第197回 内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より③など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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<継承する記事>第194回 「財政投融資債」とは何か?/「一般会計」と「財政投融資会計」の違い
記事は第194回の記事の続きです。

テーマは今回のタイトルにある、内閣府GDP算出方法の改定に関連した内容で、第193回の記事 に掲載した『国際基準「2008SNA」』より、

3.一般政府や公的企業の取扱精緻化
 ・一般政府と公的企業との間の例外的支払の取扱の精緻化 等

4.国際収支統計との整合
 ・財貨の輸出入における所有権移転原則の徹底 等

という二つのテーマについてご説明することを目的にしています。

第149回の記事 では、とくに3番の「一般会計や公的企業の取扱精緻化」というテーマについてご説明する上で、先に「財政投融資」という言葉についてご理解いただいておくことが必要だと感じたため、これを記事にしました。

それでは、改めて、まずは

「3.一般政府や公的企業の取扱精緻化」というテーマについて記事を進めていきます。


【一般政府や公的企業の取扱精緻化とは?】

内閣府資料 では、「一般政府や公的企業の取扱精緻化」について、以下のように掲載しています。

「公的企業から政府への特別な支払(財政投融資特別会計から一般会計への繰入れ等)の記録変更により、これまで振れの大きかった財政収支について、より基調の動きを記録」

つまり、「一般政府や公的企業の取扱精緻化」とは、「財政投融資特別会計から一般会計への繰入れ等の記録を変更」しますよ、ということです。

第194回の記事 に於きまして、「財政投融資特別会計」が、『政府の「一般会計」との間で、横断的に資金の行き来を行いながら運用』しているとお伝えしました。

平成28年度財政投融資特別会計

こちらは今年度。2016年度予算ベースでの「財政投融資特別会計」なのですが、右側、「歳出」の中に、「公債等事務取扱費一般会計へ繰り入れ」という項目がありますね?

これがそれに該当します。

28年度はこれが7100万円ですから、微々たるものであるように見えるかもしれませんが、

【「例外的支払」の例(「公的企業⇒政府」)】
2006 年度 財政投融資特別会計⇒国債整理基金特別会計 12兆円

2007年度 日本郵政公社⇒一般会計 約1兆円

2008年度 財政投融資特別会計⇒一般会計、国債整理基金特別会計 計約11.3兆円

2009年度 財政投融資特別会計⇒一般会計 約7.3兆円

2010年度 財政投融資特別会計⇒一般会計 約4.8兆円

2011年度 財政投融資特別会計⇒一般会計 約1.1兆円
(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構⇒一般会計 約1.2兆円
(独)日本高速道路保有・債務返済機構⇒一般会計 約0.3兆円

財政投融資特別会計に限ったものではありませんが、2001年度以降に限定して、これだけの金額が、「公的企業」から「一般政府」に「例外的に支払い」されています。

この際、GDPへの記載としては、「資産移転」という名目で計上されており、一見するとこれだけの金額、政府資産が増えたかのように見えてしまいます。実際そうなんですが、税収が増えたわけでもなんでもないのに収入が増えたように見えてしまうため、政府の財政状況が改善されたかの様に見えてしまうのです。

財政投融資特別会計的には、これらの資金は元々財政投融資資金を運用した結果生まれた「積立金」であり、財政投融資の資金は元々原資が「財政投融資債」と呼ばれる「国債」ですので、余剰資金が生れれば(利子率の変動に備えた一定の予備資金以外)全額「国債整理基金特別会計」へと組み入れられてきました。

上表で、「国債整理基金特別会計へ繰り入れ」とされているのがその積立金です。
財政投融資債の運用利益は国債の返済資金としても活用されているんですね。

ところが、2008年に勃発したリーマンショックの影響を受け、この財政投融資特別会計の積立金が切り崩され、「国債整理基金特別会計」ではなく、「一般会計」へと資産移転が行われているのです。

これは、実際の経済活動に伴ったものではありませんので、これを「GDP指標」に割り当てて国内の経済力を計る指標と考えるのは、本来であれば間違っているはずなのです。

このやり方は、今回採用される「2008SNA」だけでなく、これまで採用されていた「1993SNA」でも用いられていなかった、日本独特のやり方です。

「2008SNA」では、これを「資産移転」ではなく「持分の引出し」として項目を分けて表示します。
つまり、外側から見てこれらの収入が元々政府が同年に収入として得たものではなく、別会計から引き出したものだ、ということが外目から判別できるようにするわけです。

このことで、トータルでのGDPが変化することはありませんが、政府の収支状況もより正確な判断ができるようになりますね。


【国際収支統計との整合とは?】

よく読んでみたのですが、この項目は少しわかりにくいですね。私も誤解のないようにお伝えできるかどうかが少し自信ありません。

「財貨の輸出入における所有権移転原則の徹底」
とあります。

これ、要は日本が国外の生産地に対して、製造物等の「加工」を依頼した場合。
「財物」の移動があるかどうか、というところを重要視している様です。

つまり、車を1台製造するときに、車一台分、又はその一部を構成する材料が国境をまたいで移動した場合は確かに物の「輸出」と「輸入」が行われていますから、問題はありません。

ところが、製品が移動した後、物の移動がなくても、例えば電話で問い合わせをして、財物の移動が発生せずに問い合わせだけで依頼側の目的が完了したとしたら、これは当然「輸入」でも「輸出」でもありません。単に「サービス」の提供が行われただけです。

これまでは、この「サービス」についても輸入品、輸出品の金額に分配されていたわけですが、これを「財貨は財貨、サービスはサービスとして取扱なさい」という勧告を行っているのが2008SNAです。

まあ、どのみち「輸出入」に関連した部分ですので、日本国内の需要を計る指標としての重要性は薄い部分です。


次回記事に於きましては、①~③までの「GDP算出方法の改定内容」を総括する形で記事を締めくくりたいと思います。


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