第177回 「3年連続平均給与増」に共産党赤旗フィルターをかけると・・・など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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<継承する記事>第176回 就業者数と完全失業者数の推移(平均給与が増えない理由)

前回までの記事では、国税庁によって発表された「1年を通じて働いた人の平均給与所得」が3年間連続で上昇しましたよ、というニュースを受けて、国税庁が公表した「2015年民間給与実体統計」の解析を行ってきました。

非常に前向きな、明るいニュースなのですが、同じニュースに「共産党フィルター」をかけるとこんなニュースに変化します。


【新聞赤旗より】
働く貧困 3年連続1100万人超 第2次安倍政権発足後に増加
 国税庁が28日発表した2015年分の民間給与実態統計調査によると、1年を通して働いても年収が200万円以下のワーキングプア(働く貧困層)は1130万人と3年連続で1100万人を超えました。

 第2次安倍晋三政権が発足した12年末以降、貧困層が急増したことになります。とりわけ賃金水準が低い非正規雇用の増加が貧困層の増加に拍車をかけています。

 年間賃金の平均額は420万4000円と前年にくらべて5万4000円増加しました。男女別にみると男性が前年比6万1000円増の520万5000円だったのに対し、女性は同3万8000円増の276万円で男女格差は広がりました。

 雇用形態別にみると、正規雇用労働者が同7万2000円増の485万円に対し、非正規雇用は171万円と同8000円の増加にとどまり、正規と非正規の格差も広がりました。

絶句ですね。

こちらは同じ記事中に赤旗が掲載しているグラフです。

【年収200万円以下層の推移】
赤旗200万


安倍内閣に入って、「完全失業者」と「非労働力人口」を合わせると、3年間のトータルで224.2万人減少しています。(その分「就業者」の数が増えています。)

ですが、同じ情報を、赤旗で掲載している内容より抜粋すると、

「国税庁が28日発表した2015年分の民間給与実態統計調査によると、1年を通して働いても年収が200万円以下のワーキングプア(働く貧困層)は1130万人と3年連続で1100万人を超えました。第2次安倍晋三政権が発足した12年末以降、貧困層が急増したことになります」

と記されています。
安倍内閣がスタートする前年、2012年の「ワーキングプア層(年収200万円以下層)」は1090万人です。

同じ項目が、2015年には1130.8万人となっており、このことを共産党は「ワーキングプアが急増した」と言っています。
40万人増えていますから、確かに「急増した」と言えないことはないかもしれません。

ですが同じ年、給与所得者全体の数は5646.3名で、2012年と比較して、実に224.2万人増えています。
述べ勘定にはなりますが、この224.2万人の人たちは皆2012年には「就業者」ではありませんでしたから、収入はゼロ円でした。(重複している部分はご勘弁を。)

増加率だけでいえば、ワーキングプアの増加率は2012年比で37.4%なのに比べて、ワーキングプア以外の増加率は42.3%と、ワーキングプアの増加率を上回っています。


次に、以下のグラフをご覧ください。

【ワーキングプアおよび給与所得者数の増減幅(2011年比)】
給与所得者数(2011年比)の推移

こちらは、先ほどの「年収200万以下層」の推移を、「給与所得者」全体の数と比較したものです。

(各年の給与所得者数)-(2011年給与所得者数)
という計算式の計算結果をグラフ化しています。

緑がワーキングプア数、青が給与所得者総数の推移です。
2012年、民主党内閣時代は給与所得者総数が減少する中で、ワーキングプアの数のみが上昇しています。

安倍内閣がスタートしたときは、逆に就業者数が一気に増加しました。2012年と比較すると、就業者数が113.3万人の増加。ワーキングプアは29.9万人の増加です。増加したワーキングプアの増加した就業者数に占める割合は26.3%。

民主党内閣当時、無職であった113.3万人が就業者となり、残念ながらその内29.9万人は年収200万以下の収入しか得られていませんが、それでも彼らは安倍内閣がスタートするまでは「収入ゼロ円」だったわけです。

翌年、「給与所得者」は全体で56.9万人増えており、安倍内閣に入って通算で170.2万人就業者は増加しています。
ワーキングプアも同様に増加し、安倍内閣に入って通算で49.2名増加したことになりますが、では、2013年に「ワーキングプア」であった人たちは、2014年も継続して「ワーキングプア」だったのでしょうか。

2014年に新しく「就業者」となった無職者たちは、全員が全員年収200万以上手にしたとは考えられません。
となれば、ワーキングプアの内何割かは年収200万円以上を手にすることとなり、入れ替わりでこれまで「無職者」であった人たちがワーキングプアとなった、と考える方が正確でしょう。

また更に、2015年には更に54万人増え、安倍内閣に入って通算で224.1万人増加しています。
ところが、ついに「ワーキングプア」の数は前年を下回り、8.4万人の減少に転じています。

2015年の時点で、安倍内閣に入って増加した「就業者」の内、「ワーキングプア」に該当する人たちは高々18.2%に過ぎないのです。就業者全体の数字にはまったく着目せず、「ワーキングプア」の数字のみに着目して、

「働く貧困 3年連続1100万人超 第2次安倍政権発足後に増加」

というタイトルを付ける当り、さすが共産党フィルターですね。

ちなみに、先ほどと同じグラフを「2012年比」で作成するとこんな感じになります。

【ワーキングプアおよび給与所得者数の増減幅(2011年比)】
の給与所得者数(2012年比)の推移

給与所得者数(2011年比)の推移

2011年のものと比較すると、随分印象が変わりますね。
2015年のデータを以て、今更「安倍内閣に入ってワーキングプアが急増した」などと、とても表現できる資料ではありません。

就業者が増えるとき、ワーキングプアを増やさず、年収200万円以上の給与所得者のみを急増させる方法があるのなら、ぜひ共産党のみなさんに教えていただきたいものですね。



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