第180回 平成28年(2016年)8月分消費者物価指数速報/品目別CPI③など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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<継承する記事>第179回 平成28年(2016年)8月分消費者物価指数速報/品目別CPI②

それでは前回に引き続きまして、「10大費目別消費者物価指数」、残る7項目に関しまして記事を作成いたします。
前回の記事では、2016年8月度消費者物価指数「総合」からさらに

「食料」「住居」「交通・通信」「教養・娯楽」「光熱・水道」「諸雑費」
「保健医療」「被服及び履物」「家具・家庭用品」「教育」

の10項目についてさらに詳細「品目別」まで絞り込んで分析を行いました。
前回の記事では「食料」「住居」「交通・通信」の費目を分析しました。

「食料」においては「生鮮食料品」が、「住居」においては「家賃」および「持ち家の帰属家賃」が、「交通・通信」に於きましては「ガソリン代」「輸入車」「携帯通信料」がそれぞれマイナス要因として存在してることをご説明しましたね。


補足しておきますと、「交通・通信(ウェイト:1476)」の中でウェイトが大きいのは「自動車関係費(836)」。このうち「自動車等維持費(628)」のウェイトが大きく、中でも「ガソリン(206)」が大きなウェイトを占めています。この「ガソリン」の前年同月比が-12.5です。

また、「自動車(ウェイト:199)」のウェイトも大きく、この中でマイナス要因として影響しているのが普通乗用車B(輸入車/ウェイト:20)」の-1.1、および「小型乗用車B(輸入車/ウェイト:5)」の-9.7。小型乗用車Aの項目もウェイトが55と大きく、前年比も-0.1とマイナス要因となっています。

国内乗用車全体で考えるとウェイト40の軽乗用車が前年比+0.5、ウェイト80の普通乗用車Aが前年比0.4であり、小型乗用車Aのマイナス要因を完全に相殺してしまっています。

そう考えると、特に輸入車が自動車全体の物価に与えている影響がいかに大きいのか、ということが理解できます。

また、「通信」のウェイトも416と大きく消費者物価指数も前年度比-1.3%と大きな影響を示しています。
この中でも「通信料(携帯)/ウェイト:230」の前年同月比は-2.8%と大きく影響しています。携帯電話機(ウェイト:77)の前年度比も-0.8%と、大きな影響を及ぼしています。


「教養・娯楽」の消費者物価指数

教養・娯楽

「教養・娯楽(ウェイト:989)」は中分類では

「教養娯楽用耐久財」「教養娯楽用品」「運動用具類」「玩具」「切り花」
「その他教養娯楽用品」「書籍・他の印刷物」「教養娯楽サービス」

から構成されています。全体の前年同月比は0.4%とプラス成長です。

中分類別にみると、

「教養娯楽用耐久財(ウェイト:59)」 前年同月比-2.4
「教養娯楽用品(ウェイト:210)」 前年同月比-0.1
「書籍・他の印刷物(ウェイト:128)」 前年同月比 0.3
「教養娯楽サービス(ウェイト:592)」 前年同月比 0.8

「教養娯楽用品」

詳細に見てみます。

最も下落幅の大きな「教養娯楽用耐久財」。
ウェイトこそ59とそれほど多くはありませんが、この中には「教養・娯楽」の物価を押し下げている「戦犯」が含まれています。それが、「テレビ(ウェイト:15)」です。

テレビ

テレビの前年同月比は-15.3%となっています。「教養娯楽用耐久財」の中でテレビ以外にマイナスをつけている項目は一つもありませんので、間違いなくこの「テレビ」が「教養娯楽用耐久財」の物価を引き下げている主犯です。

この「テレビ」の項目を過去に遡って見てみますと、2014年、2015年と二年間にわたって、3月~5月にかけて前年同月比でマイナスを記録しています。ですが、2013年10月以降、それ以外の月は2016年5月まで 全て前年同月比はプラス成長。

2016年テレビの消費者物価指数(前年同月比)
1月 16.3
2月 16.2
3月 15.2
4月 14.5
5月 5.3
6月 -7.8
7月 -11.9
8月 -15.3

マイナスとなったのは2016年6月度より3か月間です。

特に2015年9月以降は昨対で18.2%~最大で22%の物価上昇率を示していただけに、この分野が一気に-15.3%まで下落している影響は決して小さなものではありません。

そこで、改めて「ミクロベース」のデータを確認してみます。
つまり、テレビが実際どのくらい販売されているのか、というデータを見てみます。

参考にするのは電子技術産業協会様のデータです。

【テレビ出荷数推移】
テレビ出荷数推移

【テレビ出荷数(前年同月比)推移】
テレビ出荷数(前年同月比)推移

上が出荷台数、下が前年同月比の推移です。「薄型テレビ」となっていますが、現在はほぼ全てのテレビが薄型となっていますので、事実上「テレビ」そのものの出荷台数です。サイズごとのデータが掲載されていました。

それぞれのサイズがどのくらいの価格で販売されたのか、というデータは発見することができなかったのですが、通常サイズが大きくなればなるほど単価は高くなります。

特に「前年同月比」を見ていただきたいのですが、確かに2016年6月は、全てのサイズで前年同月比を下回っています。
飽くまで出荷台数の話ですが、全体で78.9%(-21.1%)となっていますので、消費者物価指数の-7.8%というのも適正だと考えられるかもしれません。

ですが、7月・8月はいかがでしょう。7月は出荷台数が102%、8月は98.6%となっています。
8月は確かに出荷台数はマイナスとなっていますが、その内訳をみてみますと、29型を下回る価格帯の低いテレビが大幅に減少し、代わりに37型以上の、単価の高いテレビが出荷台数を伸ばしています。

単価の低い商品が売り上げを減らし、単価が高い商品が売り上げを伸ばし、売り上げ台数そのものはほぼ横ばいであるとすれば、普通売り上げ単価は上昇するのではないでしょうか?

これは7月にも同じことが言えます。理由はいくつか考えられますが、一番大きいのは、「消費者物価指数」は「消費者」を主にその対象としており、電子技術産業協会は出荷する側のデータを対象としているということ。

統計上の不突合」 の一種であり、統計局データが、正確に市場動向を反映しきれていない、その一例であると考えることができます。


【教養娯楽用品】

もう一つ、前年同月比の下落幅こそそれほど大きくないものの、「ウェイト」の大きな項目が「教育娯楽用品」です。

「文房具(ウェイト:22/昨対1.8%」
「運動用具類(ウェイト52/昨対-1.7%」
「玩具(ウェイト:21/昨対-1.6%」
「切り花(ウェイト:31/昨対-1%」
「その他教養(ウェイト84/昨対1.2%」

がここに含まれます。マイナス要因となっているのは「運動用具類」「玩具」「切り花」の3つです。

「運動用具類」の中で、マイナス要因となっているのは

「釣り竿(ウェイト:11/昨対-0.6%)」、
「トレーニングパンツ(ウェイト:15)/昨対-10.6%)」、
「水着(ウェイト:6/昨対-1.1%」

となっています。
明らかに影響が大きいのは「トレーニングパンツ」ですが、これ、何か特別な方法を取って解決できるような品目ではありません。
取れないことはありませんが、余りに無意味な分野だということはご理解いただけると思います。

これは「釣り竿」も「水着」も同様ですね。政策的に、何かブームでも起こすくらいしか方法はないと思いますね。
同じ理由で、中分類中「切り花」についても特に話題とすることはありません。

ただ、もう一品目。「玩具」については少しだけ言及してみます。

マイナス要因として影響しているのは

「家庭用ゲーム機(据え置き型/ウェイト:1/昨対-12.2)」、
「ゲームソフト(ウェイト4/昨対-0.3)」、
「組み立て玩具(ウェイト:5/昨対-1.8)」

です。これ、言及といいますか、時代の流れを感じますね。
かつてはファミコンやプレイステーションなどの「据え置き型」のゲーム機が流行しており、「ソフト」をセットすることで動かしていたわけですが、この分野が今や「スマートフォン」に奪われてしまい、当然スマートフォンですから「玩具」としてはカウントされません。

そういえば、「消費者物価指数」に「アプリ」は含まれているのでしょうか?
ざっと見たところ、どうも含まれている様子がありません。5年前にも「なかった」ものではありませんが、現在は当時と比較して、明らかにこの分野にお金を使う人も増えています。

「アプリ内課金」などもありますしね。「通信料」の中に含まれているのでしょうか。このあたり、ぜひ「消費者物価指数」にも反映させてもらいものですね。


「教育娯楽」の消費者物価指数に対する評価

話題が長くなりますので、一旦ここで記事を切ります。

「教育娯楽」分野。もともと物価指数の昨対は0.6%ですから、分野そのものが物価を引き下げる要因とはなっていないのですが、安倍内閣・日銀が目指す「物価上昇」は2%。「物価上昇」としては「生鮮食料品を含まない総合=コアCPI」の上昇を目指しています。

そう考えると、0.6%という数字は2%を下回る数字ですから、決して「好ましい」と考えることはできません。
そう考えた場合、先述した「テレビ」の消費者物価の下落に関しては、実際の経済状況を正確に反映できているものだとは思えませんので、ここはきちんと見直すべきなのではないでしょうか?

またインターネットからダウンロードして遊ぶことのできる「ゲームアプリ」や喩え無料アプリであったとしても、そのアプリ中で利用する「課金システム」等もきちんと消費者物価指数に反映できる指標を作成することが大切なのではないでしょうか?

何よりこれが昔の「ゲームソフト」の代わりになっているわけですから。
データが正確に反映されれば、今回記事にした「教養・娯楽」の分野の「消費者物価」は今回発表されている数字を大幅に上回るものだと考えられます。


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