第29回 消費増税を問うなど、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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<前回の記事 第28回 日本国債の問題④
<継承する記事 第25回 アベノミクスを問う③

アベノミクスを問う④

さて。前回までの記事では、「国債」を発行するルールについてご理解していただくことを目的とした記事を掲載した後、それでは日本国債を破たんさせるためにはどのようにすればよいのか、ということを記事として作成しました。

そして、日本が国内に発券銀行を有する限り、どのような方法をとっても日本国債を破たんさせることは事実上不可能であること。
但し日本が海外からの輸入に経済を依存するようになれば、日本国経済を破たん状態まで追い込むことは不可能ではないことをお示ししました。

日本国債の信任を担保しているのは、国内に発券銀行があることでもなく、国内の保有割合が高いことでもない。
日本国債の信任を担保しているのは、何よりも日本国民の「勤勉さ」によって担保されているのだということを前回の記事でお示ししました。


消費増税を問う

さて。「消費増税」の問題。
繰り返し述べているように、私は消費増税は必要だと考えています。ですので、昨年度消費増税が行われたことに反対ではありませんし、17年度10月に消費増税が行われることに対しても反対派していません。

もちろん、タイミングの問題はあります。本当にあのタイミングで増税を行うことが政策としてベストだったのか。
増税を行う前に、もっとやることはあったのではないか、という疑問も確かにないわけではありません。

『増税を行う前にやるべきこと』
もちろん、どこぞの元みんなの党の皆さんがおっしゃっているような「公務員削減」だのという手法的な、しかも国内経済にマイナスの影響を与えるような話ではありません。

平成26年度 27年5月末租税及び印紙収入、収入額調 財務省
こちらは、『平成26年度 27年5月末租税及び印紙収入、収入額調』。
簡単にいえば、税金や印紙収入などで、いったいどのくらいの歳入があったのかということを一覧表として示したものです。
クリックしていただくと該当ページに遷移します。

この資料は毎月掲載されているのですが、毎年5月に前年の総税収が確定するので、27年5月の資料が、「平成26年度」の資料として掲載されています。

この資料を見ると、所得税が108%、法人税が105%と、軒並み収入が増加しているのですが、その中でも際立って税収が増えているのは言わずと知れた消費税収。

率にして148%。消費税収としては前年度の1/2の税収がそっくり上乗せされたような結果となっています。

額でいうと、26年度の税収が16兆円。25年度の税収が10.8兆円ですから、額にして5.2兆円税収が増えた、ということになります。
これは間違いなく消費税増税の結果です。税収全体としても114%の税収増となっています。

消費増税が批判されるとき、対象となるのが1997年に行われた消費増税の問題。

平成9年度平成10年5月末租税及び印紙収入、収入額調 財務省
この時、確かに消費税収は増え、税収トータルとしても103%と、かろうじて昨対を上回ることができたのですが、所得税収が101%、法人税収が93%と、特に法人税収が落ち込んでいます。(法人税減税が行われたこともその一因です)

ですが問題なのは更にその翌年。
1998年のデータがあまりにもひどすぎるのです。

平成10年度 平成11年5月末租税及び印紙収入、収入額調 財務省
97年度比で所得税が88.6%、法人税収が84.8%、消費税収がかろうじて108%とプラス成長しているものの、税収トータルで91.6%。
以来現在に至るまで、5%増税以前の税収を回復したことがありません。

つまり、消費増税は明らかな「失敗だった」と。

この問題に対しては私も同様のスタンスをずっととってきました。

ですが、現時点での意見としては、第14回の記事でもご説明したように、消費増税が行われたことそのものより、アジア通貨危機の影響による株価の暴落とこのタイミングでは急激な「円安」が企業の体力を直撃した。このことによりバブル崩壊以降蓄積していた様々な課題が噴出した、というのが正しい見方だと思います。

これは記事中にもある、株価と為替の動きを見れば明らかです。

株価推移(アジア通貨危機)
為替相場(アジア通貨危機)

消費増税時の行われた97年4月よりアジア通貨危機が発生する97年7月まで、少なくとも株価は上昇していまし、為替は上昇していましたから。
タイミングがあまりにも悪すぎた、というのが5%増税の敗因だと今の私は考えています。

少し話が脱線しましたが、昨年の消費増税により、消費税収が5.2兆円増加しました。
これは、政府の側から見れば「税収が増えた」と大喜びするところですが、国民の側から見ると、5.2兆円分政府に所得を奪われたと、このような発想になります。

昨年の消費税収が10.8兆ですから、本来であれば消費増税が行われたことにより、消費税収は7.3兆円増加するのが本当のところです。
ですが、5.2兆円にしか増加していないということは、残る2.1兆円分、市場から消費が失われた、ということです。

もちろん25年度は年末に「駆け込み需要」が発生していますし、このことで26年度には「反動」がありましたから、一概に比較することはできません。
元々期待されていた消費税収は1%で2兆円。5%で10兆円。8%で16兆円というところですから、妥当な税収だと考えることもできます。

と・・・話は脱線しまくっていますが、つまるところ、国民の生活から6兆円分の所得が失われることが分かっていたわけですから、増税する前に、国民の所得を6兆円増やすほうが先だったのではないか、ということです。

麻生内閣では、リーマンショックの影響下、「日本経済は全治3年。3年間の間に名目で3%、実質で2%の物価上昇を達成する」とはっきりと公言していました。そして、「3年間連続でこの状況を達成すれば、速やかに消費増税の議論に入る」としていたのです。

リーマンショックが起きたのが2008年。麻生内閣が退陣したのが2009年。安倍内閣が誕生したのが2013年。
民主党内閣の間でも、麻生内閣が仕掛けた魔法が聞いている間は経済成長を果たしましたが、効果が切れた後、見事にデフレ市場へと邁進することとなります。

この間、きれいに国民の所得は減り続けたのです。
もちろんそれは安倍内閣が誕生し、たった1年間で回復できるような数字ではありません。
にもかかわらず安倍内閣では増税に踏み切った。このことに批判が集中しているわけです。

安倍内閣支持層でも、この増税により、支持から反対派に掌を翻した人はたくさんいます。
まさしく「保守分断」の瞬間でもありました。

反対派の中にはタイミング云々の問題ではなく、消費増税そのものに反対する人も多くいます。

ですが、それでも尚、政府が消費増税へと邁進するのは一体どうしてなのでしょう。
次回以降の記事では、「消費増税」と「社会保障」の問題に着目して記事を進めてみたいと思います。
このシリーズの過去の記事
>> 第30回 『消費増税』と『高齢化社会』
このシリーズの新しい記事
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