第219回 GDPデフレーターと消費者物価指数の違い/どちらを見るべきか?①など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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この記事のカテゴリー >>「物価」の見方


<継承する記事>
第218回 GDPデフレーターとは何か?/日本一わかりやすく考える

前回の記事では、「GDPデフレーター」という指標について、それがそもそもどういう意味合いを持つもの何か、ということに着目して記事を作成しました。

作成しながら出来上がっていった考え方ではあるのですが、たぶんGDPデフレーターについてこのように説明している人はまずいないと思います。個人的に自信のある解説内容なので、ぜひ見ていただけるうれしいです。


この「GDPデフレーター」という言葉なのですが、そもそもその時点での経済が「インフレ」なのか、「デフレ」なのか、GDPデフレーターとは、この「物価状況」を図るための指標です。

第9回の記事 でも掲載していますが、GDPデフレーターは「基準年を100」とした場合、100を上回っていればインフレ、下回っていればデフレです。

前回の記事 の内容をおさらいしますと、「GDPデフレーター」とは以下の計算式で表すことができます。

 GDPデフレーター=名目GDP÷実質GDP

前回の記事では、スーパーマーケットでリンゴを総額5000円、個数を10個購入した場合の事例として、「名目GDP」は「総額」、「実質GDP」は「個数」、そして「GDPデフレーター」とは「購入単価」に相当するものであることをお示ししました。

あくまでもこの人が購入したりんごは1種類で、全て同じ金額であることを前提としたものにはなりますが。

GDPデフレーターが変動するということは、上の事例で考えれば「リンゴの単価」が変動することを示しています。
1個500円で売られていたリンゴが400円になればデフレ、600円になればインフレです。

前回も記した通り、アベノミクスが目指している社会とは、一個500円のリンゴではなく、一個600円のリンゴが選ばれる社会です。ものすごく喩えが小さいですけどね。


さて。改めまして今回のテーマはタイトルにもございます通り「GDPデフレーター」と「消費者物価指数」の違いです。

「GDPデフレーター」も、「消費者物価指数」も共に「物価変動」を見ることができる数字です。
では、日本国経済を考える場合、「GDPデフレーター」と「消費者物価指数」の内、どちらの数字を見ればより正確な「物価変動」を理解することができるのでしょうか。

「物価」

「GDPデフレーター」と「消費者物価指数」の違い

「GDPデフレーター」も「消費者物価指数」も、「物価動向の全体像」をとらえるための指標ですから、所謂「マクロ指標」となります。ですが、どちらがより生活の実感に近いかというと、これは圧倒的に「消費者物価指数」です。

「GDPデフレーター」とは、既にお伝えしています通り、「名目GDP」を「実質GDP」で割ったものです。

「GDP(支出側から見たGDP)」という指標は、まず2つの次元で構成されています。

縦軸を構成しているのが「消費支出」と「投資」と「在庫」。横軸を構成しているのが「家計」「企業」「政府」そして「輸出入」です。
縦軸を構成している「消費支出」と「投資」「在庫」という項目は輸出入には当てはまりません。

【GDPの構成要件】
GDP.png

こんな感じです。「消費者物価指数」とは、このうち「家計最終消費支出」に限定した「GDPデフレーター」といっても良いと思います。

「消費者物価指数」は「家計最終消費支出」を更に分割して「10大費目別」や「中分類」、「小分類」、「品目別」とさらに砕いていくことでより私たちの生活の実感に近い情報を手に入れることができるようになっています。


ですが、私の様に情報を分析することが好きな人間にとっては「消費者物価指数」を「10大費目別」や「品目別」まで砕いて見る機会もあるのですが、一般的にニュース等で報道されるときは、「消費者物価指数」というトータル指標として報道されます。

こんな感じです。

【日本経済新聞ニュース】
9月の全国消費者物価、0.5%下落 7カ月連続下落 2016/10/28 8:33

 総務省が28日発表した9月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、生鮮食品を除く総合が99.6と、前年同月比0.5%下落した。下落は7カ月連続。QUICKが発表前にまとめた市場予想の中央値は0.5%下落だった。8月は0.5%下落した。

 食料・エネルギーを除く「コアコア」のCPIは100.4と横ばいだった。生鮮食品を含む総合は99.8と、0.5%下落した。

 同時に発表した10月の東京都区部のCPI(中旬速報値、2015年=100)は、生鮮食品を除く総合が99.7と0.4%下落した。生鮮食品を含む総合は100.3と0.1%上昇した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕

タイトルに「消費者物価指数(総合)」、文中に「コアコアCPI」も掲載していますが、一般の方はこの「コアコアCPI」を意識することはあまりありません。

では、そもそも「GDPデフレーター」と「消費者物価指数」。どちらの動向を見ればより日本国内の現実に近い「物価動向」を見ることができるのでしょうか。


「物価」とは何か。

政府も日銀も、特に安倍内閣に入って以来、「物価上昇」を盛んに訴えています。
では、一体なぜ物価を上昇させなければならないのでしょうか。

これも過去の記事でお伝えしたことがあると思いますが、「物価」とは、「店頭売価」のことではなく、あくまでも「店頭で消費者が物品を購入した支払金額」のマクロデータを指標として現したものです。

店頭に500円の普通のリンゴと600円のおいしいリンゴが並んで売られていたときに、店頭で500円の普通のリンゴを勝った人より600円のおいしいリンゴを買った人の増加率が大きければこの店の「リンゴの物価」は上昇します。

逆に600円のリンゴよりも500円のリンゴを選んだ人の増加率画大きければ「リンゴの物価」は下落します。

よく「安倍内閣で物価が上昇したせいで国民の生活が苦しくなった」というような表現をする人がいますが、店頭で600円のリンゴを購入する人が増えなければ物価は上昇しません。

つまり、600円のリンゴを買う余裕のある人が増えるため、物価は上昇するのです。
いくら安倍内閣が物価上昇を煽ったところで、500円のリンゴを買う人の方が多ければ物価は上昇しないのです。

ここを勘違いしている人が多いのではないかと思います。


さて。この600円のリンゴですが、この600円という金額はどのようにして決められているのでしょうか。

当たり前の話ですが、「物価」とは「原価」と「利益」によって決められます。
「物価」が上昇するのは「原価」が上がるか「利益」があるのか、その両方が上昇するのか。このどれかしかありません。

例外として「消費増税」が行われたときには「原価」と「利益」以外に物価全体にかけられた「消費税」が増加しましたので、「原価」と「利益」以外の影響で物価が上昇しました。

ただ、増税が行われることはそう頻繁にあることではありませんから、普通は「原価」か「利益」か、もしくはその両方が上昇するかのどれかが原因になります。


「原価」の考え方

では、このうち「原価」の考え方なのですが、この「原価」もまた「物価」同様、「原価」と「利益」によって構成されています。

「物価」は販売店の経費だけでなく、リンゴであれば出荷する農家、農家から市場まで輸送するための設備費、輸送費、リンゴを仕分けるための機械、育てるための肥料や除草剤、殺虫剤等々、様々な費用がかけられているのです。

安倍内閣が掲げている「物価上昇」とは、単にリンゴを販売する際の販売額を挙げるだけでなく、これらの一連の工程の中でもきちんと利益を確保するようにしなさいと、そういっているのです。

農業

ですから、当然商品を仕入れる段階ではすでにその「原材料費」の中にその工賃が上乗せされることになります。
その上で店頭販売価格に利益を載せて、販売して売れるのかどうか。これが「アベノミクス」では問われていることになります。


記事が少し長くなりましたので、記事を分けます。
私は「物価」について、「店頭で、その価格で販売できなければ物価は上昇しない」とお伝えしました。

ですが、このように記しますと「原材料費が高騰するのだから、やっぱりアベノミクスでは『消費する側』の事情には関係なく物価が挙げられるんじゃないか」という人がいるかもしれません。

ですので、次回記事では、「原材料費が高騰した結果」、物価が上昇するとどのようなことになるのか。
そのような内容について重ねて掲載したいと思います。


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