第282回 マスコミが3年4か月間吐き続けてきた嘘/2017年(H29)1月CPIよりなど、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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第281回 持家に帰属する家賃と2017年(平成29年)1月消費者物価指数

前回までの記事で、今回の消費者物価指数のポイントとして、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」という項目が追加されたこと、その上で未だに「持家に帰属する家賃」が消費者物価指数に加えられたままであり、本当の意味で正確に「アベノミクスの影響」を測定できる状態には未だに至っていないということを掲載しました。

ただ、これらのポイントは飽くまでデータの掲載方法として私の意見や考え方を述べたもの。
では、実際に「2017年1月の消費者物価指数」はよかったのか悪かったのか。ポイントとしてどこを抑えておくべきなのかということを記事にしたいと思います。


2017年1月消費者物価指数総合及び10大費目別指数

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【2017年1月度消費者物価指数(総合)前年同月比】※( )内は12月の数字です
総合
0.4(0.3)

 生鮮食品を除く総合
 0.1(-0.2)

 持家の帰属家賃を除く総合
 0.6(0.4)

 持家の帰属家賃及び生鮮食品を除く総合
 0.2(-0.2)

 生鮮食品及びエネルギーを除く総合
 0.2(0.1)

 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合
 0.1(0.0)

ニュース記事のタイトルは

「全国消費者物価指数、1月は前年比0.1%上昇、1年1ヵ月ぶりプラス」

というタイトルでほとんどの報道局が今回の消費者物価指数について報道しています。
ですが、実際の「消費者物価指数」総合は見ていただければわかる通り前年同月比0.4で、これは10月より3か月連続のプラス成長となっています。

ですが、報道局は軒並み、「1月は前年比0.1%上昇、1年1ヵ月ぶりプラス」との報道内容。
これは、実は「消費者物価指数(総合)」ではなく、日銀が物価上昇率の目標として設定している「コアCPI」、つまり「生鮮食品を除く総合」の成長率の事を意味しています。

ですが、私の記事を読んでいただいている方には、この報道がまったく意味のない報道であることは簡単にご理解いただけると思います。その理由は、「コアCPI」には「エネルギー価格」が含まれているから。

日銀が「2%の物価上昇率」を目指しているのは、「物価に含まれる『原価』に相当する部分のみ」が上昇することなど目指してはいません。目指しているのは「原価」と共に「利益」に相当する部分が上昇することを目指しているのです。

「エネルギー価格」の内、特に「原油価格」は完全に海外の投機市場の影響を受けたものですから、この影響を受けて物価が上昇することなど望んではいないのです。

大切なのは、「生鮮食品『及びエネルギー』を除く」総合の消費者物価指数の動向。
これが前年同月比0.2%プラスで、実に3年4か月連続でプラス成長を果たしている、という事こそ本当に報道側が報じなければならない内容で、本来タイトルとすべき内容です。

総務省はそのために「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」を新しく項目に加えたのですから。本当にいけてません。まあ、今更こんな報道をすると、日本全国に大激震が走りますからね。今までマスコミがでデタラメを報道し続けていたということが明るみに出るわけですから。

では、続いて「10大費目別消費者物価指数」を見てみます。


【10大費目別消費者物価指数】※( )内は12月の前年同月比です。
総合
 0.4(0.3)
 生鮮食品及びエネルギーを除く総合
 0.2(0.1)

食料
 1.8(2.5)
 生鮮食品を除く食料
 0.6(0.5)

住居
 -0.2(-0.2)
 持家の帰属家賃を除く住居
 0.3(0.2)

光熱・水道
 -3.4(-4.8)

家具・家事用品
 -0.1(-1.0)

被服及び履物
 1.1(0.6)

保健医療
 0.5(0.8)

交通・通信
 0.3(-0.7)

教育
 1.5(1.5)

教養娯楽
 0.9(0.5)

諸雑費
 0.4(0.3)

「食料」に関しては、生鮮食品が前年度費8.0%増と高騰を続けていますので、「食料」全体から生鮮食品をマイナスしますと、生鮮食品を含まない食料の前年同月比は半減しています。

ですが、それでも「0.6%」の上昇率を記録していますね。

「住居」に関しては、前回の記事 でもお伝えしました通り、「持家に帰属する家賃」という架空の消費者物価が「住居」全体の消費者物価のマイナス要因として働いていますので、これを除くと全体の0.2%ダウンから一気に0.3%のプラスへと転じます。

ここまでは前回までの記事で掲載しました通りです。


「光熱・水道」の見方

この項目に関しては、ロイター記事にて以下の様に記されています。

東京 3日 ロイター
総務省が3日発表した1月の全国消費者物価指数は、政府・日銀が指標として重視する生鮮食品を除いた指数(コアCPI)が前年比0.1%上昇し、1年1カ月ぶりのプラスとなった。原油などエネルギー価格が前年との比較で急騰しており、指数を押し上げた。

1月の原油価格が前年比でほぼ2倍の水準となったのを反映し、ガソリンが前年比11.2%上昇(12月は1.6%上昇)、灯油も19.7%上昇(12月は0.0%)したほか、電気代や都市ガス代のマイナス幅が縮小したことも寄与した。

ガソリン代は「光熱・水道」には含まれていませんが、他の項目に関しましては、以下の通りです。

【水道・光熱消費者物価指数】※〔 〕内はウェイト、( )内は12月の前年同月比です。
光熱・水道〔745〕
 -3.4(-4.8)

 電気代〔356〕
 -5.6(-6.5)

 ガス代〔181 〕
 -7.4(-7.7)

 他の光熱(つまり「灯油」のこと)〔41〕
 19.7(0.0)

 上下水道料〔167〕
 0.5(0.5)

さて。いかがでしょう。
ロイター記事では、「生鮮食品を除く消費者物価指数(コアCPI)が0.1ポイント上昇した理由として、「原油価格上昇によりガソリンや灯油が上昇」し、「電気代や都市ガス代のマイナス幅が縮小したこと」を挙げています。

ですが、少なくともこの「水道・光熱費目」で見る限り、確かにマイナス幅は縮小こそしていますが、「水道・光熱」全体ではマイナス。コアCPIを引き下げる要因として働いていますね?

「水道代」がプラス上昇する中で「水道・光熱」全体がマイナス成長しているということは、少なくともこの「水道・光熱」で見る限り、コアCPIが0.1%プラス成長している理由は「エネルギー価格」以外にあるということです。

では、もう一つのエネルギー価格、「ガソリン」について検証してみましょう。


「交通・通信」の見方

【交通・通信消費者物価指数】※〔 〕内はウェイト、( )内は12月の前年同月比です。
交通・通信〔1476〕
 0.3(-0.7)

 交通〔224〕
 -0.2(-0.3)

 自動車等関係費〔836〕
 2.5(0.4)

 通信〔416〕
 -3.8(-2.9)

こちらは、先ほどの「水道・光熱」とは少し違った様子が見えますね。

交通・通信全体の「ウェイト」は1476と大きな重要度を占める中で、この分野を構成する項目の内、「交通」と「通信」はマイナス成長。

その中で、唯一「自動車等関係費」が前年度比2.5%とプラス政党を果たしています。ウェイトも836と、中部類項目としては大きな重要度を占めています。

では、この「自動車等関係費」を深堀してみましょう。

【自動車等関係費消費者物価指数】※〔 〕内はウェイト、( )内は12月の前年同月比です。
自動車等関係費〔836〕
 2.5(0.4)

 自動車〔199〕
 -0.2(0.1)

 自転車〔9〕
 4.4(4.7)

 自動車等維持〔628〕
 3.4(0.4)

「ガソリン」が含まれるのはこの内「自動車等維持」の項目です。
【自動車等維持消費者物価指数】※〔 〕内はウェイト、( )内は12月の前年同月比です。
自動車等維持〔628〕
 3.4(0.4)

 ガソリン〔206〕
 11.2 (1.6)

 自動車タイヤ〔30〕
 0.7(1.1)

 自動車バッテリー〔8〕
 -0.8(0.1)

 カーナビゲーション〔21〕
 -3.0(-6.4)

 自動車整備費(定期点検)〔28〕
 0.6(0.7)

 自動車整備費(パンク修理)〔22〕
 0.3(0.3)

 自動車オイル交換料〔12〕
 0.8(0.8)

いかがでしょう。
「ガソリン」の消費者物価指数は、前年度比で見ますと、11.2%と確かに大幅に上昇しています。

この他、「灯油」とも合わせて、例えば記事内容が、

「原油などエネルギー価格が前年との比較で急騰しており、指数を押し上げた」

としているのなら、これは確かに適正かもしれません。ですが、ガソリン価格が前年度比で11.2%増を記録しているとはいえ、そのウェイトは206。これがウェイト365の電気代前年度比5.6%のマイナス、及びウェイト181のガス代前年度比7.4%のマイナスまで含めて吸収し、更に0.1%押し上げるまでの効果があったのかというと、実はそんなことはありません。

2017年1月の「エネルギー価格」は全体で前年度比-0.8%。
実は原油由来のエネルギー価格こそ前年度比で大幅に上昇したものの、エネルギー価格全体で見ると、その消費者物価指数は前年度比で0.8%のマイナス。消費者物価指数全体を引き下げる要因として働いているのです。

私が何を言いたいのか。

つまり、

『2017年1月の「生鮮食品を除く消費者物価指数(コアCPI)」は、エネルギー価格が全体で0.8%のマイナスを記録したにも関わららず、0.1%の物価上昇を記録した』

とするのが正しい記事の書き方なんです。つまりロイター記事は、ここに至ってまだ大嘘の記事を書いているという事。
この点に関して言えば、ロイター以外の記事は比較的正しい内容を掲載ています。

つまり、「原油精製品がコアCPIを押し上げた」と。

ただ、それでもきちんと考えるべきなのは、原油精製品がコアCPIを押し上げたのは事実としても、それ以上にエネルギー価格が全体でマイナス要因として働く中、「コアCPI」、もっと言えば「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」は上昇している、ということなのです。

そしてそこには「持家に帰属する家賃」というマイナス要因が更に含まれているにも拘わらず。

次回記事に於いては、ではどうして2017年1月消費者物価指数は「上昇」に転じたのか。
このファクターを詳細に探っていきたいと思います。


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