第161回 「共産主義」と「社会主義」の違いをわかりやすく説明しますなど、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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私のブログを訪れてくださっているキーワードの中に、「社会主義 共産主義 違い」というキーワードからの検索がよく見られます。

訪問先としては第62回 「共産主義」と「社会主義」 をご訪問くださっているのですが、ではこのページが本当に「共産主義」と「社会主義」という言葉の違いを端的に、きちんと説明できているのかというと、これは必ずしもそうではないと思います。

1848革命

シリーズ共産主義と左翼 の中でも、結局総括しきれていなかった問題ではないかと思っています。

【今回のテーマ】
そこで、今回の記事では、このような過去のシリーズで総括することができていない、「社会主義」と「共産主義」の違いについて、改めてきちんと総括するかたちで記事にしてみたいと思います。


「共産主義(コミュニズム)」という言葉は、いったい誰が考え出したのですか?
これは、フランス革命当時の「フランソワ=ノイエ=バブーフ」という人物です。
第61回 「共産主義」のルーツ

彼は、哲学者「ジャン=ジャック=ルソー」の思想の影響を受けており、「自然界において人は平等であり、土地の所有や財産の相続よって身分、階級が生まれ、不平等が発生した」と考えていました。

このことから、彼は「土地の所有や財産の相続」を否定し、『支配するものが存在せず、「政府」そのものが存在しない社会』(完全なる平等社会)の実現を目指しました。

その方法として彼が考えたのが「物品の共同管理に基づく配給行政」。
たとえ個人がその能力によって得た成果物であったとしても、それをいったん情報として登録し、成果物を国庫に納付させた後、全ての国民に対して平等に分配する。

これがすなわち「共産主義」の考え方です。


「共産主義」という考え方を広めたのは誰ですか?

この、「共産主義」という考え方を広めた人物こそ、あの「カール=マルクス」です。
第62回 「共産主義」と「社会主義」

ヨーロッパの「労働者」、「社会主義者」によって設立された国際政治結社である「第一インターナショナル」。
この組織ができる前のイギリスにおいて、「共産主義者同盟」という共産主義者による国際秘密結社が設立されました。

この団体の綱領になったのが「共産党宣言」。彼はこの著書によって「共産主義」というものの「定義づけ」を行いました。


「共産主義:と「社会主義」の違いは何ですか?

カール=マルクスは、この著書の中で、「社会主義」と「共産主義」の違いについて、次のように言及しています。

「社会主義はブルジョアの運動を意味し、共産主義は労働者の運動を意味した」

「ブルジョア」とは資産階級のこと。一方で「労働者」とは現地では「プロレタリアート」と呼ばれていました。

フランソワ=ノイエ=バブーフの活躍したフランス革命下では、「ブルジョワ」も「プロレタリアート」も共に「第三身分」という身分にカテゴライズされており、フランス革命は「ブルジョワ」も「プロレタリアート」も一体となった「第三身分」によって起こされた革命でした。

ですが、マルクスの時代になると、同じ第三身分の中でも、この「ブルジョワ」と「プロレタリアート」の間に明確な線引きが行われつつあった、ということなんでしょうね。ちなみにこの「ブルジョワによる運動」の延長線上にあるのが「資本主義社会」です。

マルクスは「共産党宣言」の中で以下のように訴えています。

【共産党宣言より引用】

共産主義者はどこでも、あらゆる国の民主主義政党との同盟と協調に努める。共産主義者は、その見解や目的を隠蔽することを、軽侮する。共産主義者は、自分たちの目的が、これまでのいっさいの社会秩序の暴力的転覆によってしか達成されえないことを、公然と宣言する。


「自分たちの目的」。つまり『支配するものが存在せず、「政府」そのものが存在しない社会』の実現は、「これまでのいっさいの社会秩序の暴力的転覆」によってしか実現できないとしています。

つまり、「共産主義社会」の実現は、唯一「暴力」によってのみ実現可能である、と。

ところが、1875年のドイツに誕生した「ドイツ社会主義労働者党」。
この政党にマルクスも参加するのですが、この政党の綱領となった「ゴーダ綱領」には、このようなマルクスの考え方が反映されていませんでした。

このことに対してマルクスは痛烈な批判を行いますが、このようなマルクスの考え方は反映されず、社会変革は平和的に進めていくべきだ、とする「フェルディナント・ラッサール」という人物の考え方が採用されました。

マルクスは、「社会主義」と「共産主義」の違いを「ブルジョワによる運動」か「プロレタリアートによる運動」かというところで定義を分けたのですが、のちの国際社会は、これを「平和的に実現するのか」それとも「暴力的に実現するのか」というところで定義づけが行わて行きます。


後の社会主義国家と共産主義国家はどう違うんですか?

マルクスは、先ほどお伝えした「暴力による革命」と同時に、資本主義社会から共産主義社会へ移る過渡期には、「プロレタリアートによる独裁」が必要であるとも述べています。

旧ソ連や中国などの社会主義国家は、このマルクスの考え方を汎用させた政治システムです。

「ソビエト」がそもそも「労働者の代表によって構成する評議会」を意味しますから、「ソビエト」というプロレタリアートたちによる「独裁」。中華人民共和国も元々は「中華ソビエト共和国」でしたから、これらの国々は、つまり「資本主義社会(帝国主義社会)から共産主義社会への過渡期にあった」と考える人たちもいます。

「共産主義」が本当に実現できればそこには「政府」も「国家」、また「管理者」でさえ必要は無くなりますから、「ソ連」も「中国」も、そこに「国」というフレームがある以上「共産主義社会」ではありません。特に現在の共産主義者たちは、このような過渡期にある政治システムを「社会主義社会」と定義づけているようです。

どのみち、現実問題として「共産主義社会」を実現することは不可能ですから(世界から「国」や「管理者」を消し去ることはまずできません)、「共産主義者」とはすなわち「共産主義社会の実現を目指す人々」のことであり、いわゆる「社会主義」を主張する人たちも、立派な「共産主義者」だと考えることができます。

また一方で、「社会主義」は「社会民主主義」とも呼ばれ、「民主主義」とはすなわち「社会主義社会」の延長線上にある社会と考えることができます。

ということで、いかがだったでしょうか。立場によって「社会主義」という言葉の定義づけが多様に変化している様子はご理解いただけたと思います。まとめますと、「社会主義」と「共産主義」の違いについての考え方は、

① ブルジョワによる運動が「社会主義」であり、プロレタリアートによる運動が「共産主義」である。
② 平和的に「完全平等主義」を実現するのが社会主義であり、これを暴力によって実現するのが「共産主義」である。
③ 「社会主義社会」とは、「資本主義」から「共産主義」へと移行する途中の「プロレタリアートによる独裁」がおこなれている社会である

という3つの考え方がある、ということです。これを採用する人、立場によってどれを選んでいるのかが変化している・・・というのが本当のところだと思います。
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