみたいと思います。


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