第261回 平成28年(2016年)12月消費者物価指数速報/品目別指数③など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

ランキングサイト

この記事のカテゴリー >>「物価」の見方


<継承する記事>
第260回 平成28年(2016年)12月消費者物価指数速報/品目別指数②

2016年12月の消費者物価指数について、第259回の記事 では、主に「エネルギー価格」に着目し、「灯油」と「ガソリン」の物価が上昇に転じたこと、と同時に「エネルギー価格」を構成しているのは原油に由来するものだけでなく、「電気代」や「ガス代」など、それ以外の要素も影響を与えていたことについて記事にしました。

前回の記事 ではまた更に「エネルギー価格」以外で物価を引き下げる主要因となっていた「家電製品」にフォーカスを当て、出荷ベースの数字と比較することで、「物価が下落すること」=「経済の規模が縮小したこと」を意味するわけではない、ということを記事にしました。

今回の記事では、前回の記事 に関連して、「もう一つの家電製品」の分野である「教養・娯楽」費目に着目して記事を作成してみたいと思います。


「教養・娯楽」の消費者物価指数

テレビ

【「教養・娯楽」の前年同月比( )内:ウェイト】
教養娯楽(989)
10月 1.0
11月 0.8
12月 0.5

教養娯楽用耐久財(59)
10月 -5.5
11月 -5.4
12月 -4.9

教養娯楽用品(210)
10月 2.0
11月 2.6
12月 0.9

書籍・他の印刷物(128)
10月 0.2
11月 0.1
12月 0.1

教養娯楽サービス(592)
10月 1.5
11月 0.9
12月 1.1

ご覧の通り、「教養・娯楽」全体としてはプラス方向に推移しており、プラス幅が月ごとに縮小してこそいるものの、この分野は2013年10月以降、ほぼ継続的にプラス成長を続けています。

尤も、2014年4月には消費増税が行われていますので2014年度の前年比は参考程度にしかできませんが、それでも翌2015年4月に唯一前年比を下回って以降、毎月継続的に前年比プラス成長を果たしています。

ただ、この中で唯一「教養娯楽用耐久財」のみが前年比で物価下落を継続していることもわかります。

【「教養娯楽用耐久財」の前年同月比( )内:ウェイト】
教養娯楽用耐久財(59)
10月 -5.5
11月 -5.4
12月 -4.9

テレビ(15)
10月 -17.9
11月 -15.2
12月 -11.4

携帯型オーディオプレーヤー(1)
10月 0.0
11月 0.2
12月 0.1

電子辞書(1)
10月 0.1
11月 -2.1
12月 0.8

ビデオレコーダー(4)
10月 2.7
11月 -1.5
12月 -2.9

パソコン(デスクトップ型)(8)
10月 -3.5
11月 -5.3
12月 -6.7

パソコン(ノート型)(14)
10月 -5.1
11月 -6.2
12月 -6.1

プリンタ(2)
10月 6.5
11月 9.9
12月 6.4

カメラ(4)
10月 4.8
11月 4.8
12月 5.1

ビデオカメラ(2)
10月 0.0
11月 0.0
12月 0.0

ピアノ(5)
10月 2.9
11月 3.3
12月 1.1

学習用机(3)
10月 3.3
11月 3.3
12月 0.8

品目内訳はこんな感じです。下げている項目を見てみますと、「テレビ」、「ビデオレコーダー」、「パソコン」の3つ。
どれも所謂「家電」と呼ばれる分野です。

まあ、パソコンは「家電」とは少し違うのかもしれませんが、基本的に「電気店」で販売されている品目である、ということは変わりませんね。

【薄型テレビの出荷台数(前年比)】
薄型テレビ(合計)
10月 94.9
11月 87.3
12月 95.8

29型以下
10月 84.1
11月 68.7
12月 87.2

30~36型
10月 95.6
11月 74.2
12月 70.7

37~49型
10月 108.3
11月 108.6
12月 119.6

50型以上
10月 87.4
11月 106.1
12月 115.9

 (内)4K(対応)
 10月 166.9
 11月 173
 12月 190.4

 (内)ハイブリッドキャスト対応
 10月 97.5
 11月 105
 12月 117.5


出荷台数全体で見ると、少し陰りが見えますが、内訳をみると36型以下のテレビの出荷台数が減少し、逆に37型以上のテレビの販売台数が伸びています。

12月に限ってみれば10%を超える伸び率で、4K対応などはなんと90%の伸び率。
つまり、「単価が高いもの程売り上げを伸ばし、単価の低いものが売り上げを減少させている」ということですから、この様な状況であれば普通、「消費者物価」は上昇するんじゃないでしょうかね?

各項目別の販売額は掲載されていませんでしたが、「映像機器」合計の販売額の推移は以下のようになっています。

【映像機器の出荷額(前年比)】
10月 94.8
11月 100.1
12月 107.2


実績としての出荷額が増加し、販売台数は大型、高機能になればなるほど増加している・・・という現状と、品目別消費者物価指数「テレビ」が示している数値はどうも矛盾している様に思えますね。

これもやはり考えられるのは、「販売店」サイドの問題です。
そしてこれもまた、この様な販売方法で販売店が利益を取れているのであれば、それはそれで全く問題のないことではないか、と私は思います。

【「パソコン」の出荷情況(前年比)】
出荷台数(総合)
10月 113.60%
11月 100.10%
12月 95.50%

デスクトップ(台数)
10月 104.80%
11月 101.10%
12月 98.60%

 オールインワン(台数)
 10月 74.70%
 11月 90.00%
 12月 103.00%

 単体(台数)
 10月 133.30%
 11月 107.80%
 12月 96.90%

ノート型(台数)
10月 116.90%
11月 99.80%
12月 94.60%

 モバイルノート(台数)
 10月 103.50%
 11月 92.70%
 12月 110.50%

 A4型・その他(台数)
 10月 121.20%
 11月 101.80%
 12月 91.60%


出荷金額(総合)(出荷額)
10月 106.00%
11月 97.60%
12月 100.60%

デスクトップ(出荷額)
10月 96.10%
11月 95.30%
12月 96.80%

 オールインワン(出荷額)
 10月 71.60%
 11月 86.50%
 12月 96.90%

 単体(出荷額)
 10月 139.30%
 11月 105.00%
 12月 96.70%

ノート型(出荷額)
10月 109.90%
11月 98.40%
12月 101.70%

 モバイルノート(出荷額)
 10月 112.10%
 11月 91.20%
 12月 115.50%

 A4型・その他(出荷額)
 10月 109.10%
 11月 101.00%
 12月 98.50%

「パソコン」の消費者物価の計算方法は、他の家電製品とは異なり、最終端末であるPOSデータ等を参考にして算出されています。このことから、パソコン(及びカメラ)の消費者物価は、比較的「物価」の実感と近い数字となってます。

業界団体側の出荷ベースと消費者物価との間の乖離がテレビをはじめとする他の家電製品に比較すると小さくなっているのはおそらくその関係です。

ただ、それでも12月の消費者物価指数はデスクトップ、ノート型共に6%を超える物価下落となっており、出荷ベースの数字とはやや開きがあります。やはり「販売店側」の問題が大きいのでしょうか。


家電製品に関しては、やはり「出荷ベース」と「販売ベース」での数字に開きがあることがとても気にかかりますね。
もし本当に販売店側で価格を下げて販売し、前年を下回る価格で販売しても前年を上回る利益が確保できているのだとすれば、やはり「消費者物価指数」という数字そのものの考え方を修正する必要もあるのではないでしょうか。

トータルで見ても、現在の「物価」を下落させる要因として働いているのは「電気代」「ガス代」「航空運賃」「小型輸入車」「携帯電話料金」「携帯電話機」、そして「家電製品」。

「ガソリン」と「灯油」の物価下落はついに終結しました。
となると、特に「消費者物価指数」をみる上で考えなければならないのは、これらの項目が下落する状況をどうとらえるのか。

勿論細かく見ていけば、これ以外にも物価を下落させる要因はあるのでしょうが、この7つの項目を改善させるか、それともそもそもの考え方を変えるのか、どちらかの方法を取ることで本当の意味で現在の「経済状況」を把握する上での大きな手掛かりとなるのではないでしょうか。

少なくとも「個人消費が減り続けている!アベノミクスは失敗だ!」という間の抜けた主張が日本の「期待インフレ率」を引き下げる要因として働くことはなくなるように思います。

今後の黒田日銀総裁、麻生財務大臣、そして安倍首相の発言に期待したいと思います。


このエントリーにお寄せ頂いたコメント

URL:
コメント:
 

スポンサードリンク

Copyright © 真実を問う!データから見る日本 All Rights Reserved.
ほったらかしでも稼げるFC2ブログテンプレート [PR]