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<前回の記事 第47回 「内部留保」の問題点

前回の記事でご案内した通り、今回の記事では、「軽減税率」について私の私見を掲載させていただきます。
記事はこちらの記事から。
「食品全般」「外食は除外」自公が正式合意 財源1兆円は結論先送り

前回の記事では、NHKソースの記事を張っていたのですが、既にリンクが切れていましたので、今回は産経へのリンクを張っています。

とはいえ、私は第33回の記事および第34回の記事におきまして、ある程度私の考え方はお示ししていますので、今回の記事はそのリライトという形になります。

「消費税」の特徴と問題点

抑々、ではなぜ「軽減税率」が必要だと言われるのかというと、それは「消費増税」が行われると、国民が支払わなければならないお金の量が増えるから。
消費増税とはもともと2023年~2025年にかけて、毎年1兆円規模で支出が増えていくと考えられる、「年金・高齢者医療・介護」の財源が不足するため、その財源として政府が仕掛けた政策です。

第33回の記事でもお示しした通り、消費税とは、「景気の良しあしに関わらず、一定の収入が期待できる税収」です。

理由は簡単で、「消費税」とは、「景気の良しあしに関わらず消費されるもの」に対してかけられる税金であるからです。

一般会計税収の推移

こちらは、第33回の記事にも掲載した資料です。
ご覧のとおり、消費増税が行われた平成9年(1997年)以降継続的に、多少の上下こそあるものの、ほぼ一定の税収が確保できています。
社会保障費とは、景気がよかろうが悪かろうが、ある一定の支出が必要となる分野です。
所得税や法人税のように、景気変動の影響を受けやすく、経済状況によって変動する財源は社会保障の財源としては向いていません。消費税が社会保障の財源に適しているといわれる所以です。

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<前回の記事 第46回 上振れした『税収』の活用方法

アベノミクスを問う 20

シリーズ アベノミクスを問うについては、前回の記事で「いったん終わりにする」とお伝えしたのですが、この「内部留保」についてはアベノミクス三本の矢政策の構想に関係する内容ですので、「アベノミクスを問う」の続編という形でお示ししたいと思います。

「三本の矢」のまとめ

「三本の矢」に関連する記事を作成してから大分経っていますので、まずはここをまとめたいと思います。
流れ的には、

1.「日銀が市場から国債を買い上げ、現金通貨を投入することで金融機関市場の流動性を高める」
2.「政府が国債を発行して銀行等から現金通貨を吸収し、銀行以外の実体経済市場へ仕事を発注する形で現金通貨を投下する」
3.「仕事を引き受けることで、政府から資金を手にした企業が、資金を『設備投資』や『従業員の給与』として再度資金を流通させる」
4.「政府から仕事を引き受けた企業から再度発注を受けた企業が同じく『設備投資』や『従業員の給与』として資金を流通させる」
5.「給与が増えた従業員が市場で消費し、他業界の収益へとつなげる」

と、このようなところでしょうか。所謂「内部留保」が問題となるのは、これらの項目のうち、2番~4番。
政府が投下した資金が、きちんと『設備投資』や『従業員の給与』、そして『新たなる雇用』へとつながるかどうか、ということです。

アベノミクスによって増えた収益が、新たなる「投資」に回されず、企業の貯蓄に変わる。このことを=『内部留保』と呼びます。
別名、「利益剰余金」と呼ばれます。

m-Wordさんによりますと、以下のように説明されています。

利益剰余金とは、企業活動で得た利益のうち、分配せずに社内に留保している額のことで、利益準備金とその他利益剰余金で構成される。貸借対照表を構成する株主資本のひとつ。

利益剰余金が高くなると株主資本も高くなるが、利益剰余金が低かったり赤字であったりすれば、利益で蓄積されたものがなくなったことを表し、厳しい経営状況であることが判断される。利益剰余金は利益準備金と、その他利益準備金から構成される。

利益準備金は、積み立てることが義務付けられている法定準備金で、株主への配当の1/10の金額を資本準備金と合わせて、資本金の1/4になるまで積み立てなければならない金額となる。その他利益剰余金は会社が独自の判断で積み立てる任意積立金と繰越利益剰余金から構成される。


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<前回の記事 第45回 アベノミクスを問う19

前回の記事では、「15年度税収56.4兆円に、1.9兆円上振れ 補正財源に充当」というニュースについて、「アベノミクスを問う」を締めくくる形でお示しする、と記したのですが、改めまして、「ニュースの見方」とのサブタイトルで、新たにシリーズ化してみたいと思います。

「税収」の見方

このニュース、関連してこちらのニュースも引用しておきたいと思います。

7~9月実質GDP、年率1.0%増に上方修正

 内閣府が8日発表した2015年7~9月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動を除いた実質で前期比0.3%増、年率換算では1.0%増だった。11月16日に公表した速報値(前期比0.2%減、年率0.8%減)から上方修正した。

 QUICKが4日時点でまとめた民間予測の中央値は前期比横ばい、年率0.1%増だった。

 生活実感に近い名目GDPは前期比0.4%増(速報値は0.0%増)、年率では1.6%増(0.1%増)だった。

 実質GDPを需要項目別にみると、個人消費は0.4%増(0.5%増)、住宅投資は2.0%増(1.9%増)、設備投資は0.6%増(1.3%減)、公共投資は1.5%減(0.3%減)だった。民間在庫の寄与度はマイナス0.2ポイント(マイナス0.5ポイント)だった。 (2015/12/8 8:54 日経)

本題は
15年度税収56.4兆円に、1.9兆円上振れ 補正財源に充当
↑こちらのニュースですので、まずはこちらのニュースに対する見解から記事をスタートします。

[東京 3日 ロイター] - 2015年度の一般会計税収は今年1月時点の想定から1.9兆円上振れし、56.4兆程度となる見通しとなった。所得税や法人税の伸びを踏まえ、政府が近く上方改定する。

国の税収が56兆円台に乗せるのは1991年度以来24年ぶり。政府は、上振れした税収1.9兆円を14年度までの予算の使い残しとともに15年度補正予算の財源とし、規模を3兆円超とする方向だ。

補正編成では、15年度に予定していた新規国債の減額に加え、税外収入もマイナスとなる公算が大きい。将来の金利上昇に備え、日銀が、引当金を積み増す制度改正に踏み切るためだ。


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<前回の記事 第44回 アベノミクスを問う18

アベノミクスを問う19

前回の記事では、実質賃金指数の決まり方に大きな影響を与える「消費者物価指数」に着目し、「消費増税」も「生鮮食料品」も「輸入物価」も含む消費者物価指数「CPI」が、なぜ実質賃金指数を決定する数字として用いられるのかということを解説いたしました。

ただし、今回のシリーズは「アベノミクスを問う」というシリーズ。
単純に用語解説をすることが目的ではありません。「消費増税」も「生鮮食料品」も「輸入物価」も含まれる消費者物価指数ですが、では「消費増税」は実質賃金にどのような影響を与えたのか。「輸入物価」はどうであったのか。

前回の記事では、今回の記事に対して、特に「輸入物価」に着目して解析を行うことを託しました。

「輸入物価」の見方

さて。まずはこちらの円グラフをご覧ください。
日本の輸入内訳(2015年10月)

こちらは、2015年10月の輸入項目の内訳です。
金額ベースで、総額は536億ドルになります。

一方でこちらをご覧ください。
日本の輸入内訳(2012年10月)

こちらは2012年10月。アベノミクスがスタートする前の輸入項目の内訳です。

二つのグラフを比較して、いくつかの違いがあることに気づくでしょうか。
最も大きな違いは「総額」の変化。

アベノミクススタート前、2012年10月の総額が728億ドルであったのに対し、
今年、2015年10月の総額は536億ドル。

実に200億ドル以上も輸入額が下落していることに気づきます。

では、それぞれの総額を円ベースに換算するとどうでしょう。

2012年10月で、ドルに対する円の価値が最も高かった時の為替相場が1ドル78円。
2015年10月で、ドルに対する円の価値が最も低かった時の為替相場が122円です。


これを、それぞれの輸入内訳総額にかけますと、

2012年10月は6.84兆円。
2015年10月は6.54兆円


となります。

安倍内閣がスタートした当時、マスコミ等でよく見かけなかったでしょうか。

安倍内閣に入って、円安が急速に進行し、『輸入物価が上昇』し、『国民の生活が苦しくなる』

と。

「輸入物価とは何か」という定義づけにもよるのですが、少なくともこの表で見る限り、「輸入物価」は下落しています。

こんなことを言うと、

「確かに輸入額の総額は下落しているかもしれないが、品目ごと、単品ごとの『輸入価格』は下落しているんじゃないか」

という方がいるかもしれません。

ですが、例えば「GDP」で見てみますと、

2012年7月~9月のGDPは実質で128兆円。名目で115兆円。
2015年7月~9月のGDPは実質で130兆円。名目で122兆円。

本来であれば10月のデータが含まれるものを利用するべきでしょうが、2015年10月を含むデータはまだ公表されていませんので、7~9月のデータを比較します。

消費増税が行われていますので、名目で単純比較はできませんが、1%あたりの消費税収が年間で2兆円。増税額は3%分ですから、年間で6兆円の増税であると考えると、単純計算で4半期の増税による影響は1.5兆円。

2015年の名目は122兆、2012年の名目は115兆ですから、7兆円の経済成長。消費増税分を考慮しても、5兆円は経済成長していることになります。

経済全体を構成するGDPが名実ともに成長する中で、円建ての輸入総額が下落しているということは、即ち日本国経済の「輸入依存度」が下落していることを意味しています。

例えば、仮に「輸入価格」が上昇していたとしても、国内に代替品があるのならば、わざわざ輸入せず、国内で生産されたものを利用すればよいだけの話です。「輸入総額」がドルベースで見て大幅に下落している理由の中の一つに、このような理由が考えられます。

ですが、この「輸入総額」の下落に関しては、単純にこのように国内生産品に需要が代替されているだけ・・・と考えることは、少し尚早であるように感じます。

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<前回の記事 第43回 アベノミクスを問う17

アベノミクスを問う18

前回の記事では、「賃金指数(平均給与所得)」について、厚労省データと国税庁データの二つがあることをお示しし、厚労省データには従業員5名未満の事業所が含まれておらず、「実質賃金指数」はその5名未満の事業所が含まれていない厚労省データより算出されていることをお示しし、「実質賃金指数」そのものがやや正確性に欠ける数値であることをお示ししました。

また一方で実質賃金指数を決定する要素の一つとして「消費者物価指数」が関係していることをお示しし、その解析を今回の記事に委ねました。

「消費者物価指数」って何?

消費者物価指数・・・については第4回の記事で一度ご説明した上で、第9回の記事でも軽く触れています。

ですが、じゃあそもそも「消費者物価指数」って何なの?って言われても、少し理解しづらいと思います。

ひとことで言い表すとすれば、

「消費者物価指数」とは、「消費者が実際に買い物をするときの小売価格の変動を表わす数字」

です。
政府や日銀が目指している「年率2%の物価上昇」とは、この「消費者物価指数の上昇」であるといってもよいでしょう。

ですが、抑々「消費者物価指数」の語彙だけから考えると、年率%で消費者物価が上昇するということは、つまり我々消費者が買い物をする際の「小売価格」が上昇するということです。

これ、普通に考えると、あまり望ましいことではないようにも感じますよね?
ですが、抑々「デフレ」とは、企業が販売をする際、利益を食いつぶして場合によっては赤字で商品を売買していたからこそ起きていた経済現象です。
その結果削られていたのが我々労働者の「賃金」です。

①「物価」の考え方
我々が収入を得るためには、我々を採用している企業が、きちんと利益を確保する必要があります。
「消費者物価」が上昇するということは、「企業が値下げをしなくても商品が売れるようになっている」ということです。

その結果企業の利益が確保され、これが我々の賃金水準へと転化される。
この結果市場の流動性が高まり、「流動性の罠」から日本経済は脱却し、初めてデフレを脱却することができるようになるのです。
(※「流動性」および「流動性の罠」については第16回の記事をご参照ください。)

②「消費増税」と「消費者物価指数」
ところが、一方で「消費増税」が行われ、税制度によって強制的に物価が上昇させられた場合。
物価水準で見ますと増税された分は企業の利益を圧迫します。利益を確保しようとすれば、消費増税分以上に小売価格を引き上げる必要があるわけですから、賃金水準の上がっていない市場では、却って消費を減退させ、見かけの物価が上昇したとしても、実質的な「消費」は減速します。

物が売れなければ価格を引き下げざるを得ません。
このことから考えると、消費増税が行われた年の消費者物価指数をみる場合、消費者物価指数全体から、消費増税によって引き上げられた物価をマイナスして、それでも尚物価が上昇しているかどうかが物価水準を見る上での胆となります。

③コアCPIとコアコアCPI
また一方で、仮にアベノミクスが成功して景気が完全に回復しても、日本の経済は、「景気」以外の要素で変動を余儀なくされる場合があります。

そのうちの一つが天候や気温の影響を受けて変動する「生鮮食料品」。
仮に天候の不純により作物が不作となれば、当然野菜等の作物の小売価格は上昇します。天候の不純に伴う物価の上昇は利益を圧迫します。この考え方から生鮮食料品を省いた消費者物価の変動を表す数字として公表されるようになったのが「コアCPI」です。

もう一つが為替変動や国外の景気・需要の影響を受けて変動する「輸入品目」です。
輸入品目の内、最も大きな割合を占めるのが「鉱物性燃料」。
このことから、上記生鮮食料品に加えて「酒類を除く食料」および「エネルギー」の値を省いて計算された指標が「コアコアCPI」です。
(※CPIとは、消費者物価指数のことです)

マクロベース、税制や税収を考える上では国内の経済活動以外の部分で変動する物価を含む指標を使うと、正確な情報を把握することができませんから、消費者物価指数の指標として「コアコアCPI」で見ることでより実態に近い経済状況を見ることができますが、ミクロベース、賃金等、より私たちの生活に近い水準では輸入物価や生鮮食料品の変動が直接生活に影響を与えますから、「CPI」を指標として用います。

ただ、コアCPIもコアコアCPIも、マクロベースの経済指標をみる手段としては、本来不必要なデータが含まれていますので、やはりCPIではなく「デフレーター」を使うことで最も実態に近い状況を把握することができます。
(※デフレーターについては第9回の記事をご参照ください)

さて、では「実質賃金指数」を算出する上で用いられている「消費者物価指数(CPI)」。
アベノミクスがスタートしたとき、多くのマスコミが、「アベノミクスは円安誘導政策であり、の影響で輸入物価が上昇し、例え物価が上昇したとしても国民の生活が打撃を受けるんだから、アベノミクスは失敗だ」という論調が多くみられました。

では、実際にどうだったのでしょう。
本日は2015年12月1日。アベノミクスがスタートしてはや3年が経過しようとしています。

3年経過した結果どうだったのでしょうか。「円安により輸入物価が上昇し、国民の生活は大変になった」のでしょうか。

次回記事では、この「輸入物価」に着目し、その変動を追いかけることでアベノミクスと輸入物価の関係についても解析を進めたいと思います。

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