第272回 2016年度(平成28年)GDP第三四半期第一次速報が公表されました②など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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第271回 2016年度(平成28年)GDP第三四半期第一次速報が公表されました

前回の記事では、2017年2月13日に発表された「2016年度(平成28年)GDP第三四半期第一次速報」について、普通であれば全体から俯瞰して記事にするのですが、特徴的であった「個人消費(家計最終消費支出)」に着目して記事を作成してみました。

新聞各社、報道局の非常にねじ曲がった報道姿勢には本当に辟易しますね。

今回は、いつものように「GDP」を全体から見るスタンスで記事にしたいと思います。


2016年度(平成28年)GDP第三四半期第一次速報

繰り返しにはなりますが、「GDP」をはじめとする統計指標を見る際には、「実質」ではなく「名目」で見る癖をつけることがとても大切です。

「GDP」というのは、日本の経済統計指標の内で最大の「マクロデータ」となるわけですが、マクロデータを計測する際には、どうしても細部をを反映しきることができません(というよりまず不可能)ので、そこには「合成の誤謬」と言われる計測ミスが必然的に発生します。

第36回の記事 でも触れているのですが、改めて説明しますと、「合成の誤謬」というのは、

 「ミクロの世界で成り立つ現象が、マクロでは矛盾する現象」

の事を言います。
単位が違う、計測方法が違う、価値そのものが異なる様々な物やサービスを同じ一つの統計方法で集計しようとしているわけですから、当然です。出ない方がおかしい。

そして、同じGDPにも、「名目」と「実質」という二つの指標が存在します。

よく、「実質GDP」の事を、「物価変動による影響を取り除いたGDPの事」という説明をする人がいます(国語辞典ベースでもそういう説明です)が、実際にGDPから「物価変動による影響」を正確に取り除くことなどまず不可能です。

「実質GDP」とは、あくまでも「名目GDP」を「消費者物価指数総合(持家に帰属する家賃を除く)」という統計指標で割ったもの。
それ以上でも以下でもありません。

「名目GDP」も「消費者物価指数」も共に「マクロ指標」ですから、当然双方に「合成の誤謬」が発生しています。
「実質GDP」とは、つまり「合成の誤謬」というイレギュラーが含まれることが、予め解っている統計指標で割り算をしたデータだということになります。

つまり、「実質GDP」というのは、それほどに当てにすることができないデータだということなのです。
また更に、前回の記事でもお伝えした「季節調整系列」というデータは、そんないい加減な数字をもとに、「季節特有の影響」という、これまたフィーリング、感覚で決まるような情報を数値化し、そこからはじき出されたもの。

そして更に「年率換算」とは、そんないい加減な「季節調整系列」の「四半期別前期比」が1年間、合計4回継続したとしたら一体どんな数字になるのかという、既にフィクション。ファンタジーの世界に於ける数字です。

「名目GDP」自体に一種のフィクションのようなデータが含まれているわけですから、そこから算出される数字が非常に信頼性に乏しいデータとなることはまさしく「自明の理」。元々信頼性に欠けるデータであったとしても、それでも「名目」、特に「原系列」で見る癖が大切になるのは、そういう理由からです。

この考え方を念頭に於いて次にご紹介する「GDP」速報をご覧ください。

内閣府

【2016年度(平成28年)GDP第三四半期第一次速報(単位:兆円)】
名目GDP(前年同月比)
2015年
 10-12 138.2(2.6%)
2016年
 1-3   133.2(1.2%)
 4-6   132.5(1.3%)
 7-9   131.1(1.0%)
 10-12 140.4(1.6%)

実質GDP(前年同月比)
2015年
 10-12 132.2(1.1%)
2016年
 1-3   1308(0.1%)
 4-6   126.9(0.9%)
 7-9   129.6(1.1%)
 10-12 134.3(1.7%)

いかがでしょうか。
勿論お示ししている数字は全て「原系列」です。

さて、思い出して見てください。
安倍内閣がスタートしたのは2013年(正確には2012年12月)です。

安倍内閣によって組まれた予算(2012年度補正予算を除く)が執行されたのは2013年4月。
そして、2014年4月には「消費増税」が行われました。

「名目GDP」には、消費増税の影響も反映されますから、消費増税が行われれば当然名目GDPの数字も上昇します。
2013年は安倍内閣がスタートした月ですし、当然前年の民主党内閣と比較すれば、大幅に「名目GDP」の値も上昇しています。

2013年度(安倍内閣初年度)名目GDP前年同月比
第1四半期 1.5%
第2四半期 2.7%
第3四半期 2.6%
第4四半期 3.4%

2014年度(増税年度)名目GDP前年同月比
第1四半期 2.0%
第2四半期 0.9%
第3四半期 2.0%
第4四半期 3.3%

さて。安倍内閣初年度には「駆け込み需要」も発生していますし、当然大幅にGDPの影響が増大しています。
ただでさえ2013年度のGDPは急成長しているのに、2014年は「消費増税」の影響で更に「GDP」の値が上乗せされています。

安倍内閣初年度に急成長した上後、消費増税の影響で大打撃を受けているはずなので、当然2015年度の「名目GDP前年同月比」は反動で大幅に下落している・・・はずですよね?

2015年度(増税翌年度)名目GDP前年同月比
第1四半期 3.3%
第2四半期 2.9%
第3四半期 2.6%
第4四半期 1.2%

さて、いかがでしょう。消費増税の影響?何それ状態です。
第3四半期、第4四半期は「2016年度(平成28年)GDP第三四半期第一次速報(単位:兆円)」の所でも掲載しています。

第4四半期で成長率にブレーキがかかっている様に見えますが、

【輸出額前年同月比の推移】

2015年度
第1四半期 5.7%
第2四半期 5.0%
第3四半期 -4.6%
第4四半期 -7.9%

2016年度
第1四半期 -9.4%
第2四半期 -10.7%
第3四半期 -1.5%

いかがでしょう。実は、「名目GDPの伸び率」を鈍化させていた最大の原因は、「輸出額の減少」。
これは日本国内の影響ではなく、海外の景気の影響によるものですから、その責任を日本経済に向けられても困りますね。

金額でいうと、

2015年度(前年比)
第3四半期 -1.1兆円
第4四半期 -1.9兆円

2016年度
第1四半期 -2.1兆円
第2四半期 -2.5兆円
第3四半期 -0.3兆円

となります。GDP全体で考えれば、2兆円は約0.4%、2.5%は0.5%に相当する金額です。
勿論それでも「GDPの伸び率が『鈍化した』」と言えなくはない数字ですが、「海外の景気の低迷によって輸出産業がダメージを受ける中」ででも1%を超える経済成長率を日本国内需は続けてきた、ということをこの数字は示しています。

この様な中で、「個人消費(家計最終消費支出)が伸びない」ことが指摘され続けていたわけですが、実は「輸出額」以上に「輸入額」は更に大きな減少幅を記録しており、
【輸出額前年同月比の推移】
2015年度
第1四半期 -3.8%
第2四半期 -6.0%
第3四半期 -12.1%
第4四半期 -14.8%

2016年度
第1四半期 -16.5%
第2四半期 -18.2%
第3四半期 -8.8%

金額でいえば、元も減少幅の大きかった2016年度第2四半期で4.3兆円のマイナスを記録しています。

実は、この数字を「個人消費」が吸収していましたので、見かけ上の「個人消費」はあたかも減少し続けているかのように見えていました。

ですが、実際には「原価」が減少していただけであり、企業の利益や私たち従業員の「給与所得」は増え続けていたのだと、こう考えることができます。

詳細は私の記事カテゴリーである「物価の見方」 や「実質賃金と名目賃金」をご参照ください。


それでは改めて・・・
改めて、「2016年度(平成28年)GDP第三四半期第一次速報(単位:兆円)」を再掲します。

【2016年度(平成28年)GDP第三四半期第一次速報(単位:兆円)】
名目GDP(前年同月比)
2015年
 10-12 138.2(2.6%)
2016年
 1-3   133.2(1.2%)
 4-6   132.5(1.3%)
 7-9   131.1(1.0%)
 10-12 140.4(1.6%)

実質GDP(前年同月比)
2015年
 10-12 132.2(1.1%)
2016年
 1-3   130.8(0.1%)
 4-6   126.9(0.9%)
 7-9   129.6(1.1%)
 10-12 134.3(1.7%)

特に昨年度第3四半期以降で見る限り、上昇しているのは「名目」だけでなく、「実質」の値も上昇していることが解ります。

計算式で表すと、「名目成長率=実質成長率+物価上昇率」で表すことができますから、

2015年度
第3四半期成長率
 名目 2.6%
 実質 1.1%
 物価 1.5%

第4四半期成長率
 名目 1.2%
 実質 0.1%
 物価 1.1%

2016年度
第1四半期成長率
 名目 1.3%
 実質 0.9%
 物価 0.4%

第2四半期成長率
 名目 1.0%
 実質 1.1%
 物価 -0.1%

第3四半期成長率
 名目 1.6%
 実質 1.7%
 物価 -0.1%

これが「名目成長率と実質成長率の推移」です。

「GDP」というのは私たちの生活の「豊かさ」を表すための指標です。
2016年度第2、第3四半期は物価が0.1%ずつ下落していますが、私たちの生活の豊かさを示す指標である「GDP」は「名実共」にプラス成長しています。

しかも1.5%を超える上昇率を記録しています。
更に「消費増税」を経て記録した「2015年度第3四半期」の成長率は名目2.6、実質1.1、物価1.5%と非常に理想的な上昇率を記録しており、例えば「前年度は減少しているんだから今年度上昇するのは当たり前だろ」的な屁理屈は全く通用しない状況です。

最早「個人消費が減少しているんだからアベノミクスは失敗したんだ!」という悲観論者たちの屁理屈は全く通用しません。
これが「アベノミクス」の成果です。


次回記事では、改めて「なぜ日本は第二次世界大戦(大東亜戦争)を起こしたのか のシリーズへと記事を戻してみたいと思います。


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