第284回 2017年(平成29年)消費者物価指数が上昇した本当の理由など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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<継続する記事>
第282回 マスコミが3年4か月間付き続けてきた嘘/2017年(H29)1月CPIより

前回の記事の続きです。

前回の記事では、2017年の消費者物価指数が上昇した理由として、「原油価格」が「前年同月比」で上昇に転じたことで、「原油由来製品」の「エネルギー価格」が上昇に転じたことは、確かに物価を押し上げていると言えないことはありませんが、「エネルギー価格全体」ではいまだに「前年度割れ」が続いている状態であり、「物価を引き下げる要因」として働いている事をお伝えしました。

つまり、2017年の消費者物価全体で見る場合、エネルギー価格が全体で0.8%押し下げている「物価」を補てんして尚、消費者物価全体を押し上げている「品目」があるということ。

今回の記事は、2017年の消費者物価全体の中で、エネルギー価格のマイナス幅を受けて尚消費者物価全体を押し上げている「品目」を探り出すことを目的としています。


改めて、「10大費目別消費者物価指数」を検証します

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【10大費目別消費者物価指数】※( )内は12月の前年同月比です。
総合
 0.4(0.3)
 生鮮食品を除く総合
 0.1(-0.2)
 生鮮食品及びエネルギーを除く総合
 0.2(0.1)

食料
 1.8(2.5)
 生鮮食品を除く食料
 0.6(0.5)

住居
 -0.2(-0.2)
 持家の帰属家賃を除く住居
 0.3(0.2)

光熱・水道
 -3.4(-4.8)

家具・家事用品
 -0.1(-1.0)

被服及び履物
 1.1(0.6)

保健医療
 0.5(0.8)

交通・通信
 0.3(-0.7)

教育
 1.5(1.5)

教養娯楽
 0.9(0.5)

諸雑費
 0.4(0.3)

「生鮮食品を除く総合」と「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」で比較してみますと、前年同月比で0.1%の違いがありますから、エネルギーだけで消費者物価指数全体を0.1%分引き下げる原因として働いていることが分かりますね。

ちなみに、「持家の帰属家賃を除く総合」で消費者物価指数総合が前年度比0.6%。除かない総合が0.4%ですから、「持家に帰属する家賃」だけで消費者物価指数全体を0.2%も引き下げる要因として働いていることもわかります。

この様にしてみますと、「10大費目」の中で、消費者物価指数を引き下げる要因として働いているのは「水道・光熱」及び「家具・家事用品」のみ。「家具・家事用品」が下落している理由は、私のブログをずっと読んでいただいている方にはもう想像がついていますね?

このことに関してはまた後日記事にします。

整理しますと、
生鮮食品を除く食料〔2209〕
 0.6(0.5)

持家の帰属家賃を除く住居〔589〕
 0.3(0.2)

被服及び履物〔412〕
 1.1(0.6)

保健医療〔430〕
 0.5(0.8)

交通・通信〔1476〕
 0.3(-0.7)

教育〔316〕
 1.5(1.5)

教養娯楽〔989〕
 0.9(0.5)

諸雑費〔574〕
 0.4(0.3)

これらの項目が2017年1月の消費者物価を引き上げる要因として働いています。
ウェイト(重要度)として大きいのは、「生鮮食品を除く食料」及び「交通通信」、あと、「教養娯楽」の3項目ですね。
「持家に帰属する家賃を除く住居」も決して低くはありませんね。

「交通・通信」に関しては、前回の記事 にも掲載しましたね。

中分類で「交通」「自動車等関係費」「通信」の2つに分類されており、「交通」と「通信」は未だにマイナス。
唯一「自動車等関係費」のみがプラス成長していて、「交通・通信」全体を0.3%成長と押し上げていることをお示ししました。

更に、「自動車等関係費」の中分類を更に絞って、小分類で掲載し、「自動車等関係費」の中でも、「自転車」と「自動車等維持」という二つの品目がプラス成長していることをお示ししました。

ただ、「自動車等維持費」の品目を全品目掲載できていなかったようですので、改めて「自動車等維持」の品目別のみ再掲載します。

【自動車等維持消費者物価指数】※〔 〕内はウェイト、( )内は12月の前年同月比です。
自動車等維持〔628〕
 3.4(0.4)

 ガソリン〔206〕
 11.2 (1.6)

 自動車タイヤ〔30〕
 0.7(1.1)

 自動車バッテリー〔8〕
 -0.8(0.1)

 カーナビゲーション〔21〕
 -3.0(-6.4)

 自動車整備費(定期点検)〔28〕
 0.6(0.7)

 自動車整備費(パンク修理)〔22〕
 0.3(0.3)

 自動車オイル交換料〔12〕
 0.8(0.8)

 車庫借料〔51〕
 0.0(0.1)

 駐車料金〔9〕
 1.3(1.3)

 自動車免許手数料〔2〕
 0.0(0.0)

 レンタカー料金〔5〕
 0.5(0.3)

 洗車代〔2〕
 0.4(0.5)

 ロードサービス料〔3〕
 0.0(0.0)

 自動車保険料(自賠責)〔41〕
 0.0(0.0)

 自動車保険料(任意)〔189〕
 0.3

ウェイト(重要度)が最も大きいのは「ガソリン」であり、ここの前年同月比での伸び率が最も大きいことから、自動車維持費3.4%の伸び率に対して影響が一番大きいのが「ガソリン」であることは間違いありません。

ただ、「自動車等維持」の項目の中でマイナスを記録しているのは「自動車バッテリー」及び「カーナビゲーション」の二品目のみで、他は全てプラス成長、もしくは横ばいであることが分かります。

この他、「交通」の中分類品目の中でも、小分類「鉄道運賃」「一般バス代」「タクシー代」「航空運賃」「有料道路料」の中で、前年度割れを記録しているのは「航空運賃」のみ。他は全て横ばい、もしくはプラス成長です。

また同じく中分類品目「自動車等関係」中、小分類で前年度を割っているのは「自動車」のみですが・・・

【自動車消費者物価指数】※〔 〕内はウェイト、( )内は12月の前年同月比です。
自動車〔199〕
-0.2(0.1)

 軽乗用車〔40〕
 -0.3(0.3)

 小型乗用車A(国産車)〔55〕
 0.1(0.3)
 
 小型乗用車B(輸入車)〔5〕
 -9.7(-9.7)

 普通乗用車A(国産車)〔80〕
 0.1(0.3)

 普通乗用車B(輸入車)
 0.8(0.8)

と、こんな感じ。
小型輸入車が-9.7%と下げ幅が大きくなっていますが、これは12月も同様で、12月自動車全体としてはプラス成長していますので、1月特有の状況として、やはり軽自動車のマイナスが自動車の消費者物価に大きく影響しています。

ですが、それでも軽自動車と小型輸入車以外の消費者物価は上昇しています。
こうしてみると、なんとなく見えてきますね。どうも、2017年1月の消費者物価が上昇している理由は、「ガソリン価格」だけが理由ではないらしい・・・ということが。


「生鮮食品を含まない食料」に関しても同じような形で記事を作りたいのですが、何しろアイテム数が多く、「原価」と「利益」の分けて考えることがどうしても難しい分野ですので、詳細を記事にすることは差し控えたいと思います。

ただ、全ての項目の中で最もウェイト(重要度)が大きく、前年同月比も0.6%となっていますから、「生鮮食品を含まない食料」の物価上昇に対する貢献度は決して小さくはありません。

原料として生鮮食品を用いている加工食品もありますから、ここはもう少し生鮮食品の物価が落ち着くまで待って見てもよいかもしれませんね。


「教育・娯楽」の消費者物価

さて。もう一つ「ウェイト」の大きな分野で、且つ前年同月比をが大きな費目として、「教養・娯楽」が挙げられます。

【「教養・娯楽」消費者物価指数】※〔 〕内はウェイト、( )内は12月の前年同月比です。
教養娯楽〔577〕
 0.9(0.5)

 教養娯楽用耐久財〔59〕
 -3.6(-4.9)

 教養娯楽用品〔210〕
 0.6(0.9)
 
 書籍・他の印刷物〔128〕
 0.2(0.1)

 教養娯楽サービス〔592〕
 1.6(1.1)

さて、いかがでしょう。
この分野でも、実際にマイナス要因となっているのは「教養娯楽用耐久財」の1項目のみ。
ここは、「テレビ」や「パソコン」などが含まれています。

というと、なぜ下落しているのか、私の記事をよく読んでいらっしゃる方には何となく想像がつきますね?
ここも後日改めて記事にします。

教養娯楽用品のウェイト210、書籍・他の印刷物の128と、どちらもその重要度としては決して小さくはありませんが、中でも特に大きなウェイトを示しているのが「教養娯楽サービス」の592というウェイト(重要度)。物価上昇率も1.6と中々の好成績です。

では、この「教養娯楽サービス」の中身を見てみますと・・・
【「教養娯楽サービス」消費者物価指数】※〔 〕内はウェイト、( )内は12月の前年同月比です。
教養娯楽サービス〔592〕
 1.6(1.1)

 宿泊料〔113〕
 2.7(1.5)

 パック旅行費〔42〕
 6.7(6.7)

 月謝類〔103〕
 0.5(0.5)

 他の教養娯楽サービス〔334〕
 1.0(0.7)

一目瞭然ですね。「宿泊料(国内旅行)」と「パック旅行費(海外旅行)」の2項目が完全に「教養娯楽サービス」全体を引き上げる役割を果たしています。

「引き上げている」と表記しましたが、他の「月謝類」や「他の教養娯楽サービス」もきちんとプラス成長しています。
特に「他の教養娯楽サービス」は334とウェイトも大きく、物価上昇率も1.0%と大きくなっていますから、この小分類項目も消費者物価指数全体を引き上げる上で大きく貢献しています。

この項目の中で貢献度が大きいのは「入場・観覧・ゲーム代(ウェイト128、成長率2.6%)」です。
映画鑑賞、演劇観覧、サッカー・プロ野球観覧、ゴルフ練習・プレー料金、ボーリング、プール使用料、テーマパーク、カラオケなど、まさしく「娯楽」を象徴するものばかり。

不景気時にはいち早く切り捨てられる分野です。
この分野で「マイナス」を記録している品目は「ビデオソフトレンタル代」及び「獣医代」の2品目のみ。

つまり、「教養娯楽サービス」費目の内、「他の教養娯楽サービス」はそのほぼすべての品目に亘って「物価を上昇」させるために貢献している、ということになります。

教養娯楽用品に於いて「運動具類」と「玩具」がマイナスをつけてはいるものの、教養娯楽用品全体としては0.6%のプラス成長。
ここから見ても、ロイター報道に於ける「原油などエネルギー価格が前年との比較で急騰しており、指数を押し上げた」という表現が如何に的外れなものであるのか、ということが見えてきますね?

NHKでは、

『原油価格の上昇の影響でガソリンや灯油の価格が上がったことや、牛肉や米などの価格が上がったことなどによるものです』

とも報道していますが、そもそも牛肉は「生鮮食品」ですし、ここまで軒並み消費者物価が上昇している以上、これを「牛肉と米」だけの理由にすることもまた非常に偏った報道の在り方です。

消費者物価指数の優等生である「被服及び履物」も412というウェイトを誇る中で1.1%消費者物価が上昇していますし、ウェイト430の保健医療が0.5%の上昇、316の「教育」が1.5%、574の「諸雑費」が0.4の上昇。

マスコミが必死に取り上げている「生鮮食品を除く総合(コアCPI)」の上昇率はたかが0.1%の上昇率にすぎません。

「生鮮食品を除く食料」も「持家の帰属家賃を除く住居」も「被服及び履物」も「保健医療」も「交通・通信」も「教育」も「教養娯楽」も「諸雑費」も、10大費目別消費者物価指数の内実に8項目に亘って「生鮮食品を除く総合(コアCPI)」の物価上昇率を上回っているのです。

いい加減「消費者物価が下落している」かの様に情報を歪曲して報道する姿勢から卒業したらどうかと思うんですが、マスコミの皆さん。


次回記事では、それでもまだ下落している「消費者物価」についての記事を掲載したいと思います。


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