第176回 就業者数と完全失業者数の推移(平均給与が増えない理由)など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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<継承する記事>第175回 2015年民間給与統計(国税庁Ver.)が発表/3年連続の増加②er.)が発表/3年連続の増加
今回の記事を作成する理由は、「年間平均給与所得がリーマンショック前を上回らない理由」を解析することにあります。

前回の記事 に於きまして、私の中にこの理由を推察するコンセプトが存在することをお示ししました。ただ、現時点でもまだ本当に私の思った通りの解析結果を出せるのかどうかはまだ未確認です。この記事を作成しながら追いかけてみたいと思います。

まあ、いつも同じやり方をしているのですが。
今回利用する資料は、下記データです。

【就業者数/完全失業者数の推移】
就業者数・完全失業者数推移
左軸が「就業者数」、右軸が「完全失業者数」です。単位は「万人」です。

用語のご説明をしておきますと、「就業者数」とは読んで字のごとく、「就業している人」の数です。
その調査期間中、通年で働いた人の数です。

一方「完全失業者数」とは、対象期間中「労働する意欲」はあったけれども働けなかった人。
ハローワークに登録して求職活動を行っていたけれども結局就職できなかった人の数です。

この二つの数字を合わせて「労働力人口」といいます。
一方で、例えば学生であるとか、家事に専念している、などの理由で求職活動を行っていない人たちのことを「非労働力人口」といいます。

「非労働力人口」の中には、例えば定年で退職した人の他、例えば病気で働くことができない人、そもそも労働する意欲がなくて求職活動を行っていない人、又は本来であれば労働する意欲があるのに、求職活動を行うことをあきらめている人、なども含まれています。

それでは、先ほどのグラフに戻ります。

【再掲】
就業者数・完全失業者数推移

こちらには、「就業者数」と「完全失業者」、つまり「労働力人口」のみを掲載しています。
左軸が「就業者数」、右軸が「完全失業者数」です。単位は「万人」です。

考え方としては、仮に「労働力人口」に変化がない、と考えると、「完全失業者数」が減った分だけ「就労者数」が増えますし、「就労者数」が減った分だけ「完全失業者数」が増えることになります。

このグラフだと少しわかりにくいと思いますので、以下のようなグラフを用意しました。

【就業者数/完全失業者数 増減幅の推移】
就業者数・完全失業者数増減幅推移

ここに、前回の記事でお示しした「平均給与所得」のグラフも合わせて掲載してみます。

【平均給与所得の推移】

2015年国税庁平均給与推移

2005年~2007年にかけてのデータを見てみますと、完全失業者数の減少幅はほぼ一定なのに、就業者数は完全失業者数を上回るペースで増えていますね。2005人ですと8万人、2006年が14万人、2007年は20万人合計数=労働力人口が増えています。

つまり、これまで求職活動すら行ってきていなかった人が、3年間で合計32万人就業者になったということです。
例えば2005年の平均給与は438.6万円です。

これは「平均」ですから、2006年の就業者の年間平均給与-438.6万円がプラスになる人よりもマイナスになる人の数が多ければどうしても平均給与は下落します。2006年に増加した就業者の数は33万人で、往々にして増加した就業者の平均賃金は前年の平均賃金を下回っていますから、結果的に2006年の平均賃金を引き下げることになります。

ところが、これが2007年になりますと、就業者そのものも2006年を上回る38万人増加しているにも関わらず、平均給与は2006年を上回っています。これをどうとらえるのかは難しい処ですが、それだけ景気が良かった、と考えるべきなのかもしれません。

ところがその翌年。2008年になると、就業者と完全失業者のプラスマイナスが逆転します。リーマンショックの起きた年です。
平均給与所得も下落していますね。失業者が増え、就業者が減ったということですが、就業者の下落幅は完全失業者の上昇幅を上回っています。

考えられるのは、「定年退職者」の存在。リーマンショックを契機に、一気に解雇されたのかもしれません。
平均給与所得を引き上げる立場にあった人たちが一斉に職を失ったわけですから、一気に平均給与所得を引き下げてしまいます。

その翌年はさらに顕著です。95万人の人が職を失い、71万人の人が完全失業者となります。
その差が21万人。21万人の人は、求職者ですらなくなったということですね。生活保護受給者なども大幅に増加したのではないでしょうか。

言及を強いられた人も多いでしょうし、「雇用調整助成金」などを使った企業もあるでしょうから、そのような人たちは前年度標準課税月額の対象となる給与の66.6%にまで減給されることになります。

この後の3年間は「就業者」と「完全失業者」の数がともにマイナスを記録しています。
「完全失業者」の数が増えるということは、給与所得ゼロの人が増えていることを意味していますし、労働力人口から非労働力人口へと移行する人の数が増えるということもまた給与所得ゼロの人を増やしていることを意味しています。

平均給与所得もこの間減少し続けていますね?

リーマンショックと民主党政権の無策のおかげで、下落し続けた平均給与所得がベースとなって安倍内閣はスタートしました。
団塊の世代が定年を迎え始めた(65歳になり始めた)のがちょうど2013年。安倍内閣がスタートした年です。

定年退職者が最も増加したであろう年に、安倍内閣は年間で約8万円平均給与所得を上昇させました。
しかもこれまで無職であった人たちが、一気に40万人も就業者となったその年に、です。

前述しましたが、無職者が就業者となった年は、往々にして前年の平均給与所得を下回る所得しか受け取ることはできません。
つまり、就業者となった無職者たちは、平均給与所得を引き下げる要因でしかないのです。

平均給与所得を増加させる最も手っ取り早い方法は、無職者の数のみを減らし、就業者数を安定させることです。
その典型的な事例が2015年のデータです。

過去10年間の中で、特に景気が良かったはずの2005年~2007年と比較して、完全失業者の減少幅も、就業者数の上昇幅もともに最も狭くなっていますが、「平均給与所得」の上昇幅は14.6万円と、過去10年間で最も大きくなっています。

完全失業者少なければ、本来就業者数の上昇幅も狭くなるはずです。
完全失業者の減少幅が狭いにも関わらず、就業者の上昇幅のみが大きくなる社会とは、「働けるのに働こうとしない人」が多く存在することを意味しています。

さあ。「完全失業者」の数も安定し始め、就業者数も落ち着いてきたわけですから、これからは「既存の就業者の平均給与所得」の上昇に専念できますね。

というより、必然的にそうなるはずです。「安倍内閣において、平均給与所得はいまだにリーマンショック以前の水準に戻っていない」とわめく人もいるかもしれません。

ですが、そういう人たちに限って「高給取り」をディスります。例えば、「日本共産党」の様に。

【次回テーマ】
次回記事では、前回、前々回、そして今回とテーマにした「国税庁データ『平均給与所得』」について、『共産党フィルター』をかけてみるとどうなるのか、ということを記事にしてみたいと思います。


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