第27回 国債を返済する仕組み~60年償還ルール~など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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<前回の記事 第26回 日本国債の問題②

【日本国債の問題③】

前回の記事では、国債が発行されるルールを「長期金利」と「名目金利」という二つの言葉に着目して、国債の金利がいわゆる「預金金利」とは異なる動きをすることをお示ししました。

ですが、当然国債は「債務」ですから「償還期限」が訪れます。年間で40兆の国債を発行しているわけですから、仮にこれを全額10年物国債として発行していた場合、当然一気に返済期限が訪れます。
このことから、「本当に日本政府は国債の返済が可能なの?」という疑問を持っている人がいます。

また一方で、国債は「デフレ時の金利」は安く、「インフレ時の金利」は高いという傾向があります。
現在アベノミクスでは2%の物価上昇=インフレを目指しています。国債の金利が高くなるということは、「国債が売れない」ことを意味していますから、次に国債を発行したときは売れなくなるんじゃないの、という不安を抱く人がいます。

ですので、今回は「60年償還ルール」という国債発行のルールに着目して、これらの問題にお答えしていきたいと思います。

国債を返済する仕組み

「本当に日本政府は国債の返済が可能なの?」
前記した通り、日本国債は毎年40兆円発行されており、現在でも毎年その償還期が訪れています。

【平成26年度一般会計予算】
歳出

こちらは、財務省のHPで公開されている、平成26年度の歳出の内訳です。
歳出の中に、「国債費」という項目があり、ここに「23兆2702億円」という数字が示されています。

つまり、1年間の歳出の中で約23兆円が国債の償還に充てられていますよ、というお話です。
ですが、先述したように日本の国債は40兆円発行されており、その額が毎年償還期を迎えているわけです。

では、政府はよもやこの返済を一部だけ支払って、残りは踏み倒しているのでしょうか。
もちろんそんなことはありません。

【平成27年度歳入歳出予算の概要】
国債整理会計
こちらは、財務省HPに掲載されている、「国債整理基金特別会計」の収支予算計算書です。
名前の通り、この収支計算書は「特別会計」。政府の一般会計とは別会計帳簿で処理されています。

こちらに「国債整理支出」という項目がありますね。実はこちらが本当の国債償還額。政府は毎年40兆しか国債を発行していないはずなのに、なんと200兆もの国債償還額が必要とされているのです。

政府は、国民の知らないところでこんなにも国債を発行しているのか・・・と腹を立てたくなる方もいらっしゃるかもしれません。

では、200兆もの返済額。その返済資金はいったいどこから生まれてきているのでしょう。


「借換債」とは

先ほどのグラフ。「歳入」の部分を見ていただきたいのですが、ここに「公債金」とあり、115.7兆円という数字が掲載されています。
そう。国債整理基金特別会計では、その返済するための予算として、「公債金」を当てているのです。

つまり、借り入れを起こすための資金を借り入れで賄っているという状態です。
この借り入れを行うために発行されているのが「借換債」と呼ばれる国債の一種です。

返済のルールをよく知らない人が見ると、あたかも「自転車操業」を行っているように見えるかもしれません。

現在の日本では、借換債として、「国庫短期証券」と呼ばれる、償還期1年の、「短期証券」を発行しています。(少額ではありますが、20年物、40年物といった『超長期国債』も発行されているようです。)

つまり、借り換えを起こすために発行した115兆の借換債を返済するため、1年後にはまた新たなる借換債を発行する必要があるのです。もちろん借換債にも利息が付いています。こんなことをしていて大丈夫なの・・・? と不安になる方も多いのではないでしょうか。

「60年償還ルール」

実は、これらの疑問に答えるために用意されているのが「60年償還ルール」という国債返済のためのルールです。

【60年償還ルールの仕組み】
60年償還ルール
こちらは、財務省HPに掲載されている、「60年償還ルール」についての解説です。
画像をクリックしていただくと該当する画面に遷移することができます。

ただ、複数ページにわたるPDFデータとなっておりますので、60年償還ルールについての解説を読みたい方は、画面をスクロールして4ページ目をご覧ください。

遷移先の画面でも見ることができるのですが、「60年償還ルール」とは、日本政府が発行した国債は、元本を60等分して、60年間で全額返済すれば構いませんよ、というルールです。(ただし、償還期にプラスされた利息分だけは支払う必要があります)

グラフの例でいうと、10年物国債を600億円の国債を発行した場合。
償還期が訪れるのが10年後ですから、600億円を60等分し10倍した額。つまり100億円を返済します。
残る500億円は借換債を発行し、10年物の借換債を発行したとすれば同じく60等分し10倍した100億を返済、20年後には更に100億、30年後には更に100億という形で返済し、最終的に60年後、0円になっていればOKですよ、というルールです。

【国債返済期限別 長期金利(2015年10月16日)】
日本国債
こちらは前回の記事でも利用したグラフですが、見ての通り、返済期限が10年物の国債と1年物の国債を比較した場合、1年物国債の方が圧倒的に利率が低いことがわかります。

10年物ですと0.32%の利息が、1年物ですと0.005%。割合にして1/64の利率です。
短期証券が借換債として充てられている理由は、この利率の低さに原因があります。

実際には分割分+利息も合わせて支払われますから、まずその返済額が、返済が不能になるほどの莫大な金額になるとは考えらません。

元本が600億円と考えると、まず10年後に支払うべき利率は入札時に決定していますから、まず返済すべき金利分が変動することはありません。
仮に借り換え時、金利が現在の20倍になったと考えたとしても、その金利は0.1%です。100億円は既に返済していますから、1年後の利払いは500億円の0.1%。5000万円です。
国民の家計から考えると莫大な金額ですが、毎年100兆円の借換債を発行している特別会計から考えれば微々たるものです。

また、通常発行される新規国債は長くても10年ですから、仮に毎年40兆円の国債が発行し続けられたとしても、借換債を除く新規発行国債の残高が400兆円を超えることはありません(但し利息を除く)。

更に、同じく毎年40兆円の国債が発行し続けられたとしても、60年償還ルールに基づいて返済を続けた場合、60年後、返済額が最大になったとしても1310兆円がマックスで、それ以上増えることはありません。(こちらも利息は除きます)

【全ての国債発行額の推移】
国債発行額

こちらの画像は、毎年国債がいくら発行されるのか。その推移を表した一覧表です。
借換債の発行額を追っていきますと、

平成18年108兆円
平成19年99兆円
平成20年93兆円
平成21年90兆円
平成22年100兆円
平成23年109兆円
平成24年110兆円
平成25年110兆円
平成26年120兆円
平成27年116兆円


と、一次的に増えている年はあるものの、トータルで見ると増えたり減ったりしながら推移していることがわかると思います。
国債が初めて発行されたのが昭和40年。西暦1965年です。現在が2015年ですから、ちょうど50年になります。
60年償還ルールが確立したのは昭和43年。西暦1968年です。

考えなければならないのは、抑々の元本が増えないかどうかということです。
60年償還ルールがある以上、国債の発行残高が増え続けるにも限度があります。額が増えるとすれば、それは元本が増えた場合のみです。

よく言われる、「景気が良くなってインフレになったら国債の金利が膨らんで・・・」という考え方をしたとして、仮に金利が現在の20倍になったとしても借換債の利率は0.1%で1%にも届きません。

また、あくまでも景気が良くなっていることが前提条件ですから、この場合新規国債の発行を行う必然性そのものが失われているはずです。

国債の発行残高が永遠に増え続けるかのような論調がありますが、その説でさえ妄想に過ぎないということです。

さて。ではそんな「国債」ですが、本当に破綻しないのか?
どうすれば日本の国債を破たんさせることができるのか。

無茶なテーマですが、「日本国債を破たんさせる方法」というタイトル次回記事を作成したいと思います。
このシリーズの過去の記事
>> 第28回 日本国債を破たんさせる方法
このシリーズの新しい記事
>> 第26回 日本国債を発行する仕組み(ルール)

このシリーズの一覧をご覧になりたい方は >>日本国債の問題 よりご確認ください


このエントリーにお寄せ頂いたコメント

20倍というのがいかにもですね
短期金利が0.25%上昇したらどうなりますか
それを4回繰り返したらどうなるんですかね
at 2017/06/18(日) 18:38 | URL

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