第239回 日独伊三国同盟の締結と「情勢ノ推移ニ伴フ帝国国策要綱」①など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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この記事のカテゴリー >>十五年戦争(日中戦争)の原因と結果


<継承する記事>
第238回 北部仏印進駐が行われるに至った経緯と北部進駐の経緯①

前回の記事までの内容で、フランスと交渉に入った日本軍が、フランス領インドシナに進駐するの過程において、少なくとも北部仏印進駐までの経緯については、非常に平和裏に進められていたことは確認できました。

勿論、進駐が行われる直前に富永恭次という人物の暴走行為があり、現地フランス軍との軍事衝突があったことは事実なのですが、進駐そのものは、非常に粛々と、平和裏におこなわれていました。

ここから検証したいのはもう一つ、翌昭和16年(1941年)7月2日に第2次近衛内閣御前会議にて決定された、「情勢ノ推移ニ伴フ帝国国策要綱決定」。これが決定までの経緯についてです。

まずはその内容を掲載しておきます。

【情勢ノ推移ニ伴フ帝国国策要綱決定】
情勢の推移に伴ふ帝国国策要綱

第一 方針

 1.帝国は世界の情勢変転の如何に拘らす大東亜共栄圏を建設し以て世界平和の確立に寄与せんとする方針を堅持す

 2.帝国は依然支那事変処理に邁進し且自存自衛の基礎を確立する為南方進出の歩を進め又情勢に対し北方問題を解決す

 3.帝国は右目的達成の為如何なる障害をも之を排除す

第二 要綱

 1.蒋政権屈服促進の為更に南方諸地域よりの圧力を強化す情勢の推移に対し適時重慶政権に対する交戦権を行使し且支那に於ける敵性租界を接収す

 2.帝国は其の自存自衛上南方要域に対する必要なる外交交渉を続行し其の他各般の施策を促進す之か為対英米戦準備を整え先つ「対仏印泰施策要綱」及「南方施策促進に関する件」に拠り仏印及泰に対する諸方策を完遂し以て南方進出の態勢を強化す帝国は本号目的達成の為対英米戦を辞せす

 3.独「ソ」戦に対しては三国極軸の精神を基体とするも暫く之に介入することなく密かに対「ソ」武力的準備を整え自主的に対処す此の間固より周密なる用意を以て外交交渉を行う独「ソ」戦争の推移帝国の為有利に進展せは武力を行使して北方問題を解決し北辺の安定を確保す 

 4.前号遂行に当たり各種の施策就中武力行使の決定に際しては対英米戦争の基本態勢の保持に大なる支障なからしむ 

 5.米国の参戦は既定方針に伴ひ外交手段其の他有ゆる方法に依り極力之を防止すへきも万一米国か参戦したる場合には帝国は三国条約に基き行動す但し武力行使の時機及方法は自主的に之を定む

 6.速に国内戦争時体制の徹底的強化に移行す特に国土防衛の強化に勉む

 7.具体的処置に関しては別に之を定む

近衛文麿
【近衛文麿】

前回の 「基本国策要綱」 や 「世界情勢の推移に伴ふ時局処理要綱」 とはいくつか大きな変化がございまして、例えば 基本国策要綱 では 「日満支の強固なる結合を根幹とする大東亜の新秩序を建設する」 とされていたものが、はっきりと 「大東亜共栄圏を建設」 と言い換えられています。

また、ここに至る過程においても、 その特徴的な文言として、「帝国は世界の情勢変転の如何に拘らす」という、一歩進んだ文言が加えられており、その根幹として「支那事変処理」が中心に据えられてはいるものの、これまで「南方問題」と記されていた内容が、「自存自衛の基礎を確立する為南方進出の歩を進め」と、言い換えられています。

また、「南方問題」に加え、新たに「北方問題」という文言が加えらえています。

また、スタンスの変化として最も大きい部分は、第二条第2項。

 2.帝国は其の自存自衛上南方要域に対する必要なる外交交渉を続行し其の他各般の施策を促進す之か為対英米戦準備を整え先つ「対仏印泰施策要綱」及「南方施策促進に関する件」に拠り仏印及泰に対する諸方策を完遂し以て南方進出の態勢を強化す帝国は本号目的達成の為対英米戦を辞せす

内容はWikiから引っ張ってきたんですが、少し読みにくいですね。
いくつかの文章で構成されている様ですので、文章を分けてみます。

 ・帝国は其の自存自衛上南方要域に対する必要なる外交交渉を続行し其の他各般の施策を促進す
 ・之か為対英米戦準備を整え先つ「対仏印泰施策要綱」及「南方施策促進に関する件」に拠り仏印及泰に対する諸方策を完遂し以て南方進出の態勢を強化す
 ・帝国は本号目的達成の為対英米戦を辞せす

そう。つまり日本軍は、仏印南部進駐を時点において、既に「対英米戦」を具体的に覚悟していたということになります。

日本がフランスとの協議の上、お互いの納得の下紅河(ソンコイ)北側を中心に中軍したのが1940年9月。
「情勢ノ推移ニ伴フ帝国国策要綱」が決定したのが翌年1941年7月2日。

この間、日本と諸外国との間で、一体どのような情勢の変化があったのでしょうか。

記事としては少し短めですが、日独伊三国同盟の締結については少しボリュームが大きくなりそうですので、ここでいったん記事を区切りたいと思います。


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