第225回 平成28年(2016年)10月消費者物価指数速報④/エネルギー関連など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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<継承する記事>
第224回 平成28年(2016年)10月消費者物価指数速報③/品目別指数②

一覧として見やすいように、2016年度10月の消費者物価指数関連の記事をまとめて掲載しておきます。

第222回 平成28年(2016年)10月消費者物価指数速報①/歪なマスコミ報道
第223回 平成28年(2016年)10月消費者物価指数速報②/品目別指数①
第224回 平成28年(2016年)10月消費者物価指数速報③/品目別指数②

ここ数年の「消費者物価指数」の見方は以下のようになります。

・増税年度である2014年後半頃より、「原油価格」が世界的に急落しはじめ、このことが影響して日本国内でも「消費者物価指数(総合)」や「消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)」が継続的に下落していました。

・今年度に入って、今度は「家電製品」に関連した消費者物価指数が急落し始めました。ですが、政府データとしては急落しているものの、業界団体の出荷ベースの情報を見ると、政府データとは真逆の状況が見えてきます。

・先月(2016年度9月)より、ようやく原油価格が下落幅を縮小し始めました。

・今月(2016年度10月)は「生鮮食品」が急騰したことと、原油価格の下落幅が縮小したことにより、ようやく「消費者物価指数(総合)」がプラスに転じました。

今月の記事シリーズでも、上記内容に着目し、第223回、第224回と家電・テレビの動向に特に着目した記事を作成しました。

業界の出荷状況を見れば、決してこの二つの分野の「物価」が下落しているとは考えられない状況にあることもまたお示ししました。一つ考えられることがあるとすれば、出荷される段階では正規の販売方法がとられているが、店頭で販売される段階で昨年以上の値下げが行われているのではないか、ということ。

まあ、これは店頭で販売される段階での問題ですから、販売業者が問屋に対して抑圧的に値下げを強要しているような状況さえなければ、許容範囲といえるのかもしれません。


エネルギーに関連した消費者物価指数

大洋の恵

ただ、私として個人的に関心があるのはやはり「エネルギー価格」の動向です。
今「消費者物価指数」を低迷させ、あたかも継続的に物価が下落し続けている様に見せかけているその主犯こそ「エネルギー価格」だからです。

勿論、エネルギー価格は私たちの生活に対してランニングコストとして継続的にかかわってくる分野ですから、安ければ安いほうがいい。何度もお伝えしていますように、エネルギー価格はその大部分が「輸入」によって賄われていますから、これが下落することで損をする人は日本国内にはほとんどいません。

ただ、「消費者物価指数」に関してきちんと理解することができていない人たちにとっては、「消費者物価指数(総合:CPI)」にせよ、「消費者物価指数(生鮮食品を除く総合:コアCPI)」にせよ、これが「下落している」と報道されただけで、あたかも消費が減退しているかのように錯覚してしまう人が多くいるのもまた事実なのです。

例えば2016年10月の「CPI」は前年同月比でプラス0.1%。「コアCPI」はマイナス0.4%、「コアコアCPI」はプラス0.2%となっています。

CPIとコアCPIを比較した時に、CPIはプラスなのにコアCPIはマイナスです。
違いは「生鮮食品」を除いているかどうかですから、この数字だけ見れば、「生鮮食品が高騰したため、消費者物価指数総合が上昇した」という風に判断することができます。

ですが、「コアコアCPI」、つまり「食料およびエネルギーを除く総合」に着目すると、「物価を大幅に押し上げていた生鮮食品が除かれているにも拘らず、『コアコア』はさらに輪をかけて上昇している』ことが分かります。

物価を大幅に押し上げていたはずの生鮮食品が除かれるのですから、普通コアコアは下落しなければおかしいのですが、逆に総合よりも上昇しています。それだけ「エネルギー価格」が上から物価を押さえつける効果は大きいのです。


「エネルギー価格」が関連する分野は主に10大費目の内、「光熱・水道」および「交通・通信」の二つです。
この他にも「家具・家事用品」の内「家事用消耗品」などもその影響を受けます。家事用消耗品に関しては第223回の記事 で既にふれていますので、他の2つの項目について掲載します。


「水道・光熱」の消費者物価指数

「水道・光熱」を構成している中分類項目は以下の通りです。数字は「前年同月比」になります

 光熱・水道 -6.0(9月:-6.2)

  電気代 -6.8(9月:-6.5)
  ガス代 -7.8(9月:-8.2)
  他の光熱 -19.0(9月:-21.6)
  上下水道料 0.4(9月:0.4)

「他の光熱」はそのまま「灯油」のことです。エネルギー価格に含まれない「上下水道料」は継続して0.4%の物価上昇率となっていますが、他の「エネルギー価格」に相当する品目は全てわずかではありますが、マイナス幅を縮小させています。


「交通・通信」の消費者物価指数

「交通・通信」を構成している消費者物価指数は以下の通りです。

 交通・通信 -1.7(9月:-2.1)

  交通 0.0(9月:-0.2)
  自動車等関係費 -1.7(9月:-2.3)
  通信 -2.5(-2.7)

「交通」および「自動車等関係費」が主にエネルギー価格が関連する項目です。


【「交通」のフィルタリング】

「交通」は項目数が多いですので、「小分類」別に比較します。

交通 0.0(9月:-0.2)

 鉄道運賃(JR) 0.0(9月:0.0)
 鉄道運賃(JR以外) 0.5(9月:0.1)
 一般路線バス代 0.2(9月:0.1)
 高速バス代 0.0(9月:0.0)
 タクシー代 0.3(9月:0.3)
 航空運賃 -2.4(9月:-3.8)
 有料道路料 0.5

特に大きな影響を受けているのは「航空運賃」になりますが、個々も下落幅が縮小しています。

【「自動車等関係費」のフィルタリング】
自動車

「自動車関係費」も項目数が多いですので、まずは「小分類」別に掲載します。

 自動車等関係費 -1.7 (9月:-2.3)

  自動車 0.1(9月:0.0)
  自転車 4.8(9月:4.4)
  自動車等維持 -2.4 (9月:-3.2)

特に影響が大きいのは「自動車等維持費」。この項目の中に「ガソリン代」が入っています。

  自動車等維持 -2.4 (9月:-3.2)
   ガソリン -7.7(9月:-9.2)
   自動車タイヤ 1.4(9月:0.7)
   自動車バッテリー -0.4(9月:-0.2)
   カーナビゲーション -4.8(9月:-7.3)
   自動車整備費(定期点検) 1.0(9月:0.5)
   自動車整備費(パンク修理) 1.5(9月:1.4)
   自動車オイル交換料 0.8(9月:0.7)
   車庫借料 0.1(9月:0.1)
   駐車料金 0.9(9月:0.9)
   自動車免許手数料 0.0(9月:0.0)
   レンタカー料金 0.0(9月:0.0)
   洗車代 0.2(9月:0.3)
   ロードサービス料 0.0(9月:0.0)
   自動車保険料(自賠責) 0.0(9月0.0)
   自動車保険料(任意) 0.0 (9月:-0.3)

項目数も多いですね。「ガソリン」は前年同月比で-9.2から-7.7に下落幅を縮小させています。
この他に、「自動車タイヤ」や「自動車バッテリー」も原油価格の動向の影響を受けると考えられます。原材料に原油が含まれますからね。

「カーナビゲーション」の消費者物価も下落幅を縮小させています。
この品目の下落幅が大きい理由としては、家電やテレビと同様に正確なデータが反映できていない可能性が疑われる他、スマートフォンの普及により、スマホがカーナビの代用品としての機能を果たすようになってきている理由も大きいのではないでしょうか。

補足にはなりますが、「自動車」の項目も見てみます。

  自動車 0.1(9月:0.0)
   軽乗用車 0.5(9月:0.5)
   小型乗用車A 0.2(9月:-0.1 )
   小型乗用車B -9.7(9月:-9.7)
   普通乗用車A 0.3(9月:0.5)
   普通乗用車B 0.8(9月:-0.1)

自動車の物価に大きく影響を当てているのは「小型乗用車B」、つまり輸入小型車の消費者物価です。
代わりに普通乗用車B(輸入車)は物価を下落から上昇へと改善させており、小型乗用車A(国産車)も同様に改善させていることから、ようやく「自動車」の分野に関しては物価が上昇へ向かう兆しが見えてきているのではないでしょうか。


もう一つ補足ですが、「通信」に関しては、-2.7から-2.5へとここも下落幅を縮小させています。
最も影響が大きいのは「携帯電話」の通信料と本体の物価です。

携帯電話通話料は-2.8から-2.2へと下落幅を縮小させ、本体代は-8.3から-7.2となっています。
携帯電話に関してはやはり格安スマホなどの影響が大きくなっていると考えられます。


エネルギー指数については、その影響が大きいことを日銀の黒田さんも言及しており、エネルギー指数はマイナスからゼロになるだけで物価に好材料を与えることを認めています。

【為替(円ドル)/ガソリン/原油価格比較 平成28年(2016年)11月】
為替・ガソリン・原油比較(2016年11月)

こちらは2016年11月の原油価格、ガソリン実売価格を為替相場と共に比較したものです。
為替・原油は月初、ガソリン実売価格はe燃費様データを利用させていただいています。ガソリン価格のみは平均値となっています。

ですので、特に為替相場に関しては現在の価格より大幅な円高となっています。
原油価格がほぼ横並び、ガソリン価格に関しては前年同月より3円安くなっていますから、どうでしょう。11月データ辺りではそろそろ原油価格の影響はほぼなくなるような状況になるのではないでしょうか。


この他、衣類・履物も消費者物価指数が前年同月比で1.4%から1.2%に下落するなど、やや気にかかる動きはしているのですが、ここは季節ものの動向が影響を与えているのではないかと考えられます。

秋冬物はそろそろ動きが出てきている様なのですが、ジーンズや子供用洋服など、季節を選ばずに着用することができる品目にやや下落する動きが見えます。この当たりは本格的に寒くなる季節の到来を待ちたいと思います。

原油価格に対してはそろそろ解消の兆しが見えていますから、あとは家電関係のみ、というところですね。
それにしてもなんで家電関係はこんなに物価が下落しているのでしょう・・・。

明確な理由を知りたいものです。


このエントリーにお寄せ頂いたコメント

のんきさん、はじめまして。現在大学生のたくと申します。
政治や経済に興味があり色々と調べているうちにこのブログにたどり着きました。
とても面白い内容の記事が多く、昔の記事まで遡って第17回のTPPについての記事をよませて頂いたのですが、記事の最後に『批判するなら批判するで、きちんと自分自身の頭を使って批判しているのかが重要』という部分がありとても心に刺さりました。
自分自身、TPPやマクロ経済スライドなどの様々な社会の政策について新聞を読んだりネットで調べたりしてうわべの知識は身につけているつもりです。しかし、いざ自分の意見となったときにどうしても新聞やネットに書かれている根拠などをそのまま引っ張ってくるような主張しかできません。自分の頭を使っての意見とは程遠い気がしています。まさに記事の中にあった、「主張を模倣した」主張というような状態です。
そこで、漠然とした質問になってしまいますが、のんきさんのように自分自身の独自の視点で社会や政策を見渡せるようになるにはどうすればよいのでしょうか?
答えづらい質問かとは思いますが、何か心掛けている事やアドバイスなどを頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。
たく at 2016/11/30(水) 14:45 | URL

とてもうれしいコメント、ありがとうございます^^

最初に言っておくと、私自身は「経済」や「政治」に関しては、元々は「ズブの素人」です。
大学は法学部に所属していましたが、現在ほど関心を持って政治や経済のことを勉強したことはありませんでしたし、知ったかぶりで話をして当時の学友に酷く叱られた記憶もあります。

一番大きいのは、社会人になった後で、政治や経済に関心を持つきっかけがあったということではないでしょうか。
当時、小泉総理大臣のころだったと思います。

この時は私は「関心を持っている」とは言っても、何かイデオロギー(概念)的な信念があったわけでもなんでもなく、支持政党もありませんでした。ですからこの時は、「政治を変えることができるのは、どんなに問題がある政党であったとしても、勢力の大きな政党だけだ」という実にざっくりした信念で自民党に投票しましたが、比例代表に関しては、「年を取った政治家より、若い政治家の方が新しい考え方を持っているから」という、こちらも非常にざっくりした意見で野党(当時の民主党)の議員に票を投じました。

関心を持った理由は、ブログに記してしまうと、非常に胡散臭く感じられるような理由にはなるのですが、私のそれまで価値観を根底から根こそぎ崩れ落ちるような体験をしたことが理由です。(具体的な内容は伏せます)

ただその後、麻生太郎さんが総理大臣になったとき、麻生さんに対するマスコミの報道姿勢に対して非常な違和感を覚える経験があり、この違和感を解消するためにネットで政治に関連した情報を必死に調べるようになりました。
https://youtu.be/Bb4YROZJcow

麻生さんが総理大臣になったときに、「確かに私が体験したようなことが世の中にあるのは確かなんだけど、そういうことがあることは前提として、真正面から物事に向き合うことが大切なんだな」と感じるようになりました。

前置きが長くなりました。
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私が大切にしているのは、「難しいことを政治や経済について全く詳しくない人が聞いたとき、わかりやすく理解してもらうためにはどのように説明すればよいのか」ということです。

例えば、「GDPデフレーター」という言葉を、その言葉に関心は持っているんだけど、まったく理解できていない人に説明しようとした場合。

GDPデフレーターは「名目GDP÷実質GDP」という計算式で構成されているのですが、GDPデフレーターを人に説明しようとすると、「名目GDP」と「実質GDP」という言葉についてきちんと咀嚼できていなければGDPデフレーターという言葉を人に説明することはまずできません。

つまり、GDPデフレーターという言葉を人にわかりやすく説明するためには、名目GDPと実質GDPについてきちんと理解しておく必要があるのです。

では、「名目GDP」という言葉について人にわかりやすく説明しようようと考えた場合、名目GDPは「名目」と「GDP」から構成されていますから、「名目」という言葉についてきちんと人にわかりやすく説明できる必要がありますし、「GDP」という言葉についてきちんと理解しておく必要があります。

「実質GDP」についても同様で、「実質」という言葉について人にわかりやすく説明できる必要があるのです。

例えば、「なんでそもそも名目と実質にGDPは分かれているんだろう」という疑問がわいてきます。

そうすると 名目変化率=実質変化率+物価変動率 という数式が登場し、今度はじゃあ「物価変動率って何?」ってことになるのです。実質GDPはどうやって計算するんだろう、とかね。分母には「持家に帰属する家賃を含まない消費者物価指数」が来るわけですが、じゃあ「消費者物価指数」って何?とか。「持家に帰属する家賃って何?」とか。
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「人にわかりやすく説明する」ということは、「自分が持っている情報に疑いを持つ」ということです。
まずは自分が正しいと思っている情報を疑うことがからスタートします。

仮に自分が持っている情報が正しいと仮定した場合、私の情報を正しいと思っていない人は、どのようなことに疑問を以て質問をしてくるだろうか、と考えます。そして、想定される質問への回答を自分なりに考えます。

そして自分が考えた回答に対して、次は自分だったらどのような質問をするだろうか、と考えるのです。
その質問に対する答えをまた自分で考え、その答えに対する質問を・・・と、考える余地がなくなるまで考えます。

そこまで考えてもまだ数カ月後に新たなる真実にめぐり合って愕然とするほどの衝撃を受けたりするのですが、そうやって情報は組み立てていきます。

あと、「情報の整理」っていうのは、意外と自分一人で行うには限界があります。自分の情報を整理する最良の方法は、激論ができるほどの「好敵手」を持つことです。もっと言えば、「クレーマー」を探すことです。

その反論はさすがにありえないだろう、というような反論を行ってくる「クレーマー」を探し出すと、自分の持っている情報はより磨き上げられます。自分一人で思考実験を行う場合も、具体的に「あいつならこういう反論をしてくるに違いない」という存在がいた方が、より質の高い情報をくみ上げることができるともいますよ(*^^)v

長文になり、申し訳ありません。
nonkinonki at 2016/11/30(水) 17:22 | URL

素早く丁寧なお返事ありがとうございます。
人に分かりやすく説明できるようにすること、自分の考えに疑いを持ち自分に質問を繰り返すこと、今の自分に欠けている視点ばかりです。
いつもネットなどで調べた後それなりの知識を得て満足してしまい、そこで思考停止していたんだと痛感しました。
自分ものんきさんと同じ法学部で周りに優秀な友達がたくさんいるのですが、普段は部活に力を入れており学業は放ったらかしなので(恥ずかしながら時事問題には興味があるのですが学業には力を入れているとは口が裂けても言えないような状態です...)彼らと激論を交わすなど非常におこがましい立場ですが、せっかくの恵まれた環境を生かせるよう積極的に話し合いの場に参加していきたいと思います。
一学生のちんけな質問にわざわざお答えいただきありがとうございました。
これからも楽しくブログ読ませて頂きます。
また何かありましたら宜しくお願いします!
たく at 2016/11/30(水) 20:24 | URL

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