第276回 2016年(平成28年)12月名目賃金と実質賃金(速報)など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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遅ればせながら・・・となるのでしょうか。
今月6日に2016年(平成28年)12月分「毎月勤労統計」が公表されておりまして、ここで12月度賃金指数が発表されておりますので、このことを本日の記事にしたいと思います。

前回の記事 で私の記事の検索結果掲載順位が下落し、ほぼすべてのページに関してアクセス数が下落した事をお伝えしました。

検索順位そのものは全体的に少しずつ回復しつつあるようなのですが、アクセス数は相変わらず・・・
むしろ更に下落しているくらいなのですが、ただ、そんな中でもやっぱりアクセス数が多いのは「名目賃金と実質賃金」に関する記事。

特に第156回の記事 については、ピーク時に比べると落ち込んではいるものの、毎日継続的なアクセスが見られます。

ただ、本日のアクセス状況を見ていると、同じ「名目賃金と実質賃金」に関する記事の中でも、第262回の記事 へのアクセスが目立ちます。

賃金に関する記事として「第262回の記事」の特徴は、現時点において、私の賃金に関する記事の中では「最新」であるという事。

ところが、データとしては11月のデータで、最新のデータとしては既に「2016年12月」のデータが出ていますので、ひょっとしてがっかりして帰らせてしまったのではないかな・・・と思いまして、今回の記事では改めて

 「2016年(平成28年)12月名目賃金と実質賃金(速報)」

について記事にしたいと思います。

2016年(平成28年)12月名目賃金と実質賃金(速報)

【2016年(平成28年)12月賃金指数推移(全体)】
調査産業計(12月)

こちらが「2016年度12月」までの「賃金指数」の推移。1年間の推移です。
さらに前年の推移もご覧になりたい方は先月の記事 をご覧ください。

9月の時点での賃金指数の特徴は、「名実逆転」。
「物価が下落する中で名目賃金」が上昇している(8.9月は0%、横ばいですが)為、名目の上昇率を実質が上回る・・・という歪な状況が続いていたわけですが、10月、11月で逆転状況が解消されましたよ、というのが11月の賃金指数をみる上での特徴でした。

ところが、今月「賃金指数」をグラフで見てみますと、名目が0.1%と辛うじて上昇している中で、「実質賃金」が-0.4%の下落に転じています。

最大の理由は、分母となる消費者物価指数の動向 です。

上記リンク先にて同月、12月の消費者物価指数に関して解説していますので、詳細はそちらをご覧ください。
一番大きな理由としては、「エネルギー価格の下落」がある程度落ち着き、特に「前年同月比」で見た場合、一部項目では上昇に転じているという事。

もちろんエネルギー価格だけではないのですが、この様な「消費者物価指数」の動向の影響を受け、実質賃金は下落に転じました。

この様な事を記すと、

「名目賃金はたった0.1%しか上昇していないし、物価が上昇したせいで『実質的な賃金』は下落したんだ!やっぱりアベノミクスは失敗だったんだ!」

という人が出てきそうですが・・・

実は、12月の「賃金指数」には、他の月にはない特別な数字が登場します。
それが「特別に支払われた給与」、つまり「ボーナス」のことです。


「賃金指数」の内訳

「賃金指数」とはそもそも、「基準年」を設定し、厚生労働省が企業に対して行ったアンケート結果をもとに算出した「現金給与総額」。

つまり、給与所得者が受け取っている賃金が、月額平均でいくらになるのか。これを金額で表したものを、基準年と比較して指数化したものの事を言います。

現在であれば、平成22年が「基準年」ですから、平成22年1年間の月額平均給与所得を平均化した上で、更に「100」に換算し、増えていれば100以上、減っていれば100以下になります。

12月はボーナス月ですので、他の月に比べると「賃金指数」そのものは跳ね上がります。
例えば2016年12月の賃金指数は「172.0」。基準年である平成22年年間を通じた平均月額給与所得より72%も上回っていることになります。

ですが、12月の賃金指数は毎月跳ね上がりますので、同じ数字を前年の171.9と比較すると、前年同月比では「0.1%」しか上昇していない、ということになるわけです。

「現金給与所得」=「決まって支給する給与」+「特別に支払われた給与」

という計算式で表すことができます。
そして、

「きまって支給する給与」=「所定内給与」+「所定外給与」

となります。

「特別に支払われた給与」とは「ボーナス」の事。
「所定内給与」とは「基本給」の事。
「所定外給与」とは「時間外手当」の事です。

そして、「基本給」と「時間外手当」を合わせた金額のことを「きまって支給する給与」と言います。


「きまって支給する給与」と「所定内給与」

【2016年(平成28年)12月賃金指数推移(決まって支給する給与)】
決まって支給する給与(12月)

【2016年(平成28年)12月賃金指数推移(所定内給与)】
所定内給与(12月)

2016年12月の「特別に支払われた給与」は、実は-0.1%と減少しています。
ですが、それ以上に「所定内給与」は上昇しており0.3%上昇。そして「所定内給与」は更に上昇していて「0.5%」の上昇。

「所定内給与」は6月以降、浮き沈みこそあれ、継続的に上昇しています。
しかもその「上昇幅」は12月が最も大きい、というのがこのグラフから読み取れる情報です。

「実質賃金」が下落しているのは、繰り返し述べますが、「消費者物価指数(持家に帰属する家賃を除く)」が9月から10月にかけて下落から上昇に転じたことが最大の理由で、これは経済実態を表している、というよりも計算式上の、テクニカルな問題であると言った方が表現としては的を射ていると思います。

そしてそれも、「所定内給与」、つまり「基本給」に照らしてみると、確かに11月は実質賃金も下落していますが、12月は0まで戻しています。

確かに「ボーナス」も増えるに越したことはありません。
ですが、「名目値」で考える場合もう一つ頭に入れておく必要があるのは、「被雇用者数の推移」です。


「名目賃金指数」が下落する理由」

第38回の記事 でもご説明しましたが、名目賃金で考える場合、

 「給与所得者の数が増加すると平均賃金が下落する」

という「平均のマジック」を考慮に入れる必要があります。
計算式で考えると、

 「平均賃金を下回る給与所得者の数」×「平均賃金を下回る給与所得者の賃金上昇額」
   <「平均賃金を上回る給与所得者の数」×「平均賃金を上回る給与所得者の賃金上昇額」

とならなければ、「名目賃金」が上昇に転じることはありません。

これが「きまって支給する給与」と「所定内給与」についてはほぼクリアされているわけですが、「特別に支払われた給与」=「ボーナス」についてはまだ解消されていない、と考えられるわけです。

「ボーナス」は基本的に「基本給×〇カ月」と計算されるわけですから、基本給が上昇するのであれば普通「ボーナス」は上昇するはずです。

勿論かけられる側の「〇カ月」が減少するケースもありますから一概には言えませんが、基本給が上昇しているわけですから、一方的にボーナスのみが減少している、ということは考えにくいのではないでしょうか。ここは「推測」であって何か明確な根拠があるわけではありませんけどね。

一番考えられるのは、

「ボーナスの支給額が増えた人の数」は増えた

けれども、

「ボーナスの平均支給額を下回る人の数」×「ボーナスの平均支給額を下回る人のボーナス上昇額」

の方が

「ボーナスの平均支給額を上回る人の数」×「ボーナスの平均支給額を上回る人のボーナス上昇額」

よりも多かった、と考えるのが一番すんなり来る考え方だと思います。
そして、それでも「きまって支給する給与」と「ボーナス」を合算した金額は前年を上回っていた。

つまり、「きまって支給する給与」、この中でも「基本給」の上昇幅がボーナスの平均支給額の下落をカバーするほどに大きかった、というのが今回の「賃金指数」の見方です。

この様なデータを見るときは、「情報を砕いて見る癖」と「平均のマジックを考慮に入れる癖」を身に付けることが大切だと思います。


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