第160回 2016年度7月次税収(消費税収・所得税収等)が発表されました。など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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消費税問題 のカテゴリーなどで時々お示ししてはいるのですが、実は日本国政府が公表している「税収」は毎月1日に発表されています。

基本2か月遅れでの発表なのですが、「税収」は「GDP」や「消費者物価指数」などのマクロ指標とは異なり、「推測」ではなく「実績」の統計データが発表されますので、結構信頼性の高いデータです。

「税収」は実績である以上、「支払われた税金」しか計上されないという欠点はあります。
つまり、「支払われていない税金」に関しては計上されないため、その分本来の結果との間で「ブレ」が生じます。
ただ、そのことをあらかじめ想定して考えることで、より確実性の高い分析・および予測が可能になります。

今月1日にも、今年度7月次のデータが公表されています。

【平成28年(2016年)度 7月末租税及び印紙収入、収入額調】
平成28年度 7月末租税及び印紙収入、収入額調 財務省

【今回のテーマ】
今回の記事では今月1月に公表された2016年度7月のデータに関して、その評価と今後の経済に対しての予測を行ってみたいと思います。


7月次のデータのみを記事にする理由

4月~6月のデータもすでに発表されているのに、なぜ今回わざわざ7月のデータのみを発表するのかというと、まずあるのは、「納税の申告期限」に関連する問題。

税金の申告期限は、基本的に「2カ月後」となっていますので、例えば今年度4月に確定した税金の申告期限は6月になります。
つまり、4月に発生した税金の納税が6月に行われる、ということですから、4月、5月の時点ではまだ正確な税金の申告がおこなれていないということ。

この理由が第1点。もう一つの理由は、「税金の還付」の問題です。

例えば、「消費税」で考えると、消費税は「国内では販売されたもの」に対してのみかかる税金ですから、海外に対して販売されたものに関しては消費税は当然課税されません。

ですが、例えば「自動車」で考えた場合。一台の自動車が出来上がるまでの間に、一つ人の部品、また部品の中に含まれる部品などには「消費税」がかけられています。ところが、最終消費支出者は海外の住人ですから、海外の住人から消費税は徴収できません。

自動車メーカーは自動車を制作するまでの流れの中で、部品メーカーに対して本来支払う必要のない消費税を支払っていることになりますから、その納税分が自動車メーカーに対して還付されます。

この還付金が申告期間の期首に還付されるため、「消費税」の項目では申告期間の期首納税額はマイナス計上されます。
このマイナスが6月まで継続していたため、6月次のデータはお示ししませんでした。

また、この「還付」は消費税だけでなく「法人税」、「所得税」に対しても別途還付制度が用意されています。
この関係で法人税は7月度もマイナス計上されていますので、今回の記事では「法人税」に関しては対象から外します。

以上の前提条件の下で今回の記事を作成いたします。


「所得税収」の実績

ということで、「7月次データ」ではありますが、その内容は「5月次」のデータが基本的に反映されていると思ってください。

「所得税」は「源泉分」と「申告分」という二つの税収枠があります。
「源泉分」とは就労者が「給与所得」として受け取った所得に対してかけられる税収。

「申告分」とは「青色申告」または「白色申告」を行った企業や個人に対してかけられる税収です。

過去のデータも参考にすると、「源泉分」に関しては4月のみマイナスで5月からはプラスに転じているのですが、「申告分」に関しては5月までマイナスが続いています。マイナスは基本的に「還付」が行われたことが理由であると考えらえます。

つまり、給与所得者への還付は4月1か月で終了したけれども、青色申告や白色申告を行った企業・個人に関しては6月まで還付が行われたということでしょうか。

【所得税収源泉分】

5月分は6122.15億円で前年同月比110.1%
6月分は1兆1421.09億円で前年同月比105.7%
7月分は3兆1281.77億円で前年同月比92.0%
7月分累計が4兆8835.01億円で前年同月比96.9%となってます。

7月度の税収が少ないですね。これが累計全体にも影響を与えています。

【所得税収申告分】

6月分は308.42億円で前年同月比83.7%
7月分は4803.66億円で前年同月比105.2%
7月累計が4645.04億円で前年同月比105.3%となってます。

所得税収全体での累計は5兆3480.05億円で前年同月比97.6%。

ただ、政府の予算比では100.9%となっていますので、これはほぼ予想通り、ということでしょうか。


「消費税収」の実績

消費税について企業が行う申告に関しては、「申告期限に伴うバイアス」が含まれています。

中間申告の方法

申告を毎月行わなければならない企業は前会計年度の消費税納税額が4800万円を超える企業のみ。
これ以外の企業に関してはまだ消費税に関する中間申告を行っていませんので、この点にご注意ください。

【消費税収】

7月分は1兆6657.23億円で前年同月比95.1%
7月累計が1兆4603.38億円で前年同月比84.8%となってます。

7月単月分の税収はさておき、累計は84.8%。かなりな減収となっています。
ただ、これは7月分の税収よりも4~6月分の「還付」による影響が大きいと思われます。

昨年度「還付」が行われたのは2014年度の税収に対する還付です。14年は増税年度であり、決算月の関係から、一部企業がまだ増税前、税率5%での納税を行っている年度に対する「還付」でしたから、全期間8%税収で徴収された2015年度の還付分と比較するとその還付額も少額となっています。

現時点での消費税収の累計が大幅に昨年を下回っているのはおそらくこのことが原因です。


「揮発油税収」の実績

今回は少し珍しいのですが、この「揮発油税収」に関しても掲載してみたいと思います。

【揮発油税収】

4月分は23億円で前年同月比398.6%
5月分は37.67億円で前年同月比433.5%
6月分は2092.86億円で前年同月比100.1%
7月分は2183.75億円で前年同月比108.5%
7月累計が4314.51億円で前年同月比105.0%となってます。

なぜこのデータをお示ししたのか。
これは察しの良い方であればもうお気づきかもしれませんね。

「揮発油税」。つまり「ガソリン」等に関してかかる税金です。
これは消費税の様に「消費額」にかかる税金ではなく、「消費量」に対してかかる税金です。

つまり、「ガソリン」等の「消費量」が増えていることをこの数字は示しています。
ガソリンの物価が14%の水準で下落している中、消費量はこれだけ増えているということ。

当然企業の「利益」も上がっているはずですし、これだけのガソリンの「消費」が増えているということは、それだけ自動車等での移動距離が増えているということになります。

勿論ドライブの為に移動する人はいますが、普通は何かの目的があって自動車等で移動します。
つまり、移動先、又は移動途中で何らかの「消費」が起きている可能性が高いわけです。

いくらガソリン代が安くなったからと言って、何の目的もなく移動するケースより、何らかの目的があって移動するケースの方が多いのではないでしょうか。まあ、このあたりは「推測」にすぎませんが、2016年度の「消費」が拡大していることを期待させる数字ですね。


一般会計税収の累計

こちらが最後の数字です。

【一般会計税収】

7月累計が8兆7677.44億円で前年同月比94.9%となってます。

一般会計税収の下落分が-4700.15億円ですが、消費税収の下落分が-2916.42億円、また法人税収のマイナス分が前年と比較して-1953.86億円分大きくなっており、この二つを合計すると-4870.28億円と一般会計税収の下落分よりも大きくなりますから、この部分が改善して来れば一般会計税収全体も昨年を上回る水準にまでは回復してくるのではないかと考えられます。

現在の段階ではまだ「参考程度」にしかなりませんが、今後の税収の動きについてもご報告できればと考えています。



このシリーズの過去の記事
>> 第186回 2016年度8月次税収(消費税収・所得税収等)が発表されました①
このシリーズの新しい記事
>> 第116回 消費税問題最終結果から検証する新たなる課題

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