第188回 2016年8月分毎月勤労統計(名目賃金/実質賃金指数)が発表されました。など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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この記事のカテゴリー >>実質賃金と名目賃金


前回の記事 に於きまして、「税収」の内、「源泉徴収分所得税」について少しお伝えしたと思います。

「源泉徴収」とは、所謂「給与所得者」が支払っている所得税ですから、この分野の所得税が減っているということは前年度と比較して「給与所得」総額が減少している可能性があることを示唆しています。

但し、あくまでも所得税が前年度割れをしているのは「累積」であって、8月単年度では前年比でプラスとなっています。
そこで、一体どのタイミングでマイナスになっているのか、ということを過去に遡って調べてみると、6月までは累計前年同月比で107.2%。つまり大幅なプラス成長。

ネックとなっているのは7月度の源泉分所得税収です。つまり、7月にある何か特別な出来事が原因である、ということ。
調べてみますと、源泉徴収の納付ルールの中に、「納期の特例」というルールがあり、特例の承認を受けている人は、今年の場合であれば2016年1月~6月までの支払い分を、一括して2016年7月11日に納付すればよい、ということになっています。

つまり、7月の納税額が極端に減少している理由として、昨年度(2015年度)1月~3月までの期間を含む特例期間に特例の承認を受けていた人の数が前年よりも減っていたことが理由としては考えられるようです。

今回の記事では、この内容に関連しまして、昨日(2016年10月7日)に厚生労働省より、名目賃金や実質賃金に関連した「毎月勤労統計」というものが発表されていますので、今年度8月の「賃金」に関連した情報を掲載できればと思います。


2016年8月分毎月勤労統計

賃金

あくまでもこのデータは、速報性を重視した、「常用雇用者数5名以上の事業所」の「サンプルデータ」となっていることを前提としてお伝えします。

ただ私、少し勘違いしていたのですが、「常用雇用者5名以上の事業所」であれば、その事業所に務める「常用雇用者以外の労働者」についてもデータとしては含まれている様です。

それでは改めまして、「2016年8月度毎月勤労統計」について。
ニュース等では、「実質賃金が0.5%増加しました」という情報がほぼタイトルとして取り上げられている様です。
ただ、「実質賃金」というデータは実際には存在しません。「実質賃金指数が増加した」というのが正確な情報です。

「実質賃金指数」は「名目賃金指数」を「消費者物価指数(持家に帰属する家賃を除く)」で割った指数です。

第178回 以降のシリーズでお伝えしていますように、8月の消費者物価指数も相変わらず「エネルギー価格の下落」に伴う影響で、「消費者物価指数」そのものが下落していますから、物価が下落した分「消費できる量」は増えますから、当然「実質賃金」は増加します。

ですので、今回のデータとしては「実質賃金」よりも「名目賃金」が増加しているのかどうかとういことの方が重要になります。
仮に名目賃金が下落していれば、それは企業が「給与」としての支出を減らしているということになりますからね。

企業が支出を減らすケースとしては、「企業業績が悪化している」もしくは「利益が膨らんでいるのに内部留保を増加させている」かのどちらかです。名目賃金の増減は「企業業績」を図る指標ともなるわけです。


悪化している「名目賃金」

そう。実は2016年8月度の「名目賃金」は「前年同月比」を下回っているのです。
下落幅は0.1%。微々たるものですけどね。

金額は全事業所の平均で27万1676円。ですが、です。
この項目を少し分解してみてみると、ちょっと違う事情が見えてきます。

「名目賃金」は「現金給与総額」を最大枠として、「きまって支給する給与」と「特別に支払われた給与」の二つに分けられています。「きまって支給する給与」が所謂「月給」のこと。「特別に支払われた給与」が所謂「ボーナス」のこと。

2016年8月度の「きまって支給する給与」は25万8977円で前年同月比0.3%のプラス増加。
一方「特別に支払われた給与」は1万2699円で前年同月比マイナス7.7%と減少しています。

そうなんです。実は、2016年度8月の「現金給与総額=名目賃金」を下落させている主犯は「特別に支払われた給与=ボーナス」だったのです。

でも、考えてみてください。ボーナスの支給額で1万2699円って、少し少なすぎると思いません?
8月ですから、確かにボーナス支給月である企業もあるかもしれませんが・・・・

ということで一般的にボーナスが支給されるであろう7月のデータを見てみます。


【2016年7月に支払われたボーナス】

7月度の「特別に支払われた給与」を見てみますと、11万2637円で、前年同月比プラス3.7%となっています。
金額にして前年より4042円のプラス。8月に「特別に支払われた」給与は前年同月比でマイナス879円。

7月は「きまって支給する給与」も0.1%増えています。つまり、8月の平均給与所得が前月を下回った理由は、昨年8月に支給されていたボーナスが前倒しで7月に支給されたケースが増えたから、と考えるのが正確な見方だと思います。


【「所定内給与」と「所定外給与」】

「きまって支給する給与」は、さらに細分化されていて、「所定内給与」と「所定外給与」の二つで構成されています。

「きまって支給する給与」全体は前年同月比0.3%とプラス成長しているのですが、「所定外給与」は実は-1.9%と大幅なマイナスです。一方「所定内給与」は0.5%でプラス成長しており、ここから見えてくるのはこれまで残業や時間外労働で対応していた分野を「所定内労働」で対応するようになり、時間外労働を行わずとも賃金が上昇する傾向が生まれ始めていると考えることができます。


【「一般労働者」と「パートタイム労働者」】

「毎月勤労統計」では、労働者全体を「一般労働者」と「パートタイム労働者」という分類でも分けています。

この分野を見ますと、全体で「一般労働者」が前年同月比で0.0%なのに対し、パートタイム労働者の前年同月比は-1.9%と大幅に減少しています。

「パートタイム労働者」で見てみますと、ボーナスは-7.2%。所定外労働が-8.5%と共にマイナス要因としては大きくなっているのですが、「所定内労働」だけで見てみましても、-1.7%と大幅に減少しており、一見すると「パートタイム労働者の扱いがひどくなっているのではないか」と考えることもできます。

ただ、「就業形態別」の労働時間を見てみますと、常用雇用者の前年比-0.5と比較して、パートタイム労働者の労働時間は-2.4と大幅に減少していることから、これまでパート労働者に頼っていた分野を常用雇用者が担うようになってきたと考えることができるのではないでしょうか。


勤労統計全体で見ると、「ボーナス払い」の影響こそあるものの、全体としては順調に給与所得は増加している、と考えることができるのではないでしょうか。


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