第191回 内閣府 ビッグデータ活用の新たな経済指標開発へ②など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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この記事のカテゴリー >>政府データ(経済指標の見方)


<継承する記事>第190回 地域経済分析システム「リーサス」/ビッグデータの活用
改めまして、タイトルは「内閣府ビッグデータ活用の新たな経済指標開発へ②のタイトルで記事を作成してみます。

ニュースのみ、再掲しておきます。

【NHKニュースより(10月7日 5時34分)】
内閣府 ビッグデータ活用の新たな経済指標開発へ

GDP=国内総生産や家計調査などの政府の統計が、景気の実態を捉えきれていないという指摘があるため、内閣府は、スーパーの販売情報などのいわゆるビッグデータを活用した、新たな経済指標を開発することになりました。

政府は、国の経済規模を表すGDPや、消費の動向を示す家計調査など、数多くの経済統計を取りまとめ、景気判断や経済運営に生かしています。しかし、ネット通販の普及などにより、消費などの実態が経済統計に十分に反映されていないのではないかという指摘が出ています。

このため内閣府は、スーパーマーケットなどで蓄積されるPOSデータと呼ばれる販売情報や、カーナビによる経路の検索情報など、いわゆるビッグデータを活用した新たな経済指標を開発することになりました。内閣府では、ビッグデータを活用することで、景気の変化を迅速に捉えられるようになるほか、より深く分析することも可能になるとしていて、早ければ来年度にも試験的に新たな経済指標の公表を始める方針です。

ただ、こうした新たなデータは、天候などの特殊な要因で変動しやすい可能性も指摘されており、こうした課題をどのようにして克服するかを含めて、検討を進めることにしています。

ビッグデータ(イメージ)

記事は多他局・新聞社も出しているのですが、内容としてはNHKの記事が一番正鵠を射ていると思います。

現在の政府データについて問題だと考えられるのは、

1.指標のほとんどがサンプルデータであり、サンプルの取り方によって結果が大きく変わってしまう。

2.ベースとなったサンプルを抽出した時期と、比較する対象となる時期との間に複数年単位でのタイムラグがあり、今現在のデータを反映しきれていない。

3.「テレビゲーム」と「スマホゲーム」の関係の様に、同じカテゴリーでも活躍するフィールドが変化した場合でも、「古いフィールドが縮小している」というデータのみが反映され、新しいフィールドと比較しにくい状況が放置されている。

主にこの3つが挙げられると思います。


第159回の記事 や第164回の記事 は上記1番のケースの代表的な事例です。
GDP速報が1次速報と2次速報、確報とで内容が変わってしまうのも、「生産側(分配側)」で集計したGDPと「支出側」で集計したGDPの間で「統計上の不突合」と呼ばれるバイアスが発生するのも、この「サンプルデータ」の違いによるものです。

第165回の記事 でご紹介した「消費活動指数」と「消費者物価指数」の違いも同様ですね。

日本で消費されるものや生産されるものを、一寸の違いもなく、完全に掌握しろと言ってもまず無理な話だというのはその通りなのですが、特に「支出側」のデータを調査する際には「アンケート」という方法が用いられますので、回答者のさじ加減によってもその結果は異なってしまうのです。

勿論生産側のデータを計測する場合も、企業に対するアンケート結果が反映されるわけですが、消費者よりは少なくとも真剣に回答しますので、結果として正確性のある情報が出てきます。

ただ、それでも結局「人」が判断するものですし、また「サンプルデータ」であることに変わりはありません。

サンプルデータを全体に反映させるために計算式等が用いられるわけですが、この計算式を作成する際の大本になるデータを最大で5年前(一部データは10年前)のものを用いていますから、いくら指数演算を行って整合性を取ろうとしても、完全に正確なものは出てこないのです。

特に消費量や消費額が大幅に変動する際はその変動幅がより大きく判断されてしまう傾向がありますから、実際の市場動向とは異なる計算結果が出てくるのです。第53回の記事 でお伝えしましたね。

曲者となっているのは全ての統計を算出する際の大本となっている「ウェイト」の問題。
本来であれば「幾つ消費されたのか」という「消費量」を用いて分配しなければならないのに、単位も、重量も、付加価値も、何もかも異なる数多の「コモディティ」を分配するために、「共通の単位」として「金額」を用いなければならなくなっていること。

同じ「チョコレート」でも、「チロルチョコが幾つ売れたのか」ということと、ゴディバの高級チョコレートが幾つ売れたのか、というのでは全く意味が違います。

ゴディバチョコ

30粒入り8000円のゴディバチョコと袋詰め30個600円のチロルチョコでは、同じ「30粒」という単位でも、まったく意味が違いますね? 例としては極端ですが、現在の政府指標では、このようなニュアンスの違いが、正確に反映されていないのです。

だから第182回の記事 の事例のように、「トータルの売り上げ台数は変わらず、小型テレビの売り上げ台数が急落し、代わりに大型テレビの売り上げが伸びている」という状況が、消費者物価指数では一括して「テレビの物価が急落している」などという、現実とは全く違うデータに代わって出てきたりするのです。


また、このようにある意味「いい加減」に計測されている「ウェイト」は基本的に5年間同じものが利用されます。
これを指数演算することで「整合性が取れるように」しているのですが、先ほどのテレビの事例を見ても、とても整合性が取れている状況にはありませんよね?

この様な状況を問題視、内閣府では「アナログデータ」ではなく、ニュース記事にあるように、各スーパーマーケット等にある「POSデータ」やカーナビによる経路の検索情報などを活用した「データベース」を作成し、ここに外部からアクセスする形でより正確な「統計指標」を作成しようとしているわけです。

前回の記事 でご案内した「地域経済分析システム「リーサス」」などはその先駆け的なデータベースです。

ただ、同様に前回ご案内した通り、都道府県・市区町村ごとに確認できる「1年間に新たに発生した付加価値」の元となるデータが、4年前に集計されたデータである、というのでは話になりません。そこで、企業ごとの売り上げ・出荷情報等をリアルタイムでデータベースに反映させ、統計データ化させることが今回の目的だろうと思います。

カーナビ情報等は、基本的にGoogle等が公開している情報が主にはなるのでしょうが、公開されている分、政府としても利用しやすいと思います。

「アプリ」などをはじめとする「出荷」を伴わないネット販売、特にアプリ内課金等をどう反映させるのか、などは気にかかるところですが、まずは活用できる範囲から、複合的に利用していくことで、より正確な経済状況を反映させた指標が出来上がるのではないでしょうか。

統計データ好きの私としては、非常に楽しみなところです。

そして、何よりこのような「現物」としては資産が残りにくい「研究費」「開発費」であったとしても、ここから発生した利益が給与として従業員の所得に回されているわけですから、勿論このような「研究開発費」も本来であればGDPデータに加えるべきところです。

ということで、実は以前少し示しておきながら、そのまま放置していた、「内閣府GDP見直し」に関する記事を次回作成してみたいと思います。


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