第311回 TPP米国(アメリカ)抜き、11カ国での交渉へ(5月APECにて)など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

ランキングサイト

この記事のカテゴリー >>TPP


今回の記事は、中々熱い記事が出てきましたので、この記事をテーマに作成したいと思います。

先ずは引用元のニュースから。

【日本経済新聞記事より(2017/4/20)】(※まずは読み飛ばしてください)
麻生副総理、米抜きTPP「APECで5月協議」

 【ニューヨーク=大塚節雄】麻生太郎副総理・財務相は19日、ニューヨークで講演し、米国が離脱した環太平洋経済連携協定(TPP)に関し、米国を除く11カ国での発効に向けて「5月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)で話が出る」と語った。ベトナムでのAPEC貿易相会合にあわせて開くTPP参加国の閣僚会合で、議論に本格的に着手することを明らかにした。

 米国を除くTPP参加国11カ国は、5月下旬にベトナムで関係閣僚会合を開く。日本政府は、米抜きTPPの発効方法の検討を事務方に指示する共同声明の採択を目指している。麻生氏は「相手がある話だからわからない」としながら、「12カ国という数があったからあれだけのことができた」と述べ、多国間協定の利点を強調した。

 そのうえでTPPでは「たとえば日米間(の交渉)で日本が失うものがあったとしても、他国から(利益を)とる、という調整ができた。2国間ではそこまではいかない」と話し、日米自由貿易協定(FTA)などの2国間協定には慎重な姿勢を示した。

 一方、ペンス米副大統領との間で18日に初会合を開いた日米経済対話に関しては「日米でつくりあげたルールをアジア太平洋地域に広げるようなつもりでやっている」と改めて語った。米抜きTPPの協議と並行し、日米で多国間が参加できる貿易・投資ルールづくりを主導したい意向も示した。

 政府は米抜きTPPの検討を本格化させている。TPPに合意した12カ国から米国を除いた11カ国による協定発効をめざす考え。政府はこれまで慎重姿勢を崩さなかったが、米国の動きをにらみ転換した。

 菅義偉官房長官も20日午前の記者会見で、米国を抜いた形でのTPP協定の発効について「あらゆる可能性を排除しない」と意欲を示した。

 5月にベトナムで開かれるTPP閣僚会合で「TPPで合意した高レベルの貿易ルールを実現するためにどのようなことができるか議論したい」と語った。離脱を決めた米国には「粘り強く説明することは変わらない」と再加入を呼びかける考えを示した。

 米抜きTPPの実現には、米国を外す協定改正が必要となる。日本やオーストラリアは前向きな一方、ベトナムなど米国との交渉で大幅譲歩した国からは協定内容の変更を求める声があるもようで、11カ国内の温度差は残る。

 講演はコロンビア大学で開催。冒頭部分は英語で話し、質疑応答では日本語を中心に時折、英語を交えてやり取りした。麻生氏はワシントンで20日開幕する20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に参加するため、米国を訪れた。

今回引用したい記事はもう一つあります。

【ロイター記事より】(※こちらもまずは読み飛ばしてください)
財務相:2カ国間貿易、TPPで見込まれるほどの成果は期待できない

麻生太郎2

日米経済対話、麻生財務相「FTAの話にはまずならない」


[東京 18日 ロイター] - 麻生太郎財務相は18日の閣議後会見で、同日午後に行われる日米経済対話では「個別の話に入ることはない」とした上で、「自由貿易協定(FTA)の話にはまずならない」との認識を示した。米側の事務方の陣営が整っていないことから「細かい話ができるはずがない」とも述べた。

過去の日米協議の枠組みは、通商面などの摩擦解消を目的に、米側から提案された経緯がある。

麻生財務相は、今回の経済対話が日本側から持ちかけて発足したものであることに触れ、「摩擦ではなく、協力という前提で話をする」と強調。日米間で協議する枠組みが、アジア太平洋諸国にとっての「モデルケース」になれば、と語った。

写真は、もうちょいかっこいい写真を・・・とも思ったのですが、引用元が掲載している画像がこれだけでしたので、この写真を使います。


TPPを米国抜きで行うという意味(意義)

この政策を予測する記事を私は 第215回の記事 に記しました。

引用します。

【第215回の記事より】
米国は一国で2013年における国内総生産の65%を占めていますから、米国が抜けただけで発行は事実上不可能になる・・・という考え方も一理あるかもしれません。

ですが、既に述べています通り、元々「TPP協定のガン」となるのはアメリカだったはずです。

私もまた、「民主党政権下におけるTPP交渉への参加」には反対していた人間の一人です。
ですが、TPP参加そのものへの反対をしていたわけではありません。

「日本が主導して、日本中心にルール作りを行うこと」を日本のTPP参加への条件としていました。

甘利さんを中心として、米国との間でTPP交渉が行われるようになって以降のTPPのルール作りはほぼ日米が交渉の中心となって行ったといっても過言ではありません。

そして、その中から「アメリカが離脱」するわけです。
これこそ「渡りに船」であると私は思います。

そして更に、
現行のルールで発行が無理なのならば、アメリカ抜きで発効できるようルール改正すればよいだけの話です。

とも記しました。

この時私が予測した政策がついにスタートした、ということです。
サブタイトルにある「TPPを米国抜きで行うという意味(意義)」についてですが、先ほどの 第215回の記事 や 第214回の記事 をご覧いただくと、私が何を主張したいのかということは、凡そ予測していただけると思います。

もともと、この「TPP」という考え方は、麻生さんの 自由と繁栄の回廊 という考え方に従って、アジアで米国抜きで進められている日本の外交方針に危機感を覚えた米国が、麻生さんのお株を奪う形で築いた「経済連携協定=EPA」のことです。
 (EPAについては第213回の記事 をご参照ください)

元々「アメリカ」は参加していなかったじゃないか、という意見もあるかもしれませんが、米国がTPPに参加した理由こそまさしく上記に記したような理由だと推察されるわけです。

麻生さんは、そもそも民主党内閣当時からこの「TPP」については賛成の意志を明らかにしていました。
当然と言えば当然です。「アメリカ」が入っていること以外、TPP構想はまさしく麻生さんの考える「自由と繁栄の回廊」を体現したものであったわけですから。

そして、この当時話題になっていたのは中野 剛志 氏の記した「TPP亡国論」という書籍でした。

基本的に、TPP批判を行う人たちの考え方のベースになっていたのが彼が書籍に記した内容です。
即ち民主党がTPP交渉への参加を決めた段階で、日本を除く残り11カ国の間では既にTPPの概要に対する交渉は終結しており、あとから参加した日本が交渉に参加できる余地はない、とする主張でした。

ですが、麻生さんはこれに対し、「そんなことはない」という主張を行っていました。
私も基本的に麻生さんの考え方に賛成でしたし、それ故「民主党政権下での交渉参加に反対である」という主張をこのブログでも、過去に私が作成していたブログでも掲載していました。

中野さんも同じ意見だと考えていたのですが、どうもその後配信されていた動画等を見ていると、「民主党政権であろうがなかろうが、交渉そのものに参加することはできない。日本は終わった」と考えていた様ですね。これは余談です。

実際には甘利さんの活躍もあり、交渉は米国ではなく日本にとって有利なものとなり、米国にとってうまみのないものとなってしまったので、トランプは結局「TPPからの離脱」を表明するに至ったわけです。


そして今回、ついに安倍内閣はTPP交渉について、米国抜きで行われることと相成ったわけです。
そして、更にその交渉の旗振り役を日本が行うわけですから、完全に、「米国抜き、日本主導」で行われるTPPの実現が見えてきましたね。

恐らくこういった経済交渉の中身は安倍さんではなく、麻生さん主導で進められているものと考えられます。


米国との二国間交渉の価値

さて。この度の記事で、もう一つ引用したロイターからの記事。
タイトルを

・財務相:2カ国間貿易、TPPで見込まれるほどの成果は期待できない(4月20日)
・日米経済対話、麻生財務相「FTAの話にはまずならない」(4月18日)

という二つ掲載していますが、言っている内容はほぼ同じものです。
先ほどお示しした「TPP亡国論」に於いて中野 剛志氏は、日本がTPPに参加すると大失敗する、とした理由として、韓国が米国との間で結んだ「米韓FTA」の事例があります。

もう一度 第213回の記事 をご覧いただきたいのですが、韓国が米国との間で「二国間」で締結した協定は「FTA」、つまり「自由貿易協定」です。

一方、日本をはじめとする12カ国が、米国も含めて締結した「TPP協定」は、「EPA」、つまり「経済連携協定」です。

引用先の記事に掲載していますが、「FTA」とは、ただ単に関税を撤廃し、協定を結んだ国家間で自由に貿易を行う事を取り決めるための協定です。

ですが、「EPA」とは、その貿易を行うための「ルール作り」を行う為の協定です。

韓国では、この時ほぼ米国のいいなりになって、米国にとって有利な内容の「FTA協定」を締結しました。
ですが、TPPの場合は米国にとって有利に仕上がっていた内容のTPP協定を、米国に肉薄する経済規模を持つ日本が参加することで、米国だけでなく、参加するすべての国にとってメリットのある内容に作り替えられたわけです。

この差は大きいと思います。結果、米国はこのTPP協定から離脱することを表明したわけですから。

さて。今回その「TPP協定」からの離脱を表明した米国ペンス副大統領ですが、今度は日本に対して、「二国間でのFTA協定」を結ぶことを提案してきています。

これに麻生さんは「No」と言っているわけです。理由は分かると思います。

さて。これに関して、とある人物が中々痛い発言をしていました。



上記の動画は、元財務官僚である自称経済学者「高橋洋一」氏が、自民党で幹事長代行及び東京都連代表を務める元文科大臣下村博文さんとラジオで対談をしている様子を収録したものです。

下村さんは前半で退場されるのですが、丁度後半の差し掛かりで今回テーマとなった米国抜きのTPP交渉参加が話題になります。38分10秒当りからです。

ここで、高橋洋一ですが、二か国間交渉について、私が今回の記事に記したついて、まったく逆の主張を行っています。
一応、内容として「TPPと同じ内容で」と表現こそしてはいますが、彼は日本と米国とでの二国間交渉を「行うべきだ」と言っているわけです。

勿論、結果として二国間で取り決めを行う事になるのかもしれませんが、あくまでも日本は米国に対して「TPPの枠内」で交渉を行うべきだと主張するべきだと、私はそう思います。

そうしないのであれば包括的連携協定は行わない、という姿勢を露骨に見せてもよいかもしれません。
出なければ、もし仮に最初は二国間でのFTA協定が「TPPと同じ内容」で決まったとしても、これは二国間での話ですから、将来的に「見直し」に迫られる可能性を否定することができません。

「TPP協定」も勿論同じ考え方が出来るのですが、これが「複数の国の間」で取り決めが行われている以上、どこか一つの国の利益のみを優先したような改正内容とはなりません。

仮にTPP協定が非常に魅力のあるものとなった時、再び米国が参加しようとしたときに、日本は完全に米国に対してイニシアティブを発揮することができる様になるわけです。

今後RCEP、FTAAPへと発展した時も、日本主導で進められ、「既に」運用されているモデルケースとしてTPPが参考にされることになれば、中国や韓国を含めた世界経済に対して日本が主導権を発揮することができる様になるのです。

今回の決定で本当に意味があるのはこの部分であり、米国との二国間協定など二の次、三の次。
高橋洋一は完全にその「重要度」をはき違えているわけです。

案の定・・・ではありましたが。
第128回の記事 でもお伝えしましたが、私にはなぜ彼をマスコミがここまで重用するのかということが、まったく理解できません。


少しネガティブな締めくくりをしてしまいましたが、「米国抜きで発進するTPP交渉」の意義を今一度皆さんにも考えるきっかけにしていただけると幸いです。


このエントリーにお寄せ頂いたコメント

URL:
コメント:
 

スポンサードリンク

Copyright © 真実を問う!データから見る日本 All Rights Reserved.
ほったらかしでも稼げるFC2ブログテンプレート [PR]