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<継承する記事>
第206回 平成28年(2016年)9月消費者物価指数速報/コアコアCPI下落の理由②

前回の記事に引き続きまして、今回の記事では、10大費目別の内、「前年同月比が『悪化』している項目」について記事にします。

復習します。「10大費目別消費者物価指数」を「前年同月比」に着目して掲載しますと、以下の通りです。

食料
8月 0.6
9月 0.6

住居
8月 -0.1
9月 -0.1

水道・光熱
8月 -7.2
9月 -6.2

家具・家庭用品
8月 -1.2
9月 -1.5

被服及び履物
8月 2.4
9月 1.5

保健医療
8月 0.9
9月 1

交通・通信
8月 -2.3
9月 -2.1

教育
8月 1.6
9月 1.5

教養・娯楽
8月 0.4
9月 0.3

諸雑費
8月 0.6
9月 0.6


「悪化」している「費目」

「悪化している費目」としましては、以下の通りです。

家具・家庭用品
8月 -1.2
9月 -1.5

被服及び履物
8月 2.4
9月 1.5

教育
8月 1.6
9月 1.5

教養・娯楽
8月 0.4
9月 0.3

これらの項目に「エネルギー価格」は含まれていませんから、この全てが「コアコアCPI」の下落に影響していることになります。


「家具・家庭用品」の物価が下落している理由

住居

第182回の記事 をご覧になった方にはもうすでに想像がついているかもしれませんね。

この項目を「フィルタリング」してみます。


【家具・家庭用品をフィルタリング】

    家庭用耐久財 室内装備品 寝具類 家事雑貨 家事用消耗品 家事サービス
8月  -5.2        -4       1.2    5      -1.6        0.1
9月  -6.8        -4.6      1.8    5.1     -0.9       0.1

悪化しているのは、「家庭用耐久財」「室内装備品」の2つです。


【「家庭用耐久財」について】

8月同様、軒並み下落している分野ではあるのですが、下落幅の大きな品目として、

・電子レンジ -16.7
・電気炊飯器 -11.1
・ガステーブル -2.3
・電気冷蔵庫 -4.9
・電気掃除機 -20.3
・電気洗濯機(全自動洗濯機) -14.8
・電気洗濯機(洗濯乾燥機) -26.7
・ルームエアコン -0.6

となっています。
このうち「電子レンジ」は-17.7から-16.8に下落幅が縮小、ガステーブルは-4.7から-2.3に縮小、電気掃除機が-20.7から-20.3に縮小しているのですが、たはすべて下落幅を拡大させています。

理由は、きっとお察しがついていると思います。
今回も日本電機工業会 様よりデータを拝借いたします。出荷した企業から直接統計を取っていますので、これは「実績」データです。

日本電機工業会様資料によりますと、2016年9月分国内出荷実績としまして、

(単位:千台・百万円)数量 前年比 金額 前年比
電子レンジ       253  141.9  8,419  165.8 
電気炊飯器      502  100.8  11,785  95.0 
電気冷蔵庫      358  103.2  42,720 101.9 
電気掃除機      486  117.3  10,858 124.0 
電気洗濯機(全体) 383   111.7  29,295 111.6 
洗濯乾燥機      94   105.7  14,269 106.7 
ルームエアコン    469  104.3  39,274  108.3

いかがでしょうか。唯一「電気炊飯器」の「販売額」の「前年比」のみがマイナスを記録していますが、他は全て前年比プラス成長。
しかもコンマ数パーセントなどという値ではなく、5%から10%、電子レンジに至っては数量で40%、金額で70%近く前年を上回っています。

日本電機工業会のデータが合計値であって消費者物価指数は単価を示しているからでしょうか。
ですが、日本電機工業会様データは、ほとんどの項目が「数量」より「金額」の方がより大きく上昇しています。

昨対ベースで考えるのなら、それは「平均単価」そのものが前年を上回っている計算になりますね?
これほどの乖離が発生する理由はただ一つ、「消費者物価指数」が「消費」そのものの実態を正確に把握し切れていないからに他なりません。

家電の分野でどれか一つ、というのならまだしも、掲載されているほぼすべての項目が、全て現実とかけ離れているのですから。


【「室内装備品」について】

第183回 で、「照明器具」に関しては以下のようなグラフをお示しして、「照明器具の統計が測定され初めてから消費者物価が継続して下落し続けている」ことをお伝えしました。

照明器具消費者物価指数推移

これは今月も同様で、「照明器具」に関しては-16.8から-17.8に下落幅を拡大しています。
但し、今回はそれ以外にも「室内時計」が1.8%から1.5%に上昇幅を縮小、「カーテン」が2.9%から0.9%に上昇幅を縮小する、など他の要素もあります。

ただ、共にプラス圏内での動きですので、今後の動きに注目していきたいと思います。
ウェイトとしても室内時計が2、カーテンは7ですから、全体への影響もそれほど大きくはないものと思われます。


次回記事では、引き続き「被服及び履物」について調査を進めてみます。


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第205回 平成28年(2016年)9月消費者物価指数速報/コアコアCPI下落の理由①

前回の記事の復習です。2016年9月度の消費者物価指数を見てみますと、「前年同月比」ベースで、

総合
8月分 -0.5%
9月分 -0.5%

生鮮食品を除く総合
8月分 -0.5 %
9月分 -0.5 %

食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合
8月分 0.2%
9月分 0%

と、このように全体的に「消費者物価は下落している」という指標が公表されており、特に今回は「エネルギー価格」が含まれない「食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)」がついに0%成長となっていますので、この理由をについて調査してみたいと思います。


「10大費目別消費者物価指数」の比較

こちらも8月度同様、まずは「10大費目別」の「前年同月比」を比較するところからスタートします。(単位%)

食料
8月 0.6
9月 0.6

住居
8月 -0.1
9月 -0.1

水道・光熱
8月 -7.2
9月 -6.2

家具・家庭用品
8月 -1.2
9月 -1.5

被服及び履物
8月 2.4
9月 1.5

保健医療
8月 0.9
9月 1

交通・通信
8月 -2.3
9月 -2.1

教育
8月 1.6
9月 1.5

教養・娯楽
8月 0.4
9月 0.3

諸雑費
8月 0.6
9月 0.6

と、このようになっています。

このうち、改善しているのが

水道・光熱
8月 -7.2
9月 -6.2

保健医療
8月 0.9
9月 1

交通・通信
8月 -2.3
9月 -2.1

の3項目。とはいえ、このうち「水道・光熱」および「交通・通信」に関してはあくまでもこれは「前年同月比のマイナス幅が縮小した」というだけであって、指標として「下落し続けている」という事実に変化はありません。

つまり、本当の意味で改善しているのは「保健医療」の分野だけということです。

ただ、「水道・光熱」も「交通・通信」もともに「エネルギー価格」を含む分野ですから、ここから「エネルギー価格」に該当する部分をフィルタリングしていきます。


【「水道・光熱」のフィルタリング】

    電気代 ガス代 他の光熱 上下水道料
8月  -7.6   -9.4   -24.3    0.4
9月  -6.5   -8.2   -21.6    0.4

このうち、「電気代」「ガス代」「他の光熱」は全て「エネルギー価格」ですから、今回の対象としては除外します。
唯一「上下水道」だけが「コアコアCPI」に含まれますが、ここは「前年同月比」としては「横ばい」ですね。

実数としては0.4%の成長です。ランニングコストなので、余り上昇してほしくない分野ではあります。


【「交通・通信」のフィルタリング】

自動車

     交通 自動車等関係費  通信
8月  -0.5     -3.2         -1.3
9月  -0.2     -2.3         -2.7

このうち、「自動車関係費」に「ガソリン代」が含まれますので、「交通」および「通信」は「コアコアCPI」に関連してくる部分です。
第179回の記事 を参照しますと、「交通」の分野がマイナスとなっている理由として、「航空運賃」のマイナス幅による影響が大きいことが挙げられます。

これは9月度も変わりがありませんが、そのマイナス幅が-5.7から-3.8へと縮小しています。
「交通」の品目の下落幅が縮小しているのはこの「航空運賃の下落幅の縮小」が原因となっています。

「通信」の中で下落幅が大きいのは「通信料(携帯電話)」と「携帯電話機」の2項目なのですが、「通信料(携帯電話)」は8月も9月も-2.8%で、「前年同月比の推移」としては横ばいです。大きいのは「携帯電話機」の影響で、-0.8%から-8.3%へと一気に下落幅が拡大しています。

「ウェイト」としては「77(/10000)」と決して大きくはありませんが、「コアコアCPI」が下落する一つの要因となっています。
考え方としては、「携帯電話機」の値段は高いほうがいいのか、ということでしょうか。私個人としては、携帯電話は電話機の金額より、アプリの性能の方がこのところは重要度を増してきている様に感じます。


【「自動車等関係費」のフィルタリング】
先ほどもお伝えしました通り、「自動車等関係費」には「ガソリン価格」が含まれるますので、フィルタリングしておきたいと思います。

とはいえ、この分野は品目が多いですから、このうちで重要だと考えられる部分を特にピックアップしていきます。

ちなみに、「ガソリン価格」につきましては

8月 -12.5
9月 -9.2

と、相変わらず下落幅は大きいものの、8月と比較すると9月の下落幅は縮小しています。
このことが、「自動車関係費」の物価下落幅縮小に影響しているものと思われます。

代わりに、この分野では、「カーナビゲーション」が-5.9から-7.3へと下落幅を拡大させており、「コアコアCPI」の下落へと影響しています。ただし、第179回 の記事でもお伝えしています通り、この分野はすでにスマートフォンが代役を果たすようになってきており、物価下落にも納得できる部分があるのではないでしょうか。

この他、この項目では「自動車」が-0.1から0%へと前年同月比を回復させており、

国産の普通自動車が0.4%から0.5%へと改善、海外メーカーのものが-0.11から-0.1へと改善しています。
また、「自転車」が全体で4.2%から4.4%へと上昇し、「タイヤ」「バッテリー」がそれぞれ好転しています。

値段を下げているものとしてはこの他「レンタカー代」が4.2%から0%へと下落しています。
「自動車」の項目が好転していることから考えると、マイカー保有者が増えているのかもしれませんね。


次回記事では、今度は「コアコアCPIの下落」に影響を与えている分野について検証していきます。


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先週末(2016年10月28日)、2016年度9月分消費者物価指数が発表されましたので、今回はその内容について記事にしたいと思います。

とは言え、先月の様に具に記事にしていては記事数が大変な量になってしまいますので、詳細は先月(8月分)の記事を参考にしていただくとして、今回はもう少しポイントを絞った記事を作成したいと思います。

参考までに、先月の記事へのリンクを掲載しておきます。

第178回 平成28年(2016年)8月分消費者物価指数速報①<総合>
第179回 平成28年(2016年)8月分消費者物価指数速報②<食品・住居・交通・通信>
第180回 平成28年(2016年)8月分消費者物価指数速報③<教養・娯楽>
第181回 平成28年(2016年)8月分消費者物価指数速報④<光熱・水道><諸雑費><保健・医療><被服及び履物>
第182回 平成28年(2016年)8月分消費者物価指数速報⑤<家具・家庭用品>
第183回 平成28年(2016年)8月分消費者物価指数速報⑥<教育><総括>

各リンク先の末尾に掲載している< >書きは、それぞれのページに掲載している「10大費目別」の項目名です。
「消費者物価指数(CPI)」は、「生鮮食品を除く総合(コアCPI)」「食料およびエネルギーを除く総合(酒類を除く)(コアコアCPI)」物価指数以外に、上記の「10大費目」が公表されています。

先月の記事としては、それぞれの費目を更に「品目別」に絞って詳細を調査し、その評価を記事にしました。
順番は「ウェイト順」に並んでいます。「ウェイト」とは、それぞれの費目が消費者物価指数全体に占める割合のようなもので、「重要度」順に並んでいると思ってください。


2016年度9月分消費者物価指数

今回の記事でも、まずは「総合」から消費者物価指数(前年同月比)から見てみます。

総合
8月分 -0.5%
9月分 -0.5%

生鮮食品を除く総合
8月分 -0.5 %
9月分 -0.5 %

食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合
8月分 0.2%
9月分 0%

今月の消費者物価指数の特徴としては、昨年より悪化の一途をたどってきた「総合」と「生鮮食品を除く総合」の2項目が漸く下げ止まり、「前年同月比」では横ばいになったということ。(といっても『下落している』といいう事実に変わりはありません)

一方で、こちらも同じく「下落」の一途をたどっていた「食料を除く総合(コアコアCPI)」が、ついに0%成長(こちらは指数ベースで横ばいです)となってしまったということ。

時にコアコアの0%成長は、私の記事を見て、「それでも消費は下落している」説を唱え続ける人に対しては、恰好の餌を与えたようなものです。


「消費者物価指数」がこれまで下落し続けてきた理由

「消費は増えていない説」を取る人にとって見てれば、「消費者物価指数の下落」を「消費増税のせい」としたいわけですが、実は継続的に「消費者物価指数」が下落している理由は、私の記事では散々取り上げているとおり、「エネルギー価格の下落」に原因があります。

【2016年9月までのガソリン価格・原油価格の推移(1年分)】
原油・ガソリン・為替2015年10月~2016年9月

こちらはちょうど第162回の記事 で掲載した昨年10月から一年間の「原油価格」と「ガソリン価格」の推移です。当時の記事の関係で為替相場も掲載しています。

今回参考にしていただきたいのは国内のエネルギー価格の指標ともなる「ガソリン価格」ですので、グラフ中青いラインをご覧ください。

【2014年~2015年にかけてのガソリン価格の推移】
ガソリン価格・為替比較(2014~2015)

こちらはそこからさらに遡った過去データ。
「為替相場」と「ガソリン価格」を掲載していますが、このうち「ガソリン価格」に相当する青いラインをご覧ください。

見ていただければよくわかると思うのですが、原油価格下落由来で「ガソリン価格」が下落し始めたのは2015年6月から。
もっと言えば2014年10月から急落はスタートしているのですが、15年2月にはいったん上昇に転じていますので、今回の比較対象としては2015年6月以降の下落を対象とします。

2016年3月より、再び上昇し始めてはいるものの、3月を上回るガソリン価格を付けている16年度4月、5月、6月のどのガソリン価格を見ても、前年2015年同月のガソリン価格は下回っています。

このことが、「ガソリン価格」だけでなく、「灯油」や「電気代」を含む統計に表れるすべての「エネルギー価格」の下落へとつながっているのです。

また、「ガソリン価格の下落」は「原油価格」そのものの下落が理由ですから、海外で生産や輸入コストも当然下落していますから、「輸入物価」全体の値もまた下落しています。

ですが、2015年11月をピークとして、エネルギー価格を含まない「食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)」もまた下落に転じているため、「消費が減退している」ことを主張したい人たちはこのことを以て、「ほら見ろ、やっぱり消費増税の影響はあったじゃないか」と主張しているわけです。

今回も同様に、「コアコアCPI」は下落していますから、今回の記事では、「なぜコアコアCPIは下落しているのか」というポイントに絞って記事を作成してみます。


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<継承する記事>第203回 年収別給与所得者数/「中間層」の給与所得者数を把握④
第202回の記事、および第203回の記事 の記事と、続けて「中間層」の捉え方に関する記事を挟みましたが、第201回の記事 に引き続きまして、今回の記事では年収700万円以上の所得者数の推移について記事を作成していきたいと思います。


年間給与所得平均700万円~800万の給与所得者数の推移

給与所得者数推移(700万円~800万円)

比較しやすいように、一つ下の年収層である600万円~700万円の所得層、およびもう一つ下の500万円~600万円の所得層についてのグラフも掲載してみます。

【年収600万円~700万円の給与所得者数の推移】
給与所得者数推移(600万円~700万円)

【年収500万円~600万円の給与所得者数の推移】
給与所得者数推移(500万円~600万円)

第203回の記事に於いて行いました「定義づけ」に従いますと、「年収500万円以上」の世帯が所謂「高所得者」ということになります。

飽くまで「概算」となりますが、下25%を「低所得者」、上25%を「高所得者」と考え、中間の50%を「高所得者」と考えた場合の定義づけです。

厳密には2015年度ベースで考えますと、「低所得者層」が全体の23.6%、「中間層」が全体の47.9%、「高所得者層」が全体の28.5%を占めています。

グラフを見ていただければわかると思いますが、「年収500万円~600万円」「600万円~700万円」「700万円~800万円」と、全ての階層で安倍内閣以降、その人数が上昇しています。

勿論民主党内閣時代も上昇はしているのですが、特に2012年から2013年にかけて。安倍内閣初年度の上昇幅が大きいことがご理解いただけると思います。

これまでのデータを復習しますと、安倍内閣初年度では「年収100万円以下」の給与所得者の数がまずは上昇し、続いて翌2014年には年収「100万円~200万円」の層、および「200万円~300万円」、「300万円~400万円」、「400万円~500万円」とすべての層で給与所得者数が上昇しました。

2014年に唯一下落したのは「年収100万円以下」の給与所得者数のみです。

更に、2015年では、「年収100万円以下」「年収100万円~200万円」「200万円~300万円」の年収層の人数が減少し、年収300万円以上の年収層の数はこれまでに掲載したすべての項目で上昇しています。

ちなみに

【無職者数の推移】
無職者数

こちらは「無職者数」の推移。過去の記事で作成したグラフです。
ここについての「評価」はさておき、特に「現役世代」の無職者数は、民主党政権下、2012年から継続して減少し続けています。

勿論「高齢退職者」も増えていますので、「無職者数の減少」のみで経済全体を判断することは適切ではありませんが、既に掲載しています通り、

「無職者が減少する中で、1年目は年収100万円以下の低所得者が上昇し、2年目は年収100万円以上の給与所得者の数が上昇、3年目には年収300万円以上の給与所得者の数が上昇した」

というのが安倍内閣における「経済政策=アベノミクス」の結果です。
日本国経済を構成している給与所得者の層が上昇している、というのが「アベノミクス」の結果なんです。


年間給与所得平均800万円~900万の給与所得者数の推移

給与所得者数推移(800万円~900万円)

同じ「高所得者層」でも、「500万円~800万円」までの「高所得者層」は、安倍内閣だけでなく、民主党政権下でも上昇していました。ですが、この「800万円~900万円」の年収層は違いますね。

民主党政権下では減少していますが、安倍内閣に入ってから急上昇しています。最も、「急上昇」といっても、上昇している部分を拡大して掲載しているのでそう見えるだけで、実際に上昇した人数は8万人。
  
500万円~が19.7万人、600万円~が12.9万人、700万円~が6.8万人ですから、そこまで目立って急上昇した、というわけではありません。


年間給与所得平均900万円~1000万の給与所得者数の推移

給与所得者数推移(900万円~1000万円)

この辺りになってくると、所謂「中間層」からすれば現実離れしすぎていて、まるで別世界の出来事のように思えてきます。
この年収層の人数は、実は安倍内閣初年度では減少しています。逆に2011年~2012年にかけて、民主党内閣では上昇(4.6万人)しています。

ただ、2014年以降は他の「高所得者層」同様に上昇しています。


年収1000万超の給与所得者数の推移


ここからは、あえて分けて解説するのも何なんで、一気に掲載します。
階層の幅もこれまでの100万円刻みから500万円刻みに拡大しています。

【年収1000万円~1500万円の給与所得者数の推移】
給与所得者数推移(1000万円~1500万円)

【年収1500万円~2000万円の給与所得者数の推移】
給与所得者数推移(1500万円~2000万円)

【年収2000万円~2500万円の給与所得者数の推移】
給与所得者数推移(2000万円~2500万円)

【年収2500万円超の給与所得者数の推移】
給与所得者数推移(2500万円超)

個々のグラフについてあえてコメントはしません。
ただ、全体としてみると、安倍内閣に入ってから上昇している、という様子は見て取れるのではないでしょうか。

この層の人数が増えていると、あたかも「格差が拡大している」様に見えるかもしれません。
ですが、例えば2014年~2015年にかけての動向を見てみますと、

年収2500万円超の増加人数が6千人。
年収2000万円~2500万円が6万人。
年収1500万円~2000万円が2.9万人
年収1000万円~1500万円が5.6万人

増加しているのに対し、

年収100万円以下の減少人数が6.2万人
年収100万円~200万円 2.2万人
年収200万円~300万円 22.7万人

とそれぞれ減少しています。
何より、これまで年収が0であった「非労働力人口」が、高齢化社会であるにも関わらず17万人減少し、「完全失業者」の数も14万人減少しています。

合計すると、2014年まで年収300万円以下であった人の内、合計で62.1万人の人が、年収300万円以上稼ぐようになった、ということなのです。


【「重複しているんじゃないか」という人もいるかもしれません】

並べてみますと、

2014年
非労働力人口    4489万人
完全失業者数    236万人 222万人
年収100万円以下 417.8万人 411.6万人

と、2014年の低所得者はこのような構成になっています。
2015年は、「非労働力人口」が4473万人に減少しますから、その差人数17万人が「無職者」に加算されます。
2015年の「完全失業者数」は2014年の236万人に17万人を加えた253万人から222万人になります。

その差人数31万人は「年収100万円以下」の層へと移動します。
2015年の「年収100万円以下」の層は417.8万人に31万人を加えた448.8万人から411.6万人となります。
その差人数37.2万人は年収100万~200万円の層へと移ります。

同じ理屈で、差人数は加算され、2015年は合計62.1万人の人が300万円超の所得を新しく獲得するようになっていると、こういう考え方です。

勿論、2015年時点で、411万6千人の人の年収は100万円以下であり、719万2千人の人は年間に100万円~200万円しか稼げていません。合計で1130.8万人の人が年収200万円以下しか稼げておらず、共産党基準での「ワーキングプア」状態にあることは事実です。

ですが、この中には、例えば学生であったり、兼業主婦(主夫)で例えば103万円以上年収を取れば控除を受けられなくなるため、あえてこの年収を保っている人もいるはずです。

例えば、これまでは夫の収入だけに頼っていた家庭が、奥さんもパート労働ができるようになり、家計所得は上昇している家庭だってあるでしょうし、定年退職をして、年金収入だけでは不安だから、又は生きがいを手にするためにシルバー人材で働いているお年寄りもいるはずなんです。

これを一括して、共産党の様に「3年間連続で1年間働いていながら年収200万円以下しか稼げない労働者が1100万人を超えた。アベノミクスは失敗である」っていうのは、はっきり言って、あえて汚い言い回しを用いるとすれば、「バカじゃないか」と思います。

安倍内閣がスタートする前。2012年の時点で、「非労働力人口」「完全失業者」の数も合わせた「年収300万円以下人口」は6694.6万人でした。同じ情報を2015年ベースで計算すると、6606万人となり、実は合計で88万6千人減少しています。

この様な状況をどのように考えれば「格差が開いた」だの、「アベノミクスは失敗だった」だのという理論が成り立つのでしょうか。
私には不思議でなりません。

状況は全く逆ですね。「中間層」の水準も上昇していますし、「低所得者」の人口も減少しています。「格差」はむしろ縮まっている、と考えることができるのではないでしょうか。

「格差」って、その捉え方によるのですが、例えば日本という国で最もお金を稼ぐ人の所得が20兆円から21兆円に上昇したとすると、最低所得者は当然給与所得0円ですから、あたかも「格差が開いた」様に見えます。

ですが、それはごく一部の「特別な経済現象」であり、日本の経済全体を表している経済現象ではありませんね?
記事を5回に分けましたが、今回のシリーズを見ていただければ、そのような判断の仕方がいかに的を射ていない捉え方なのかということをご理解いただけると思います。

この様な側面から見ても、「アベノミクスの成果」は十分に上がっていると考えることができるのではないでしょうか。

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<継承する記事>第202回 年収別給与所得者数/「中間層」の給与所得者数を把握③
前回の記事では「中間層」の捉え方について、「給与所得者全体の中点」が一体どの年収層に位置するのか、という点に着目して、記事を作成してみました。

今回の記事では更に、所得層を「低所得者層」「中間層」「高所得者層」の3つに分割し、この3つの年収層の推移に着目して記事を作成していきたいと思います。


「中間層」のもう一つの視点

前回の記事で、私は意図的に「年収200万円~500万円の所得層」を「中間層」として掲載しました。
ピュー・リサーチ・センターの基準では、「中間層」が全体の50%以上になることを前提としていましたが、現在の日本のデータでこれをやってしまうと、年収100万円~200万円の層までもが「中間層」に含まれることになってしまいます。

そうすると、どうも情報を正確に分析することが難しくなってしまう様なので、私は「年収200万円~500万円の所得層」を「中間層」として考えてみました。以下に、各年収層ごとの給与所得者がそれぞれ全体の何%になるのか、年別に掲載してみます。
             平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年
100万円以下     8.6     8.6      9.1     8.8     8.6
100万円~200万円 14.8    15.3      15     15.2    15
200万円~300万円 17.4    17.1      16.8    16.9    16.3
300万円~400万円 18.4    18       17.4    17.3    17.5
400万円~500万円 14     13.9      13.8    13.9    14.1
500万円~600万円 9.2     9.4       9.6    9.5     9.7
600万円~700万円 5.6     5.7       5.9    5.9     5.9

単位は「%」です。

次に、私の考える「中間層」の全体に占める割合を見てみます。
やり方としては、「中点」の属する年収層が「300万円~400万円」ですから、まずはこの「300万円~400万円」の年収層を中心に考えます。

「中点」を基準に、「年収300万円~400万円層」の割合に、一つ下の「年収200万円~300万円層」の割合と、一つ上の「年収400万円~500万円層」の割合を加えます。

2011年 「年収300万円~400万円層」:18.4+「年収200万円~300万円層」:17.4+「年収400万円~500万円層」:14=49.8

2012年 「年収300万円~400万円層」:18+「年収200万円~300万円層」:17.1+「年収400万円~500万円層」:13.9=49

2013年 「年収300万円~400万円層」:17.4+「年収200万円~300万円層」:16.8+「年収400万円~500万円層」:13.8=48

2014年 「年収300万円~400万円層」:17.3+「年収200万円~300万円層」:16.9+「年収400万円~500万円層」:13.9=48.1

2015年 「年収300万円~400万円層」:17.5+「年収200万円~300万円層」:16.3+「年収400万円~500万円層」:14.1=47.9

そうすると、各年の「中間層」の全体に占める割合の推移が分かります。どの年もほぼ50%になりますので、この層を「中間層」ととらえてもよいのでないでしょうか。

 2011年 49.8%
 2012年 49%
 2013年 48%
 2014年 48.1%
 2015年 47.9%

まとめるとこんな感じです。2014年に一度増加しているもの、継続して減少していますね?
「中間層の割合が減っている」という風に記すと、またどこかのマルクス主義者が「格差が拡大していることが証明された!」などと喚き始めそうですが・・・。

【各所得層が全体に占める割合の推移】
所得者層の全体に占める割合

この様なグラフを使って情報を分析してみると、少し状況が違って見えてきます。

先ほど定義づけた「年収200万円~500万円」までの所得層を「中間層」と考え、200万円以下を「低所得者層」、500万円超を「高所得者層」と考えてグラフ化したものです。

推移の傾斜が分かりやすいように、「低所得者」と「高所得者」の値を左側、「中間層」の値を右側に取っています。
誤解を生まない様、傾斜の幅は同じ幅に設定していますので、単純に「中間層」のグラフを真下にずらした形になっています。

「中間層」が減少しているのは、むしろ民主党内閣時代から安倍内閣初年度(2013年)にかけて。
安倍内閣に入ってからはこの層の人数が「安定」しているように見えます。

また、「高所得者」が増えているのは何も安倍内閣に入ってからだけではなく、民主党内閣時代から継続して上昇しています。
寧ろ安倍内閣初年度~2014年にかけてはその人数は横ばいとなっています。

一方、「低所得者」は2013年まで増加していますが、2014年からは減少に転じています。

つまり、民主党内閣時代は「中間層が減少する中で、低所得者の数も高所得者も増えていた」ことになりますね?
普通の感覚の持ち主であれば、このような状況を「格差が拡大している」というのではないでしょうか。

一方、安倍内閣2年目以降は、確かに「高所得者」も増えていますが、一方で「低所得者」の数は減り、「中間層」の人数は横ばいとなっています。これは、実は「中間層」の水準が上昇していることを示しています。

前回の記事 でお示しした様に、私は「中間層」の定義として、「給与所得者の中点」が、どの年収層に位置するのか、というところで判断しています。

「中点」は「年収300万円~400万円」の所得層に位置していましたよね。
ですが、同じ300万円~400万円という所得層でも、中点が位置するのが301万円と399万円というのでは全くその生活水準は異なります。

先ほどの、「各所得層が全体に占める割合の推移」のグラフが示している結果は、この「中点」の位置が上昇していることを示しているのです。

もし仮に、この「中点」が399万9999円の位置にあったとするならば、このペースでいくと次年(2016年)の中点はさらに上昇し、ひょっとすると401万円になるかもしれません。

そうすると、今度は「中間層」の基準が「300万円~400万円」の層から「400万円~500万円」の層に移ることになるのです。
そうすると、「中間層」は「300万円~600万円」となり、年収300万円以下が「低所得者層」となるかもしれません。

この場合、共産党さんは「年収300万円以下がワーキングプアだ!」と大騒ぎでもする気なのでしょうか。

前回の記事と合わせて長くなりましたが、特に「給与所得者」に絞ってアベノミクスの効果を調査するとすれば、「格差」は縮小し、「中間層の平均給与所得者」の水準も上昇しつつある、とこういう評価になるわけです。

次回記事では、さらに「年収700万円以上の給与所得者」についてもデータを掲載していきたいと思います。


この記事のカテゴリー >>中間層の見方


<継承する記事>第201回 年収別給与所得者数/「中間層」の給与所得者数を把握②
前回の記事前々回の記事 では、現時点までで年収700万円未満の「年収別所得者数」についてグラフを添えてお示ししてきました。

勿論、700万円以上の「年収層」のデータもあるのですが、今回はその前に。
前回の記事 でもお伝えしました様に、「中間層」について、私なりの考え方をお示ししてみたいと思います。


「中間層」の定義

「中間層」と一言で言いますが、この言葉、明確な「定義」がどうもなされていないようです。

例えば、教科書的に、「デジタル大辞林」で語彙を調べてみますと、以下のように記されています。

『ちゅうかん‐そう【中間層】
社会成層の資本家階級と労働者階級との中間に位置する階層。農民・中小企業主などの旧中間層と技術者・管理職などの新中間層とがある。』

シリーズ、「共産主義と左翼」の中で若干ご説明しましたが、「資本家階級」とは「ブルジョワ層」のことであり、「労働者階級」とは「プロレタリアート層」になります。

で、定義的には「ブルジョワとプロレタリアートの中間に位置する人たち」と、ここでは説明されているわけです。

ただ、ここでいう「中間層」とは、このような階級闘争時代の「階級」について言及したものではありませんね。
定義的には、ウォールストリートジャーナルの記事で用いている「中間層」が近いのではないでしょうか。

衰退する米国の中間層、過半数割り込む
米国ではもはや、中間層が過半数ではない。

 米世論調査機関ピュー・リサーチ・センターが9日に公表したリポートで明らかになった。このリポートは、40年以上の間に米国で所得や財産がどう変化したかを詳しく説明している。

 2015年初めには、米国のいわゆる中間層に当たる成人数は1億2080万人だった。一方、低所得層(下位中間層と最低所得層)と高所得層(上位中間層と最高所得層)の成人数は合わせて1億2130万人だった。ピュー・リサーチは1970年ごろからこの統計を取り始めたが、高・低所得層の合計数が中間所得層の数を上回ったのは今年が初めて。

中間層(ウォールストリートジャーナルより)

これはアメリカのニュースですので、記事内容そのものは私が記したい内容とは関係性のないものですが、「定義」という意味では参考になります。所得層を「低所得層」と「高所得層」に分け、そのどちらにも属さない所得層を「中間層」と呼んでいますね。

この記事では、具体的に「中間層」を以下のように記しています。

『ピュー・リサーチは、典型的な中間層家庭を、3人家族の場合で2014年の年収が4万2000~12万6000ドル(約511万~1534万円)と定義した』

勿論、この定義がそのまま日本にも通用するとは思いません(年収1534万円がとても「中間層」とは思えませんし)が、一般的にイメージされる「中間層」とは、このようなイメージになるのではないでしょうか。

私の記事に於きましても、「中間層」は、上記記事で『ピュー・リサーチ・センター』が行っているようなイメージでの「中間層」について記事にしていきたいと思います。


「給与所得者数の推移」を積上げてみると・・・

今回の調査対象は「年収層別」の給与所得者数の推移なのですが、項目が多いため、確認しやすいよう、分けて掲載しています。

ですが、これをあえて「同じグラフ」の中で表現すると、以下のようになります。

給与所得者数推移積上げ(累積)

単位は「千人」です。
ピュー・リサーチ・センターのような形式で「中間層」を調べるためには、各年ごとの「給与所得者」の「中点」を調べる必要がります。

そこで、各年ごとの給与所得者数を総数を「100%」と考えて、「割合」で表示してみると、以下のようになります。

給与所得者数推移100積上げ

こうしてみるとわかりやすいですね。「50%」が「中点」になります。
中点が位置している所得層が所謂日本の「中間層」ですね。

黄色い帯は「300万円~400万円」ですから、この所得層が日本の「中間層」となります。

【年収300万円~400万円の所得者層の推移】
給与所得者数推移(300万円~400万円)

そう。こちらの所得層です。

安倍内閣(アベノミクス)初年度では、確かにこの所得層の人数が減少していますが、これは何も安倍内閣から始まったことではありません。民主党内閣当時から、継続して起きている現象ですね。

ところが、安倍内閣2年目、3年目になると、この「中間層」に属する所得者数がV字回復していることが分かりますね?

これを、「300万円~400万円」の一つ上の収入層と一つ下の収入層を合算してみてみます。

【年収200万円~500万円の給与所得者数の推移】
給与所得者数推移(200万円~500万円)

いかがでしょう。この数字で見ますと、確かに平成25(2013)年、つまり安倍内閣(アベノミクス)初年度の給与所得者数は前年を下回っていますが、2014年はこの層の給与所得者が一気に上昇していますね? たった一年で東日本大震災の時の水準を上回る値にまで回復しています。ただ、ここは2010年の数字も見てみたいところです。

再度200万円~300万円の給与所得者を見てみますと、
給与所得者数推移(200万円~300万円)

この通り、2014年の人数は一気に増加していますが、逆に2015年の給与所得者の数は急落しています。

その上で先ほどご覧いただきましたように、年収300万円~400万円の給与所得者数は2015年も継続して上昇し、

【年収400万円~500万円の給与所得者数の推移】
給与所得者数推移(400万円~500万円)

その上で年収400万円~500万円の給与所得者の数も上昇しています。

一方、年収200万円以下、つまり共産党基準での「ワーキングプア」の人数は以下のように推移しています。

【年収200万円以下の給与所得者数の推移】
給与所得者数推移(200万円以下)

民主党内閣当時から継続して上昇し、2015年にようやく減少に転じるのです。

ただ、

【年収100万円以下の給与所得者数の推移】
給与所得者数推移(100万円以下)

年収100万円以下の「ワーキングプア」の数は既に2014年には減少に転じており、

【年収100万円~200万円の給与所得者数の推移】
給与所得者数推移(100万円~200万円)

代わりに100万円~200万円の「ワーキングプア」の数が上昇しています。

つまり、「200万円以下のワーキングプア」のが2014年まで上昇し続けている原因は、2013年は「100万円以下のワーキングプア」が増えたことにあり、2014年は「100万円~200万円のワーキングプア」が上昇したことに原因があるのです。

2013年はまだ年収100万円~200万円の給与所得者はわずかしか上昇していませんし、2014年には年収100万円以下のっ給与所得者は減少し始めているのです。

共産党や民進党は、このようなデータをキチンと把握してわめいているのでしょうか。

次回記事では、この「中間層」の捉え方について、もう一つ別の視点から記事にしたいと思います。

この記事のカテゴリー >>中間層の見方


<継承する記事>第200回 年収別給与所得者数/「中間層」の給与所得者数を把握
前回の記事より、「給与所得者数」を「年収別」に分けて作成した資料を掲載しています。

前回の復習として、

【給与所得者総数の推移】
給与所得者総数

【年収100万円以下給与所得者数の推移】
給与所得者数推移(100万円以下)

【年収100万~200万給与所得者数の推移】
給与所得者数推移(100万円~200万円)

【年収200万~300万給与所得者数の推移】
給与所得者数推移(200万円~300万円)

と、ここまでの掲載しました。
年収200万~300万の層の推移を見ていると、グラフで掲載している平成23年(2011年)以前の推移も見てみたくはなりますが、それはまた後日に委ねるとしまして、更に年収300万円超の所得層についても見ていきたいと思います。


年間給与所得平均300万円~400万の給与所得者数の推移

給与所得者数推移(300万円~400万円)

ふ~む。やはりこれ以前の推移を見てみたいですね。勿論取れるんですが、時間の都合上後日に回します。
問題なのは平成23年(2011年)が東日本大震災の年であるということ。2012年、2013年とこの層の給与所得者数が減少していることと、東日本大震災との間に因果関係があるのかどうかは調べてみたいですね。

ただ、このグラフで見る限り、民主党政権下~安倍内閣初年度にかけてこの層の給与所得者数が2011年~2012年で19.3万人、2012年~2013年で9.2万人(合計28.5万人)減少した後、2014年、2015年とV字回復していることが分かります。(2014年14.7万人、2015年13.8万人)


年間給与所得平均400万円~500万の給与所得者数の推移

給与所得者数推移(400万円~500万円)

こちらはまた少し違った様子が見えてきます。
民主党政権下、2012年の数字と安倍内閣における2015年の数字を見ると明らかですね。

2015年の給与所得者数から2012年の給与所得者数をマイナスした値は、

年収100万円円以下 +18.1万人
年収100万円~ +22.7万人
年収200万円~ +0.6万人
年収300万円~ +19.3万人
年収400万円~ +44.2万人

と、ここまでの値ですと最も増えている年収層は年収400万円~年収500万円までの年収層です。
年収300万円~400万円までの層は安倍内閣がスタートした2013年も減少していたのですが、年収400万円~の層は2013年度も増えています。

特にこの層は民主党政権下では下落している年収層だけに、「アベノミクス」の効果をより顕著に表している年収層といえるのではないでしょうか。


年間給与所得平均500万円~600万の給与所得者数の推移

給与所得者数推移(500万円~600万円)

この年収層は、確かに民主党政権下でも増えていますが、その増加人数は6.6万人。
安倍内閣がスタートした2013年は12年と比較して19.7万人増。2015年と2012年を比較すると35.3万人増えています。

まあ、このあたりは東日本大震災の影響がどうであったのか、リーマン後の回復状況等を見てみる必要はありますね。


年間給与所得平均600万円~700万の給与所得者数の推移

給与所得者数推移(600万円~700万円)

こちらは、500万~600万の所得層とほぼ同じ軌跡を描いていますね。
民主党政権下での増加数が2.7万人、安倍内閣初年と2012年とを比較すると12.9万人増。15年と12年を比較すると23.2万人増。

第177回の記事 でご紹介した様に、このような状況を見てか見ずか、共産党は

「1年を通して働いても年収が200万円以下のワーキングプア(働く貧困層)は1130万人と3年連続で1100万人を超えました」

という表現を行っていますが、これがいかに的外れな表現なのかということが、こうしてみるととてもよく見えてきますね。

確かに安倍内閣初年度、

「年収100万円以下」の給与所得者が一気に28万人

増えていますが、この年は同時に

「年収500万円~600万円」の給与所得者が19.7万人、
「年収600万円~700万円」の給与所得者が12.9万人、

増えています。「年収100万円以下の給与所得者」はその後減少していますが、年収500万円~、600万円~の所得層はその後も増え続けています。

安倍内閣2年目は

「年収100万円~200万円」の給与所得者が一気に23万人

増えていますが、同時にこの年は、

「年収200万円~300万円」の給与所得者が20.9万人
「年収300万円~400万円」の給与所得者が14.7万人

増えています。翌年、「年収100万円~200万円」の給与所得者及び「年収200万円~300万円」の給与所得者は減少し、代わりに「年収300万円~400万円」の給与所得者は増加しています。

2014年と2015年を比較しますと、年収300万円以下の給与所得者は合計で31.1万人減少し、代わりに年収300万円~700万円の給与所得者は合計で44.2万人増えています。これはあくまでも「年収700万円以下」に限定してのことです。

恐らく「中間層」と呼ばれる所得者層はこのあたりに該当するのではないでしょうか。

少し記事が長くなりました。次回記事では、「中間層」の考え方について記事にしてみたいと思います。


この記事のカテゴリー >>中間層の見方


今回の記事では、私が記した第38回の記事 に対するコメントとして、

賃金の動きは平均値では実体が判らない。
賃金は高所得から低所得者層で構成されており、現在のように中間層が減少し開きが 拡大している場合は「中間所得層」等の動きも見ないと実体が判らない。その場合、例えばドットプロット等の比較で動きを見るべきでは?

というコメントをいただきまして、これは確かになるほどな、と感じましたので、タイトルにもあります通り、「所得層別」に給与所得者数を追いかけてみたいと思います。

賃金

コメントへの返信にも記しました通り、第177回の記事 に於きまして、特に「200万円以下のワーキングプア」に焦点を当てて記事を作成はしたのですが、これでは私たちの生活の実感に近い「中間層」の所得を把握することはできません。

「平均値」っていうのは「シンプソンのパラドックス」といいまして、例えば極端に多くの所得を稼ぐ世帯の給与所得金額が大幅に増えれば、仮に低所得者ばかりが増えていたとしても急激に平均所得を引き上げてしまいますし、逆に「中間層」の数も多く増えているのに、低所得者の賃金が平均を大幅に下回っていれば、「平均給与所得」を引き下げてしまいます。

コメントを下さった方が「賃金の動きは平均値では実体が判らない」とおっしゃっているのはつまりはそういうことです。
とはいえ、何を以て「中間層」というのかというと、これを明確に定義づけるのは難しいと思います。

今回の記事で利用するデータは、企業の規模ではなく、雇用者の所得をベースに分類している「国税庁」のデータから、同資料で分類しています「所得層」別のデータから引っ張ってこようと思います。


国税庁データの分類

勿論この国税庁データもまた「サンプル指数」であり、これが「正しい」というわけではありません。
ですが、「厚生労働省データ」がおもに「常用労働者5名以上」の企業のみを対象にしており、個人事業所を初めとする、超小規模事業所のデータを補足しきれていないことから考えると、厚労省データに比べれb実態に近いデータであると考えています。

国税庁データでは、給与所得者層を、以下のような所得水準で分類しています。

"100万円以下"
"100万円~200万円"
"200万円~300万円"
"300万円~400万円"
"400万円~500万円"
"500万円~600万円"
"600万円~700万円"
"700万円~800万円"
"800万円~900万円"
"900万円~1,000万円"
"1,000万円~1,500万円"
"1,500万円~2,000万円"
"2,000万円~2,500万円"
"2,500万円超"

合計14所得層です。

ちなみに全体はこちら。

【給与所得者数の推移(国税庁ベース)】
給与所得者総数

単位は「千人」です。最新の2015年の給与所得者数は4794万人です。
西暦で掲載すればよかったのですが、平成で集計してしまいました。平成23年が西暦2011年。平成27年が西暦2015年ですので、グラフは2011年~2015年までのデータとなっています。

今回は、これを前記した14の所得層に分けて記事として掲載します。
データが多いので、記事を分割して掲載します。


年間給与所得平均100万円以下の給与所得者数の推移

給与所得者数推移(100万円以下)

こちらが「年間給与所得平均100万円以下の給与所得者数の推移」を示したグラフです。

見ての通り、安倍内閣がスタートした直後、2013年に一気に「年間100万円以下の給与所得者数」が上昇した後、2014年、2015年と減少しています。2013年は393.5万人から421.5万人に増加しています。(28万人増)

金額から考えると、アルバイトやパートなどの、短時間労働者がここに該当するものと思われます。


年間100万円~200万円の給与所得者数の推移

給与所得者数推移(100万円~200万円)

ここまでが、第177回の記事 でご紹介した、共産党が盛んに主張している「ワーキングプア」に該当する「労働者数」の推移です。

見ていただくとわかると思うのですが、この層の給与所得者は、安倍内閣がスタートした時点では、ほぼ横ばい。ほとんど増加していません。増えるのは2014年。安倍内閣がスタートした翌年からで、698.4万人から721.4万人に増加しています。(23万人増)

つまり、安倍内閣初年度に増加したのは主に年収100万円以下の所得者層で、翌年は年収100万円以上200万円以下の所得者層が増えたということですね。同じ「ワーキングプア」でも、こうしてみると少し違った状況が見えてきますね。

年収100万円~200万円の所得者層も、翌2015年には減少に転じています。


年間200万円~300万円の給与所得者数の推移

給与所得者数推移(200万円~300万円)

こちらも100万~200万の所得層同様、安倍内閣がスタート直後は横ばい。その翌年、2014年に一気に増加しています。
782万人から802.9万人に増加。(20.9万人増)

ですが、この層は翌2015年になると一気に人数を減らしています。(780.2万人に減少。22.7万人減)
100万円以下の所得者層が6.2万人減、100万~200万の所得者層が2.2万人減。合わせて31.1万人の減少数です。

ところが、改めて「給与所得者総数」を見てみますと、2014年から2015年にかけて、合計で37.7万人給与所得者数は増加しています。年収300万円以下の給与所得者数が2014年~2015年にかけて31.1万人減少しているにも関わらず、合計で37.7万人の給与所得者が増えているのです。

ということはすなわち2014年から2015年にかけて、年収300万円異常稼ぐ所得者層が合わせて68.8万人増えたということ。
300万円以下が31万人減少する中で、です。

これを見て、「格差が広がった」という人はいるでしょうか?
勿論合計で年収300万円以下の人は1910.4万人存在します。

一番減少しているのは年収200万円~300万円の世帯で、年収200万円未満の減少数を通算したものを上回っているわけですから、「格差が広がった」と言えないわけではないかもしれません。

では、一体どのような人たちが「年収200万円以下」という所得層を構成しているのでしょうか。
現時点ではこれを示すデータは持ち合わせていませんが、「パート」や「アルバイト」でかまわない労働者も確かにいるはずなんです。

この総を構成する就労形態についてはぜひ調査してみたいですね。

次回記事では、さらに「年収300万円以上」の所得層について掲載していきたいと思います。



この記事のカテゴリー >>日本国債の問題


<継承する記事>第197回 内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より③
前回の記事で予告しましたように、今回の記事では「建設国債」と「赤字国債」の違いについて記事にしたいと思います。

最終的に、前回の記事 に関連して、「研究開発費」が「GDP」に組み入れられることと、「財政政策の可能性」について言及する形で締めくくりたいと思います。


「建設国債」と「赤字国債」の違い

これが何か問いかけられて、きちんと答えられる人は意外と少ないかもしれませんね。
第194回の記事 で、「財政投融資債」についてご説明した時、少しこの話題に触れました。

日本の「国債」には3種類あり、それが「建設国債」「赤字国債」「財政投融資債」の3つです。
民主党内閣で「年金特例国債」という名称の国債も発行されましたが、これも「赤字国債」の一種です。

「建設国債」と「赤字国債」の最大の違いは、それぞれの国債を発行した後で、その発行額に対する「対価」が存在するかどうかということになります。

アクアライン

「建設国債」というのは、その名の通り、「建築建造物」に対して発行される国債ですから、国債が発行された後、例えば「構想道路」を作るために建設国債を発行すれば、当然そこには「高速道路」という建築構造物が出来上がります。

考え方でいうと、「もし仮に建設国債が返済不能に陥っても、『高速道路』という対価が残っているから問題ない」という考え方です。もし建設国債が返済不能に陥れば、高速道路を売却して返済すればいいでしょ、という発想です。

勿論日本の国債が破綻することなど、政府機関に巨大隕石が激突して財政運営そのものが破綻するようなことにでもならない限り120%ありえませんから、そんな事態に陥ることはまずありえないのですが、それでもそうなったときには、という話です。


最近まで私のブログで最大の人気を誇っていた 第27回の記事 が取り扱っている「60年償還ルール」。

日本の国債の返済期限が60年に設定されている理由は、建設国債を発行して作った建築建造物の減価償却期間を「60年」と考えていることに由来します。建設国債を使って作った建築構造物が、一年に60分の1ずつその価値を減らしていき、60年経過すると0になる、という考え方です。

「減価償却」っていうのは、例えばトンネルを一つ作っても、その価値がたった1年で償却されるわけではない、という考え方になります。「トンネル」を「消費物」であると考えたとき、一体何年で消費仕切るのか。これが「減価償却期間」です。

国の建築構造物的には、「トンネル」であれば「トンネル」を、1年間に60分の1ずつ、60年間かけて消費する、という考え方をします。

余談ですが、私のブログで現在は第104回の記事 が人気記事トップの座を奪取しております。

内容は「本当の国債発行残高」という内容。上記した「建設国債」や「赤字国債」以外に、「借換債」発行残高の推移についても掲載しています。

そういう意味では「借換債」も「第4の国債」と言えなくはありませんが、元々は「建設国債」や「赤字国債」であったものが姿を変えているだけですので、私としては「建設国債」や「赤字国債」の一種である、と考えています。

一方の「赤字国債」。これは、建設国債の様に「対価」となる資産を生み出さない目的のために発行される「国債」のことです。

道行く人々

実は、「国債」を発行するための裏付けとなる法律は、「財政法第4条第1項但し書き」がその根拠となっています。

【財政法第4条第1項】
第四条  国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。

但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。

別の機会にも掲載した気はしますが、記されているとおり、「公共事業費・出資金・貸付金」の財源としてのみ国債は発行することが認められているのです。ちなみに「出資金」や「貸付金」に該当するのが「財政投融資債」です。

つまり、法制度上、「公共事業費」以外に「国債」を発行することは認められていないのです。この法律に基づいて発行される国債のことを「建設国債」といいます。財政法第4条に基づいて発行されますから、別名「4条国債」といいます。

ですが、例えば「リーマンショック」であったり、「東日本大震災」のような、政府が元々想定していない緊急事態が発生した時にまでこの法律を守っていたのでは日本国は大変なことになります。

「雇用」や「企業活動」を維持したり、「失業者対策」を施したりするため、「対価を発生させない資金の需要」が急速に高まってしまいます。この様な場合に、「特例として」発行されるのが「特例国債」。別名「赤字国債」です。

赤字国債を発行するため、赤字国債を発行するための「特例公債法」という法律を作成し、国会の承認を得た上で発行されるのが「特例国債(赤字国債)」です。

特例債は「対価」を発生させませんから、仮にこの国債がもし返済不能に陥れば、「貸主」はその分損害を被ることになります。
資産から発行額を差し引いた値がマイナスになりますから、「赤字国債」と呼ばれるのです。


赤字国債の発行額とその目的

ところがこの「赤字国債」。実はリーマンショックや東日本大震災のような「緊急事態」が発生した場合以外でも、ほぼ毎年発行され続けています。

戦後初めて発行されたのが昭和40年で1,972億円。
その後しばらくの間発行されていないのですが、昭和50年~平成2年にかけて毎年発行された後、3年間を開けて平成6年に再開され、それ以後は毎年発行されています。

ちなみに今年度、2016年度の赤字国債発行額は28兆円となっています。建設国債が6兆円となっています。
一体何のために発行されているのか。第27回の記事 をご覧いただければわかると思いますが、その大部分が「過去に発行した国債の利払いと60年償還ルールで定められている元本の返済」に充てられています。額にして23兆6121億円です。


この様に記すと、「借金を借金で返しているのか!!!」と激怒する人が出てきそうですが、これについては再度第27回の記事 をご覧いただければと思います。

数値で記しますと、2016年度に発行されている「借換債」の額が109兆1144円。この金額に、13兆7161億円を加えた総額、122兆8305億円が2016年度に返済しなければならない日本国政府の借金の総額です。ただ、「借換債」の部分は事実上2016年度には返済する必要のない借金ですから、「借換債」を発行して再度借り直します。

13兆7161億円は返済する必要のある金額ですから借換債は発行せず、日本国政府が一般会計の中から支払います。
一方で利息が9兆8961億円発生していますから、これは全額返済します。

一般会計から支出された分に関しては「赤字国債」を発行していますので、これが「国債発行残高」として積み上げられていくことになります。

60年償還ルールがスタートしてからまだ60年経過していませんから、国債発行がスタートした昭和40年より昭和が23年。平成が28年間。合わせて51年分の「国債」が現在も返済し続けられていることになります。

去年は50年分、今年は51年分、来年は52年分と蓄積されていきますが、これが60年経過しますと、国債発行初年度の国債から完済されていきますので、発行しなければならない借換債の額も、赤字国債の額も頭打ちとなります。後は新規発行国債の額がいくらか、というところに集約されることになります。

「グラフもないしわかりにくい!」という方は、どうぞ第27回の記事 、または第104回の記事 をご覧ください。


「研究開発費」が「GDP」に「資産計上」される意義

さてこの記事。ここからが本題です。

研究

というより、ここまで記すと、もうお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんね。

「研究開発費」は、これまで「経費」とみなされてきましたから、例えば政府が民間に政府のシステム開発等を委託したとしても、ここにかかる経費には「国債」を発行することはできませんでした。

もしするとすれば、これは「赤字国債」を発行して行わざるを得ず、国会の承認を得る必要がありますから、野党にあらぬ噂を立てられてしまえばこれでご破算になってしまいます。

勿論「建設国債」であったとしても、これには国会の承認は必要になりますから、赤字国債とどう違うんだ、と言われると明確な違いをお示しすることはできませんが、これまでと異なってくるのは、例えば第190回の記事 でご紹介した「地域経済分析システム『リーサス』」の様な統計システムが、「資産」として計上されるということ。

「対価」が発生するのです。
ということは、ひょっとしてこのような「研究開発費」についても「建設国債」を発行することが可能になるんじゃないの!? ってことです。

今後、「GDP」についても「ビッグデータ」を導入するための研究開発が行われていくわけですし、当然その「研究結果」が「資産」として計上されるはずです。ここに建設国債を発行することが可能になるのならば、当然予算に余裕が出てきますから、国債の返済のために発行しなければならない赤字国債の額を減らすこともできるようになるはずです。

「今減らしても将来は!」云々といいたい方は改めて第27回の記事 、または第104回の記事 をご覧ください。

特に「赤字国債の返済」という項目は、金融機関や民間から「国債」という資産を回収することになりますから、確かに金融機関や民間の「現金資産」は増えるかもしれませんが、プラスマイナスで考えればゼロか、むしろマイナスになります。
勿論現在は「マイナス金利」ですので少し事情が変わるかもしれませんが。

ですが、「研究開発費」という名目で建設国債を発行し、これを研究機関に投資すれば、これは研究機関の「所得」にも還元されますし、研究機関が発注する先であったり、人件費等々の「投資」へと変化し、新たな所得構造を生み出します。

勿論今回の改正では「公共」の研究開発費で、「公共資産」が生れる研究開発に限定されることにはなりますがそれでも財政政策の幅は広がります。これまで土建業者相手にしか発行できなかった「国債」が、知的研究機関にも発行できるようになることは、非常に可能性を感じさせる出来事だと、個人的には思っております。

いざとなれば、その研究成果を政府が民間に無償で提供すれば、その成果によって民間企業にもさらなる利益を生み出します。
(実際に政府はそのような研究とノウハウの提供を行っています)


勿論これは私の勝手な憶測ですから、政府が本当にそういうやり方をしてくるのかどうかはまだわかりません。

私の考え方としては、「分配」はあくまで「労働の対価」として行われるべきだということ。これが支柱にあります。
ですから、「社会保障費」として赤字国債を発行してまで分配するやり方には正直賛成できません。

これをやってしまうと、短期的には良い効果をもたらす可能性はありますが、やがて国民から「労働する意欲」を奪ってしまう可能性を否定できないからです。(第28回の記事 をご参照ください)

日本国民が、自力で経済を成長し続ける力を取り戻すためには、「乗数効果の高い分野」へ「投資」を行うこと。これが一番だと思います。

あくまでも統計データレベルでのお話ですが、この様な見方があるということを考え方の一つに考えていただけると嬉しく思います。


この記事のカテゴリー >>GDPの見方


<継承する記事>第197回 内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より③
今回の記事では、「内閣府、GDP算出方法の改定」についてのシリーズ①~③までの記事内容を総括する記事を作成しようと思います。

まとめますと、今回内閣府が行う「GDP算出方法の改定」とは、まず一つ目に、これまで用いてきた「2005年度版産業関連表」から「2011年度版産業関連表」への変更を行うこと。
第192回記事 をご参照ください)

そして、これまで古い国際基準である「1993SNA」に対応して作成してきていたものを、新しい国際基準「2008SNA」に対応した内容に変更すること。
第193回記事 をご参照ください)

この2点です。

どちらにせよ、産業関連表は5年遅れ、SNA(国民経済計算の国際基準)は8年遅れですから、この更新を行うことで本当に国内の経済状況を正確にとらえられるのか、ということに関しては非常に疑問に感じる部分も大きいのですが、特に「産業関連表」に関しては、10年前の産業構造で現在を判断するよりは、さすがに5年前の状況で判断したほうが、まだましだろうとは思います。

データとしては恐らく過去に遡及した物を出してくるでしょうし、計測方法が変更されたため、データとしてかさ上げされることになりますので、本来の「国力」が上昇するわけではない、ということから、この変更内容の重要性については5段階あったとしたら、下から2番目くらいになるでしょうか。

重要度としては、第189回の記事 ~第191回の記事 にかけてご紹介した、「統計指標へのビッグデータの活用」の方がよほど大きいと思います。

この二つの改定に関しては、GDP算出方法の改定が今年度第2四半期(7月~9月)二次速報分から、ビッグデータを活用した指標の導入が早ければ来年度から、ということですから、時期がずれますので、変化の調査は行いやすいと思います。

ただ、GDP算出方法の改定に関連した内容としては、特に「非金融(実物)資産の範囲」という項目に関してはひょっとすると経済実態を計測する上で、大きな影響が出てくる可能性のある部分だとは考えています。
第193回の記事 に掲載してある内容です。

「研究開発費」が「資産」として残る・・・といってもイメージがしにくいかもしませんね。

【日本における研究開発費の研究主体別構成比】
「研究開発費」の内訳
※内閣府PDF

大部分が「企業」にはなっていますが、その他にも「大学」や「公的研究機関」なども含まれていますね?
想像しやすいのが、「ノーベル賞」などがこれに該当するのではないでしょうか。

青色発光ダイオードなどはイメージしやすいかもしれませんよね。
ノベール賞を受賞したのは研究者である中村修二教授だったのに、研究にお金を出したのは日亜化学工業だったという理由で、中村教授には報酬が経った2万円しか渡されず、中村教授激怒・・・という光景を覚えている方もいらっしゃると思います。

つまり、「青色発光ダイオード」という技術の開発にかかった費用(研究開発費)は日亜化学工業だったんだから、中村教授一人が偉いわけじゃない、みたいな理屈です。

この事例を持ち出したのは、この事件そのものについて言及したいわけではなく、「青色発光ダイオード」という技術(知的財産)にかけられた費用は、これまでのGDPではすべて「経費」として扱われ、この知的財団には何の価値も与えられていなかったわけです。

勿論「青色発光ダイオード」という技術開発にかけられた「研究費用」そのものがGDPに組み入れられることも大きいのですが、これは、日本の「財政政策」にとっても一つの新しい「可能性」が生れることを暗示しています。

次回記事に於きましては、ではこの「財政政策の可能性」とは何なのか。
これを「建設国債と赤字国債」というタイトルで掲載してみたいと思います。




タイトルで、なんとなく私の言わんとしていることに気づくことができた方は・・・さすがです。


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