第217回 2016年度(平成28年)GDP第二四半期速報が公表されましたなど、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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前回の記事 で少し触れましたが、一昨日(2016年11月14日)、2016年度第二四半期(7月~9月)のGDP一次速報が発表されましたので、今回はこの話題について記事にしたいと思います。

ニュース情報では、こんな感じで報道されています。

【日本経済新聞(2016/11/14 12:32)】
GDP実質2.2%増 7~9月年率、輸出・住宅伸びる

 内閣府が14日発表した2016年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.54%増、年率換算で2.2%増となった。プラスは3四半期連続。アジア向けを中心に輸出が伸び、国内でも住宅投資が堅調だった。一方、内需の2本柱である個人消費と設備投資はゼロ近傍で停滞した。

 実質GDPの増加率は、15年1~3月期(年率5.0%)以来の高い伸びとなった。市場の事前予測の中央値(年率0.8%、QUICK調べ)を大きく上回った。生活実感に近い名目GDPの増加率は0.2%、年率換算で0.8%だった。

 石原伸晃経済財政・再生相は同日の談話で「日本経済はこのところ弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」との認識を示した。

 前期比0.54%伸びた実質GDPの増減にどれだけ影響したかを示す寄与度をみると、外需が0.45%分押し上げた。輸出は2.0%増えた。「iPhone7」など新型スマートフォン(スマホ)の増産のため、半導体製造装置や電子部品の輸出が伸びた。アジア経済の復調も輸出を押し上げた可能性がある。

 GDP統計で輸出に分類される訪日外国人(インバウンド)消費は9.4%増えた。熊本地震で訪日を見送るケースが相次いだ4~6月期の落ち込みを取り戻した。輸入は0.6%減少した。

 内需は実質GDPを0.09%分押し上げた。住宅ローン金利の低下が購買意欲を刺激し、住宅投資は2.3%増えた。個人消費は0.06%の伸びにとどまった。新型スマホの販売が好調だったが、台風など天候不順の影響でアルコールを含む飲料やガソリンの消費が落ち込んだ。

 設備投資は0.03%の増加にとどまった。米欧の自動車市場が堅調な輸送機械は伸びたが、農業機械やソフトウエアの新規投資は振るわなかった。収益が伸び悩むなか、企業が設備投資を様子見している。公共投資は0.7%減った。16年度当初予算などの前倒し執行が押し上げた4~6月期の反動が出た。

 物価の動きを総合的に示すGDPデフレーターは前年同期比0.1%低下した。13年10~12月期以来11期ぶりに前年を下回った。円高が物価の重荷になっている。収入の動きを示す雇用者報酬は名目ベースで前年同期比2.0%増えた。

 内閣府は12月8日に公表する7~9月期改定値から推計方法を見直す。これまで付加価値を生まない「経費」として扱った研究開発費を付加価値を生む「投資」と見なし、GDPに加算する。内閣府の試算では、新たな基準年となる11年の名目GDPは19.8兆円かさ上げされるという。

財務省

どの記事にも共通して記されていたのは、実質GDPが2.2%増加し、これが3四半期連続でのプラス成長である、ということです。

おさらいになりますが、「GDP」には「名目GDP」と「実質GDP」の二つの種類があります。

「名目」と「実質」の違いについて記載しますと、

「名目とは『金額ベース』の指標」であり、
「実質とは『数量ベース』の指標」であるということ。

分かりやすく言えば、「名目GDP」とは、「総額で何円の消費が起きたのか」という数字で、「実質GDP」とは「総数で何個消費されたのか」ということです。

データとして記載しますと、

2016年度第1四半期の名目GDP 125兆円(前年同月比 1.4%)
2016年度第1四半期の実質GDP 129兆円(前年同月比 0.6%)

であったのに対して、

2016年度第2四半期の名目GDP 123兆円(前年同月比 0.8%)
2016年度第2四半期の実質GDP 132兆円(前年同月比 0.9%)

となっています。
二次速報を間に挟んでいないので、第140回の記事 で掲載した内容とは若干内容が変わっています。

勿論数字は「名目、および実質」の「原系列」。
原系列以外に「季節調整系列」というものがあります。季節特有の現象を計算式を用いて除外するわけですが、人為的に操作された数字で、実はそれが正確であるという明確な根拠に乏しいため、私は全く信用していません。

季節調整が行われる理由は、「前年同月」ではなく「前期」と比較し、「年率換算」をして「同じ成長率が1年間継続したらどうなるか」というフィクションに基づいた結果を計算するためです。(詳しくは 第140回の記事 をご参照ください)

第一四半期から第二四半期にかけての経済成長率がまる1年間継続するわけがありませんから、はっきり言って「年率換算」の数字を用いて経済を考えるなど、『論外』ですね。

暴走しました。理想としては、名目2%、実質1%、物価上昇率1%の上昇としたいのですが、ともに前年同月を上回っており、まずまずというところではないでしょうか。


ちなみに、第140回の記事 でも掲載しています通り、名目GDP成長率、実質GDP成長率、物価上昇率の関係は

 名目GDP成長率=実質GDP+物価上昇率

となっています。
今回は名目成長率が0.8、実質成長率が0.9ですから、物価上昇率は-0.1。つまり、物価は下落していることになります。

これは「消費者物価指数」に関連した記事 でも散々お伝えしていますので、みなさんご存知の通りですね。

理由はこちら。

 2016年度第2四半期の輸入額 19.242兆円(前年同月比 -18.6%)

数値は勿論、名目の原系列です。
日本の輸入の大部分を占めているのはもちろん「原油」。

「輸入額」というのは、日本にしてみればそのまんま「原価=仕入れ価格」になりますから、輸入額は本来少なければ少ないほど良いのだ、と考えることができます。(ただし、『経済活動が滞っている』ことが理由である場合もあるので、他の経済指標との比較はとても大切なことですが)

分かりやすく表現するとすれば、「輸入額+付加価値」=「物価」ですから、利益の増加幅以上に輸入額が下落すれば、当然物価は下落します。GDPは「物価」の集合体ですから、付加価値以上に輸入額が下落すれば、GDPの伸び率も抑えられてしまうわけです。


しかし、「原油価格」っていうのは、元々「名目は減少しているのに原油価格が上昇するせいで『消費者物価指数』が上昇している様に見えることを批判し、「数字から輸入額が除外されている『GDPデフレーター』」で物価を見ることが正しい、と言っていたのに、今では事態が逆転してしまっています。

GDPデフレータでは「原油価格下落による名目値の動向」と「原油価格を含まない名目値の動向」が混在してわからなくなってしまっているため、「GDPデフレーター」よりも「消費者物価指数」で「費目・品目別」に見る習慣をつけることの方が大切になっています。


「家計最終消費支出」について

「家計最終消費支出」とは、国全体の消費支出の内、「政府」でも「企業」でもない「家計」が消費に回すことができた金額の合計値です。

この金額が大きければ当然「家計ベースでの消費が増えた」こととなるわけですが、

 2016年度第二四半期の「家計消費支出」は「前年同月比-0.9%」。

まあ、みなさんご想像の通りですね。私はこの数字は当然「原油価格の下落」が大きく影響していると考えています。
第140回の記事 と見解は一緒なのですが、やはり大きな特徴として、「民間住宅」への支出が伸びていることがその理由です。

これは日本経済新聞記事にも記していますね?
内需は実質GDPを0.09%分押し上げた。住宅ローン金利の低下が購買意欲を刺激し、住宅投資は2.3%増えた。個人消費は0.06%の伸びにとどまった。新型スマホの販売が好調だったが、台風など天候不順の影響でアルコールを含む飲料やガソリンの消費が落ち込んだ。

掲載内容は「実質値」に関する掲載です。ツッコミどころ満載なんですが、「住宅投資」に関する記載はその通りだと思います。

「住宅」って日本人が一生で起こす消費の内、最も大きな買い物です。
ちなみに「民間住宅」は名目の前年同月比で5.9%も上昇しています。

第一四半期が4.4%でしたから、これに輪をかけての上昇となりました。
GDP指標の内「民間住宅」という分野は、「住宅」という限定的な分野に絞られていますし、この分野が「原油価格下落」の影響を受けることはありません。ですから、他の分野と比較しても、より正確に「消費」が反映されていると考えられるのです。

一生で一番大きな買い物である「住宅」にこれだけの消費を行えるようになっているのに、それ以外の「最終消費」はマイナスであることに対して非常に疑問を感じるわけです。

過去の記事で述べています通り、「賃金」も上昇していますしね。


ただ、気にかかる分野として、「企業設備投資」が前年同月比-1.3%と減少しているのは少し気にかかるところです。第一四半期が-0.1%ですから、企業に少し元気がなくなっているのかな、と感じさせる数字です。

12月8日には、「二次速報」が上がってきます。
ここでは、ついに新しい「産業関連表」に基づいて製作された新しいGDPが登場します。

2008SNAの件もあるのですが、こちらは私たちがよく見る「支出側から見るGDP」に繁栄される要素は少ないかなと考えているので、一番大きいのは「産業関連表」の問題だと思います。

今回の一次速報も、第一四半期の情報も、過去までさかのぼって修正されるはずですので、どのような修正内容となるのか、今から楽しみです。


次回記事では、改めて「GDPデフレーター」について記事を記してみたいと思います。




このエントリーにお寄せ頂いたコメント

『日銀は16日、銀行や信用金庫の不動産業向けの新規融資額が、2016年度上半期(4~9月)に前年同期比14.7%増の7兆706億円に達したと公表した。バブル期を含めて上半期としての過去最高を2年連続で更新した。』
『安倍首相、賃上げを経団連に要求』
『安倍首相、大阪万博を後押し』
『金融庁、銀行監査見直しへ』
『銀行、マイナス金利受け、下方修正へ』
で、企業に銀行が投資しにくい状況で中央銀行は銀行へプッシュし、金融庁は監査の見直しをして、企業へお金を貸しにくい構造の中、経済財政・再生相は何をされているか。麻生さんがやったように、各団体のヒアリングもよし、土地や外債に流れる理由を銀行にヒアリングもよし、増して、賃上げや博覧会の地方知事との調整なんて、首相で無くても出来るでしょう。詰まっているところを直さないと、緩やかなインフレで無く、片寄ってバブルになるのは明明白白かと(゜▽゜*)
かっ at 2016/11/17(木) 22:03 | URL

かっさん、またまたお返事遅くなりました。

かっさんの文章はじっくり読んでからお返事したいと思ってるので、ゆっくり時間が取れるときに返信してます(*^^)v

そう考えると、あまりんの活躍ぶりがいかにすごかったのかということが思い知らされますね(;'∀')
nonkinonki at 2016/11/22(火) 21:01 | URL

「質屋をやっているわけではないんだから、担保を取って金を貸しているだけでは意味がない」
 要するに、担保がなくても事業が有望な中小企業には、銀行がリスクを取って積極的に融資するように銀行側に要請したのだ、と。
やはり、現状を良くご存じで\(^_^)/
かっ at 2016/12/08(木) 02:11 | URL

>かっさん

それは確か、麻生御大のお言葉でしたかな?
銀行が積極的に資金を貸し出す流れを生み出したのは、やはり麻生さんの金融機関に対する直接の働きかけも大きかったですよね。

現在の金融事情が、「黒田・麻生コンビ」の連係プレーによって成し遂げられていることを、彼の人物にもそろそろ理解してもらいたいところですよね。
nonkinonki at 2016/12/09(金) 14:52 | URL

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