第28回 日本国債を破たんさせる方法など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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国債の問題④

今回のシリーズは、私がなぜ消費増税が必要だと考えているのか、その理由を説明するための布石として作っているシリーズです。
当初からこの、「日本国債を破たんさせる方法」とのタイトルで進めようと思ったのですが、まずはその前に、日本国債がなぜ破綻することがないのか。それをご理解いただくため、「日本国債を発行する仕組み」と「日本国債が返済される仕組み」の双方から記事として作成しました。

日本国債を発行する仕組み
国債を返済する仕組み

さて、それでは今回の記事。双方の記事を踏まえた上で、改めてでは日本国債を返済するにはどのようにすればよいのか、ということを考えてみます。

日本国債を破たんさせる方法

改めて、「日本国債が破綻しない理由」を復習いたしますと、

1.国債とは、日本国の負債ではなく、日本国政府の負債である。
2.日本国債はその国債の96%を日本人、または日本国企業が保有している。(日本国政府にとっては負債だが、国民にとっては資産である)
3.日本国債は100%円建てで発行されており、最悪返済できなくなれば、日銀が市場から国債を買い取り、日本国政府に変わって返済することで債務不履行に陥ることはない。(日本国政府は日銀の大株主であり、最悪貸借対照表を連結させることができる)
4.日本国債の利息は発行された時点で確定しており、償還期を迎えるまでその利息が変動することはない。
5.日本国債には「60年償還ルール」が定められており、借換債を含めて日本国債の発行額には限界がある。(元本を増やさない限り、限界額以上に国債発行残高が増えることはない)


この他にも日本国政府には負債もあるが資産もある、だとか、日本国は世界一の債権国であるとか、いろいろ破綻しない理由はあるのですが、これらを踏まえた上で、日本国債をあえて破たんさせるためにはどのようにすればよいのか、というのが今回の記事の趣旨です。


「日本国債が破たんしない理由」の中に、「国債の保有者が9割以上日本人である」ことや、「日本国債が100%円建てで発行されていること」が含まれています。

60年償還ルール、というのはそもそも日本の国内。内部で決められているルールですから、どこぞの無能な政権が過半数を取り、強引な手法でこのルールを廃止でもしない限りは60年償還ルールが原因で日本国債が破たんすることはありません。

ですが、先述した二つの理由。国債の保有割合と国債が円建てである、という理由についてはどうでしょうか。

国債の日本人保有割合が高い理由の一つに、日本国債は国内での人気が高く、金利水準があまりにも低すぎるため、投機対象としての魅力が大幅に欠落している、という理由があります。

国債の金利が高くなればそこに投機対象としての魅力が生まれますから、このような情報に敏感な外国人投資家たちはこぞって買いに来るでしょう。ですが、「国債が売れる」ということは同時に「国債の金利が低くなる」ことを意味します。

日本国が、国内に保有している国債は実に800兆に上ります。
国債の金利を上げるためには国債を売りに出す必要があるわけですが、その長期金利を左右するほどに保有しようとするには、大量に国債を買う必要があります。

また、仮に外国人投資家が国債金利を上げるために大量に国債を買おうとしても、外国人投資家たちが買えるのは、「発行済み国債」だけ。新規国債を買うことが許されているのは日本国内で法人格を有する金融機関、証券会社、保険会社のみです。
そして、何より国債の金利を決めているのは投資家や金融機関ではなく、日本国政府。最初に日本国政府が「希望価格」として最低金利(表面金利)を示すわけです。

これを基準に長期金利は推移しますから、いくら市場で国債買い、国債売りをしようとしても、国債の保有率を上げることで国債の金利を上げることは難しそうです。
まして、この方法で国債を「破たんさせる」などあまりにも非現実的すぎる話であることが分かります。

海外には、わざわざ日本国債を投資対象として選ばずとも、日本の国債より魅力のある金融商品など、ゴロゴロと転がっているわけですから。

「国債」と「外債」

となれば、残る「国債を破たんさせる方法」とは、もう一つの「破綻しない理由」。「日本国債が100%円建てである」ということにその破たんさせるための「方法」が隠されていそうです。



こちらは、ハフィントンポストさんという、海外のまとめサイト?から拝借いたしました。
実に可愛らしい少年が、大量のお金を・・・という写真です。
持っているお金は「ジンバブエドル」。

そう。あの「ハイパーインフレ」を起こしたと話題の国です。
記事によりますと、今年の6月にこのジンバブエドルは廃止されるの(廃止された?)のだそうです。
(画像をクリックしていただきますと、該当のページに遷移することができます。)

ジンバブエドル、最終的にはなんと5000億%のインフレだったのだそうです
記事によりますと、1ドル当たり3.5京ジンバブエドルにまで到達したのだそうです。

なぜこんなことが起きたのでしょうか。
詳しく調べれば理由はもっと詳細に記せるのでしょうが、それはこの記事の目的ではありませんので、簡単に記しますと、「ジンバブエ国内で生産活動が行われなくなったから」。

結果、国内は深刻な食糧不足に陥り、食料価格が高騰。不足する食料は海外から仕入れていたのでしょうか。
ジンバブエドルを発行し、ドルに換え、海外から食料を調達。当然ドルの価格はどんどん高騰しますから、ドルの高騰に伴い、国内の物価は上昇し、「ハイパーインフレを招いた」という流れです。

「ジンバブエドル建て」であったからできた所業ですね。

『「日本国債が100%円建てである」ということにその破たんさせるための「方法」が隠されていそうです。』
と私はお伝えしました。上記の例で行きますと、ジンバブエでは、ハイパーインフレこそ起こしましたが、「財政破綻」は起こしていません。

日本が国債を円建てで発行し続ける限り、日本国債を破たんさせることは事実上不可能だということです。
ですが、上記の例で行きますと、ジンバブエでは「財政破綻」こそしていませんが、国民の経済は事実上破たんしています。

国内で生産活動を行えなければ当然収益を上げることができませんから資金不足に陥ります。
国内にお金がなければ、海外からお金を借りるしかありません。このように海外から借りたお金のことを「外債」といいます。

日本のように自国通貨を発行する機関を国内に保有していれば、ジンバブエが行ったように国内で自国通貨を発行し、ドル買いを行うことで、海外から物資を調達することもできるかもしれません。

しかしその結果、海外の物価に合わせて国内の物価が上下することになります。
海外からの輸入に依存する経済システムを作ってしまうと、海外の事情や圧力に国内経済が左右されやすくなってしまいます。

『労働する意欲』

では改めて、「日本国債を破たんさせる方法」とは、どのような方法があるのでしょうか。
実は、日本国債を破たんさせる方法はたった一つしかありません。それは、日本国民から「労働する意欲」を奪ってしまうことです。

このようなことを言うと、このようにいう方がいます。
「日本人は勤勉だから、そんなことないよ」と。

ですが、果たしてそうでしょうか。

就業者数の推移
こちらはまた、世界のネタ帳様より拝借いたしました。
日本の労働者数の推移です。

近年で見ますと、2007年まで上昇していた就労者数が2008年、リーマンショックの起きた年から下落に転じ、以降2012年。民主党政権最後の内閣、野田内閣当時まで下落し続けています。

もちろん、リーマンショックや東日本大震災の影響があったことは事実です。
ですが、今度はこちらをご覧ください。
生活保護受給者数の推移

こちらは、厚生労働省のHPより拝借してまいりました。(クリックしていただくと同ページに遷移します)
生活保護受給者数とその伸び率(前年同月比)の推移です。

平成20年10月。リーマンショックのあったその年から翌々年、平成22年1月まで急激に生活保護受給者数が増加しています。
就業者数は安倍内閣の誕生と同時に増えていますが、安倍内閣が誕生しても、生活保護受給者数は微増からほぼ横ばい。
つまり減っていません。

これは、いくら勤勉な日本国民といえど、一度労働せずとも収入を得られる生活の仕組み、「生活保護」の恩恵を受けてしまうと、なかなか元の生活には戻れないことを意味しているのではないでしょうか。

私のブログでも一度記事にしましたが、このところ、「TPP」が問題になっていますね。

特に着目されているのが「農業」です。
農業が批判される理由として、TPPの成立により、海外から安い農産物が入ってくると、国内の農産物が影響を受けてしまうことがその理由です。

ですが、考えてもみてください。ではなぜ日本では海外から農産物がやってくると、国内の農産物が影響を受けてしまうのでしょう。
答えは、「日本国内で生産される農産物の量が減少しているから」です。

GPSS142535533_2.jpg
こちらは人さまのHPから拝借してきた画像です。許可を得ずに掲載してますので、先方のHPへのリンクを張っておきます。
画像をクリックしていただくと先方のHPまで遷移します。

私は愛媛県の人間ですが、子供のころ、倉庫の中には常にコンテナに山積みにされたみかんが入っていました。
愛媛県では、「みかんは買うものじゃない」というイメージが定着していたほどです。こたつの上には常にみかんがセッティングされていました。

ですが、最近では愛媛県でもこのような光景を見ることはあまりなくなりました。
他人さまとのお付き合い関係が希薄になりつつあることもあるのでしょうが、一番の理由はみかんを生産する農家が減ったことにあります。

このため、愛媛県ではみかんの価値を守るため、過去の愛媛県で出回っていた温州ミカンの生産を減らし、紅マドンナ、甘平、はるか、せとか、清見タンゴール等々、付加価値のついたブランドみかんを積極的に生産し、高価格で販売する戦略をとっています。
温州ミカンの生産量こそ和歌山県に抜かれましたが、柑橘類全体ではいまだに日本一。世界で最も多くの種類のみかんが開発・生産されているのも愛媛県です。

少し話がそれましたが、TPPが導入されただけで日本中の農家が大騒ぎするのは間違いなく、農家の数が減り、国内で生産される農産物の量が減っているからです。

なぜでしょう。政府が農家の所得を補償しなかったからでしょうか。
違いますね。農業などというきつくてしんどい仕事をしなくても、楽に稼げる仕事が増えたことが原因です。

「日本人は勤勉だから、どんなことをしても労働する意欲を失うことはない」と言えるでしょうか。
戦後GHQ占領下における日本が、GHQからほどされた政策は、日本人から勤勉さを失わせてしまうための教育システムと社会制度です。

私は思います。生活保護に代表されるような、労働しなくても収入を得られる、「所得再分配」を中心とした社会制度では、やがて日本の成長は限界を迎え、縮小に転じていくのではないでしょうか。

「日本人が勤勉であること」によって、何よりも日本の「国債の信任」を担保されています。

さて。次回はテーマを「アベノミクスを問う」へと戻しまして、次回は「消費増税を問う」のテーマで記事を作成していきたいと思います。
このシリーズの過去の記事
>> 第104回 本当の国債発行額と国債発行残高の推移
このシリーズの新しい記事
>> 第27回 国債を返済する仕組み~60年償還ルール~

このシリーズの一覧をご覧になりたい方は >>日本国債の問題 よりご確認ください


TOP日本国債の問題第28回 日本国債を破たんさせる方法

このエントリーにお寄せ頂いたコメント

いま国債の日銀引き受けを急速に増やしています。近く、民間の国債保有量を超える見込みです。そうなると国債は国民の資産ではなく、政府の負債でかつ資産になるということになります。これはほとんど「財政ファイナンス」と同じではないのですか。もしそうなら近い将来インフレを引き起こし、日本経済の成長基盤を蝕むのではないですか。

もう一つ心配な点。あと20年で政府負債が日本国資産を上回るとも言います。それでも政府や日本は信任され続けるのでしょうか。国債の信認が崩れたら、金利急上昇で財政負担は激増しますよね。

いずれにせよ、日本の対外資産額が現在世界一なのは間違いないのですが、これは過去の努力の成果。いま日本産業は世界で負け続け、労働生産性も米の3割にまで落ち込んでいる非効率な経済です。ここを叩き直さなければならないのではないでしょうか。
gkrsnama at 2017/01/03(火) 11:31 | URL

gkrsnamaさま

コメント、ありがとうございます。
この第28回の記事は、どちらかというと「消費増税は必要がない」という意見に対して警鐘を鳴らすことを目的として作成した記事です。

おっしゃる様に、安倍内閣に入って以来、黒田日銀体制の下、日銀が国債を過剰に買い込む、日銀による「財政ファイナンス」とも言えるような金融政策が推し進められています。

情況として、飽くまでも日銀の資産は日銀の資産、政府の資産は政府の資産である事に間違いはないのですが、日銀の株式を55%保有する政府にとってみれば、日銀は「子会社である」ととらえられないわけではありません。

最終的に政府と日銀のバランスシートを連結させ、政府の負債と日銀の資産を相殺させれば、一瞬で日本の「借金」など消えてなくなります。

問題になるのは、じゃあこの後政府が、「政府の負債がなくなったから、これからは国民の生活費を全額政府が面倒見ますよ」と言ってしまったとき、本当に国民の労働力が削がれないのかどうかという点です。

現実的にまず行われる事はない話をしているわけですが、それでも「貧富の差」をことさらに問題視し、「働けない」のではなく、「働かない」から貧困である人の面倒まで税金で見るようになってしまう(一部生活保護がそうですよね)と、日本人が勤勉さを失ってしまうのではないか、ということを私は憂慮しています。

日本の国債が信用を失うときとは、まさにそういうときを意図しています。

日本国内の物価が、自国内における消費活動ではなく、為替変動による影響をより大きく受ける状況は作り出すべきではないと私は考えています。

後、いくつか誤解していらっしゃるかもしれませんが、政府負債である「国債」の利率は発行された時点で確定しており、変動することはありません。

ですので、仮に「国債の信認」が崩れ、多く売りに出される状況が発生したとしても、そのことで政府の負担が増加することはありません。

また、現在の安倍内閣が目指しているのは、「緩やかに物価が上昇し続ける」、「インフレ社会」ですから、そもそもインフレが起きることを心配なされるのは少し筋が違うように感じます。

ですが、この「物価上昇」が「国内の消費によるもの」ではなく、「海外の物価上昇」や「為替変動」の影響を受けてのものだとすれば、それは日本国内の経済に悪影響を与えます。

ですが、その場合、日本国経済基本縮小しますから、経済指標は「インフレ」ではなく、「デフレ社会」となります。(仮に海外の物価や為替変動で物価が上昇したとしても、日本国内の『利益』に相当する部分がプラスにならなければ、インフレ・デフレを示す指標である『GDPデフレーター』はマイナスになります)

現在、本当に危惧すべきことは、このところ「実体経済」ではなく、実体のない、「フェイクマネー」に過度に依存した「金融政策」に依存する世論が構築される傾向にあることです。

この政策をとると、証券会社や資金に余裕のある投資家の保有する資金は増えますが、私たち一般国民の給与所得が増えるわけではありませんから、見かけ上経済が活性化されたとしても、私たち一般国民がその恩恵にあずかることはありません。

日本産業が世界で勝つか、負けるかという考え方も確かに大切ですが(日本国内で優秀な製品が生み出されなければ、そこを海外の製品に依存することになります)、それと同じくらい、私たち日本国民が、「労働の対価」として資金を得て、これを消費に回せる社会を作り出すことは、現在の喫緊の課題だと思います。
のんき at 2017/01/03(火) 14:13 | URL

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