第281回 持家に帰属する家賃と2017年(平成29年)1月消費者物価指数など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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<継承する記事>
第280回 CPI公表の改定/平成29年(2017年)1月分消費者物価指数の見方

前回の記事に於きまして、2017年1月分消費者物価指数より、「コアコアCPI」が「食品及びエネルギーを除く総合」ではなく、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」に変わったことをお伝えしました。

このことにより、所謂「消費者物価」がより私たちの経済活動の実態に近いものに変化したわけですが、それでもまだ「消費者物価指数」を歪めている存在があります。それが、タイトルにも掲載した「持家に帰属する家賃」です。


持家に帰属する家賃とは?


持家に帰属する家賃

それではこの「持家に帰属する家賃」とはいったい何ぞや、と申しますと、過去の記事でも何度かご説明したことはあるのですが、

 「現在居住する持家が、もし持家ではなく借家であったとすると、その家賃はいったいいくらになるのか?」

という数字です。意味が分かりませんよね?
ではそもそもなんでこんな意味の解らない数字があるのかというと、これは

「日本の住居費を国際的に比較するときに、海外では借家に暮らしている人が多いから、同じ水準で比較することができないため」

という、これまた意味の解らない理由です。
日本人が豊かになっているのかどうかということを測るためではなく、海外の生活水準と国際的に比較するために用いられている、実際には存在しない、架空の数字なのです。

私には、この数字が一体何のために存在するのかということがまったく理解できません。
では私が一体なぜこの数字にここまでこだわるのか、という事。

それでは先ず、2017年の消費者物価指数を全体から見てみましょう。


2017年1月度消費者物価指数(総合)

【2017年1月度消費者物価指数(総合)前年同月比】※( )内は12月の数字です
総合
0.4(0.3)

 生鮮食品を除く総合
 0.1(-0.2)

 持家の帰属家賃を除く総合
 0.6(0.4)

 持家の帰属家賃及び生鮮食品を除く総合
 0.2(-0.2)

 生鮮食品及びエネルギーを除く総合
 0.2(0.1)

 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合
 0.1(0.0)

「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」が増えたことで、「総合」に帰属する項目数が5つに増えました。

この項目の中に、「持家の帰属家賃を除く総合」という項目がありますね?

「総合」の前年同月比が0.4%増であることと比較して、この「持家の帰属家賃を除く総合」は0.6%増と、「総合」の値を0.2%も上回っています。

何度も言っています通り、この「持家に帰属する家賃」とは実際に存在しないデータであり、国際的な比較を行う為に作られた、いわば「架空の数字」です。

この架空の数字を消費者物価指数に入れてしまうことで、なんと消費者物価指数全体を0.2%も押し下げているということです。
架空の数字が、です。

また、「持家の帰属家賃及び生鮮食品を除く総合」というものもあります。この項目の前年同月比と、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」の前値同月比が同じ割合になっています。

これが何を意味しているのかというと、「持家に帰属する家賃」が物価全体に及ぼす影響力が、「エネルギー」全体の消費者物価が物価全体に及ぼす影響力に匹敵することを示しています。

ちなみに「エネルギー」に相当する項目は、品目別で

「電気代」「ガス代」「その他光熱(灯油)」「ガソリン代」の4項目存在するわけですが、少なくとも2017年1月の前年同月比に於いて、本来架空の数字であるはずの「持家に帰属する家賃」が単独でこの4項目を合計した「消費者物価」に相当する影響力を持っているということです。

私が何を言いたいのか、わかるでしょうか。
せっかく、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」という項目を加えたのであれば、なぜそこから「持家に帰属する家賃」を除かなかったのか。このことも私にはまったく理解できないのです。


「持家に帰属する家賃」のウェイト

「ウェイト」というのも何度かご説明しましたね。

「消費者物価」は、この「ウェイト」を用いて「加重平均」を行う事で求められます。
「加重平均」については第53回の記事 をご参照ください。

で、その「ウェイト」もまた、「価格指数」というものを「加重平均」することによって求められるわけですが、この「価格指数」についてはまだはっきりと把握しきれていません。

価格指数を加重平均した合計値を10000に置き換え、各項目の割合事に換算したものが「ウェイト」です。
ですので、消費者物価を構成する品目のウェイトをすべて合計すると10000になります。

「ウェイト」とは即ち「消費者物価」を算出する際の「重要度」のことをいいます。

【「住居」を構成する項目の「ウェイト」】
住居(2087)
 家賃(1782)
 設備修繕・維持(305)

今更ですが、こうしてみると「住居」の中に、所謂「不動産取得費」は含まれていないんですね。
確かにGDPの項目でも「民間住居」は項目が分けられていますね。

「住居」は「家賃」と「維持費」の2項目で構成されています。
こうしてみると、「家賃」の重要度の大きさがよくわかります。

では。さて、です。「家賃」を構成する品目の「ウェイト」はどのようになっているでしょう。

【「家賃」を構成する項目の「ウェイト」】
家賃
 民営家賃(282)
 公営・都市再生機構・公社家賃(22)
 持家の帰属家賃(1499)

如何でしょうか。既に過去何度も同様の内容を記事にしていますから、既に「聞きあきた」という方もいらっしゃるかもしれませんが、「家賃」の中で、最もウェイトの大きいのが「持家に帰属する家賃」です。

前述のとおり、「ウェイト」は消費者物価指数全体で10000です。
架空の数字であるはずの「持家に帰属する家賃」が消費者物価指数全体の15%も占めているのです。

これははっきり言って「異常」でしかありません。完全に日本国内の「消費」動向を見る上で情報をかく乱するファクターとなっていますね。

ちなみに消費者物価指数でみてみますと、
【「住居」の消費者物価指数】
住居 -0.2(-0.2)
  持家の帰属家賃を除く住居 0.3(0.2)
 家賃 -0.4(-0.4)
  持家の帰属家賃 -0.4(-0.4)
 設備修繕・維持 1.0(0.1)

と、こんな感じです。

持家に帰属する家賃を除くと「住居」全体の物価は上昇しているのに、「持家に帰属する家賃」が含まれたせいで、「住居」の消費者物価はなんと0.5%も引き下げられているのです。

消費者物価指数に「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」が加えらえ、「食品及びエネルギーを除く総合」と入れ替えたということは、この項目が持つ重要性を政府としても実感しているということだと思います。

であれば、なおさら私は提案したいですね。
せっかく「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」という項目を作ったんですから、ここから更に「持家に帰属する家賃」も除外した、「生鮮食品及び持家に帰属する家賃及びエネルギーを除く総合」という項目を作り、これを安倍内閣及び日銀の「物価上昇目標」として設定するべきなのではないでしょうか。

そうすることで「アベノミクス」の影響を初めて適正に検証することが出来るようになるのだと、私はそう思います。


次回記事では、その他品目別指数に着目して記事を作成したいと思います。


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