第208回 平成28年(2016年)9月消費者物価指数速報/コアコアCPI下落の理由④など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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<継承する記事>
第207回 平成28年(2016年)9月消費者物価指数速報/コアコアCPI下落の理由③

前回より、「コアコアCPIが下落している理由」について、「前年同月比が悪化している10大費目」に中心を移して記事を作成しています。

復習内容として「前年同月比が悪化している10大費目」として、以下様になっています。

家具・家庭用品
8月 -1.2
9月 -1.5

被服及び履物
8月 2.4
9月 1.5

教育
8月 1.6
9月 1.5

教養・娯楽
8月 0.4
9月 0.3

前回は「家具・家庭用品」に着目しました。今回は引き続きその他項目についても詳細に分析してみます。


「被服及び履物」の物価が下落している理由

「下落している」といっても、これはあくまでも「前年同月比の上昇幅が縮小している」ということであり、前年と比較して本当に物価が下落した、というわけではありません。寧ろこの項目に関して言えば、前年同月比はプラスですから、昨年よりも物価は上昇しています。

ただ、特にこの「被服及び履物」という費目に関しては、特に今年に入って以来、「物価の優等生」でして、1月に1.5%上昇して以降、全ての月で前年同月比が2%オーバー。黒田日銀や安倍内閣が目指す「インフレ目標」をきれいにクリアし続けていました。それ以前に、消費増税が行われた翌年、2015年4月以降も継続して1%台後半の物価上昇率を記録し続けていた費目です。

ところが、今回の9月データとしましては、今年に入って8か月ぶりに2%台を割り込み、1.5%となりました。
勿論1.5%でも「物価上昇率」としては優秀な方なのですが、ずっと優等生っぷりを発揮し続けていた費目だけに、気にかかるところではあります。

「被服」と「履物」に分けて考えますと、「履物」は前年同月比3.9%→4.1%へと上昇幅が拡大していますので、問題は「被服」の方にあることが分かります。


【「被服」の消費者物価指数の上昇幅が縮小した理由】

「被服」の項目は「衣料」「シャツ・セーター・下着類」「その他被服」「被服関連サービス」という項目に分けて分類されています。

   衣料 シャツ・セーター・下着類 他の被服 被服関連サービス
8月 2.7   1.8               2      0.7
9月 1.4   0.5               1.5     0.9

「被服関連サービス」以外全て物価上昇率の幅は縮小しています。



【「衣料」の消費者物価指数の上昇幅が縮小した理由】

「衣料」の項目は、さらに「和服」「洋服」に分類されていて、このうち「洋服」が2.8%から1.4%に上昇幅を縮小しています。

実は、「洋服」の分類で上昇幅が縮小している理由として、一番大きいのは「気温」の影響が大きいのではないかと考えています。

【月間平均気温の推移(東京都)】
月間平均気温の推移(東京)

こちらは、最も消費人口の多い地域、「東京」の「月間平均気温の推移」を現したグラフです。
青い棒グラフが気温の推移を、赤い折れ線グラフが今年と昨年との月別の気温差を表しています。数字は左側が気温、右側が気温差です。

8月の気温は2015年と比べて2016年の気温は+0.4度とほぼ平年並みといってもよい気温だったのですが、9月の平均気温は+1.8度。2度近い気温の差がありました。9月は秋口ですから、本来であれば「秋物」が売れ始めるシーズンです。

ですが、実際の気温は平均で24.4度と夏日に近い気温となっています。

では、「秋物」の動きを見てみましょう。


   背広服(秋冬物,中級品)
8月 3.2%
9月 -3.2%

   背広服(秋冬物,普通品)
8月 5.8
9月 1.1

   男子用ズボン(秋冬物)
8月 5.3
9月 2.6

   婦人用スーツ(秋冬物,中級品)
8月 4.3
9月 0.3

   婦人用スーツ(秋冬物,普通品)
8月 2.9
9月 3.4

   ワンピース(秋冬物)
8月 0.5
9月 0

   スカート(秋冬物)
8月 3.4
9月 1.6

   婦人用スラックス(秋冬物)
8月 1.2
9月 2.4

婦人用、に関してはスーツ(普通品)とスラックスという2分野において上昇していますね。
ウェイトとしては秋冬物全体のウェイトが45中婦人スーツ(普通品)とスラックスの合計は15ですから、縮小させる圧力の方が強いことが分かります。

「春夏物」に関しては当然処分に入っているわけですから、物価は下落するべき分野ではありますが、「背広服中級」が+2.8%、普通品が1%、男子用ズボンが2.5%、婦人用スーツ普通品が3.8%、ワンピース6.3%、スカート1.5%等、確かに8月の前年同月と比較すれば上昇幅は縮小しているものの、高い物価上昇率を維持していることが分かります。

背広服中級品等は秋冬物が-3.2%と下落する中で春夏物が2.8%の上昇、ワンピースは秋冬物0.5%から0%となる中で春夏物はなんと6.3%の上昇。

共に「8月」の上昇幅と比較すればその上昇幅は縮小していますが、本来処分に入らなければならない素材が前年と比較して物価を伸ばしている状況は、今年の「9月度」の物価の動きを象徴しているものといえるのではないでしょうか。

ちなみに、そのほか「コート」や「制服」などは男性用・女性用とも8月と同じ上昇率を記録している他、「子供用洋服」が逆に男児・女児ともに下落幅を拡大させています。「乳児服」に関しては4.4%から5%に上昇幅を拡大しています。


【「シャツ・セーター・下着類」の上昇幅が祝している理由】

もう、なんとなく想像がつきますね。

ご想像の通り、上昇幅を下落させているのは「セーター」と半袖の「ワイシャツ」です。
特に「セーター」に関しては、男子用セーターが4.5%から-1.4%にこちらは「下落」。婦人用シャツ・セーターが1.3%から-0.1%にこちらも「下落」。

この他、婦人用の長袖のTシャツが2.1%から-0.8%に「下落」。逆に女性用Tシャツは半袖が物価を上昇させています。

「被服及び履物」の費目に関しては、確かに「物価上昇幅を縮小」させてはいるものの、1.5%と物価が上昇していることには変わりありませんし、その主な理由として「季節の変わり目における気温の変化」が理由として考えられます。

この状況で、むしろ1.5%の伸び率を記録していることを好材料としてとらえるべきなのではないでしょうか。


次回記事では、もう一分野、「教養娯楽」費目について記事にしたいと思います。


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