第193回 内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より②など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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<継承する記事>第192回 内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より①
前回の記事の続きです。

内閣府が行うもう一つの改定基準、『新たな国際基準「2008SNA」』について。

「2008SNA」とは、日本語で正式名称を「2008年版国民勘定体系」という名称です。
こちらは2009年に、「国際連合」で合意された国民経済計算の「最新」の国際基準なのだそうです。

今更感マックスですが、つまり2009年に「国民経済計算(GDP)」の国際基準が改定されたのに、日本ではいまだにそれ以前の基準のものを用いていた、ということ。

内閣府資料によりますと、「2008年版国民勘定体系」とは、以下の様に掲載されています。

【国際基準「2008SNA」とは】
□国連で合意された国民経済計算に関する最新の国際基準

□前身の1993SNAからの変更事項は63項目にわたる

□1993SNAをベースに、90年代以降の経済・金融環境の変更を織り込んだ改定が中心。以下の4分野に集約

1.非金融(実物)資産の範囲の拡張等
 ・研究・開発(R&D)の資本化
 ・兵器システムの資本化 等

2.金融セクターのより精緻な記録
 ・雇用者ストックオプションの記録
 ・企業年金受給権の記録の改善 等

3.一般政府や公的企業の取扱精緻化
 ・一般政府と公的企業との間の例外的支払の取扱の精緻化 等

4.国際収支統計との整合
 ・財貨の輸出入における所有権移転原則の徹底 等

日本経済


【各国の以降状況】

この2008SNAの移行は、

・オーストラリア 2009年
・カナダ 2012年
・アメリカ 2013年
・ヨーロッパ各国 2014年
・韓国 2014年

と、日本以外の国はほぼ完了しており、日本はオーストラリアより7年、カナダより4年、アメリカより3年、欧州・韓国より2年遅れて導入するわけです。

これもまた、何だかなぁ・・・と思わざるを得ない部分ですね。


【金融セクターのより精緻な記録とは?】

2番は、同じ「国民経済計算」の中でも「分配側(生産側)GDP」の問題となります。

雇用者ストックオプションというのは、将来、一定の価格で雇用者が自社株を受け取ることができる権利のこと。
将来、権利を行使しようとしたときに、この「一定の価格」を株価が上回っていればこの雇用者は利益を得て、逆に下回っていればこの権利を放棄することができます。(上がるまで待つこともできます)

この、雇用者が手にした利益分を「雇用者報酬」これまでは計算に加えていなかったのですが、これを「雇用者報酬」に加えましょう、というのが「雇用者ストックオプション」に関する内容。

「企業年金」は所謂「国民年金」や「厚生年金」以外に企業に所属している従業員が積み立てている「上乗せ年金」のこと。
この受給権の記録を、これまでは上場企業にしか行っていなかったため、上場企業以外の企業にも導入しましょう、というのが「企業年金受給権」に関する内容です。


【非金融(実物)資産の範囲の拡張とは?】

この項目は、「生産側(分配側)」ではなく、「支出側」。つまり、私たちがよく見かけるあの「GDP」に関連する内容です。(生産側GDPと支出側GDPの違いについては、第164回の記事 をご参照ください)

「兵器システム」も同様だと思うのですが、「知的資本」。
ここでは「研究・開発」と記されています。今回の改定では、この「研究開発」という形を持たない成果物を生み出すためにかけられた費用を、「知的資本」として計上しましょう、ということになります。

「研究開発費」に該当するのは、

「人件費、原材料費、固定資産の減価償却費及び間接費の配賦額等、研究開発のために費消された全ての原価」

とされています。例えば「原材料費」であれば、その購入金額を「設備投資費」として企業は投資することができるわけですが、例えば「人件費」はこれがスタッフに対するお給料として発生していれば、これは「分配側(生産側)GDP」に計上されるものなので、支出側GDPには計上されません。

「固定資産の減価償却費」は読んで字のごとく減価償却されますので、固定資産の価値からマイナス計上されることになります。

「間接費の賦課額」というのは、例えば研究開発に直接関係のない、他の事業と共同で利用している設備の減価償却費であったり、研究開発は行わない、警備スタッフの人件費などを「研究開発費」として割り当てて原価計算する計算方法のことです。

従来、この様な費用は、「経費」としてそのまま処理されていたわけですが、今度の改定ではこのような経費を「研究開発費」として資産計上することとなります。

これまで計上されていなかった研究開発費が、GDP上「民間企業設備」という項目に計上されることになりますので、これがGDP全体を押し上げることになります。


次回記事では、「90年代以降の経済・金融環境の変更を織り込んだ改定」の内、残る2項目、その他改定内容についての解説を行っていきたいと思います。



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