第286回 一次速報と二次速報の比較/2016年度第三四半期GDP速報よりなど、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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一昨日(2017年3月8日)、2016年度(平成28年度)第3四半期速報が発表されましたので、今回はこの情報についての記事を掲載します。

一次速報の記事 でもご案内しましたように、2016年度第三四半期のGDP情報最大の特色は、「家計最終消費支出」がついに前年同月比でプラス成長を果たしたという事。

では、まずはこの「家計最終消費支出」について1次速報と2次速報を比較する形で情報を掲載いたします。

【名目家計最終消費支出】
1次速報原系列
 今年度 75,079
 昨年度 74,591
 成長率 0.65%

2次速報原系列
 今年度 75.124兆円
 昨年度 74.591兆円
 成長率 0.71%

持ち家の帰属家賃を除く1次速報原系列
 今年度 62.602兆円
 昨年度 62.113兆円
 成長率 0.78%

持ち家の帰属家賃を除く2次速報原系列
 今年度 62.647兆円
 昨年度 62.113兆円
 成長率 0.85%

【実質家計最終消費支出】
原系列
 今年度 73.823兆円
 昨年度 73.189兆円
 成長率 0.87%

2次速報原系列
 今年度 73.871兆円
 昨年度 73.189兆円
 成長率 0.92%

持ち家の帰属家賃を除く1次速報原系列
 今年度 60.597兆円
 昨年度 60.118兆円
 成長率 0.79%

持ち家の帰属家賃を除く2次速報原系列
 今年度 60.644兆円
 昨年度 60.118兆円
 成長率 0.87%

今回発表された二次速報と一次速報の比較です。
一次速報の時は、マスコミ報道との比較を行う為に敢えて季節調整系列や年率換算をデータとして掲載しましたが、本来あえて示す必要のあるデータではないので、今回の記事では割愛します。

その代り、季節調整系列や年率換算に比べるとよっぽど重要なデータであると考えられる、「持家に帰属する家賃を除く家計最終消費支出」を掲載しています。

なぜ季節調整系列や年率換算が重要ではないのかということは、私のGDPに関連した過去の記事 を、なぜ持家に帰属する家賃を除く消費支出の方が大切なのか、という情報については私の消費者物価指数に関連した過去の記事 をご覧ください。

さて。肝心のそれぞれの数字ですが、軒並み上方修正されていますね。
物価上昇率として考えますと、原系列は

0.71%-0.92%=-0.21%
で、0.21%の物価下落、持家に帰属する家賃を除く原系列では

0.85%-0.87%=-0.02%
で0.02%の物価下落となっています。

ただ、「持家に帰属する家賃」そのものが、実際には消費が行われていない架空の数字であり、これがマイナス成長していることから、より実態に近い成長率は当然「持家に帰属する家賃」を除く物価上昇率で、名実共に0.8%代後半の成長率を示す中での物価下落。

なぜ物価が下落しているのかという理由に就いては、皆さんもうご存知の通りですね。
「原油価格の下落に伴う物価下落」が原因であり、これは「輸入額の推移」を見ても明らかです。

第二四半期の二桁を超えるマイナス幅に比較すれば大分落ち着きましたが、それでも8.8%輸入額は前年度より下落しています。

ただ、おそらく12月の時点では輸入額はプラスに転じており、最終消費支出を下落させるためのファクターではなく、上昇させるためのファクターとして働いているはずです。

つまり、来期、第四四半期からは「実質消費支出」を下落させるためのファクターとして作用するはず。
私の過去の記事をご覧いただいている方はもう解ってはいらっしゃるでしょうが、私はこの「実質値」なるものをまともには信用していません。

ですが、それでも「原価」が増大し、「利益」を抑えるようなことが起きていないかどうかを見るためには、この「実質値」は大切な値になります。

名目値が増大する中で、同時に実質値も増大させることができるかどうか。これは第四四半期の家計最終消費支出(持家に帰属する家賃を除く)をみる上で、非常に大切な視点になります。


名目GDPと実質GDP

内閣府

さて。それでは改めて「名目GDP」と「実質GDP」。
一次速報と二次速報を比較してみましょう。

【名目GDP】
1次速報原系列
 今年度 140.425兆円
 昨年度 138.256兆円
 成長率 1.57%


2次速報原系列
 今年度 140.424兆円
 昨年度 138.241兆円
 成長率 1.58%

【実質GDP】
1次速報原系列
 今年度 134.394兆円
 昨年度 132.211兆円
 成長率 1.65%

2次速報原系列
 今年度 134,364
 昨年度 132,195
 成長率 1.64%

ふむ・・・。
名目原系列を見ますと、一次速報と二次速報の間で、二次速報の方が減少しているのですが、なぜか前年同月比は二次速報の方が大きくなる、という珍現象が起きてますね。

よく見てみますと、2016年全体でもそうなのですが、なぜか2015年の原系列までもが下方修正されています。
詳細に見てみますと、修正が行われているのはピンポイントで企業設備投資。

数値としては2016年度第三四半期の企業設備投資のみが上方修正され、2014年度第四四半期~2016年度第二四半期までトータルで下方修正されていますね。

で、その結果2016年度第三四半期の企業設備投資は一次速報の前年度比0.9%から二次速報では2.6%増と大幅な修正が行わています。

けれども、なぜか名目GDP原系列全体では一次速報より二次速報の方が減退。
詳細を見てみますと、民間・家計・持家に帰属する家賃を除く家計、民間住宅、そして先ほどお伝えした企業設備投資まで含めて、軒並み実数として増加しています。

代わりに下落しているのは「民間在庫」「政府消費支出」「公的資本形成」の3つ。
一次速報と二次速報との間での比較ですので、実際に何か物量の変化が起きているわけではありませんが、思ったより企業在庫が減っていて、政府消費支出と政府の設備投資費が減少していたという事。

つまり、「政府の力に頼らずとも、民間の力だけで経済成長を果たす」という理想の形に近づいている、ということですね。
ただ、なぜ2015年にまでさかのぼって企業の設備投資費が減少しているのかは・・・謎です。内閣府に直接聞いてみますかね。

それにしても、改めて2015年を暦年で見てみますと、経済成長という意味では非常に理想的な成長率を果たしていたんですね。
1-3は消費増税が行われた増税年度ですから、横においておくとしても、4-6が3.3%増、7-9が3.9%増、10-12が2.6%増

2016年になって1%を上回る程度の増加幅に落ち着きますが、よもや年間を通じて3%付近の成長率を果たしていたとは・・・。
実質で見ると消費増税の影響を受けていたはずの1-3が1.3%の実質成長率。4-6が0%、7-9が0.2%、10-12が-0.2%となっています。

そして2016年第三四半期は実質が名目を上回る「物価下落」の状況がみられる中で、名目そのものは1.5%を上回る成長率を果たしています。

「原油価格の下落やエネルギー価格の下落」に伴う物価下落は、決して日本国経済に対して悪い影響は与えておらず、むしろ好材料として作用していることを示す何よりもの証拠ですね。

ただ。原油価格がついに前年度をオーバーする数字となった以上、これからは「名目」がプラス成長を果たす中で、いかに実質値も合わせてプラス成長を果たしていくことができるのか。これが最大のポイントになります。

これを果たすことが、安倍内閣黒田日銀の目指す「2%物価成長率」を達成する上での必要最低条件です。
これからはもう「原油価格が前年度比で下落しているんだから」という理由は成り立たなくなります。

さて。「アベノミクス」の効果やいかに!


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