第300回 エネルギーの物価動向/2017年(平成29年)2月消費者物価指数よりなど、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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第298回 消費者物価指数(CPI)の見方/2107年(平成29年)2月度版

さて。ついに今回は第300回。記念すべき記事となりましたね。

そんな記念すべき記事のテーマは「エネルギーの物価動向」について。
2017年2月の消費者物価指数から考えてみます。

第259回の記事 でお伝えしました様に、2016年12月より、ついに「ガソリン価格」が上昇へと転じ、次いで1月には「他の光熱費」=「灯油」の物価も上昇に転じました。

第282回の記事 では、然し確かに「原油精製品」の物価は上昇に転じたけれども、他のエネルギー価格は未だに下落したままである事をお伝えしました。


エネルギー物価の動向

エネルギー


実は、「エネルギー」というカテゴリーでの物価は10大費目とはまた別表でまとめられていて、エネルギー全体で見ることができます。

【エネルギーの消費者物価指数の前年同月比】
11月 -6.7%

12月 -4.4%

1月 -0.8%

2月 1.6%

さて。ついに「エネルギー価格」はエネルギー価格全体で物価を引き下げる要因としては機能しなくなってしまいました。

「エネルギー価格」が含まれるのは、「水道・光熱」及び「交通・通信」の2費目です。

【水道・光熱の消費者物価指数前年同月比】※( )内は2017年1月の前年同月比です。
光熱・水道 ウェイト:745

 電気代 -2.1 (-3.4) ウェイト:356

 ガス代 -6.5(-7.4) ウェイト:181

 他の光熱 29.8(19.7) ウェイト:41

 上下水道料 0.5(0.5) ウェイト:167

既にお伝えしていますように、「水道・光熱」全体ではマイナス幅が縮小した、とはいうものの、未だに物価上昇率はマイナスなのですが、「他の光熱(つまり灯油)」の物価上昇率は1月の19.7%から更に上昇幅を拡大し、29.8%の物価上昇率を記録しています。

「電気代」「ガス代」のマイナス幅は大きいですが、それでも共にそのマイナス幅を縮小させています。

【交通・通信の消費者物価指数前年同月比】※( )内は2017年1月の前年同月比です。
交通・通信 0.3(0.3) ウェイト:1476

 交通 0.0(-0.2) ウェイト:224

 自動車等関係費 3.4(2.5) ウェイト:836

 通信 -5.4(-3.8) ウェイト:416

このうち、「エネルギー価格」が含まれるのは「自動車等関係費」ですので、ここを深堀してみます。

【自動車等関係費の消費者物価指数前年同月比】※( )内は2017年1月の前年同月比です。
自動車等関係費 3.4(2.5) ウェイト:836

 自動車 -0.3(-0.2) ウェイト:199

 自転車 3.4(4.4) ウェイト:9

 自動車等維持 4.7(3.4) ウェイト:628
  ガソリン 15.8(11.2) ウェイト:206

自動車は残念ながら物価が減少していますね。
ただ、大切なのはそこではありません。ピックアップしましたが、「自動車等維持費」の内、「ガソリン代」。

改めて「エネルギー」に相当する項目をピックアップしますと、

【エネルギーの消費者物価指数の前年同月比】※( )内は2017年1月の前年同月比です。
ガソリン 15.8(11.2) ウェイト:206

電気代 -2.1 (-3.4) ウェイト:356

ガス代 -6.5(-7.4) ウェイト:181

他の光熱 29.8(19.7) ウェイト:41

下落している品目が「電気代」と「ガス代」、上昇している品目が「ガソリン」と「他の光熱(灯油)」でとなります。

下落している品目のウェイトを合算すると「537」、上昇している品目のウェイトを合算すると「247」で、下落している品目のウェイトは上昇している品目のウェイトを2倍以上上回っているのですが、それを完全に打ち消すほどの伸び率を「ガソリン」及び「灯油」が示していますので、結果的にエネルギーの消費者物価指数は全体でプラスの前年同月比を示しています。


エネルギーの消費者物価指数が上昇に転じた意味

「エネルギーの消費者物価が上昇に転じた」と言っても、実際に上昇しているのは「灯油」と「ガソリン」の2項目のみで、残る「電気代」と「ガス代」は未だに前年同月比でマイナスを維持しています。

ですが、先日の報道では新年度(2017年度)より、再生可能エネルギー費用を電気代に上乗せする、と言った報道も流れています。

【日経新聞ニュース】
再生エネの電気代上乗せ、17年度は月686円 100円増に
2017/3/14 20:46

 経済産業省は14日、再生可能エネルギーの導入による電気代への上乗せが、2017年度は標準家庭で月額686円といまより約100円増えると発表した。太陽光や風力発電の導入が増え、電力大手の買い取りコストが膨らむためだ。5月の検針分から適用する。

 再生エネは電力大手が事業者から電気を買い取り、費用を電気代に上乗せして回収する。17年度は家庭で使う電気1キロワット時あたり2.64円が上乗せされ、16年度より0.39円多くなる。毎月の使用量が260キロワット時の標準家庭の場合、年間8232円の負担になる。再生エネの電気の買い取り制度が始まった12年度と比べると10倍以上の水準だ。

 太陽光や風力などの電気は高値での買い取りが保証されてきたため、導入が急速に広がった。17年度の買い取り費用の総額は2兆7045億円と16年度に比べて4千億円ほど増える見通しだ。

 経産省は12年度に1キロワット時あたり40円だった太陽光の電気の価格を16年度は24円まで下げた。17年度からは入札制を取り入れ、さらに安い電気を優先して買う。風力も17年度に初めて値下げし、上乗せの膨張を抑える。

問題になるのは、「エネルギー価格」とは、基本的に「原価」に相当する部分で、このことで収入の増える日本人が誰もいない、ということです。

勿論、引用したニュースの様に、買取を前提とした再生可能エネルギーであれば、電力を販売した事業者は儲かりますから、その分GDP上昇にも貢献はするでしょう。

今後、物価をみる上で大切になってくるのは、仮にエネルギー価格が継続的に上昇した場合、「エネルギー価格の上昇」に伴う物価上昇を根拠として物価が上昇したかどうかを判断するのではなく、エネルギーの物価を除外して、それでも他の物価がきちんと上昇しているのかどうか。これを見る姿勢がとても大切になってきます。

改めて、私流「10大費目別消費者物価指数」を見てみましょう。

【10大費目別消費者物価指数の前年同月比】※( )内は2017年1月の前年同月比です。
生鮮食品を除く食料 0.7(0.6)

持ち家の帰属家賃をを除く住居 0.1(0.3)

光熱・水道 -2.1(-3.4)

家具・家庭用品 0.6(-0.1)

被服及び履物 1.3(1.1)

保健医療 0.6(0.5)

交通・通信 0.3(0.3)

教育 1.0(1.5)

教養娯楽 0.4(0.9)

諸雑費 0.3(0.4)

このうち、「エネルギー物価」が含まれるのは「光熱・水道」「交通・通信」の二つですから、この2項目を除外して考えても、他の項目は全てプラス成長していますね?

「持ち家の帰属家賃をを除く住居」の伸び率が0.1%と低迷してこそいますが、私の中で、物価上昇率の基準は「名目3%、実質2%の1%の物価上昇率」です。


これについては、日銀黒田総裁も私と同じ考え方をしていて、日銀が物価上昇率としてコア2%を目指しているのは、「消費者物価指数は下方バイアスがかかりやすいため」であり、2%上昇を果たせばバイアスを取り除いたとしても1%の物価上昇は果たせている、と考えられるから。

黒田さんが本当に目指している物価上昇率は、実は2%ではなく1%なんですね。
これは私が敬愛する麻生さんも一緒。

麻生内閣時代の物価上昇率こそ、私が表現した「名目3%、実質2%の1%の物価上昇率」でした。

これを3年連続で達成して初めて消費増税の議論に入る・・・としていたわけですが、消費増税に関してはこれを達成しないまま、引き上げてしまいましたね。

まあ、事後的ではありますが、これを達成することができれば、国民の消費増税に対する負担が軽減される、と考えられています。

私の中の消費増税の基準年は、麻生内閣がスタートした2008年をベースで考えていますが、2008年の家計最終消費支出(持家に帰属する家賃を除く)は232兆円です。端数まで含めて、これが3%上昇すると考えると、家計最終消費支出は6.96兆円増えることになります。

そうすると、増額した翌年の家計最終消費支出は239兆円。その3%は7.17兆円。
その翌年の家計最終消費支出は246.兆円。その3%は7.39兆円。

これを6.96兆円、7.17兆円、7.39兆円を合算すると約21.5兆円となります。

一方、2008年の消費税収が10.25兆円で、仮にこの時の消費税率が10%、国庫負担分が現在政府が想定している8.2%であったとすると、10%時の消費税収は19.9兆円となります。

消費税収=家計の税収負担は約10兆円増えるわけですが、家計の収入は3年間で税収の約2倍増える計算になります。

まあ、これほど単純な計算結果にはならないでしょうが、この様な結果をめざすのであれば、実際に2%もの物価上昇は必要ないのではないか、と個人的に思うわけです。


改めて、「私式10大費目別消費者物価指数」を見ていただいて、いかがでしょう。
そんなに悪くないんじゃない、って思いません?

小分類品目別に絞っていくと、まだまだ改善が必要な品目があることは事実ですが、ひょっとしてアベノミクスってうまく行ってるんじゃない、って思いません?

その最終成果がみられるのは、実は来月よりその影響が見え始める「2016年度の所得・法人・消費税収」の結果です。
実は2月までの数字は出ているのですが、前年同月比ベースで見て、正直、あまり結果は芳しくありません。

ただ、一つからくりがございまして、「法人の申告分所得税」、「法人税」「消費税」については「事業年度末」(12月が事業年度末であれば12月末、3月が事業年度末であれば3月)から2か月以内が「申告期限」とされています。

勿論3月を決算期としている企業が多いですから、3月末~5月末に最も多く納税されますので、実はまだ本当に納税額が多いのか少ないのかはわからない・・・という事実があります。

3月末が決算であったとすると、その申告はどんなに早くても4月になるでしょうから、2017年度の本当の納税額が分かるのは4月以降、ということになりますね。

残る3か月の数字を楽しみにしています。


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