第279回 改めて検証するハルノートの真実/真珠湾攻撃に至る動機など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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この記事のカテゴリー >>十五年戦争(日中戦争)の原因と結果


<継承する記事>
第277回 日米開戦とハルノート/甲案・乙案の意味(11月20日日本側対案)

今回の記事は、ここまで記してきた、シリーズ十五年戦争(日中戦争)の原因と結果 及びなぜ日本は第二次世界大戦(大東亜戦争)を起こしたのか の総括になるかと思います。

どんなに綺麗事を並べ立てたとしても、結果的に何十万もの人の命を奪い、悲惨な結果をもたらした「開戦」そのものを正当化し、賛美することは出来ません。

ですが、それでももしこの時日本の大本営陣営が開戦を決意せず、戦前の状況を放置していたとしたら、ひょっとしたら現在の日本の状況は現在の北朝鮮の様に無残な状況となり、中国やソ連などの社会主義陣営の影響下に置かれていたのかもしれません。

そう考えると、ある意味ゾッとする話です。

所謂「赤紙」によって戦地へと駆り出され、「英霊」という表現が適切かどうかは私にはわかりませんが、罪もない沢山の日本の民間人が命を落とすこととなった第二次世界大戦ですが、これだけの命を犠牲として、大本営陣営は日本の「誇り」と「高潔さ」を守り抜いたのではないかと、ここまで調べてみて現在ではそう思うのです。

現在私たちが生活する日本の「平和」があるのは、間違いなくあの時代、日本の「誇り」と「高潔さ」を守り抜くため、時に大切な家族との身を切られるような決別を行った沢山の先輩方のおかげである、と。


改めて検証するハルノート

【ハルノート】
日米交渉11月26日米側提案
(1941年11月27日来電、第1192号、1193号)

合衆国及び日本国間協定の基礎概略

第1項 政策に関する相互宣言案

合衆国政府及び日本政府は共に太平洋の平和を欲し其の国策は太平洋地域全般に亙(わた)る永続的且つ広汎なる平和を目的とし、 両国は右地域に於いて何等領土的企図を有せず、 他国を脅威し又は隣接国に対し侵略的に武力を行使するの意図なく又その国策に於いては相互間及び一切の他国政府との間の関係の基礎たる左記根本諸原則を積極的に支持し且つ之を実際的に適用すべき旨宣明す。

 1.一切の国家の領土保全及び主権の不可侵原則

 2.他の諸国の国内問題に対する不干与の原則

 3.通商上の機会及び待遇の平等を含む平等原則

 4.紛争の防止及び平和的解決並びに平和的方法および手続に依る国際情勢改善の為国際協力及び国際調停遵拠の原則

日本国政府及び合衆国政府は慢性的政治不安定の根絶、頻繁なる経済的崩壊の防止及び平和の基礎設定の為め、相互間並びに他国家及び他国民との間の経済関係に於いて左記諸原則を積極的に支持し、 且つ実際的に適用すべきことを合意せり

 1.国際通商関係に於ける無差別待遇の原則

 2.国際的経済協力及び過度の通商制限に現れたる極端なる国家主義撤廃の原則

 3.一切の国家に依る無差別的なる原料物資獲得の原則

 4.国際的商品協定の運用に関し消費国家及び民衆の利益の十分なる保護の原則

 5.一切の国家の主要企業及び連続的発展に資し、且つ一切の国家の福祉に合致する貿易手続きによる支払いを許容せしむるが如き国際金融機構及び取極め樹立の原則


第2項 

合衆国政府及び日本国政府の採るべき措置

合衆国政府及び日本国政府は左記の如き措置を採ることを提案す

 1.合衆国政府及び日本国政府は英帝国支那、日本国、和蘭(オランダ)、蘇連邦、泰国、及び合衆国間多辺的不可侵条約の締結に努むべし

 2.当国政府は米、英、支、日、蘭、及び泰政府間に各国政府が仏領印度支那の領土主権を尊重し、且つ印度支那の領土保全に対する脅威に対処するに必要且つ適当なりと看做(みな)さるべき措置を講ずるの目的を以って即時協議する旨誓約すべき協定の締結に努むべし

 3.斯かる協定は又協定締約国たる各国政府が印度支那との貿易若しくは経済関係に於いて特恵的待遇を求め、又は受けざるべく且つ各締約国の為仏領印度支那との貿易及び通商に於ける平等待遇を確保するが為尽力すべき旨規定すべきものとす

 4.日本国政府は支那及び印度支那より一切の陸、海、空軍兵力及び警察力を撤収すべし

 5.合衆国政府及び日本国政府は臨時に首都を重慶に置ける中華民国国民政府以外の支那に於ける如何なる政府、若しくは政権をも軍事的、経済的に支持せざるべし

 6.両国政府は外国租界及び居留地内及び之に関連せる諸権益並びに1901年の団匪事件(義和団事件の事)議定書に依る諸権利を含む支那に在る一切の治外法権を放棄すべし

 7.両国政府は外国租界及び居留地に於ける諸権利並びに1901年の団匪事件議定書による諸権利を含む支那に於ける治外法権廃棄方に付き英国政府及び其の外の政府の同意を取り付くべく努力すべし

 8.合衆国政府及び日本政府は互恵的最恵国待遇及び通障壁の低減並びに生糸を自由品目として据え置かんとする米側企図に基き合衆国及び日本国間に通商協定締結の為協議を開始すべし

 9.合衆国政府及び日本国政府はそれぞれ合衆国に在る日本資金および日本国に在る米国資金に対する凍結措置を撤廃すべし
 10.両国政府は円払い為替の安定に関する案に付き協定し右目的の為適当なる資金の割り当ては半額を日本国より半額を合衆国より給与せらるべきことを合意すべし

 11.両国政府は其の何れかの一方が第三国と締結しおる如何なる協定も同国に依り本協定の根本目的即ち太平洋地域全般の平和確立及び保持に矛盾するが如く解釈せらるべきことを同意すべし

 12.両国政府は他国政府をして本協定に規定せる基本的なる政治的経済的原則を遵守し、且つ之を実際的に適用せしむる為其の勢力を行使すべし

コーデル・ハル


結論からいうと、このハルノートを日本に対する「最後通牒」としてアメリカ側が示したものであったかどうかというと、ハルノートを日本に対する「最後通牒」とすることはあまりにも無理があります。

ですが、同時にこのハルノートは、日本が米国との間で1941年3月より9か月近くにわたって行ってきた「交渉」を完全にご破算にするものでした。

これまでお互いに真剣に交渉し続けてきたはずの「日米諒解案」を、ハルは突如「これは第三国を招いて交渉を進めていくためのたたき台である」と言いはじめ、これまでの交渉をなかったことにし、議論を6月21日の時点に戻って、もう一度やり直しましょう、と言ってきたわけです。

日本側とすると、南部仏印進駐に対し、米国がどのような反応を示すか。これを試金石として対米開戦を決意しました。
これ、所謂「地政学」的な見地なんでしょうね。

フランス領インドシナは最後までヴィシー政府を指示しており、ヴィシー政府の意向に従って日本の仏印進駐に応じていたのです。
ですが、事態は刻一刻と開戦に向けた緊迫性を増す時期にあり、仮に仏印が米国に説得され、自由フランス側に寝返ってしまうと、日本側としては非常に不利な状況に陥ってしまいます。

ドイツが対ソ開戦を行い、日本が蘭印との交渉に失敗したことで、俄かに「対米開戦」は考えておかなければならない選択肢の一つとして顕在化してしまいました。

このことでソ連は連合国と連携する関係となり、米ソがお互いに支援しあう関係となることも可能性として浮上することになります。
ですが、そもそも日本がドイツと同盟関係を結んだのはソ連に対抗する為であり、日本にとって脅威となるのはドイツではなくソ連なのです。

日本が最も恐れていたのは、蒋介石軍以上に、ソ連共産党による「赤化政策」にこそありました。これぞまさに諸悪の根源です。
日本に取って、「対ソ開戦」はあっても、「対独開戦」はありえない選択肢なのです。

仮に米国が欧州戦線に参戦し、欧州でドイツが敗れるようなことがあれば、日本は、今度は「ソ連」という脅威の影響をダイレクトに受けることとなります。

日本は樺太を挟んでソ連と直接国境を接していますし、日本に取ってドイツの敗北は、「対岸の火事」では済まない問題です。
また同じくソ連と連繋する関係にある蒋介石軍を承認し、汪兆銘政権を否認するということは、更にその「赤化の脅威」が満州や朝鮮半島へも押し寄せることを示しています。

所謂ハルノートでは、日本に対して

 「日本国政府は支那及び印度支那より一切の陸、海、空軍兵力及び警察力を撤収すべし」

と言ってきているわけで、これが日本にとっていかに危険な選択肢であるのかということは想像に難くありません。

そもそも、米国は日本の蒋介石軍や東南アジアに対する行為を「侵略である」としていますが、米国の本音としては、「中国に対する侵略」ではなく、「中国や東南アジアに於いて米国が保有する権益に対する侵略」のことを意味しているわけです。

日本の対蒋介石軍戦の目的は、あくまでも中国に居留する日本人の身の安全を確保し、安心して経済活動を行えるようにするため。

過去の記事でも記したことがあるかもしれませんが、現在でも日本国企業は中国に進出し、中国国内に経済的拠点をたくさん保有しています。逆に中国も日本国内に拠点を有していますし、米国も同様です。

これを「権益」と呼ぶのであれば百歩譲って米国側の主張は正しいと言えなくはありませんが、米国の考え方はそうではありません。

「全」か「無」か。例えば自分たちがフィリピンに保有する石油利権を日本軍が侵略し、奪おうとしている、というような発想しかできないのですよ、彼らは。

ですが、そもそもフィリピンは米国人の国ではありませんし、本当にそれをいうのであれば、米国人はフィリピンから完全に撤退し、現地人にその権益を含めてすべて譲り渡さなければなりません。

米国人はそんなことは絶対にしませんね?

日本は別に蒋介石軍を追い払った後、中国を支配し、中国経済を牛耳ることで自国の利益につなげようとか、そういうことは一切考えていません。中国軍を追い払った後で、現地中国軍に対して日本式の教育を施し、常識ある判断が出来る人民に育て、その後日本と中国との間で共通の経済圏を築き、お互いの発展につなげましょうと、そういう考えしかしていないわけです。

正しく「八紘一宇の精神」ですよね。

日本は米国との間でそういう話し合いをして来たつもりだったわけですが、米国は全く理解しようとすることなく、「で、結局『私たち米国人が中国や東南アジアに保有する権益』を侵略しようとしているのでしょう?」

という認識しかできていないわけです。
そして、自分たちの権益を守るために日本に経済制裁を課し、最終的には石油輸出全面禁止にまで至りました。

この状況で米国は

 「もう一遍最初から話し合いましょうよ」

と日本側に要求してきた、というのがあの「ハルノート」の正体です。そして自分たちの権益を守るために蒋介石軍を支援し、日本との戦争を長引かせてきたのです。

これに英国とオランダが同調し、日本に経済制裁を課したのがあの「ABCD包囲網」です。
日本は自国民の「安全」を守るために必死なのに、米国にとっては「マネーゲーム」でしかないわけです。

英国大使であるクレーギーはこのことをきちんと理解しましたし、ヴィシー政府もまた一定の理解を示しました。
ところが、米国だけは違った。なぜなら、米国だけは「開戦に至る脅威」には一切晒されていないからです。

日本にとっては蒋介石軍と「ソ連」という脅威が迫っていましたし、欧州はまさに「戦争」という脅威の真っ只中に晒されていました。

ですが、米国にとっては、「自分たちが支配している植民地が他国に奪われる」程度の脅威しか存在しないのです。

この差は大きいと思います。
米国ほど「自衛のための参戦」という言葉が空々しく感じられる国はありません。

そして1941年12月7日、日本はついに「真珠湾攻撃」を決行します。

真珠湾攻撃

次回記事では、いよいよ日本軍が行った「真珠湾攻撃」にポイントを絞って記事にしたいと思います。


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