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<継続する記事>
第298回 消費者物価指数(CPI)の見方/2107年(平成29年)2月度版

さて。ついに今回は第300回。記念すべき記事となりましたね。

そんな記念すべき記事のテーマは「エネルギーの物価動向」について。
2017年2月の消費者物価指数から考えてみます。

第259回の記事 でお伝えしました様に、2016年12月より、ついに「ガソリン価格」が上昇へと転じ、次いで1月には「他の光熱費」=「灯油」の物価も上昇に転じました。

第282回の記事 では、然し確かに「原油精製品」の物価は上昇に転じたけれども、他のエネルギー価格は未だに下落したままである事をお伝えしました。


エネルギー物価の動向

エネルギー


実は、「エネルギー」というカテゴリーでの物価は10大費目とはまた別表でまとめられていて、エネルギー全体で見ることができます。

【エネルギーの消費者物価指数の前年同月比】
11月 -6.7%

12月 -4.4%

1月 -0.8%

2月 1.6%

さて。ついに「エネルギー価格」はエネルギー価格全体で物価を引き下げる要因としては機能しなくなってしまいました。

「エネルギー価格」が含まれるのは、「水道・光熱」及び「交通・通信」の2費目です。

【水道・光熱の消費者物価指数前年同月比】※( )内は2017年1月の前年同月比です。
光熱・水道 ウェイト:745

 電気代 -2.1 (-3.4) ウェイト:356

 ガス代 -6.5(-7.4) ウェイト:181

 他の光熱 29.8(19.7) ウェイト:41

 上下水道料 0.5(0.5) ウェイト:167

既にお伝えしていますように、「水道・光熱」全体ではマイナス幅が縮小した、とはいうものの、未だに物価上昇率はマイナスなのですが、「他の光熱(つまり灯油)」の物価上昇率は1月の19.7%から更に上昇幅を拡大し、29.8%の物価上昇率を記録しています。

「電気代」「ガス代」のマイナス幅は大きいですが、それでも共にそのマイナス幅を縮小させています。

【交通・通信の消費者物価指数前年同月比】※( )内は2017年1月の前年同月比です。
交通・通信 0.3(0.3) ウェイト:1476

 交通 0.0(-0.2) ウェイト:224

 自動車等関係費 3.4(2.5) ウェイト:836

 通信 -5.4(-3.8) ウェイト:416

このうち、「エネルギー価格」が含まれるのは「自動車等関係費」ですので、ここを深堀してみます。

【自動車等関係費の消費者物価指数前年同月比】※( )内は2017年1月の前年同月比です。
自動車等関係費 3.4(2.5) ウェイト:836

 自動車 -0.3(-0.2) ウェイト:199

 自転車 3.4(4.4) ウェイト:9

 自動車等維持 4.7(3.4) ウェイト:628
  ガソリン 15.8(11.2) ウェイト:206

自動車は残念ながら物価が減少していますね。
ただ、大切なのはそこではありません。ピックアップしましたが、「自動車等維持費」の内、「ガソリン代」。

改めて「エネルギー」に相当する項目をピックアップしますと、

【エネルギーの消費者物価指数の前年同月比】※( )内は2017年1月の前年同月比です。
ガソリン 15.8(11.2) ウェイト:206

電気代 -2.1 (-3.4) ウェイト:356

ガス代 -6.5(-7.4) ウェイト:181

他の光熱 29.8(19.7) ウェイト:41

下落している品目が「電気代」と「ガス代」、上昇している品目が「ガソリン」と「他の光熱(灯油)」でとなります。

下落している品目のウェイトを合算すると「537」、上昇している品目のウェイトを合算すると「247」で、下落している品目のウェイトは上昇している品目のウェイトを2倍以上上回っているのですが、それを完全に打ち消すほどの伸び率を「ガソリン」及び「灯油」が示していますので、結果的にエネルギーの消費者物価指数は全体でプラスの前年同月比を示しています。


エネルギーの消費者物価指数が上昇に転じた意味

「エネルギーの消費者物価が上昇に転じた」と言っても、実際に上昇しているのは「灯油」と「ガソリン」の2項目のみで、残る「電気代」と「ガス代」は未だに前年同月比でマイナスを維持しています。

ですが、先日の報道では新年度(2017年度)より、再生可能エネルギー費用を電気代に上乗せする、と言った報道も流れています。

【日経新聞ニュース】
再生エネの電気代上乗せ、17年度は月686円 100円増に
2017/3/14 20:46

 経済産業省は14日、再生可能エネルギーの導入による電気代への上乗せが、2017年度は標準家庭で月額686円といまより約100円増えると発表した。太陽光や風力発電の導入が増え、電力大手の買い取りコストが膨らむためだ。5月の検針分から適用する。

 再生エネは電力大手が事業者から電気を買い取り、費用を電気代に上乗せして回収する。17年度は家庭で使う電気1キロワット時あたり2.64円が上乗せされ、16年度より0.39円多くなる。毎月の使用量が260キロワット時の標準家庭の場合、年間8232円の負担になる。再生エネの電気の買い取り制度が始まった12年度と比べると10倍以上の水準だ。

 太陽光や風力などの電気は高値での買い取りが保証されてきたため、導入が急速に広がった。17年度の買い取り費用の総額は2兆7045億円と16年度に比べて4千億円ほど増える見通しだ。

 経産省は12年度に1キロワット時あたり40円だった太陽光の電気の価格を16年度は24円まで下げた。17年度からは入札制を取り入れ、さらに安い電気を優先して買う。風力も17年度に初めて値下げし、上乗せの膨張を抑える。

問題になるのは、「エネルギー価格」とは、基本的に「原価」に相当する部分で、このことで収入の増える日本人が誰もいない、ということです。

勿論、引用したニュースの様に、買取を前提とした再生可能エネルギーであれば、電力を販売した事業者は儲かりますから、その分GDP上昇にも貢献はするでしょう。

今後、物価をみる上で大切になってくるのは、仮にエネルギー価格が継続的に上昇した場合、「エネルギー価格の上昇」に伴う物価上昇を根拠として物価が上昇したかどうかを判断するのではなく、エネルギーの物価を除外して、それでも他の物価がきちんと上昇しているのかどうか。これを見る姿勢がとても大切になってきます。

改めて、私流「10大費目別消費者物価指数」を見てみましょう。

【10大費目別消費者物価指数の前年同月比】※( )内は2017年1月の前年同月比です。
生鮮食品を除く食料 0.7(0.6)

持ち家の帰属家賃をを除く住居 0.1(0.3)

光熱・水道 -2.1(-3.4)

家具・家庭用品 0.6(-0.1)

被服及び履物 1.3(1.1)

保健医療 0.6(0.5)

交通・通信 0.3(0.3)

教育 1.0(1.5)

教養娯楽 0.4(0.9)

諸雑費 0.3(0.4)

このうち、「エネルギー物価」が含まれるのは「光熱・水道」「交通・通信」の二つですから、この2項目を除外して考えても、他の項目は全てプラス成長していますね?

「持ち家の帰属家賃をを除く住居」の伸び率が0.1%と低迷してこそいますが、私の中で、物価上昇率の基準は「名目3%、実質2%の1%の物価上昇率」です。


これについては、日銀黒田総裁も私と同じ考え方をしていて、日銀が物価上昇率としてコア2%を目指しているのは、「消費者物価指数は下方バイアスがかかりやすいため」であり、2%上昇を果たせばバイアスを取り除いたとしても1%の物価上昇は果たせている、と考えられるから。

黒田さんが本当に目指している物価上昇率は、実は2%ではなく1%なんですね。
これは私が敬愛する麻生さんも一緒。

麻生内閣時代の物価上昇率こそ、私が表現した「名目3%、実質2%の1%の物価上昇率」でした。

これを3年連続で達成して初めて消費増税の議論に入る・・・としていたわけですが、消費増税に関してはこれを達成しないまま、引き上げてしまいましたね。

まあ、事後的ではありますが、これを達成することができれば、国民の消費増税に対する負担が軽減される、と考えられています。

私の中の消費増税の基準年は、麻生内閣がスタートした2008年をベースで考えていますが、2008年の家計最終消費支出(持家に帰属する家賃を除く)は232兆円です。端数まで含めて、これが3%上昇すると考えると、家計最終消費支出は6.96兆円増えることになります。

そうすると、増額した翌年の家計最終消費支出は239兆円。その3%は7.17兆円。
その翌年の家計最終消費支出は246.兆円。その3%は7.39兆円。

これを6.96兆円、7.17兆円、7.39兆円を合算すると約21.5兆円となります。

一方、2008年の消費税収が10.25兆円で、仮にこの時の消費税率が10%、国庫負担分が現在政府が想定している8.2%であったとすると、10%時の消費税収は19.9兆円となります。

消費税収=家計の税収負担は約10兆円増えるわけですが、家計の収入は3年間で税収の約2倍増える計算になります。

まあ、これほど単純な計算結果にはならないでしょうが、この様な結果をめざすのであれば、実際に2%もの物価上昇は必要ないのではないか、と個人的に思うわけです。


改めて、「私式10大費目別消費者物価指数」を見ていただいて、いかがでしょう。
そんなに悪くないんじゃない、って思いません?

小分類品目別に絞っていくと、まだまだ改善が必要な品目があることは事実ですが、ひょっとしてアベノミクスってうまく行ってるんじゃない、って思いません?

その最終成果がみられるのは、実は来月よりその影響が見え始める「2016年度の所得・法人・消費税収」の結果です。
実は2月までの数字は出ているのですが、前年同月比ベースで見て、正直、あまり結果は芳しくありません。

ただ、一つからくりがございまして、「法人の申告分所得税」、「法人税」「消費税」については「事業年度末」(12月が事業年度末であれば12月末、3月が事業年度末であれば3月)から2か月以内が「申告期限」とされています。

勿論3月を決算期としている企業が多いですから、3月末~5月末に最も多く納税されますので、実はまだ本当に納税額が多いのか少ないのかはわからない・・・という事実があります。

3月末が決算であったとすると、その申告はどんなに早くても4月になるでしょうから、2017年度の本当の納税額が分かるのは4月以降、ということになりますね。

残る3か月の数字を楽しみにしています。


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第298回 消費者物価指数(CPI)の見方/2107年(平成29年)2月度版

さて。前回の記事に引き続き、2017年度消費者物価指数について記事にしてみたいと思います。

前回の記事で予告しました通り、今回の記事のテーマは「家電製品の消費者物価指数」です。

家電製品に関しては、1月度の記事 でも「それでも上昇しない消費者物価指数」とのタイトルで、他の消費者物価指数が軒並み改善する中で、唯一「家電製品」だけが未だに伸び悩んでいることをピックアップして取り上げました。

改めて、2017年消費者物価指数10大費目についておさらいしておきます。

【10大費目別消費者物価指数の前年同月比】※( )内は2017年1月の前年同月比です。
生鮮食品を除く食料 0.7(0.6)

持ち家の帰属家賃をを除く住居 0.1(0.3)

光熱・水道 -2.1(-3.4)

家具・家庭用品 0.6(-0.1)

被服及び履物 1.3(1.1)

保健医療 0.6(0.5)

交通・通信 0.3(0.3)

教育 1.0(1.5)

教養娯楽 0.4(0.9)

諸雑費 0.3(0.4)

「食料」及び「住居」については、より実体経済に近い部分を抽出して、「生鮮食品を除く食料」「持ち家の帰属家賃を除く家賃」を掲載しています。

前回の記事 でもお伝えしました通り、長らく低迷を続けてきましたこの「消費者物価指数」も、ついに「水道・光熱」を除くすべての費目について前年同月比プラス成長を達成しました。

「水道・光熱」がマイナスを記録している理由は、ここに「エネルギー価格」が含まれているからなんですが、ここも含めてエネルギー価格に関連した記事は次回作成いたします。

今回テーマとする「家電製品」が含まれるのは、「家具・家庭用品」及び「教養娯楽」の二つの費目です。

10大費目別では、「家具・家庭用品」「教養娯楽」とも前年比でプラス成長を果たしています。
特に「家具・家庭用品」は1月まで前年比マイナス成長を続けていましたから、漸く・・・といった感じです。

ただ、その内訳を見てみますと、この項目の根本的な課題が解決された・・・というわけではないようです。


家具・家庭用品の消費者物価指数

洗濯機

【「家具・家庭用品」消費者物価指数の前年同月比】※( )内は2017年1月の前年同月比です。

家具・家事用品 0.6(-0.1) ウェイト:348

 家庭用耐久財 0.6(-1.3) ウェイト:111

 室内装備品 -3.1(-4.0) ウェイト:25

 寝具類 1.1(1.1) ウェイト:27

 家事雑貨 3.7(3.7) ウェイト:72

 家事用消耗品 -0.9(-1.1) ウェイト:86

 家事サービス -0.1(0.0) ウェイト:27

比較しやすいように、ウェイト(重要度)も併記しました。

ご覧いただきますとわかりますように、「ウェイト」つまり「重要度」の最も大きな「家庭用耐久財」の消費者物価指数が前年同月比で最も伸びており、これが「家具・家事用品」の物価上昇に大きく貢献していることが分かります。

そして、今回テーマとしている「家電製品」もこの中分類品目の中に含まれています。

【「家庭用耐久財」消費者物価指数の前年同月比】※( )内は2017年1月の前年同月比です。
家庭用耐久財 0.6(-1.3) ウェイト:111

 家事用耐久財 -2.7(-4.8) ウェイト:57

 冷暖房用器具 5.1(2.7) ウェイト:37

 一般家具 2.7(2.6) ウェイト:18

「家庭用耐久財」は「家事用耐久財」と「冷暖房器具」及び「一般家具」の3つの小分類で構成されています。

そう。ご覧の通り、今回「家具・家庭用品」の消費者物価指数を大きく引き上げた最大の理由は、「冷暖房器具」の前年同月比が大幅に上昇したことにあります。

品目はこんな感じ。
  ルームエアコン 5.9(3.0)

  温風ヒーター 2.2(0.0)

  空気清浄機 1.8(4.1)

「ルームエアコン」が大きく牽引していることがわかります。
一方、もう一つの「家電製品」である「家事用耐久財」はこんな感じ。
  電子レンジ -19.5(-28.7) ウェイト:4

  電気炊飯器 2.6(0.3) ウェイト:11

  ガステーブル 3.7(4.8) ウェイト:3

  電気冷蔵庫 -6.5(-7.8) ウェイト:16

  電気掃除機 16.2(14.7) ウェイト:9

  電気洗濯機(全自動洗濯機) -20.2(-20.3) ウェイト:7

  電気洗濯機(洗濯乾燥機) 3.9(0.7) ウェイト:7

「ガステーブル」は家電ではありませんが、それ以外は全て「家電」品目です。
「電気炊飯器」「電気掃除機」「電気洗濯機(洗濯乾燥機)」の3つが上昇する中で、「電子レンジ」「電気冷蔵庫」「電気洗濯機(全自動洗濯機)」の3つが物価を引き下げています。

「電子レンジ」「電気洗濯機(全自動洗濯機)」の2項目は二桁のマイナス幅を記録しています。
また、「電気冷蔵庫」は6%を超えるマイナス幅を記録している上に、「ウェイト(重要度)」も「家事用耐久財」全体57の内11となっていますので、その影響を無視することは出来ません。

但し、メーカー側の出荷状況(日本電機工業会データ)を見ますと、

【2017年2月出荷状況(前年同月比)】
電子レンジ
 数量:115.9%
 金額:110.8%

電気洗濯機(全体)
 数量:112.3%
 金額:112.2%

電気冷蔵庫
 数量:101.2%
 金額:101.0%

となっていますので、消費者物価指数側の数字の算出方法を100%信頼するのだとすれば、これは物価そのものの問題ではなく、販売店側の販売手法の問題である、ということもわかります。


教養娯楽の消費者物価指数

テレビ

【「教養娯楽」消費者物価指数の前年同月比】※( )内は2017年1月の前年同月比です。
教養娯楽 0.4(0.9) ウェイト:989

 教養娯楽用耐久財 -4.2(-3.6) ウェイト:59

 教養娯楽用品 0.1(0.6) ウェイト:210

 書籍・他の印刷物 0.5(0.2) ウェイト:128

 教養娯楽サービス 0.9(1.6) ウェイト:592

「教養娯楽」は全体のウェイトも989と大きくなっています。

1月の前年同月比0.9から上昇幅が0.4と縮小しているわけですが、その最大の理由は「教養娯楽用耐久財」のマイナス幅が拡大している事。

その他、「教養娯楽用品」「教養娯楽サービス」も上昇幅を縮小させており、それぞれウェイトが大きくなっていますので、「教養娯楽用耐久財」を深堀した後で、この2項目についても軽く見てみたいと思います。

【「教養娯楽用耐久財」消費者物価指数の前年同月比】※( )内は2017年1月の前年同月比です。
教養娯楽用耐久財 -4.2(-3.6) ウェイト:59

 テレビ -6.1(-3.4) ウェイト:15

 携帯型オーディオプレーヤー 0.6(-0.4) ウェイト:1

 電子辞書 17.3(-2.0) ウェイト:1

 ビデオレコーダー 3.2(0.6) ウェイト:4

 パソコン(デスクトップ型) -8.4(-7.0) ウェイト:8

 パソコン(ノート型) -10.6(-10.7) ウェイト:14

 プリンタ 9.6(7.5) ウェイト:2

 カメラ 8.6(4.7) ウェイト:4

 ビデオカメラ -17.1(2.0) ウェイト:2

 ピアノ 0.0(0.0) ウェイト:5

 学習用机 2.0(1.6) ウェイト:3

はい。ここでもやはり物価上昇率を伸び悩ませている最大の原因は「テレビ」及び「パソコン」の家電製品。

こちらもメーカー側の出荷状況(電子情報技術産業協会データテレビパソコン)を見てみます。

【2017年2月出荷状況(前年同月比)】
映像機器全体の出荷額:96.1%
 内薄型テレビの出荷台数:95.2%

パソコン
 出荷台数:114.7%
 出荷金額:114.5%

となっています。
テレビに関しては大分消費者物価指数の示す数字と現実の数字が近づいてきている様ですね。
つまり、出荷ベースで見ても販売ベースで見ても、「伸び悩んでいる」と。

PCは出荷ベースと販売ベースでの数字に大きな開きが見られます。
こちらも「販売側の問題」ということでしょうか。

日銀・安倍内閣の目指す「物価上昇率」を達成する上で、残るネックとなってくるのは「家電製品」のみ。
ピンポイントで何が問題であるのか、ということがようやく顕在化してきましたね。


「教養娯楽用品」と「教養娯楽サービス」

ここは、物価上昇率としてはプラスの数字を示していますから、軽く触れる程度にしておきます。

「教養娯楽用品」の中でマイナス幅が大きく、同時に「ウェイト」も大きな品目として、「運動用具類」と「玩具」。この二つの項目が挙げられます。

教養娯楽用品全体のウェイト210に対し、運動用具類が52、玩具が21となっています。

運動用具類は1月の-1.2%から-0.7%にマイナス幅を縮小させているのですが、玩具は-1.4%から-1.6%にマイナス幅を拡大させています。

玩具全体の中でウェイトが大きいのは「組み立て玩具」の8。
前年同月比は-0.5%から-1.3%に拡大しています。

下落幅が大きいのは、ウェイトとしては「1」と非常に少ないのですが、下落幅が-14.2を記録している家庭用ゲーム機据え置き型。
一方で携帯型は0.1%とプラス成長していますから、時代の流れを感じますね。


次回記事では、冒頭でお伝えした通り、「エネルギー価格」の変動に着目して記事を作成してみたいと思います。


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先月末(2017年3月末)、2017年2月の消費者物価指数が公表されましたので、今回はこの内容について記事にしたいと思います。
振り返りで、1月の消費者物価指数 の特徴として、何よりも大きいのは、政府の公表する「消費者物価指数(総合)」の項目が変化した、という事。

これまでは、「コアCPI」として、「食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合」という名称が割り当てられていたのですが、1月よりこの名称が「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」に変わりました。

勿論、項目として「食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合」という項目そのものがなくなったわけではないのですが、政府が重要視して公表していました、「消費者物価指数(総合)」「コアCPI(生鮮食品を除く総合)」「コアコアCPI(食品(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合)」という項目の「コアコアCPI」の内容が「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」に置き換えられたということです。

項目の重要性に就いては1月の消費者物価指数 にてごらんいただきたいのですが、これまで政府ではなく日銀が公表していたデータを政府も採用し、こちらの方が重要だ、と考えるようになったということです。

その他、2016年度までの消費者物価指数の中でずっと足を引っ張り続けてきていたのが「エネルギー価格」と「家電製品」の2つだったのですが、2016年12月、「エネルギー価格」の内「原油価格」に由来する品目の消費者物価指数がついに上昇へと転じ、これが1月も継続したという事。

この2点が大きな特徴だったかと思います。

2017年2月の分析はは先ず消費者物価指数の全体像から行っていきます。


消費者物価指数(総合)

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【消費者物価指数総合の前年同月比】
※( )内は2017年1月の前年同月比です。
消費者物価指数(総合) 0.3(0.4)

生鮮食品を除く総合(コアCPI) 0.2(0.1)

持家の帰属家賃を除く総合 0.4(0.6)

生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI) 0.1(0.2)

「生鮮食品を除く総合(コアCPI)」以外は軒並み伸び率が鈍化していますね。
ちなみにもう一つ、「持ち家の帰属家賃を除く総合」を加えていますが、この理由については第281回の記事 をご参照ください。

このうち、私が重要視している新コアコアCPI=「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」は0.1%と伸び悩んでいます。
なぜこの「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」が伸び悩んでいる様に見えるのか。

このことを検証するため、今度は「10大費目別消費者物価指数」を見てみましょう。


10大費目別消費者物価指数

【10大費目別消費者物価指数の前年同月比】※( )内は2017年1月の前年同月比です。
食料 0.8(1.8)
生鮮食品 1.4(8.0)
生鮮食品を除く食料 0.7(0.6)

住居 -0.2(-0.2)
持ち家の帰属家賃をを除く住居 0.1(0.3)

光熱・水道 -2.1(-3.4)

家具・家庭用品 0.6(-0.1)

被服及び履物 1.3(1.1)

保健医療 0.6(0.5)

交通・通信 0.3(0.3)

教育 1.0(1.5)

教養娯楽 0.4(0.9)

諸雑費 0.3(0.4)

解りますでしょうか?
「住居」に関しては、「持ち家の帰属家賃」は統計上実際には存在しない架空の数字であり、まったく重要性のない数字であることは散々お伝えしている通りで、「食料」に関しても「生鮮食品」は「利益」ではなく「原価」の増減によって物価が左右されますので、「生鮮食品を除く食料」の方が数字としては大切になる、ということも既にお伝えしているとおりです。

ですので、
生鮮食品を除く食料 0.7(0.6)

持ち家の帰属家賃をを除く住居 0.1(0.3)

光熱・水道 -2.1(-3.4)

家具・家庭用品 0.6(-0.1)

被服及び履物 1.3(1.1)

保健医療 0.6(0.5)

交通・通信 0.3(0.3)

教育 1.0(1.5)

教養娯楽 0.4(0.9)

諸雑費 0.3(0.4)

の10項目で見ることで、政府が目指す「物価上昇率」により近い状況を見ることができることができます。

さて、いかがでしょう。
遂に、「光熱・水道」を除くすべての10大費目で前年同月比プラスを達成することができました。

では、私が重要視している「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」ですが、一つ言えるのは、

 「住居」費目で、「住居」全体の前年同月比が -0.2%、
 持ち家の帰属家賃をを除く住居の前年同月比が0.1%

となっていますが、前述しました通り持ち家の帰属家賃はフィクションの数字ですから、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」から更に「持ち家の帰属家賃」を除くと新コアコアCPIももう少し数字は大きくなります。必要なデータだと思うんですけどね、この項目。

ただ、それ以上に、「持ち家の帰属家賃をを除く住居」が1月より伸び悩んでいますので、「持ち家の帰属家賃をを除く住居」そのものも新コアコアCPIが1月より伸び悩んでいる理由の一つとなっています。

理由は、「設備修繕・維持」の中分類品目が1.0%から0.6%に鈍化したから。
ただ、それ以上に「家賃」が-0.4%の下落幅を維持していますので、「住居」費目をみる上ではこの「家賃」の下落が継続していることがウィークポイントとなっています。

この他、「教育」「教養・娯楽」「諸雑費」の3つの費目で上昇幅が鈍化しています。

「教育」では、「補習教育」が0.9%から-0.6%に下落したことが、「諸雑費」では「理美容サービス・理美容用品」の物価が下落したことがその要因となっています。

「教育娯楽」は後日記事にて触れる予定ですので、今回の記事では割愛します。

上昇幅が鈍化している項目をウェイト(重要度)別に見てみますと、
持ち家の帰属家賃をを除く住居 0.1(0.3) ウェイト:589

教育 1.0(1.5) ウェイト:316

教養娯楽 0.4(0.9) ウェイト:989

諸雑費 0.3(0.4) ウェイト:574

となります。「割愛する」と言いましたが、「教養娯楽」のウェイトが最も大きく、鈍化した幅も0.5%と、「教育」と並んで最も大きな鈍化幅となっていますね。

実はこの費目、「教養娯楽用耐久財」、「教養娯楽用品」、「書籍・他の印刷物」、「教養娯楽サービス」の4つの中分類品目で構成されています。

このうち、プラス幅が上昇しているのは「書籍・他の印刷物」だけで、他は全て上昇幅が縮小しており、「教養娯楽用耐久財」に至ってはマイナス幅が-3.6から-4.2に拡大しています。

「教養娯楽用耐久財」、つまり「テレビ」のことですね。
勿論テレビだけではありませんが、これまで足を引っ張り続けてきた「家電」の分野です。

ところが、実は今回の調査データの中で、もう一つの家電分野が含まれる、「家具・家庭用品」費目はマイナス成長からついにプラス転換しています。「家庭用耐久財」もまたプラス成長しているんですよね。


ということで、次回記事では、この「家電製品」ともう一つ、「教養娯楽用品」の中で物価の上昇幅を鈍らせた原因となっている「教養娯楽サービス」についても記事にしてみたいと思います。


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<継続する記事>
第282回 マスコミが3年4か月間付き続けてきた嘘/2017年(H29)1月CPIより

さて。2017年1月消費者物価指数記事の続きです。

賢明な方はもうお気づきですね。
「それでも上昇しない消費者物価指数」。つまり「家電製品」のことです。

「住居」を「持家に帰属する家賃を除く住居」に置き換えると、「10大費目別消費者物価指数」の内、前年度割れを記録しているのは既に「水道・光熱」及び「家具・家事用品」の2つだけ。

「水道・光熱」に関しては既に情報を掲載していますので、残る「家具・家庭用品」及び「教養・娯楽」中「教養娯楽用耐久財」について記事にしたいと思います。


「家具・家庭用品」の消費者物価指数

洗濯機
【「家具・家事用品」の前年同月比】※〔 〕内はウェイト、( )内は12月の前年同月比です。
家具・家事用品〔348〕
 -0.1(-1.0)

 家庭用耐久財〔111〕
 -1.3(-3.8)

 室内装備品〔25〕
 -4.0(-3.7)

 寝具類〔27〕
 1.1(0.1)

 家事雑貨〔72〕
 3.7(4.0)

 家事用消耗品〔86〕
 -1.1(-1.7)

 家事サービス〔27〕
 0.0(0.6)

今回対象としたいのは、この内「家庭用耐久財」についてですが、他の項目に関しても概要だけ記載しておきます。

下落している項目は「室内装備品」及び「家事用消耗品」の二つ。
「室内装備品」は「室内時計」「照明器具」「カーペット」「カーテン」の4つ。

この内、「前年同月比」でマイナス幅が大きいのは「照明器具(-14.9%)」なんですが、この項目は平成10年4月より、永続的に前年度割れを継続していますので、安倍政策とは関連性のない理由によるものと考えられます。

其の他「室内時計」「カーペット」も前年度割れを記録していますが、ウェイトが共に一桁で、全体への影響は小さいと考えられますから、この場では割愛いたします。

また、「家事用消耗品」はそのほぼ全てが紙類や洗剤、防虫剤関係でその原料として「原油」が用いられています。
ガソリンや灯油で見れば物価は前年度を上回りましたが、原油から生成される加工品ではまだその影響が残っている、ということでしょうか。

それでは本命の「家庭用耐久財」へと話題を進めます。


「家庭用耐久財」の消費者物価指数

【「家庭用耐久財」の前年同月比】※〔 〕内はウェイト、( )内は12月の前年同月比です。
家庭用耐久財〔111〕
 -1.3(-3.8)

 家事用耐久財〔57〕
 -4.8(-8.3)

 一般家具〔18〕
 2.6(0.6)

「一般家具」に関しては、2016年7月~10月にかけて前年度割れを記録していましたが、11月より回復し、1月にはついに2%越え(政府目標物価上昇率の達成)を果たしていますね。

さて。ではもう一つ、「家事用耐久財」について。

【「家庭用耐久財」の前年同月比】※〔 〕内はウェイト、( )内は12月の前年同月比です。
家事用耐久財〔57〕
 -4.8(-8.3)

 電子レンジ〔4〕
 -28.7(-28.5) 

 電気炊飯器〔11〕
 0.3(-1.0)

 ガステーブル〔3〕
 4.8(3.2)

 電気冷蔵庫〔16〕
 -7.8(-12.1)

 電気掃除機〔9〕
 14.7(4.7)

 電気洗濯機(全自動洗濯機)〔7〕
 -20.3(-20.0)

 電気洗濯機(洗濯乾燥機)〔7〕
 0.7(-2.9)

 冷暖房用器具〔37〕
 2.7(1.8)

  ルームエアコン〔30〕
  3.0(2.7)

  温風ヒーター〔4〕
  0.0(-8.7)

  空気清浄機〔3〕
  4.1(10.6)

さて、いかがでしょうか。「エネルギー価格」に続く消費者物価下落の犯人の一つであったこの「家事用耐久財」。
ですが、少し変化が見られるようになって来ましたね。

「家電」ではありませんが、「ガステーブル」は5月より10月にかけての前年度割れから回復し、12月が3.2%、1月が4.8%と、政府目標を大幅に上回っています。

また、「電気掃除機」に至っては、2015年7月の-1.2%から、翌8月の-10.1%。依頼二けたを超えるマイナス幅を継続し、20%のマイナス幅を頻繁に刻み続ける中、ついに12月に4.7%と前年度をクリア。そして更に1月はなんと14.7%のプラス幅を達成しています。

「電気洗濯機(洗濯乾燥機)」も長らく前年度割れを継続し、9月には最大26.7%の前年度割れを記録していたのですが、2017年1月、ついに前年度をクリアし、0.7%のプラス成長を達成しました。

「ルームエアコン」~「空気洗浄機」までは全て「冷暖房用器具」に含まれますが、冷暖房器具全体では1月~7月まで前年度割れを記録していましたが、8月にプラスに転じ、9月に0%を記録するものの、それ以降は毎月プラス成長。1月は2.7%と、こちらも政府目標を達成してます。

残る品目は

 「電子レンジ」の-28.7%、「電気冷蔵庫」の-7.8%、「電気洗濯機(全自動洗濯機)」の-20.3%

この3つです。何れもマイナス幅が大きく、消費者物価指数全体に対しても重しとなっていますが、多くの品目で2%を超える物価上昇率を達成していることは明るいニュースだと思います。

この分野は生産者側の出荷額・出荷量と消費者側の支出額との間に乖離が大きく、ジャ〇ネットタ〇タさんを筆頭に、家電業界が安売り競争を繰り広げている事がそもそも「物価下落」の最大の原因だと考えられます。


「教育娯楽用耐久財」の消費者物価指数

テレビ

【「教育娯楽用耐久財」の前年同月比】※〔 〕内はウェイト、( )内は12月の前年同月比です。
教養娯楽用耐久財〔59〕
 -3.6(-4.9)

 テレビ〔15〕
 -3.4(-11.4)

 携帯型オーディオプレーヤー〔1〕
 -0.4(0.1)

 電子辞書〔1〕
 -2.0(0.8)

 ビデオレコーダー〔4〕
 0.6(-2.9)

 パソコン(デスクトップ型)〔8〕
 -7.0(-6.7)

 パソコン(ノート型)〔14〕
 -10.7(6.1)

 プリンタ〔2〕
 7.5(6.4)

 カメラ〔4〕
 4.7(5.1)

 ビデオカメラ〔2〕
 2.0(1.1)

 ピアノ〔5〕
 0.0(0.0)

 学習用机〔3〕
 1.6(0.8)

ここでネックとなるのはやはり「テレビ」と「パソコン」ですね。
パソコンに関しては昨年の8月以降にWindows10への無料アップデートが行われたことなども影響しているのでしょうか。

タイミング的に、パソコンが前年割れを始めたのが2016年9月以降ですから、丁度符号がマッチします。

テレビに関しては、確かにマイナス幅は前年比3.4%と決して小さくはありませんが、2016年7月以降、二けたを超える下落幅を継続していたことから考えると、漸く落ち着いてきたかな、という感じを受けます。

店頭での大安売りからテレビショッピング、ネット通販と移行してきた家電の値下げ合戦ですが、何時までも値段を下げ続けられるわけがありません。きちんと利益を確保しなければ企業の営業活動にも限界がありますからね。

値下げしたとしても、そのことで企業がきちんと利益を確保できていれば問題はないのですが、果たしてその辺り、どうなのでしょうね。

来月以降の消費者物価の動向にも着目していきたいと思います。


この記事のカテゴリー >>「物価」の見方


<継続する記事>
第282回 マスコミが3年4か月間付き続けてきた嘘/2017年(H29)1月CPIより

前回の記事の続きです。

前回の記事では、2017年の消費者物価指数が上昇した理由として、「原油価格」が「前年同月比」で上昇に転じたことで、「原油由来製品」の「エネルギー価格」が上昇に転じたことは、確かに物価を押し上げていると言えないことはありませんが、「エネルギー価格全体」ではいまだに「前年度割れ」が続いている状態であり、「物価を引き下げる要因」として働いている事をお伝えしました。

つまり、2017年の消費者物価全体で見る場合、エネルギー価格が全体で0.8%押し下げている「物価」を補てんして尚、消費者物価全体を押し上げている「品目」があるということ。

今回の記事は、2017年の消費者物価全体の中で、エネルギー価格のマイナス幅を受けて尚消費者物価全体を押し上げている「品目」を探り出すことを目的としています。


改めて、「10大費目別消費者物価指数」を検証します

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【10大費目別消費者物価指数】※( )内は12月の前年同月比です。
総合
 0.4(0.3)
 生鮮食品を除く総合
 0.1(-0.2)
 生鮮食品及びエネルギーを除く総合
 0.2(0.1)

食料
 1.8(2.5)
 生鮮食品を除く食料
 0.6(0.5)

住居
 -0.2(-0.2)
 持家の帰属家賃を除く住居
 0.3(0.2)

光熱・水道
 -3.4(-4.8)

家具・家事用品
 -0.1(-1.0)

被服及び履物
 1.1(0.6)

保健医療
 0.5(0.8)

交通・通信
 0.3(-0.7)

教育
 1.5(1.5)

教養娯楽
 0.9(0.5)

諸雑費
 0.4(0.3)

「生鮮食品を除く総合」と「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」で比較してみますと、前年同月比で0.1%の違いがありますから、エネルギーだけで消費者物価指数全体を0.1%分引き下げる原因として働いていることが分かりますね。

ちなみに、「持家の帰属家賃を除く総合」で消費者物価指数総合が前年度比0.6%。除かない総合が0.4%ですから、「持家に帰属する家賃」だけで消費者物価指数全体を0.2%も引き下げる要因として働いていることもわかります。

この様にしてみますと、「10大費目」の中で、消費者物価指数を引き下げる要因として働いているのは「水道・光熱」及び「家具・家事用品」のみ。「家具・家事用品」が下落している理由は、私のブログをずっと読んでいただいている方にはもう想像がついていますね?

このことに関してはまた後日記事にします。

整理しますと、
生鮮食品を除く食料〔2209〕
 0.6(0.5)

持家の帰属家賃を除く住居〔589〕
 0.3(0.2)

被服及び履物〔412〕
 1.1(0.6)

保健医療〔430〕
 0.5(0.8)

交通・通信〔1476〕
 0.3(-0.7)

教育〔316〕
 1.5(1.5)

教養娯楽〔989〕
 0.9(0.5)

諸雑費〔574〕
 0.4(0.3)

これらの項目が2017年1月の消費者物価を引き上げる要因として働いています。
ウェイト(重要度)として大きいのは、「生鮮食品を除く食料」及び「交通通信」、あと、「教養娯楽」の3項目ですね。
「持家に帰属する家賃を除く住居」も決して低くはありませんね。

「交通・通信」に関しては、前回の記事 にも掲載しましたね。

中分類で「交通」「自動車等関係費」「通信」の2つに分類されており、「交通」と「通信」は未だにマイナス。
唯一「自動車等関係費」のみがプラス成長していて、「交通・通信」全体を0.3%成長と押し上げていることをお示ししました。

更に、「自動車等関係費」の中分類を更に絞って、小分類で掲載し、「自動車等関係費」の中でも、「自転車」と「自動車等維持」という二つの品目がプラス成長していることをお示ししました。

ただ、「自動車等維持費」の品目を全品目掲載できていなかったようですので、改めて「自動車等維持」の品目別のみ再掲載します。

【自動車等維持消費者物価指数】※〔 〕内はウェイト、( )内は12月の前年同月比です。
自動車等維持〔628〕
 3.4(0.4)

 ガソリン〔206〕
 11.2 (1.6)

 自動車タイヤ〔30〕
 0.7(1.1)

 自動車バッテリー〔8〕
 -0.8(0.1)

 カーナビゲーション〔21〕
 -3.0(-6.4)

 自動車整備費(定期点検)〔28〕
 0.6(0.7)

 自動車整備費(パンク修理)〔22〕
 0.3(0.3)

 自動車オイル交換料〔12〕
 0.8(0.8)

 車庫借料〔51〕
 0.0(0.1)

 駐車料金〔9〕
 1.3(1.3)

 自動車免許手数料〔2〕
 0.0(0.0)

 レンタカー料金〔5〕
 0.5(0.3)

 洗車代〔2〕
 0.4(0.5)

 ロードサービス料〔3〕
 0.0(0.0)

 自動車保険料(自賠責)〔41〕
 0.0(0.0)

 自動車保険料(任意)〔189〕
 0.3

ウェイト(重要度)が最も大きいのは「ガソリン」であり、ここの前年同月比での伸び率が最も大きいことから、自動車維持費3.4%の伸び率に対して影響が一番大きいのが「ガソリン」であることは間違いありません。

ただ、「自動車等維持」の項目の中でマイナスを記録しているのは「自動車バッテリー」及び「カーナビゲーション」の二品目のみで、他は全てプラス成長、もしくは横ばいであることが分かります。

この他、「交通」の中分類品目の中でも、小分類「鉄道運賃」「一般バス代」「タクシー代」「航空運賃」「有料道路料」の中で、前年度割れを記録しているのは「航空運賃」のみ。他は全て横ばい、もしくはプラス成長です。

また同じく中分類品目「自動車等関係」中、小分類で前年度を割っているのは「自動車」のみですが・・・

【自動車消費者物価指数】※〔 〕内はウェイト、( )内は12月の前年同月比です。
自動車〔199〕
-0.2(0.1)

 軽乗用車〔40〕
 -0.3(0.3)

 小型乗用車A(国産車)〔55〕
 0.1(0.3)
 
 小型乗用車B(輸入車)〔5〕
 -9.7(-9.7)

 普通乗用車A(国産車)〔80〕
 0.1(0.3)

 普通乗用車B(輸入車)
 0.8(0.8)

と、こんな感じ。
小型輸入車が-9.7%と下げ幅が大きくなっていますが、これは12月も同様で、12月自動車全体としてはプラス成長していますので、1月特有の状況として、やはり軽自動車のマイナスが自動車の消費者物価に大きく影響しています。

ですが、それでも軽自動車と小型輸入車以外の消費者物価は上昇しています。
こうしてみると、なんとなく見えてきますね。どうも、2017年1月の消費者物価が上昇している理由は、「ガソリン価格」だけが理由ではないらしい・・・ということが。


「生鮮食品を含まない食料」に関しても同じような形で記事を作りたいのですが、何しろアイテム数が多く、「原価」と「利益」の分けて考えることがどうしても難しい分野ですので、詳細を記事にすることは差し控えたいと思います。

ただ、全ての項目の中で最もウェイト(重要度)が大きく、前年同月比も0.6%となっていますから、「生鮮食品を含まない食料」の物価上昇に対する貢献度は決して小さくはありません。

原料として生鮮食品を用いている加工食品もありますから、ここはもう少し生鮮食品の物価が落ち着くまで待って見てもよいかもしれませんね。


「教育・娯楽」の消費者物価

さて。もう一つ「ウェイト」の大きな分野で、且つ前年同月比をが大きな費目として、「教養・娯楽」が挙げられます。

【「教養・娯楽」消費者物価指数】※〔 〕内はウェイト、( )内は12月の前年同月比です。
教養娯楽〔577〕
 0.9(0.5)

 教養娯楽用耐久財〔59〕
 -3.6(-4.9)

 教養娯楽用品〔210〕
 0.6(0.9)
 
 書籍・他の印刷物〔128〕
 0.2(0.1)

 教養娯楽サービス〔592〕
 1.6(1.1)

さて、いかがでしょう。
この分野でも、実際にマイナス要因となっているのは「教養娯楽用耐久財」の1項目のみ。
ここは、「テレビ」や「パソコン」などが含まれています。

というと、なぜ下落しているのか、私の記事をよく読んでいらっしゃる方には何となく想像がつきますね?
ここも後日改めて記事にします。

教養娯楽用品のウェイト210、書籍・他の印刷物の128と、どちらもその重要度としては決して小さくはありませんが、中でも特に大きなウェイトを示しているのが「教養娯楽サービス」の592というウェイト(重要度)。物価上昇率も1.6と中々の好成績です。

では、この「教養娯楽サービス」の中身を見てみますと・・・
【「教養娯楽サービス」消費者物価指数】※〔 〕内はウェイト、( )内は12月の前年同月比です。
教養娯楽サービス〔592〕
 1.6(1.1)

 宿泊料〔113〕
 2.7(1.5)

 パック旅行費〔42〕
 6.7(6.7)

 月謝類〔103〕
 0.5(0.5)

 他の教養娯楽サービス〔334〕
 1.0(0.7)

一目瞭然ですね。「宿泊料(国内旅行)」と「パック旅行費(海外旅行)」の2項目が完全に「教養娯楽サービス」全体を引き上げる役割を果たしています。

「引き上げている」と表記しましたが、他の「月謝類」や「他の教養娯楽サービス」もきちんとプラス成長しています。
特に「他の教養娯楽サービス」は334とウェイトも大きく、物価上昇率も1.0%と大きくなっていますから、この小分類項目も消費者物価指数全体を引き上げる上で大きく貢献しています。

この項目の中で貢献度が大きいのは「入場・観覧・ゲーム代(ウェイト128、成長率2.6%)」です。
映画鑑賞、演劇観覧、サッカー・プロ野球観覧、ゴルフ練習・プレー料金、ボーリング、プール使用料、テーマパーク、カラオケなど、まさしく「娯楽」を象徴するものばかり。

不景気時にはいち早く切り捨てられる分野です。
この分野で「マイナス」を記録している品目は「ビデオソフトレンタル代」及び「獣医代」の2品目のみ。

つまり、「教養娯楽サービス」費目の内、「他の教養娯楽サービス」はそのほぼすべての品目に亘って「物価を上昇」させるために貢献している、ということになります。

教養娯楽用品に於いて「運動具類」と「玩具」がマイナスをつけてはいるものの、教養娯楽用品全体としては0.6%のプラス成長。
ここから見ても、ロイター報道に於ける「原油などエネルギー価格が前年との比較で急騰しており、指数を押し上げた」という表現が如何に的外れなものであるのか、ということが見えてきますね?

NHKでは、

『原油価格の上昇の影響でガソリンや灯油の価格が上がったことや、牛肉や米などの価格が上がったことなどによるものです』

とも報道していますが、そもそも牛肉は「生鮮食品」ですし、ここまで軒並み消費者物価が上昇している以上、これを「牛肉と米」だけの理由にすることもまた非常に偏った報道の在り方です。

消費者物価指数の優等生である「被服及び履物」も412というウェイトを誇る中で1.1%消費者物価が上昇していますし、ウェイト430の保健医療が0.5%の上昇、316の「教育」が1.5%、574の「諸雑費」が0.4の上昇。

マスコミが必死に取り上げている「生鮮食品を除く総合(コアCPI)」の上昇率はたかが0.1%の上昇率にすぎません。

「生鮮食品を除く食料」も「持家の帰属家賃を除く住居」も「被服及び履物」も「保健医療」も「交通・通信」も「教育」も「教養娯楽」も「諸雑費」も、10大費目別消費者物価指数の内実に8項目に亘って「生鮮食品を除く総合(コアCPI)」の物価上昇率を上回っているのです。

いい加減「消費者物価が下落している」かの様に情報を歪曲して報道する姿勢から卒業したらどうかと思うんですが、マスコミの皆さん。


次回記事では、それでもまだ下落している「消費者物価」についての記事を掲載したいと思います。


この記事のカテゴリー >>「物価」の見方


<継承する記事>
第281回 持家に帰属する家賃と2017年(平成29年)1月消費者物価指数

前回までの記事で、今回の消費者物価指数のポイントとして、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」という項目が追加されたこと、その上で未だに「持家に帰属する家賃」が消費者物価指数に加えられたままであり、本当の意味で正確に「アベノミクスの影響」を測定できる状態には未だに至っていないということを掲載しました。

ただ、これらのポイントは飽くまでデータの掲載方法として私の意見や考え方を述べたもの。
では、実際に「2017年1月の消費者物価指数」はよかったのか悪かったのか。ポイントとしてどこを抑えておくべきなのかということを記事にしたいと思います。


2017年1月消費者物価指数総合及び10大費目別指数

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【2017年1月度消費者物価指数(総合)前年同月比】※( )内は12月の数字です
総合
0.4(0.3)

 生鮮食品を除く総合
 0.1(-0.2)

 持家の帰属家賃を除く総合
 0.6(0.4)

 持家の帰属家賃及び生鮮食品を除く総合
 0.2(-0.2)

 生鮮食品及びエネルギーを除く総合
 0.2(0.1)

 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合
 0.1(0.0)

ニュース記事のタイトルは

「全国消費者物価指数、1月は前年比0.1%上昇、1年1ヵ月ぶりプラス」

というタイトルでほとんどの報道局が今回の消費者物価指数について報道しています。
ですが、実際の「消費者物価指数」総合は見ていただければわかる通り前年同月比0.4で、これは10月より3か月連続のプラス成長となっています。

ですが、報道局は軒並み、「1月は前年比0.1%上昇、1年1ヵ月ぶりプラス」との報道内容。
これは、実は「消費者物価指数(総合)」ではなく、日銀が物価上昇率の目標として設定している「コアCPI」、つまり「生鮮食品を除く総合」の成長率の事を意味しています。

ですが、私の記事を読んでいただいている方には、この報道がまったく意味のない報道であることは簡単にご理解いただけると思います。その理由は、「コアCPI」には「エネルギー価格」が含まれているから。

日銀が「2%の物価上昇率」を目指しているのは、「物価に含まれる『原価』に相当する部分のみ」が上昇することなど目指してはいません。目指しているのは「原価」と共に「利益」に相当する部分が上昇することを目指しているのです。

「エネルギー価格」の内、特に「原油価格」は完全に海外の投機市場の影響を受けたものですから、この影響を受けて物価が上昇することなど望んではいないのです。

大切なのは、「生鮮食品『及びエネルギー』を除く」総合の消費者物価指数の動向。
これが前年同月比0.2%プラスで、実に3年4か月連続でプラス成長を果たしている、という事こそ本当に報道側が報じなければならない内容で、本来タイトルとすべき内容です。

総務省はそのために「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」を新しく項目に加えたのですから。本当にいけてません。まあ、今更こんな報道をすると、日本全国に大激震が走りますからね。今までマスコミがでデタラメを報道し続けていたということが明るみに出るわけですから。

では、続いて「10大費目別消費者物価指数」を見てみます。


【10大費目別消費者物価指数】※( )内は12月の前年同月比です。
総合
 0.4(0.3)
 生鮮食品及びエネルギーを除く総合
 0.2(0.1)

食料
 1.8(2.5)
 生鮮食品を除く食料
 0.6(0.5)

住居
 -0.2(-0.2)
 持家の帰属家賃を除く住居
 0.3(0.2)

光熱・水道
 -3.4(-4.8)

家具・家事用品
 -0.1(-1.0)

被服及び履物
 1.1(0.6)

保健医療
 0.5(0.8)

交通・通信
 0.3(-0.7)

教育
 1.5(1.5)

教養娯楽
 0.9(0.5)

諸雑費
 0.4(0.3)

「食料」に関しては、生鮮食品が前年度費8.0%増と高騰を続けていますので、「食料」全体から生鮮食品をマイナスしますと、生鮮食品を含まない食料の前年同月比は半減しています。

ですが、それでも「0.6%」の上昇率を記録していますね。

「住居」に関しては、前回の記事 でもお伝えしました通り、「持家に帰属する家賃」という架空の消費者物価が「住居」全体の消費者物価のマイナス要因として働いていますので、これを除くと全体の0.2%ダウンから一気に0.3%のプラスへと転じます。

ここまでは前回までの記事で掲載しました通りです。


「光熱・水道」の見方

この項目に関しては、ロイター記事にて以下の様に記されています。

東京 3日 ロイター
総務省が3日発表した1月の全国消費者物価指数は、政府・日銀が指標として重視する生鮮食品を除いた指数(コアCPI)が前年比0.1%上昇し、1年1カ月ぶりのプラスとなった。原油などエネルギー価格が前年との比較で急騰しており、指数を押し上げた。

1月の原油価格が前年比でほぼ2倍の水準となったのを反映し、ガソリンが前年比11.2%上昇(12月は1.6%上昇)、灯油も19.7%上昇(12月は0.0%)したほか、電気代や都市ガス代のマイナス幅が縮小したことも寄与した。

ガソリン代は「光熱・水道」には含まれていませんが、他の項目に関しましては、以下の通りです。

【水道・光熱消費者物価指数】※〔 〕内はウェイト、( )内は12月の前年同月比です。
光熱・水道〔745〕
 -3.4(-4.8)

 電気代〔356〕
 -5.6(-6.5)

 ガス代〔181 〕
 -7.4(-7.7)

 他の光熱(つまり「灯油」のこと)〔41〕
 19.7(0.0)

 上下水道料〔167〕
 0.5(0.5)

さて。いかがでしょう。
ロイター記事では、「生鮮食品を除く消費者物価指数(コアCPI)が0.1ポイント上昇した理由として、「原油価格上昇によりガソリンや灯油が上昇」し、「電気代や都市ガス代のマイナス幅が縮小したこと」を挙げています。

ですが、少なくともこの「水道・光熱費目」で見る限り、確かにマイナス幅は縮小こそしていますが、「水道・光熱」全体ではマイナス。コアCPIを引き下げる要因として働いていますね?

「水道代」がプラス上昇する中で「水道・光熱」全体がマイナス成長しているということは、少なくともこの「水道・光熱」で見る限り、コアCPIが0.1%プラス成長している理由は「エネルギー価格」以外にあるということです。

では、もう一つのエネルギー価格、「ガソリン」について検証してみましょう。


「交通・通信」の見方

【交通・通信消費者物価指数】※〔 〕内はウェイト、( )内は12月の前年同月比です。
交通・通信〔1476〕
 0.3(-0.7)

 交通〔224〕
 -0.2(-0.3)

 自動車等関係費〔836〕
 2.5(0.4)

 通信〔416〕
 -3.8(-2.9)

こちらは、先ほどの「水道・光熱」とは少し違った様子が見えますね。

交通・通信全体の「ウェイト」は1476と大きな重要度を占める中で、この分野を構成する項目の内、「交通」と「通信」はマイナス成長。

その中で、唯一「自動車等関係費」が前年度比2.5%とプラス政党を果たしています。ウェイトも836と、中部類項目としては大きな重要度を占めています。

では、この「自動車等関係費」を深堀してみましょう。

【自動車等関係費消費者物価指数】※〔 〕内はウェイト、( )内は12月の前年同月比です。
自動車等関係費〔836〕
 2.5(0.4)

 自動車〔199〕
 -0.2(0.1)

 自転車〔9〕
 4.4(4.7)

 自動車等維持〔628〕
 3.4(0.4)

「ガソリン」が含まれるのはこの内「自動車等維持」の項目です。
【自動車等維持消費者物価指数】※〔 〕内はウェイト、( )内は12月の前年同月比です。
自動車等維持〔628〕
 3.4(0.4)

 ガソリン〔206〕
 11.2 (1.6)

 自動車タイヤ〔30〕
 0.7(1.1)

 自動車バッテリー〔8〕
 -0.8(0.1)

 カーナビゲーション〔21〕
 -3.0(-6.4)

 自動車整備費(定期点検)〔28〕
 0.6(0.7)

 自動車整備費(パンク修理)〔22〕
 0.3(0.3)

 自動車オイル交換料〔12〕
 0.8(0.8)

いかがでしょう。
「ガソリン」の消費者物価指数は、前年度比で見ますと、11.2%と確かに大幅に上昇しています。

この他、「灯油」とも合わせて、例えば記事内容が、

「原油などエネルギー価格が前年との比較で急騰しており、指数を押し上げた」

としているのなら、これは確かに適正かもしれません。ですが、ガソリン価格が前年度比で11.2%増を記録しているとはいえ、そのウェイトは206。これがウェイト365の電気代前年度比5.6%のマイナス、及びウェイト181のガス代前年度比7.4%のマイナスまで含めて吸収し、更に0.1%押し上げるまでの効果があったのかというと、実はそんなことはありません。

2017年1月の「エネルギー価格」は全体で前年度比-0.8%。
実は原油由来のエネルギー価格こそ前年度比で大幅に上昇したものの、エネルギー価格全体で見ると、その消費者物価指数は前年度比で0.8%のマイナス。消費者物価指数全体を引き下げる要因として働いているのです。

私が何を言いたいのか。

つまり、

『2017年1月の「生鮮食品を除く消費者物価指数(コアCPI)」は、エネルギー価格が全体で0.8%のマイナスを記録したにも関わららず、0.1%の物価上昇を記録した』

とするのが正しい記事の書き方なんです。つまりロイター記事は、ここに至ってまだ大嘘の記事を書いているという事。
この点に関して言えば、ロイター以外の記事は比較的正しい内容を掲載ています。

つまり、「原油精製品がコアCPIを押し上げた」と。

ただ、それでもきちんと考えるべきなのは、原油精製品がコアCPIを押し上げたのは事実としても、それ以上にエネルギー価格が全体でマイナス要因として働く中、「コアCPI」、もっと言えば「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」は上昇している、ということなのです。

そしてそこには「持家に帰属する家賃」というマイナス要因が更に含まれているにも拘わらず。

次回記事に於いては、ではどうして2017年1月消費者物価指数は「上昇」に転じたのか。
このファクターを詳細に探っていきたいと思います。


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<継承する記事>
第280回 CPI公表の改定/平成29年(2017年)1月分消費者物価指数の見方

前回の記事に於きまして、2017年1月分消費者物価指数より、「コアコアCPI」が「食品及びエネルギーを除く総合」ではなく、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」に変わったことをお伝えしました。

このことにより、所謂「消費者物価」がより私たちの経済活動の実態に近いものに変化したわけですが、それでもまだ「消費者物価指数」を歪めている存在があります。それが、タイトルにも掲載した「持家に帰属する家賃」です。


持家に帰属する家賃とは?


持家に帰属する家賃

それではこの「持家に帰属する家賃」とはいったい何ぞや、と申しますと、過去の記事でも何度かご説明したことはあるのですが、

 「現在居住する持家が、もし持家ではなく借家であったとすると、その家賃はいったいいくらになるのか?」

という数字です。意味が分かりませんよね?
ではそもそもなんでこんな意味の解らない数字があるのかというと、これは

「日本の住居費を国際的に比較するときに、海外では借家に暮らしている人が多いから、同じ水準で比較することができないため」

という、これまた意味の解らない理由です。
日本人が豊かになっているのかどうかということを測るためではなく、海外の生活水準と国際的に比較するために用いられている、実際には存在しない、架空の数字なのです。

私には、この数字が一体何のために存在するのかということがまったく理解できません。
では私が一体なぜこの数字にここまでこだわるのか、という事。

それでは先ず、2017年の消費者物価指数を全体から見てみましょう。


2017年1月度消費者物価指数(総合)

【2017年1月度消費者物価指数(総合)前年同月比】※( )内は12月の数字です
総合
0.4(0.3)

 生鮮食品を除く総合
 0.1(-0.2)

 持家の帰属家賃を除く総合
 0.6(0.4)

 持家の帰属家賃及び生鮮食品を除く総合
 0.2(-0.2)

 生鮮食品及びエネルギーを除く総合
 0.2(0.1)

 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合
 0.1(0.0)

「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」が増えたことで、「総合」に帰属する項目数が5つに増えました。

この項目の中に、「持家の帰属家賃を除く総合」という項目がありますね?

「総合」の前年同月比が0.4%増であることと比較して、この「持家の帰属家賃を除く総合」は0.6%増と、「総合」の値を0.2%も上回っています。

何度も言っています通り、この「持家に帰属する家賃」とは実際に存在しないデータであり、国際的な比較を行う為に作られた、いわば「架空の数字」です。

この架空の数字を消費者物価指数に入れてしまうことで、なんと消費者物価指数全体を0.2%も押し下げているということです。
架空の数字が、です。

また、「持家の帰属家賃及び生鮮食品を除く総合」というものもあります。この項目の前年同月比と、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」の前値同月比が同じ割合になっています。

これが何を意味しているのかというと、「持家に帰属する家賃」が物価全体に及ぼす影響力が、「エネルギー」全体の消費者物価が物価全体に及ぼす影響力に匹敵することを示しています。

ちなみに「エネルギー」に相当する項目は、品目別で

「電気代」「ガス代」「その他光熱(灯油)」「ガソリン代」の4項目存在するわけですが、少なくとも2017年1月の前年同月比に於いて、本来架空の数字であるはずの「持家に帰属する家賃」が単独でこの4項目を合計した「消費者物価」に相当する影響力を持っているということです。

私が何を言いたいのか、わかるでしょうか。
せっかく、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」という項目を加えたのであれば、なぜそこから「持家に帰属する家賃」を除かなかったのか。このことも私にはまったく理解できないのです。


「持家に帰属する家賃」のウェイト

「ウェイト」というのも何度かご説明しましたね。

「消費者物価」は、この「ウェイト」を用いて「加重平均」を行う事で求められます。
「加重平均」については第53回の記事 をご参照ください。

で、その「ウェイト」もまた、「価格指数」というものを「加重平均」することによって求められるわけですが、この「価格指数」についてはまだはっきりと把握しきれていません。

価格指数を加重平均した合計値を10000に置き換え、各項目の割合事に換算したものが「ウェイト」です。
ですので、消費者物価を構成する品目のウェイトをすべて合計すると10000になります。

「ウェイト」とは即ち「消費者物価」を算出する際の「重要度」のことをいいます。

【「住居」を構成する項目の「ウェイト」】
住居(2087)
 家賃(1782)
 設備修繕・維持(305)

今更ですが、こうしてみると「住居」の中に、所謂「不動産取得費」は含まれていないんですね。
確かにGDPの項目でも「民間住居」は項目が分けられていますね。

「住居」は「家賃」と「維持費」の2項目で構成されています。
こうしてみると、「家賃」の重要度の大きさがよくわかります。

では。さて、です。「家賃」を構成する品目の「ウェイト」はどのようになっているでしょう。

【「家賃」を構成する項目の「ウェイト」】
家賃
 民営家賃(282)
 公営・都市再生機構・公社家賃(22)
 持家の帰属家賃(1499)

如何でしょうか。既に過去何度も同様の内容を記事にしていますから、既に「聞きあきた」という方もいらっしゃるかもしれませんが、「家賃」の中で、最もウェイトの大きいのが「持家に帰属する家賃」です。

前述のとおり、「ウェイト」は消費者物価指数全体で10000です。
架空の数字であるはずの「持家に帰属する家賃」が消費者物価指数全体の15%も占めているのです。

これははっきり言って「異常」でしかありません。完全に日本国内の「消費」動向を見る上で情報をかく乱するファクターとなっていますね。

ちなみに消費者物価指数でみてみますと、
【「住居」の消費者物価指数】
住居 -0.2(-0.2)
  持家の帰属家賃を除く住居 0.3(0.2)
 家賃 -0.4(-0.4)
  持家の帰属家賃 -0.4(-0.4)
 設備修繕・維持 1.0(0.1)

と、こんな感じです。

持家に帰属する家賃を除くと「住居」全体の物価は上昇しているのに、「持家に帰属する家賃」が含まれたせいで、「住居」の消費者物価はなんと0.5%も引き下げられているのです。

消費者物価指数に「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」が加えらえ、「食品及びエネルギーを除く総合」と入れ替えたということは、この項目が持つ重要性を政府としても実感しているということだと思います。

であれば、なおさら私は提案したいですね。
せっかく「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」という項目を作ったんですから、ここから更に「持家に帰属する家賃」も除外した、「生鮮食品及び持家に帰属する家賃及びエネルギーを除く総合」という項目を作り、これを安倍内閣及び日銀の「物価上昇目標」として設定するべきなのではないでしょうか。

そうすることで「アベノミクス」の影響を初めて適正に検証することが出来るようになるのだと、私はそう思います。


次回記事では、その他品目別指数に着目して記事を作成したいと思います。


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本日、2017年1月分消費者物価指数が公表されましたので、今回はこの事を記事にしたいと思います。

今回より、実は消費者物価指数の公表内容に新たなる項目が加えられています。それが

 「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」

です。これまで「食品及びエネルギーを除く総合」として掲載されていた項目が変更され、名称が「「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」へと変更されています。

もちろん「食品及びエネルギーを除く総合」という項目がなくなったわけではないのですが、例えばHPで見るとこんな感じ。

消費者物価指数ページ

拡大してみます。

生鮮食品及びエネルギーを除く総合

赤枠で囲っている部分です。
ここに、先月までは「食品及びエネルギーを除く総合」という項目名が記されていたのですが、ついに総務省も変えてきましたね。

如何に「食品及びエネルギーを除く総合」という項目が無意味な項目であったのか、ということに気づいたという事。
日銀のウェブサイトでは既に掲載されていて、「日銀版コアCPI」と呼ばれていたものです。

私のブログでも散々訴えていた通り。
消費者物価指数の中で、他の項目と異なり、日本の国内の景気状況とまったく関連性のない動きをするのがこの「生鮮食品」と「エネルギー」の2項目です。

物価は基本的に

「原価」+「利益」

で構成されているわけですが、安倍内閣が目指している物価上昇とは、「原価」の部分ではなく「利益」の部分の物価上昇を目指しているのです。

ですが、例えば生鮮食品は天候の影響を受けやすいですから、天候不順により不作に陥れば、農家も生活費を確保しなければなりませんから、当然出荷額が高くなります。

「出荷額」とは即ち「原価」に相当する部分。たとえ原価が上昇したことで物価全体が増加したとしても、「利益」が圧迫されていたのでは、販売する側の収益は増えません。却って減益になります。

同じ理由で「海外からの輸入単価」の影響を受け、原油価格が上昇したとすると、国内で販売されるガソリンや灯油等のエネルギー価格が上昇します。

「輸入単価」はそのまま「原価」に相当する部分ですから、このことが原因で物価全体が増加したとしても、企業の利益が圧迫されていたのでは意味がないわけです。

ですが、これを「食品」全体で考えるとどうでしょう?
天候の影響を受けるのは生鮮食品のみですし、お菓子やレトルト食品、調味料や飲料なども天候の影響を受けるかというと、そんなことはありませんね。

「生鮮食品」と「その他の食品」を分けて物価が計上されていることにはきちんとした意味があるわけです。

「その他の食品」の中には当然外食も含まれています。明らかに国内の「景気」の影響で物価が上下する分野です。
寧ろ国内の景気動向をかんがえれば、最も早く景気の影響を受けて変動するのがこの「食品」の分野であると考えてもよいのではないでしょうか。

ところが、先月までの総務省データでは、なぜか「生鮮食品」と「その他食品」がまぜこぜにされ、その上で「エネルギー価格」と共に消費者物価指数全体から差し引かれたデータが「コアコアCPI」として掲載されていたのです。

はっきりってこれではデータとして使い物になりません。
そして今月より、漸く、ついに「生鮮食品およびエネルギーを除く総合」が「コアコアCPI」のポジションに掲載される様になったのです。

【生鮮食品及びエネルギーを除く総合(前年同月比推移)】
生鮮食品及びエネルギーを除く総合グラフ

小さくて見にくいですが、画像をクリックしていただければ拡大できますので、拡大して確認してみてください。
2013年1月からのデータを掲載しています。

2012年のものから掲載したかったのですが、さすがに小さくなりすぎますので、こんな感じにしています。
2014年のデータは、消費増税が行われていますので、全体から1.7%ずつ引いて消費増税の影響が出にくい様にしています。

日銀CPIから取ってくれば消費増税の影響を取り除いたものがもう少し正確に出せるんですが、今回は総務省データで掲載しています。赤線が前年同月比0%のラインです。

2016年に入って上昇幅が縮小こそしていますが、それでも1月たりともマイナスになることなく、プラス成長し続けていることが分かりますね?

勿論データの算出方法に課題がないわけではありませんが、それでもエネルギー価格の下落に伴う物価のマイナス成長や生鮮食品の高騰に伴う物価上昇などのいわゆる「ノイズ」が排除されていますので、中々見やすい資料になっています。

改めまして次回記事では、ここからもう一つ「ノイズ」となる指標をお示しして、2017年1月度消費者物価指数本体に入っていきたいと思います。


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<継承する記事>
第260回 平成28年(2016年)12月消費者物価指数速報/品目別指数②

2016年12月の消費者物価指数について、第259回の記事 では、主に「エネルギー価格」に着目し、「灯油」と「ガソリン」の物価が上昇に転じたこと、と同時に「エネルギー価格」を構成しているのは原油に由来するものだけでなく、「電気代」や「ガス代」など、それ以外の要素も影響を与えていたことについて記事にしました。

前回の記事 ではまた更に「エネルギー価格」以外で物価を引き下げる主要因となっていた「家電製品」にフォーカスを当て、出荷ベースの数字と比較することで、「物価が下落すること」=「経済の規模が縮小したこと」を意味するわけではない、ということを記事にしました。

今回の記事では、前回の記事 に関連して、「もう一つの家電製品」の分野である「教養・娯楽」費目に着目して記事を作成してみたいと思います。


「教養・娯楽」の消費者物価指数

テレビ

【「教養・娯楽」の前年同月比( )内:ウェイト】
教養娯楽(989)
10月 1.0
11月 0.8
12月 0.5

教養娯楽用耐久財(59)
10月 -5.5
11月 -5.4
12月 -4.9

教養娯楽用品(210)
10月 2.0
11月 2.6
12月 0.9

書籍・他の印刷物(128)
10月 0.2
11月 0.1
12月 0.1

教養娯楽サービス(592)
10月 1.5
11月 0.9
12月 1.1

ご覧の通り、「教養・娯楽」全体としてはプラス方向に推移しており、プラス幅が月ごとに縮小してこそいるものの、この分野は2013年10月以降、ほぼ継続的にプラス成長を続けています。

尤も、2014年4月には消費増税が行われていますので2014年度の前年比は参考程度にしかできませんが、それでも翌2015年4月に唯一前年比を下回って以降、毎月継続的に前年比プラス成長を果たしています。

ただ、この中で唯一「教養娯楽用耐久財」のみが前年比で物価下落を継続していることもわかります。

【「教養娯楽用耐久財」の前年同月比( )内:ウェイト】
教養娯楽用耐久財(59)
10月 -5.5
11月 -5.4
12月 -4.9

テレビ(15)
10月 -17.9
11月 -15.2
12月 -11.4

携帯型オーディオプレーヤー(1)
10月 0.0
11月 0.2
12月 0.1

電子辞書(1)
10月 0.1
11月 -2.1
12月 0.8

ビデオレコーダー(4)
10月 2.7
11月 -1.5
12月 -2.9

パソコン(デスクトップ型)(8)
10月 -3.5
11月 -5.3
12月 -6.7

パソコン(ノート型)(14)
10月 -5.1
11月 -6.2
12月 -6.1

プリンタ(2)
10月 6.5
11月 9.9
12月 6.4

カメラ(4)
10月 4.8
11月 4.8
12月 5.1

ビデオカメラ(2)
10月 0.0
11月 0.0
12月 0.0

ピアノ(5)
10月 2.9
11月 3.3
12月 1.1

学習用机(3)
10月 3.3
11月 3.3
12月 0.8

品目内訳はこんな感じです。下げている項目を見てみますと、「テレビ」、「ビデオレコーダー」、「パソコン」の3つ。
どれも所謂「家電」と呼ばれる分野です。

まあ、パソコンは「家電」とは少し違うのかもしれませんが、基本的に「電気店」で販売されている品目である、ということは変わりませんね。

【薄型テレビの出荷台数(前年比)】
薄型テレビ(合計)
10月 94.9
11月 87.3
12月 95.8

29型以下
10月 84.1
11月 68.7
12月 87.2

30~36型
10月 95.6
11月 74.2
12月 70.7

37~49型
10月 108.3
11月 108.6
12月 119.6

50型以上
10月 87.4
11月 106.1
12月 115.9

 (内)4K(対応)
 10月 166.9
 11月 173
 12月 190.4

 (内)ハイブリッドキャスト対応
 10月 97.5
 11月 105
 12月 117.5


出荷台数全体で見ると、少し陰りが見えますが、内訳をみると36型以下のテレビの出荷台数が減少し、逆に37型以上のテレビの販売台数が伸びています。

12月に限ってみれば10%を超える伸び率で、4K対応などはなんと90%の伸び率。
つまり、「単価が高いもの程売り上げを伸ばし、単価の低いものが売り上げを減少させている」ということですから、この様な状況であれば普通、「消費者物価」は上昇するんじゃないでしょうかね?

各項目別の販売額は掲載されていませんでしたが、「映像機器」合計の販売額の推移は以下のようになっています。

【映像機器の出荷額(前年比)】
10月 94.8
11月 100.1
12月 107.2


実績としての出荷額が増加し、販売台数は大型、高機能になればなるほど増加している・・・という現状と、品目別消費者物価指数「テレビ」が示している数値はどうも矛盾している様に思えますね。

これもやはり考えられるのは、「販売店」サイドの問題です。
そしてこれもまた、この様な販売方法で販売店が利益を取れているのであれば、それはそれで全く問題のないことではないか、と私は思います。

【「パソコン」の出荷情況(前年比)】
出荷台数(総合)
10月 113.60%
11月 100.10%
12月 95.50%

デスクトップ(台数)
10月 104.80%
11月 101.10%
12月 98.60%

 オールインワン(台数)
 10月 74.70%
 11月 90.00%
 12月 103.00%

 単体(台数)
 10月 133.30%
 11月 107.80%
 12月 96.90%

ノート型(台数)
10月 116.90%
11月 99.80%
12月 94.60%

 モバイルノート(台数)
 10月 103.50%
 11月 92.70%
 12月 110.50%

 A4型・その他(台数)
 10月 121.20%
 11月 101.80%
 12月 91.60%


出荷金額(総合)(出荷額)
10月 106.00%
11月 97.60%
12月 100.60%

デスクトップ(出荷額)
10月 96.10%
11月 95.30%
12月 96.80%

 オールインワン(出荷額)
 10月 71.60%
 11月 86.50%
 12月 96.90%

 単体(出荷額)
 10月 139.30%
 11月 105.00%
 12月 96.70%

ノート型(出荷額)
10月 109.90%
11月 98.40%
12月 101.70%

 モバイルノート(出荷額)
 10月 112.10%
 11月 91.20%
 12月 115.50%

 A4型・その他(出荷額)
 10月 109.10%
 11月 101.00%
 12月 98.50%

「パソコン」の消費者物価の計算方法は、他の家電製品とは異なり、最終端末であるPOSデータ等を参考にして算出されています。このことから、パソコン(及びカメラ)の消費者物価は、比較的「物価」の実感と近い数字となってます。

業界団体側の出荷ベースと消費者物価との間の乖離がテレビをはじめとする他の家電製品に比較すると小さくなっているのはおそらくその関係です。

ただ、それでも12月の消費者物価指数はデスクトップ、ノート型共に6%を超える物価下落となっており、出荷ベースの数字とはやや開きがあります。やはり「販売店側」の問題が大きいのでしょうか。


家電製品に関しては、やはり「出荷ベース」と「販売ベース」での数字に開きがあることがとても気にかかりますね。
もし本当に販売店側で価格を下げて販売し、前年を下回る価格で販売しても前年を上回る利益が確保できているのだとすれば、やはり「消費者物価指数」という数字そのものの考え方を修正する必要もあるのではないでしょうか。

トータルで見ても、現在の「物価」を下落させる要因として働いているのは「電気代」「ガス代」「航空運賃」「小型輸入車」「携帯電話料金」「携帯電話機」、そして「家電製品」。

「ガソリン」と「灯油」の物価下落はついに終結しました。
となると、特に「消費者物価指数」をみる上で考えなければならないのは、これらの項目が下落する状況をどうとらえるのか。

勿論細かく見ていけば、これ以外にも物価を下落させる要因はあるのでしょうが、この7つの項目を改善させるか、それともそもそもの考え方を変えるのか、どちらかの方法を取ることで本当の意味で現在の「経済状況」を把握する上での大きな手掛かりとなるのではないでしょうか。

少なくとも「個人消費が減り続けている!アベノミクスは失敗だ!」という間の抜けた主張が日本の「期待インフレ率」を引き下げる要因として働くことはなくなるように思います。

今後の黒田日銀総裁、麻生財務大臣、そして安倍首相の発言に期待したいと思います。


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<継承する記事>
第259回 平成28年(2016年)12月消費者物価指数速報/品目別指数①

前回の記事に引き続き、今回も2016年12月消費者物価指数 品目別指数について記事にしたいと思います。

前回の記事を作成した目的は、「原油価格の下落」がついに物価を下落させる要素ではなくなった、ということを明らかにするため、特に「灯油」と「ガソリン」という項目に着目して記事を作成しました。

作成してみて改めて見えて来たこととして、「エネルギー価格」に含まれるのが「原油価格」由来のものだけではなかったということ。「光熱・水道」費目に含まれる「電気代」「ガス代」は今後も物価を下落させる要因として存在し続けることはよくわかりました。

この他「交通・通信」費目に於ける「航空運賃」、「輸入小型車」、「携帯通信料」、「携帯電話機」も物価を下落させる要因となっています。

今回の記事では、今年度に入って物価を下落させるもう一つの要因として君臨し続ける「家電」に着目して記事を作成してみます。


「家具・家庭用品」の消費者物価指数


洗濯機

家具・家事用品(348)
10月 -1.0
11月 -0.7
12月 -1.0

家庭用耐久財(111)
10月 -4.2
11月 -3.7
12月 -3.8

室内装備品(25)
10月 -4.7
11月 -4.0
12月 -3.7

寝具類(27)
10月 1.0
11月 0.5
12月 0.1

家事雑貨(72)
10月 4.5
11月 4.5
12月 4.0

家事用消耗品(86)
10月 -1.2
11月 -0.9
12月 -1.7

家事サービス(27)
10月 0.1
11月 0.1
12月 0.1

「家具・家庭用品」以外の項目は「家具・家庭用品」費目の中分類指数です。

見ていただくと、「家庭用耐久財」「室内装備品」「家事用消耗品」の3つの項目が「家具・家庭用品」全体の前年同月比を引き下げる要因となっていることが分かります。

所謂「家電製品」が含まれているのは、このうち「家庭用耐久財」の中分類品目。
そこで、先ずはこの「家庭用耐久財」から検証してみます。

家庭用耐久財(111)
10月 -4.2
11月 -3.7
12月 -3.8

家事用耐久財(57)
10月 -9.2
11月 -9.4
12月 -8.3

冷暖房用器具(37)
10月 1.8
11月 3.8
12月 1.8

一般家具(18)
10月 -0.7
11月 0.3
12月 0.6

「一般家具」は「家電」ではありませんが、10月にマイナスを付けた後、11月、12月とプラス方向に変化しています。
「一般家具」は7、8、9月と下落していた分野ですので、漸く下げ止まった・・・というところでしょうか。

また、同じ「家電製品」の中でも「冷暖房用器具」に関しては10月以降高い物価上昇率を維持しています。
冷暖房器具も8月が+0.1%、9月が0%と、辛うじて物価下落こそしていませんでしたが、1月~7月にかけて、連続でマイナスを記録していましたので、この分野もようやく持ち直した、という所でしょうか。

ただ、季節ものですので、処分に入る1月以降は再び下落し始めるかもしれません。

ということで、「家庭用耐久財」の中で、「家庭用耐久財」全体の物価を引き下げる主犯となっているのは残る「家事用耐久財」だということが分かります。

家事用耐久財(57)
10月 -9.2
11月 -9.4
12月 -8.3

電子レンジ(4)
10月 -23.0
11月 -18.9
12月 -28.5

電気炊飯器(11)
10月 -3.1
11月 0.2
12月 -1.0

ガステーブル(3)
10月 -3.0
11月 0.5
12月 3.2

電気冷蔵庫(16)
10月 -2.4
11月 -11.0
12月 -12.1

電気掃除機(9)
10月 -17.8
11月 -15.5
12月 4.7

電気洗濯機(全自動洗濯機)(7)
10月 -16.5
11月 -14.9
12月 -20.0

電気洗濯機(洗濯乾燥機)(7)
10月 -7.9
11月 -6.0
12月 -2.9

値は全て「前年同月比」、( )内は「ウェイト」。言うなれば「重要度」または「影響度」みたいなものです。
「ウェイト」全体を「10000」として計算し直していますから、「家事用耐久財」の影響力は 57/10000 だということになります。

非常にわずかな影響力しかない様にみえますが、それでもこの値が「家具・家庭用品」全体の物価を引き下げる要因となっており、その「家具・家庭用品」がまた消費者物価指数全体を引き下げる要因として働いているわけです。

このうち「ガステーブル」は家電製品ではありませんが、2016年5月~10月までは、家電製品ほではないにしろ1%を上回る、最大で4.7%の物価下落率を示しており、物価を上昇させる側ではなく、物価を下落させる側に影響していました。

この「ガステーブル」もまた11月以降はプラスに転じており、12月は3%を上回る物価上昇率を記録しています。

となれば、いよいよこの分野の「物価下落」に影響を与えているのはピンポイントで「家電製品」だということになります。
そして、「家電製品」の中でも「電気掃除機」は15%を超える物価下落率から今度は4.7%の上昇へと転じています。

そこで、私が毎回お示ししているのが「出荷ベース」の物価動向です。

参考にしているのは、「日本電機工業会」様データです。

【2016年12月分 国内出荷実績 前年同月比】
電気冷蔵庫
 数量 108.7 金額 99.4

 うち401L以上
  数量 93.0 金額 93.7

電気洗濯機
 数量 118.3 金額 115.9

 うち洗濯乾燥機
  数量 116.2 金額 121.2

電気掃除機
 数量 100.7 金額 99.8

電子レンジ
 数量 113.5 金額 112.8

ジャー炊飯器
 数量 104.9 金額 100.3

  民生用電気機器計
   金額 103.0

これが、「出荷ベース」の「販売数量」と「販売総額」の前年度比を示したものです。

毎回お示ししているとおりですが、「家事用耐久財」全体の物価が8%も下落しているとは考えられないような数字になっていますね?
「消費者物価指数」とは「消費する側」の数字であり、日本電機工業会様データは「出荷ベース」での数字です。

この二つの数字の間になぜこれほどのギャップが生まれるのか。
可能性は二つしかありません。

どちらかの数字が現実を大幅に乖離した算出方法となっているか、もしくは「出荷側」と「消費者」の間にいる「販売店」が、意図的に金額を引き下げて大安売りしているかのどちらかです。

例えば、ジャパネット○カタの様に。

勿論、安売りをすることが悪い、と言っているわけではありません。
販売店側が、そのことできちんと利益を取れているのであれば全く問題はないのです。

安売りしてもらったことで浮いたお金で、消費者は別のものを購入するか、または貯蓄に回すことができるのですから。
そのどちらも行えなかったとしても、このことが消費者にとってマイナス要因となることはありません。

私が言いたいのは、即ちこのような経済現象もって「物価が下落した」と大騒ぎし、「アベノミクスは失敗だ~~!」と大騒ぎするのは間違っているのではないか、ということです。

「賃金」のケースも後日再度記事にしようと思いますが、今回の記事では、この部分をご理解いただければと思っております。



次回記事では、もう一つの「家電分野」が含まれる「教養・娯楽」分野も検証したいと思います。


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<継承する記事>
第258回 平成28年(2016年)12月消費者物価指数速報

さて。今回の記事では、前回お約束いたしました通り、2016年12月の消費者物価指数、10大費目別の内、消費者物価指数全体を引き下げる要因となっている3つの項目、「光熱・水道」、「家具・家庭用品」、「交通・通信」の3費目について記事にしたいと思います。


「光熱・水道」の消費者物価指数

エネルギー

【「光熱・水道」の前年同月比( )内:ウェイト】
光熱・水道(745 )
10月 -6.0
11月 -5.8
12月 -4.8

電気代(356 )
10月 -6.8
11月 -6.9
12月 -6.5

ガス代(181 )
10月 -7.8
11月 -7.9
12月 -7.7

他の光熱(41 )
10月 -19.0
11月 -13.7
12月 0.0

上下水道料(167 )
10月 0.4
11月 0.5
12月 0.5

「光熱・水道」以下掲載しているのは「光熱・水道」費目の中分類項目です。

「電気代」が下落している理由を、私、過去の記事の中で「発電に用いるエネルギー価格の動向」を理由として掲載していたのですが、この分野は「電力の自由化」に伴う影響もありますね。

で、見ていただくとわかると思いますが、「他の光熱」が先月の-13.7%から一気に0%に持ち直していますね。

では、「他の光熱」とは何のことを差しているのかというと、「灯油」のことです。
この中分類を構成している品目は「灯油」だけですから、中分類「他の光熱」=「灯油」のことだと言って間違いはありません。

「ガス」や「電気代」は確かに「エネルギー価格」ではあるのですが、共に「原油価格」がダイレクトに影響を与える分野ではありません。(電気代に関する考え方は先ほど訂正させていただいた通りです)

ですが、「灯油」は原油から直接精製されるものです。このようにしてみると、「原油価格の下落」がいかにして日本国の物価に影響を与える存在なのか、ということがよくわかります。

「電気代」「ガス代」は10月、11月と比較しても大きな変化はありませんから、「光熱・水道」費目全体のマイナス幅が1%減少している最大の要因は「灯油代の減少」だということになります。

しかしこうしてみると、「原油価格の下落」さえ収まれば物価下落にセーブをかけることはできると考えていましたが、「電気代」「ガス代」の下落幅も注意してみる必要があるようですね。


「交通・通信」の消費者物価指数

自動車

【「交通・通信」の前年同月比( )内:ウェイト】
交通・通信(1476 )
10月 -1.7
11月 -1.5
12月 -0.7

交通(224 )
10月 0.0
11月 -0.1
12月 -0.3

自動車等関係費(836 )
10月 -1.7
11月  -1.1
12月 0.4

通信(416 )
10月 -2.5
11月 -3.0
12月 -2.9

こちらは「交通・通信」費目の中分類前年同月比。「交通」を構成している品目は主に「運賃」です。
運賃は全体的にほぼ横ばいなんですが、JR在来線及びタクシー代、航空運賃が下落しており、この影響を受けて「交通」中分類全体も下落しています。

特に影響が大きいのは航空運賃で、

10月 -2.4
11月 -3.8
12月 -5.2

と連続して下落しており、その下げ幅も大きくなっています。


さて。「交通・運賃」費目そのものは下落しているのですが、この中でも唯一「自動車等関係費」だけは12月、プラスに転じていますね。

自動車等関係費
10月 -1.7
11月 -1.1
12月 0.4

自動車
10月 0.1
11月 0.1
12月 0.1

自転車
10月 4.8
11月 4.8
12月 4.7

自動車等維持
10月 -2.4
11月 -1.5
12月 0.4


「自転車」は相変わらず高い伸び率を継続していますね。
また、このうち「自動車」は6月~7月にかけてマイナスで推移していたのですが、9月に前年同月0%を記録して以降、順調に0.1%
の伸び率を記録しています。

0.1%という伸び率は消して高い伸び率ではない様に見えるのですが、


自動車(199)
10月 0.1
11月 0.1
12月 0.1

軽乗用車(40)
10月 0.5
11月 0.2
12月 0.3

小型乗用車A(55)
10月 0.2
11月 0.3
12月 0.3

小型乗用車B(5)
10月 -9.7
11月 -9.7
12月 -9.7

普通乗用車A(80)
10月 0.3
11月 0.3
12月 0.3

普通乗用車B(20)
10月 0.8
11月 0.8
12月 0.8

「自動車」の品目は更に細かく分類されています。
で、見ていただくとわかると思いますが、「小型自動車B」だけが-9.7という伸び率を毎月記録している以外は、どの項目もプラスで推移しています。

「軽自動車」が唯一10月と比較して上昇幅が小さくはなっていますが、それでもプラス上昇。11月よりもその上昇幅は大きくなっています。

で、ちなみに「小型自動車B」が何を表すのかというと、それは「小型自動車(輸入車)」のこと。
という事は、「普通自動車B」は「普通自動車(輸入車)」となるわけですが、実はこの「普通自動車B」の物価も、今年度4月~9月まで、継続してマイナス成長していました。

これが10月より上昇に転じ、且つ0.8%と国産車普通車を上回る物価上昇幅を記録しているわけです。
国会質問において、民進党のどなたかが国内の消費者物価について、「自動車の物価も下がっている」と言っていましたが、この様な数字をまったく見ていないことがよくわかります。


さて、この「自動車等関係費」に於いて本丸となるのは、実は残されたもう一品目。「自動車等維持」という項目の消費者物価です。全体として11月は-1.5%であり、長い間マイナスで推移し、国内の消費者物価の足を引っ張り続けていた品目でもあります。

詳細品目としては

ガソリン
自動車タイヤ
自動車バッテリー
カーナビゲーション
自動車整備費(定期点検)
自動車整備費(パンク修理)
自動車オイル交換料
車庫借料
駐車料金
自動車免許手数料
レンタカー料金
洗車代
ロードサービス料
自動車保険料(自賠責)
自動車保険料(任意)

と非常にたくさんの品目があるのですが、この全ての品目を抽出していては脳が沸きそうになりますから、これらの項目の内、全体への影響が大きいと思われる二つの項目について掲載したいと思います。

ガソリン(206 )
10月 -7.7
11月 -4.1
12月 1.6

カーナビゲーション(21 )
10月 -4.8
11月 -10.3
12月 -6.4

皆さまご想像の通り・・・と思います。
「ガソリン」の動きです。この2項目以外は以前からプラス成長を続けていたり、自賠責保険の様に市場動向の影響を受けないものも多くありますので、検証することそのものに大きな意味は持たないと思うのですが、この2つだけは動きが大きい。

「ガソリン」は「灯油」と同じくピンポイントで原油価格動向の影響を受けるものです。
これまで原油価格の下落に伴ってこれらの項目が物価を下げ、消費者物価全体を引き下げる主犯でもあったこれらの項目の前年同月比が下落幅を縮小させ、ついに上昇に転じたことで消費者物価指数全体としてはプラス成長するようになりました。

ただ、「生鮮食品を除く総合」=コアCPIで見ますと数字としてはマイナスを記録しており、CPI全体のプラス幅が「生鮮食品の物価」によって支えられているということも見えてきます。

今回調査した項目の中で見ると、未だに物価を下落させる方向に働いている「電気代・ガス代」、そして「航空運賃」「輸入小型自動車」。調査結果は公表していませんが、「通信」の物価。

「通信」の項目を下落させているのはピンポイントで「携帯通信料」と「携帯電話機」の2つです。
通信料が2%、電話機が9%の下落。特に通信料はウェイトが230とそれなりに大きいことも影響しています。

これはやはり「格安スマホ」や携帯電話会社の料金プランの見直し等も影響していると考えられます。

次回記事では、今回記事にできなかったもう一つの分野、「家具・家庭用品」の動向についても探ってみたいと思います。


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今回は少し話題を変えまして、「経済」に関連した記事を掲載したいと思います。

タイトルにある通り、「消費者物価指数」に関連した記事です。
先月末、2016年11月分の消費者物価指数も公表されてはいたのですが、10月までの記事内容と大きく変わり映えがしないこともあり、11月分の内容にしては記事にしていません。

で、改めて今回記事にしようと思った理由としては、勿論単純にこれまで消費者物価指数の動向を記事にしてきたから、という理由も勿論あるのですが、最大の理由としては、これまで日本の「消費者物価指数」の推移について足を引っ張り続けていた「エネルギー価格」の動向が変化したからです。

今年度に入って改善傾向にはあったのですが、それでも「前年同月比」で見るとやはり「マイナス成長」という傾向に変化はありませんでした。

勿論「エネルギー価格」とは、その大部分が輸入物価の動向であり、仮にこの部分が増加したとして、日本国内ではどの企業にもメリットはありませんし、利益も生まれません。

ですから、本来であれば低ければ低いほど良いわけですが、それでも「消費者物価」全体を引き下げるほどの影響を発揮し続けられると、「安倍内閣も日銀も、物価上昇を目指すと言ってばかりいるが、一向に改善されないじゃないか!」などという誤った評価に餌を与えることになってしまい、このことが「期待インフレ率」の下落につながってしまいます。

「景気」っていうのはやはりみんなが「ひょっとして自分たちの生活はよくなっているんじゃないか」と思ってくれた方が、やっぱりよくなるんです。ですから、せめて適正な評価が行えるようにするためにも、分析屋の私としては、非常に待ち焦がれていた状況ではあります。

と言うことで、まずは「12月消費者物価指数(総合)」前年同月比を見てみましょう。

総合
10月 0.1
11月 0.5
12月 0.3

生鮮食品を除く総合
10月 -0.4
11月 -0.4
12月 -0.2

持家の帰属家賃を除く総合
10月 0.2
11月 0.6
12月 0.4

持家の帰属家賃及び生鮮食品を除く総合
10月 -0.4
11月 -0.4
12月 -0.2

食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合
10月 0.2
11月 0.1
12月 0.0

「物価」

10月、11月の「総合」がプラスで推移している理由はこちら。

食料
10月 2.3
11月 3.6
12月 2.5

生鮮食品
10月 11.4
11月 21.6
12月 13.8

生鮮食品を除く食料
10月 0.6
11月 0.5
12月 0.5

生鮮食品の高騰によるものです。

12月も同様と言えば同様なのですが、詳細は後の「品目別」の項目で解説していきたいと思います。

上の数字の中で、「持家の帰属家賃を除く総合」という項目について。
「持家の帰属家賃」とは、「もし自分が持っている家が持家ではなく賃貸住居であった仮定したら家賃はいくらか」という架空の数字に基づいた「物価」であり、本来はカウントする必要のない数字です。

この数字を除くか除かないかで「総合」の数字が前年比で0.1%も変化していることがわかると思います。
ちなみに「持家に帰属する家賃」とはこのような推移になります。

住居
10月 -0.2
11月 -0.2
12月 -0.2

持家の帰属家賃を除く住居
10月 0.2
11月 0.2
12月 0.2

家賃
10月 -0.4
11月 -0.4
12月 -0.4

持家の帰属家賃を除く家賃
10月 -0.4
11月 -0.4
12月 -0.4

「持ち家の帰属家賃」という数字は私が現在見ている統計表には掲載されていませんが、おそらく前年同月比で-0.4%。
「家賃」も含めた全体の「住居」の数字をこの「持家に帰属する家賃」が大きく引き下げていることもご覧いただけると思います。

また一方、「物価」全体の数字が1万であった場合のシェア率のことを「ウェイト」というのですが、この「ウェイト」の内、もっとも大きな割合を占めるのが「食料」。

同じ食料でも「生鮮食品」のウェイトが414(414/10000のシェア率)であるのに対し、「生鮮食品を含まない食品」のウェイトは2209であり、「物価」全体に最も大きな影響を与えています。

物価「総合」の中には、前記している様に、

「総合」
「生鮮食品を除く総合」
「持家に帰属する家賃を除く総合」
「持家に帰属する家賃及び生鮮食品を除く総合」
「食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合」

という5つの項目があり、このうち

「総合」のことを「CPI」、
「生鮮食品を除く総合」のことを「コアCPI」、
「食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合」のことを「コアコアCPI」

と呼称し、政府データとしてはこの3つの数字が重要視されています。

そしてこの3つの指標、その他2つを合わせて5つの指標の内、今年度中足を引っ張り続けた「エネルギー価格」が除外されている指標は「コアコアCPI」だけなのですが、この指標からは「物価」に対して最も大きな影響を与えるはずの「生鮮食品を除く食料」の項目までもが除外されています。

前記しています通り、天候の変動を受けやすい「生鮮食品」を除外した、「生鮮食品を除く食料」は

10月 0.6 %
11月 0.5 %
12月 0.5 %

と、特に10月と12月に関してはCPI全体の昨対を上回る上昇幅を示していますから、これを除外して「物価」を見るのもおかしな話です。

ということで、この様な総務省データのウィークポイントを完全克服した「生鮮食品及びエネルギー価格を除く総合」という指標を日銀が公表しているのですが、残念ながらこの「日銀版コアCPI」は総務省データよりも遅れて公表されます。

私たち日本国民が、本当の日本国経済の状況を知るために、とても大切なデータだと思うのですが、何とかなりませんかね、このいびつな状況・・・。

ということで、政府が発表している「消費者物価指数」の見方を少しおさらいしてみました。


平成28年(2016年)12月10大費目別消費者物価指数

さて。私が重要視している「物価指標」はこちら。「10大費目別消費者物価指数」です。

食料(2623)
10月 2.3
11月 3.6
12月 2.5

住居(2087)
10月 -0.2
11月 -0.2
12月 -0.2

光熱・水道(745)
10月 -6.0
11月 -5.8
12月 -4.8

家具・家庭用品(348)
10月 -1.0
11月 -0.7
12月 -1.0

被服及び履物(412)
10月 1.2
11月 1.0
12月 0.6

保健医療(430)
10月 1.0
11月 0.9
12月 0.8

交通・通信(1476)
10月 -1.7
11月 -1.5
12月 -0.7

教育(316)
10月 1.5
11月 1.5
12月 1.5

教養娯楽(989)
10月 1.0
11月 0.8
12月 0.5

諸雑費(574)
10月 0.7
11月 0.4
12月 0.3

ちなみにこのうち、「エネルギー価格」の動向は以下のようになっています。

エネルギー(784)
10月 -7.9
11月 -6.7
12月 -4.4


全体的に、上昇幅に鈍さが見えはするものの、基本的にプラス幅を示していることが分かります。
10月までの昨対と全体的な傾向としては変わっていませんね。

ですが、「住居」に関して言えば、前述していますように「持家に帰属する家賃」を除けば

10月 0.2
11月 0.2
12月 0.2

と、順調にプラスで推移していますし、「ウェイト」で考えますと、「住居」が全体で「2087」という数字であるのに対して、「持家に帰属する家賃」のウェイトは「589」。

つまり、その差額1498分は「持家に帰属する家賃」のウェイトだということになります。
ですが、既に前述した通り、「持家に帰属する家賃」とは、本来存在しないフィクションの数字です。

この統計指標はっきり言って異常だと、私は思います。

そういえば、日銀CPIからはこの「持家に帰属する家賃」は除外されているんでしょか。本来この数字も除外すべきものだと思います。

つまり、実数として昨対でマイナスを記録しているのは「光熱・水道」、「家具・家庭用品」、「交通・通信」の3つ。
これ以外の費目は全てプラス成長している。これが我が日本国の「物価動向」ですね。

さて、この中でも特に「光熱・水道」及び「交通・通信」は「エネルギー価格」の動向が絡んでくる要素です。
次回記事では、この二つの項目、及び「家具・家庭用品」の動向について検証してみたいと思います。


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<継承する記事>
第224回 平成28年(2016年)10月消費者物価指数速報③/品目別指数②

一覧として見やすいように、2016年度10月の消費者物価指数関連の記事をまとめて掲載しておきます。

第222回 平成28年(2016年)10月消費者物価指数速報①/歪なマスコミ報道
第223回 平成28年(2016年)10月消費者物価指数速報②/品目別指数①
第224回 平成28年(2016年)10月消費者物価指数速報③/品目別指数②

ここ数年の「消費者物価指数」の見方は以下のようになります。

・増税年度である2014年後半頃より、「原油価格」が世界的に急落しはじめ、このことが影響して日本国内でも「消費者物価指数(総合)」や「消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)」が継続的に下落していました。

・今年度に入って、今度は「家電製品」に関連した消費者物価指数が急落し始めました。ですが、政府データとしては急落しているものの、業界団体の出荷ベースの情報を見ると、政府データとは真逆の状況が見えてきます。

・先月(2016年度9月)より、ようやく原油価格が下落幅を縮小し始めました。

・今月(2016年度10月)は「生鮮食品」が急騰したことと、原油価格の下落幅が縮小したことにより、ようやく「消費者物価指数(総合)」がプラスに転じました。

今月の記事シリーズでも、上記内容に着目し、第223回、第224回と家電・テレビの動向に特に着目した記事を作成しました。

業界の出荷状況を見れば、決してこの二つの分野の「物価」が下落しているとは考えられない状況にあることもまたお示ししました。一つ考えられることがあるとすれば、出荷される段階では正規の販売方法がとられているが、店頭で販売される段階で昨年以上の値下げが行われているのではないか、ということ。

まあ、これは店頭で販売される段階での問題ですから、販売業者が問屋に対して抑圧的に値下げを強要しているような状況さえなければ、許容範囲といえるのかもしれません。


エネルギーに関連した消費者物価指数

大洋の恵

ただ、私として個人的に関心があるのはやはり「エネルギー価格」の動向です。
今「消費者物価指数」を低迷させ、あたかも継続的に物価が下落し続けている様に見せかけているその主犯こそ「エネルギー価格」だからです。

勿論、エネルギー価格は私たちの生活に対してランニングコストとして継続的にかかわってくる分野ですから、安ければ安いほうがいい。何度もお伝えしていますように、エネルギー価格はその大部分が「輸入」によって賄われていますから、これが下落することで損をする人は日本国内にはほとんどいません。

ただ、「消費者物価指数」に関してきちんと理解することができていない人たちにとっては、「消費者物価指数(総合:CPI)」にせよ、「消費者物価指数(生鮮食品を除く総合:コアCPI)」にせよ、これが「下落している」と報道されただけで、あたかも消費が減退しているかのように錯覚してしまう人が多くいるのもまた事実なのです。

例えば2016年10月の「CPI」は前年同月比でプラス0.1%。「コアCPI」はマイナス0.4%、「コアコアCPI」はプラス0.2%となっています。

CPIとコアCPIを比較した時に、CPIはプラスなのにコアCPIはマイナスです。
違いは「生鮮食品」を除いているかどうかですから、この数字だけ見れば、「生鮮食品が高騰したため、消費者物価指数総合が上昇した」という風に判断することができます。

ですが、「コアコアCPI」、つまり「食料およびエネルギーを除く総合」に着目すると、「物価を大幅に押し上げていた生鮮食品が除かれているにも拘らず、『コアコア』はさらに輪をかけて上昇している』ことが分かります。

物価を大幅に押し上げていたはずの生鮮食品が除かれるのですから、普通コアコアは下落しなければおかしいのですが、逆に総合よりも上昇しています。それだけ「エネルギー価格」が上から物価を押さえつける効果は大きいのです。


「エネルギー価格」が関連する分野は主に10大費目の内、「光熱・水道」および「交通・通信」の二つです。
この他にも「家具・家事用品」の内「家事用消耗品」などもその影響を受けます。家事用消耗品に関しては第223回の記事 で既にふれていますので、他の2つの項目について掲載します。


「水道・光熱」の消費者物価指数

「水道・光熱」を構成している中分類項目は以下の通りです。数字は「前年同月比」になります

 光熱・水道 -6.0(9月:-6.2)

  電気代 -6.8(9月:-6.5)
  ガス代 -7.8(9月:-8.2)
  他の光熱 -19.0(9月:-21.6)
  上下水道料 0.4(9月:0.4)

「他の光熱」はそのまま「灯油」のことです。エネルギー価格に含まれない「上下水道料」は継続して0.4%の物価上昇率となっていますが、他の「エネルギー価格」に相当する品目は全てわずかではありますが、マイナス幅を縮小させています。


「交通・通信」の消費者物価指数

「交通・通信」を構成している消費者物価指数は以下の通りです。

 交通・通信 -1.7(9月:-2.1)

  交通 0.0(9月:-0.2)
  自動車等関係費 -1.7(9月:-2.3)
  通信 -2.5(-2.7)

「交通」および「自動車等関係費」が主にエネルギー価格が関連する項目です。


【「交通」のフィルタリング】

「交通」は項目数が多いですので、「小分類」別に比較します。

交通 0.0(9月:-0.2)

 鉄道運賃(JR) 0.0(9月:0.0)
 鉄道運賃(JR以外) 0.5(9月:0.1)
 一般路線バス代 0.2(9月:0.1)
 高速バス代 0.0(9月:0.0)
 タクシー代 0.3(9月:0.3)
 航空運賃 -2.4(9月:-3.8)
 有料道路料 0.5

特に大きな影響を受けているのは「航空運賃」になりますが、個々も下落幅が縮小しています。

【「自動車等関係費」のフィルタリング】
自動車

「自動車関係費」も項目数が多いですので、まずは「小分類」別に掲載します。

 自動車等関係費 -1.7 (9月:-2.3)

  自動車 0.1(9月:0.0)
  自転車 4.8(9月:4.4)
  自動車等維持 -2.4 (9月:-3.2)

特に影響が大きいのは「自動車等維持費」。この項目の中に「ガソリン代」が入っています。

  自動車等維持 -2.4 (9月:-3.2)
   ガソリン -7.7(9月:-9.2)
   自動車タイヤ 1.4(9月:0.7)
   自動車バッテリー -0.4(9月:-0.2)
   カーナビゲーション -4.8(9月:-7.3)
   自動車整備費(定期点検) 1.0(9月:0.5)
   自動車整備費(パンク修理) 1.5(9月:1.4)
   自動車オイル交換料 0.8(9月:0.7)
   車庫借料 0.1(9月:0.1)
   駐車料金 0.9(9月:0.9)
   自動車免許手数料 0.0(9月:0.0)
   レンタカー料金 0.0(9月:0.0)
   洗車代 0.2(9月:0.3)
   ロードサービス料 0.0(9月:0.0)
   自動車保険料(自賠責) 0.0(9月0.0)
   自動車保険料(任意) 0.0 (9月:-0.3)

項目数も多いですね。「ガソリン」は前年同月比で-9.2から-7.7に下落幅を縮小させています。
この他に、「自動車タイヤ」や「自動車バッテリー」も原油価格の動向の影響を受けると考えられます。原材料に原油が含まれますからね。

「カーナビゲーション」の消費者物価も下落幅を縮小させています。
この品目の下落幅が大きい理由としては、家電やテレビと同様に正確なデータが反映できていない可能性が疑われる他、スマートフォンの普及により、スマホがカーナビの代用品としての機能を果たすようになってきている理由も大きいのではないでしょうか。

補足にはなりますが、「自動車」の項目も見てみます。

  自動車 0.1(9月:0.0)
   軽乗用車 0.5(9月:0.5)
   小型乗用車A 0.2(9月:-0.1 )
   小型乗用車B -9.7(9月:-9.7)
   普通乗用車A 0.3(9月:0.5)
   普通乗用車B 0.8(9月:-0.1)

自動車の物価に大きく影響を当てているのは「小型乗用車B」、つまり輸入小型車の消費者物価です。
代わりに普通乗用車B(輸入車)は物価を下落から上昇へと改善させており、小型乗用車A(国産車)も同様に改善させていることから、ようやく「自動車」の分野に関しては物価が上昇へ向かう兆しが見えてきているのではないでしょうか。


もう一つ補足ですが、「通信」に関しては、-2.7から-2.5へとここも下落幅を縮小させています。
最も影響が大きいのは「携帯電話」の通信料と本体の物価です。

携帯電話通話料は-2.8から-2.2へと下落幅を縮小させ、本体代は-8.3から-7.2となっています。
携帯電話に関してはやはり格安スマホなどの影響が大きくなっていると考えられます。


エネルギー指数については、その影響が大きいことを日銀の黒田さんも言及しており、エネルギー指数はマイナスからゼロになるだけで物価に好材料を与えることを認めています。

【為替(円ドル)/ガソリン/原油価格比較 平成28年(2016年)11月】
為替・ガソリン・原油比較(2016年11月)

こちらは2016年11月の原油価格、ガソリン実売価格を為替相場と共に比較したものです。
為替・原油は月初、ガソリン実売価格はe燃費様データを利用させていただいています。ガソリン価格のみは平均値となっています。

ですので、特に為替相場に関しては現在の価格より大幅な円高となっています。
原油価格がほぼ横並び、ガソリン価格に関しては前年同月より3円安くなっていますから、どうでしょう。11月データ辺りではそろそろ原油価格の影響はほぼなくなるような状況になるのではないでしょうか。


この他、衣類・履物も消費者物価指数が前年同月比で1.4%から1.2%に下落するなど、やや気にかかる動きはしているのですが、ここは季節ものの動向が影響を与えているのではないかと考えられます。

秋冬物はそろそろ動きが出てきている様なのですが、ジーンズや子供用洋服など、季節を選ばずに着用することができる品目にやや下落する動きが見えます。この当たりは本格的に寒くなる季節の到来を待ちたいと思います。

原油価格に対してはそろそろ解消の兆しが見えていますから、あとは家電関係のみ、というところですね。
それにしてもなんで家電関係はこんなに物価が下落しているのでしょう・・・。

明確な理由を知りたいものです。


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<継承する記事>
第223回 平成28年(2016年)10月消費者物価指数速報①/品目別指数①

「教養娯楽」分野のフィルタリング

前回に引き続いて、2016年10月度消費者物価指数の内、「教養娯楽」の分野を分析してみます。

 教養娯楽用耐久財
  テレビ -17.9(9月:-18.6)
  携帯型オーディオプレーヤー 0.0(9月:-1.6)
  電子辞書 0.1(9月:-1.6)
  ビデオレコーダー 2.7(9月:0.9)
  パソコン(デスクトップ型) -3.5(-0.7)
  パソコン(ノート型) -5.1(-2.3)
  プリンタ 6.5(-53.9)
  カメラ 4.8(4.7)
  ビデオカメラ 2.9(1.8)
  ピアノ 0.0(0.0)
  学習用机 3.3(3.3)

プリンタの変動幅ははっきり言って異常ですね。
どのような計算をすればここまで変動にぶれが生じるのか、私には理解できません。

パソコンは「デスクトップ型」「ノート型」ともに下落幅が拡大していますね。
パソコンの物価変動に関しては、第209回の記事 でもお伝えしましたように、他の消費者物価に先駆けて、POSデータ等を利用した、どちらかというとミクロベースから収集しているようなデータなので、この信ぴょう性はそこそこ高いと思われます。

電子情報産業協会 様データより引っ張ってくることが出来はするのですが、現時点ではまだ10月データは公表されていません。

テレビ情報も同じ電子情報産業協会 様によって公開されているのですが、同じくまだ10月データは公表されていません。

ちなみに、前回、9月のデータは上げていませんでしたので、これを引っ張ってきますと、こんな感じです。

テレビ

【9月のテレビ出荷台数及び前年同月比】
 薄型テレビ(総数)
  数 量 374
  前年比 106

  29型以下
   数 量 78
   前年比 82.2
  30~36型
   数 量 115
   前年比 97.7
  37~49型
   数 量 121
   前年比 142.9
  50型以上
   数 量  60
   前年比 108.1

数量の単位は『千台』です。

見ての通り、売り上げ総数が前年同月比で増加しています。

内訳では小型になるにしたがって売り上げ台数は減少。大型、特に37~49型 の増加量が多くなっています。

「消費者物価」が増加する要素万点なんですが、なぜ「消費者物価指数」では減少しているんでしょうね?


「教養娯楽用耐久財」全体で考えますと、ウェイトは2とわずかにすぎませんが、さすが53.9%のマイナスから6.5%まで増加したプリンターの影響は大きいと思います。

ウェイトが一番大きいのはテレビで、マイナス幅は1.3%縮小していますから、ここの影響も大きいでしょう。
教養娯楽用耐久財のマイナス幅が2.3%縮小した理由は主にこの2つだと考えられます。


「教養娯楽用品」のフィルタリング

「教養娯楽用品」はアイテム数が結構多いです。

教養娯楽用品

 文房具
  ボールペン
  ノートブック
  はさみ

 運動用具類
  ゴルフクラブ
  グローブ
  テニスラケット
  釣ざお
  トレーニングパンツ
  水着
  競技用靴

 玩具
  家庭用ゲーム機(据置型)
  家庭用ゲーム機(携帯型)
  ゲームソフト
  人形
  玩具自動車
  組立玩具

 切り花
  切り花(カーネーション)
  切り花(きく)
  切り花(バラ)

 他の教養娯楽用品
  記録型ディスク
  メモリーカード
  コンパクトディスク
  ビデオソフト
  ペットフード(ドッグフード)
  ペットフード(キャットフード)
  ペットトイレ用品
  鉢植え
  園芸用土
  園芸用肥料
  電池
  プリンタ用インク

全部数字を掲載すると脳が沸きそうな感じになるので、まずは「小分類」ごとに数字を掲載してみます。


【教養娯楽用品】

 文房具 1.3(9月:1.7)
 運動用具類 4.0(9月:-0.8)
 玩具 -2.7(9月:-2.2)
 切り花 3.7(9月:0.7)
 他の教養娯楽用品 0.6(9月:1.0)

影響が大きいのは「運動用具類(ウェイト:52)」と「切り花(ウェイト:31)」の二つですね。
それ以外は上げ幅が縮小、もしくは下げ幅が拡大しています。

運動用具類に関しては-0.8が4.0にまで拡大していますね。


【運動用具類】
  ゴルフクラブ 31.1(9月:6.6)
  グローブ 7.5(9月:7.5)
  テニスラケット 2.3(9月:2.4)
  釣ざお 1.4(9月:-0.2)
  トレーニングパンツ -6.4(9月:-8.1)
  水着 2.2(9月:-0.1)
  競技用靴 5.9(9月:2.8)

ゴルフクラブ・・・すごいですね。
他に釣り竿がマイナスから一気に1.6%の上昇、水着が同じくマイナスから一気に2.3%の上昇、競技用靴も3.1%上昇幅を拡大させています。

ゴルフクラブはウェイトが8、釣り竿が11、水着が6、競技用靴が9です。

ゴルフをする人のペルソナを想像すると、なんとなく「なぜ増えたのか」という理由が想像できますね。
富裕層が余分に使うことができる資金が増えた・・・ということでしょうか。


【切り花】
「切り花」っていうと、利用する人のペルソナはイメージしにくいですが、ではどんな花が買われたのか、ということを見ると、少し事情が見えてきます。

 切り花
  切り花(カーネーション) 3.7(9月:0.7)
  切り花(きく) 10.1(9月:-0.4)
  切り花(バラ) 2.4(9月:0.7)

上昇幅はどれも大きいのですが、目立つのが「きく」ですね。
マイナスから一気に10.5%上昇。「きく」でイメージされるのはやはり弔辞です。

あくまでも想像ですけどね。
とはいえ、きくだけでなく、カーネーションも、バラうも増加しています。

ただ、この「切り花」の分野は時折マイナスをつけることがありますが、通年でプラス成長している分野です。

そう考えると、「教養娯楽用品」への影響が大きかったのは「運動用具類」の上昇によるものが大きいということになりますね。


【教養娯楽サービス】
さて。もう一つ、9月と比較して0.4%上昇幅を拡大させたのがこの分野です。
この分野も品目数が多いので、まずは小分類別に掲載します。

教養娯楽サービス

  宿泊料 2.3(9月:2.3)
  パック旅行費 8.2(9月:1.7)
  月謝類 0.6(9月:0.6)
  他の教養娯楽サービス -0.1(9月:0.0)

宿泊費に関しては、先月より引き続きの2.3%成長ですね。
大きいのは「パック旅行費」。品目は「外国パック旅行」のみです。

宿泊費が国内旅行、パック旅行費が海外旅行というイメージでしょうか。
パック旅行費は6.5%上昇幅を拡大しています。

他は横ばい、もしくは下落していますから、大きいのはこの旅行費ですね。
だだ、旅行費に関しては、2015年の夏場に海外旅行が下落する時期があったものの、ここも継続的に上昇しています。

6月は前年同月で10.3、7月が7.4、8月が6.9%の昨対です。


「消費者物価指数」が記事にされる場合、どうも「物価が下落している局面」にのみ注目が集まってしまいますが、きちんと上昇している分野にも着目してニュース記事を作らないと、私たち民間人が正しく情報を判断することはできません。

マスコミにはそういう責任を実感してほしいです。


次回記事では、その他、特に「エネルギー費」の側面に着目して記事を作成してみたいと思います。


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<継承する記事>
第222回 平成28年(2016年)10月消費者物価指数速報①/歪なマスコミ報道

では、いつもの通り「CPI(総合)」を「10大費目別(前年同月比)」で見てみます。

 食料 2.3(9月:0.6)
 住居 -0.2(9月:-0.1)
 光熱・水道 -6.0(9月:-6.2)
 家具・家事用品 -1.0(9月:-1.5)
 被服及び履物 1.2(9月:1.4)
 保健医療 1.0(9月:1.0)
 交通・通信 -1.7(9月:-2.1)
 教育 1.5(9月:1.5)
 教養娯楽 1.0(9月:0.3)
 諸雑費 0.7(9月:0.6)


「食料」の消費者物価指数

食料

今回の10大費目別指数の特徴として最も大きいのはやはり「食料」の物価指数の上昇です。
理由ははっきりしていまして、

 食料 2.3%(9月:0.6)
 生鮮食品 11.4%(9月:-0.8)
 生鮮食品を除く食料 0.6%(9月:0.8)

「生鮮食品」の物価高騰が最大の理由です。
この話題は、ニュース等でもよく見かけたのではないでしょうか。

日本生命のシンクタンクと思われるニッセイ基礎研究所というところでは、これが新たなる消費抑制につながる、とも分析しています。
消費者物価(全国16年10月)~生鮮食品の価格高騰が消費の新たな悪材料に

記事内容としては、個人的に首をかしげる部分もいくつかあります。
内容として、「食料」と「エネルギー価格」にしか触れていないのは専門機関が記す記事としては少しお粗末なのではないでしょうか。

「生鮮食品の価格高騰が消費の新たな悪材料に」なっているにもかかわらず、「食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)」や「生鮮食品及びエネルギーを除く総合(日銀版コアコアCPI)」がなぜプラス幅を拡大しているのか、ニッセイ基礎研究所の記事ではこの部分が検証できていません。


「家具・家事用品」の消費者物価指数

住居

「食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)」や「生鮮食品及びエネルギーを除く総合(日銀版コアコアCPI)」がプラス幅を拡大している理由として、影響が大きいと思われる分野の一つは、「家具・家事用品」の項目ではないかと思われます。

マイナス幅が1.5から1.0に0.5ポイント縮小しています。
中分類で見てみますと、以下の通りです。

 家具・家事用品
  家庭用耐久財  -4.2(9月:-6.8)
  室内装備品 -4.7(9月:-4.6)
  寝具類 1.0(9月:1.8)
  家事雑貨 4.5(9月:5.1)
  家事用消耗品 -1.2(-0.9)
  家事サービス 0.1(0.1)

前年同月比的には「悪化」している項目が多いのですが、この中で唯一「家庭用耐久財」に関しては「改善」していますね?
勿論数値としてはマイナスですから、前年度より「悪化」しているのですが、前月と比較するとマイナス幅は縮小しています。

「家庭用耐久財」の中には小分類として、「家事用耐久財」と「一般家具」の二つの項目があります。

家庭用耐久財

 家事用耐久財 -9.2(9月:-13.1)

  電子レンジ -23.0(9月:-16.8)
  電気炊飯器 -3.1(9月:-11.1)
  ガステーブル -3.0(9月:-2.3)
  電気冷蔵庫 -2.4(9月:-4.9)
  電気掃除機 -17.8(9月:-20.3)
  電気洗濯機(全自動洗濯機) -16.5(9月:-14.8)
  電気洗濯機(洗濯乾燥機) -7.9(9月:-26.7)

  冷暖房用器具 1.8(9月:0.0)
   ルームエアコン 1.4(9月:-0.6)
   温風ヒーター 0.2(9月:1.6)
   空気清浄機 9.7(9月:4.5)

 一般家具 -0.7(9月:-0.2)
  整理だんす 2.5(9月:1.3)
  食堂セット -1.9(9月-1.0)
  食器戸棚  -2.4(9月:-0.7)

「一般家具」は-0.2から-0.7にマイナス幅を拡大していますから、改善要因として大きいのは「家事用耐久財」の下落幅の縮小だということになります。

「家事用耐久財」の中で、マイナス幅を拡大しているのは

「電子レンジ」・「ガステーブル」・「電気洗濯機(全自動洗濯機)」の3項目。
それ以外の項目は全てマイナス幅を縮小。特に「冷暖房機器」の内「ルームエアコン」に関してはマイナスどころか、消費者物価はプラスに転じ、元々プラスであった「温風ヒーター」も「空気清浄機」もプラス幅を拡大しています。


「日本電気工業会」データ

毎回お示ししていますが、この「家事用耐久財」に関しましては、現実の物価変動を政府データが吸収しきれていないのではないか、と考えている分野です。

まずは先月、9月データを掲載してみます。
そこで、日本電機工業会ホームページより、実際に出荷された数量、および出荷額を毎回お示ししています。

【9月】
(単位:千台・百万円)数量 前年比 金額 前年比
電子レンジ       253  141.9  8,419  165.8
電気炊飯器      502  100.8  11,785  95.0
電気冷蔵庫      358  103.2  42,720 101.9
電気掃除機      486  117.3  10,858 124.0
電気洗濯機(全体) 383   111.7  29,295 111.6
洗濯乾燥機      94   105.7  14,269 106.7
ルームエアコン    469  104.3  39,274  108.3

【10月】
(単位:千台・百万円)数量 前年比 金額 前年比
電子レンジ       235  102.3  6,917 103.1
電気炊飯器      428  92.4   9,694  91.8
電気冷蔵庫      237  96.4  27,275  95.9
電気掃除機      336  88.8  7,211   93.7
電気洗濯機(全体) 345  118.7  24,587 117.5
洗濯乾燥機      63   104.7  8,831 111.2
ルームエアコン    336  114.7  28,236 111.2

「炊飯器」「冷蔵庫」「掃除機」に関してはやや勢いに陰りが見えるものの、特に「洗濯機」「洗濯乾燥機」「ルームエアコン」に関しては出荷額で昨対10%を超える上昇幅を記録しています。

「消費者物価指数」の項目と比較すると、やはり首をかしげるばかりですね。
ただ、どちらにせよこの項目の「前年同月比下落幅」が「縮小」したことが消費者物価指数全体に影響を与えているということは間違いありません。


「教養娯楽」の消費者物価指数

もう一つ大きいのは、この分野ですね。
数字で見てみると、プラス0.3%からプラス1.0%への拡大ですから、先ほどの「家具・家事用品」よりも大きな上昇幅です。
「家具・家事用品」のウェイトが348、「教養娯楽」が989となっていますから、影響力は「教養娯楽」の方が圧倒的に大きいですね。

教養娯楽
 教養娯楽用耐久財 -5.5(9月:-7.8)
 教養娯楽用品 2.0(9月:0.2)
 書籍・他の印刷物 0.2(9月:0.4)
 教養娯楽サービス 1.5(9月:1.1)

全項目で改善していますが、この中で特に影響力が大きいのは「教養娯楽用品」です。
プラス幅が1.8、ウェイトは210となっています。教養娯楽用耐久財のマイナス幅も2.3改善しています。ウェイトは59ですが、ここの影響も大きいです。

またもう一つ、「教養娯楽サービス」も0.4%プラス幅を広げています。ここはウェイトが592ですから、ここの影響も無視できません。

ボリュームが大きくなりそうですので、記事を分けます。


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毎月恒例となってきました、消費者物価指数速報。10月分が発表されたのは2016年11月24日になります。

今回の消費者物価指数に関しての報道はこんな感じです。

【NHK報道(1月25日 8時40分)】
消費者物価指数 8か月連続で下落
先月、10月の全国の消費者物価指数は、変動の大きい生鮮食品を除いた指数が去年の同じ月を0.4%下回り、8か月連続でマイナスとなりました。

総務省の発表によりますと、モノやサービスの値動きを示す先月の全国の消費者物価指数は、天候による変動の大きい生鮮食品を除いて、去年・平成27年を100とした指数で、99.8となり、去年の同じ月を0.4%下回りました。消費者物価指数がマイナスとなるのは、8か月連続です。これは、原油価格の下落によって電気代やガソリン価格が下がっているほか、洗濯機や炊飯器などの家電製品も値下がりしていることなどによるものです。
一方、酒類以外の食料とエネルギーを除いた指数は、100.6と、去年の同じ月を0.2%上回り2か月ぶりにプラスとなりました。

また、全国の先行指標とされる今月(11月)の東京都区部の消費者物価指数の速報値は、生鮮食品を除いた指数が99.7となり、去年の同じ月を0.4%下回って9か月連続でマイナスとなりました。

総務省は「原油価格の下落の幅は縮小してきているが、家電は新製品でも値引きされるなど価格が下がる傾向は続いており今後の動向を注視したい」と話しています。

同じ報道を他の報道機関でもタイトルで見てみます。

10月の消費者物価指数、8か月連続で下落 読売新聞-2016/11/24
消費者物価指数、8カ月ぶりマイナス幅縮小 野菜高騰で総合指数プラス ロイター-2016/11/24
日銀版消費者物価、10月0.3%上昇 8カ月ぶり上げ幅拡大  日本経済新聞-15 時間前
消費者物価0.4%下落=8カ月連続マイナス-10月 詳細-時事通信-2016/11/24

唯一日経の報道だけが書き方が違いまね。
名誉を守るために言っておきますと、朝日新聞も日経と同様の報道を行っています。

日銀版コアコアCPI、10月は+0.3% 9カ月ぶりプラス幅拡大‎ 朝日新聞 - ‎20 時間前

報道スタンスは2方向に分かれていて、

 1.消費者物価指数は前年同月比で0.4%下落した
 2.日銀版消費者物価指数は前年同月比で0.3%プラスで上昇幅が拡大した

とする二つの見方をしています。
検索結果一覧には出ていなかったので、先ほどのタイトル一覧には掲載しませんでしたが、私が一番最初に見た報道は産経新聞の報道でした。

スタンスは1番。前年同月比で0.4%消費者物価指数が下落した、という報道です。
私は事前に総務省発表を見ていましたから、一瞬頭をかしげました。

確か、消費者物価指数は上昇していたはず・・・だったからです。


消費者物価指数(総合)

ということで、まずは消費者物価指数を「総合(CPI)」「生鮮食品を除く総合(コアCPI)」「食料およびエネルギー価格および生鮮食品を除く総合(コアコアCPI)」を見てみます。

【2016年度10月消費者物価指数】
 CPI 0.1%
 コアCPI -0.4%
 コアコアCPI 0.2%

と、このようになっています。
ただ私、これまで報道内容を深読みせず、報道機関が発表しているのは「消費者物価指数(総合)」をメインにしていると思っていたのですが、よくよく見てみると、どの月も「消費者物価指数(生鮮食品を除く)」で報道していたようですね。

これは私のチェックミスです。思い込みですね。
これまで、特に私が消費者物価指数に特化した記事を作成し始めてから、「消費者物価指数(総合)」と「消費者物価指数(生鮮食品を除く)」が乖離することがなかったため、気づいていませんでした。

今回はコアが-0.4、総合は+0.1と、実に7か月ぶりに総合はプラスに転じました。

日銀が目指している「物価上昇率」が「コアCPI」であることから報道機関はコアCPIを報道に用いていたのでしょうか。
ただ今回は日経と朝日が、「コアCPI」ではなく、「日銀版コアコアCPI」を持ち出してきたのは結構意外です。

特に政府を責める記事を記す傾向がある朝日がこのような報道をしてきたのは私としては非常に意外でした。

日銀版コアコアCPIについては私がちょうど前回の記事で記したばかりのホットな話題です。
221回 GDPデフレーターと消費者物価指数の違い/どちらを見るべきか?③

表も掲載してみます。

【日銀版コアコアCPI(生鮮食品&エネルギーを除く総合】
CPI(生鮮食料・エネルギー除く)

この表では、9月の日銀版CPIが+0.1%となっています。ここから10月は+0.3%となっていますので、日経と朝日では「日銀版CPIの上げ幅が拡大しましたよ」と報道しているのです。

報道内容としては Goodjob ですね。


次回記事より、いつも通り「10大費目別」に消費者物価指数を見てみます。
この見方にもだいぶ慣れてきましたので、少しスマートに見えてくるかな、と思っています。


この記事のカテゴリー >>「物価」の見方


<継承する記事>
第220回 GDPデフレーターと消費者物価指数の違い/どちらを見るべきか?②

「GDPデフレーター」と「消費者物価指数」を比較した場合、GDPデフレーターの最大の長所は、その値から「輸入物価」全体がマイナスされており、日本国内の利益、私たちの給与所得に影響を与える部分に限定した「物価状況」を見ることができるという部分に尽きることを前回の記事ではお伝えしました。

ですが、「消費者物価指数」で考える場合も、輸入物価の影響を受けやすい、「エネルギーの消費者物価」を取り除いてやることで、GDPデフレーターに近い値をはじき出すことができます。

総務省統計局資料としても、この「エネルギー価格」を含まない、消費者物価指数である「コアコアCPI」を発表してはいるのですが、この値からは消費者物価指数の内、全体への影響が最も多い「食料」全体の物価まで外されてしまっていますので、私としてはこの「コアコアCPI」で物価を見るのはあまり好きではありません。

「食料」の内、「生鮮食品」に関しては確かに気温や気候条件など、本来の経済状況とは異なる側面から影響を与えることが考えられますので、ここを除く事には賛同するのですが、食料全体となると話は別です。

これは、実は日銀が同じことを考えて、丁度「エネルギー価格および生鮮食品を除くCPI」というものを発表しています。

これが以下のグラフになります。

【エネルギー価格および生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)】
CPI(生鮮食料・エネルギー除く)

少し小さくて見えにくいかもしれませんね。
2013年度から見ると、

2013年度 前年同月比
4月    -0.6
5月    -0.4
6月    -0.2
7月    -0.2
8月    0.0
9月    0.0
10月   0.3
11月   0.6
12月   0.6
1月    0.8
2月    0.9
3月    0.8

2014年度
4月    0.8
5月    0.7
6月    0.8
7月    0.8
9月    0.7
10月   0.6
11月   0.5
12月   0.5
1月    0.4
2月    0.4
3月    0.5

2015年度
4月    0.7
5月    0.7
6月    0.7
7月    0.9
8月    1.1
9月    1.2
10月   1.2
11月   1.3
1月    0.9
2月    1.0
3月    0.9

2016年
4月    0.8
5月    0.7
6月    0.7
7月    0.5
8月    0.4
9月    0.2

この、所謂「日銀版コアコアCPI」からは、実は「消費増税による影響」もあらかじめ除外されています。

内閣府が公表しているCPIからも、1.7%をマイナスすることで増税の影響を除くことはできるのですが、こちらの方があらかじめきちんと計算されていますし、内閣府統計にはないデータですから、私は現時点ではこの「日銀CPI」こそがより正確に国内の物価状況を見る資料としては適しているのではないかと思っています。

GDPデフレーターの欠点も、消費者物価指数の欠点もきれいに取り除かれていると思います。

今年度に入ってから、特に7月、8月、9月と上昇幅が縮小していますが、このグラフから「消費増税による影響」はとても感じられませんね。
寧ろアベノミクスの本領が発揮されているのは消費増税が行われた、その翌年である2015年であることがよくわかります。

散々お伝えしてきていますように、「原油価格下落」による影響が長く続いており、このことであたかも消費者物価が下落し続けているかのように言われていますが、少なくとも2013年10月以降、一度たりとも前年同月を下回った月など存在しないことが分かりますね?

また、今年度に入って下落している理由もその最大の理由は「家電製品の物価の下落」であり、この理由として、政府試算が現実の物価状況を正確に捕捉しきれていないことを私は挙げています。

第207回 平成28年(2016年)9月消費者物価指数速報/コアコアCPI下落の理由③
第209回 平成28年(2016年)9月消費者物価指数速報/コアコアCPI下落の理由⑤


さて。それでは今回の命題。
「物価」を判断する指標として、「GDPデフレーター」と「消費者物価指数」のどちらを用いるべきか。
結論は、「消費者物価指数」を利用して日銀が作成している「日銀版コアコアCPI」をみましょう。

これが結論になります。
その上で、疑問に思った部分について「品目別CPI」を見て原因追及をしましょう。

このやり方が一番正確な情報を導き出すことが可能です。
間違えても「2014年に行われた消費増税の影響が2016年7月になって突然出てきた」なんてトンデモ論に惑わされることのありませぬよう・・・。



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第219回 GDPデフレーターと消費者物価指数の違い/どちらを見るべきか?①

前回の記事では、「物価」が「原価」と「利益」によって構成されていること、安倍内閣の目指す「物価上昇」には、「原価」を構成する国内業者の利益をも確保することを目指しているんだ、ということをお伝えしました。

また一方でこの状況を目指そうとすると、商品を購入する人の意思に関わらず、「原価」そのものが上昇することとなり、結果的に消費者の意思に関わらず「物価」は上昇することになり、結果的に消費が減るのではないかと、ここまでお伝えしたと思います。


この状況を、「GDPデフレーター」を表す等式に当てはめて考えてみます。

 GDPデフレーター=名目GDP÷実質GDP

このうちデフレーターが「単価」、名目が「購入総額」、実質が「購入数量」になります。

「原価上昇によって物価が上昇する」ということは、この等式では「GDPデフレーター」に相当する部分が上昇するということです。
「名目GDP」は「購入総額」で、「GDPデフレーター×実質GDP」で表すことができます。

「消費が減る」ということは、GDPデフレーター=販売単価は上昇しているわけですから、残る「実質GDP」、つまり「購入数量」が減ることになります。

購入単価500円だったものが600円に上昇し、売上数量10個であったものが9個に減少したケースを考えてみます。

 購入総額(名目GDP)=購入単価500円×購入数量10個・・・①

こちらが変化する前の名目GDP。

 購入総額(名目GDP)=購入単価600円×購入数量9個・・・②

こちらが変化後の名目GDPです。

①の計算結果は6000円。②の計算結果は5400円ですから、名目GDPは減少していますね?

よく「名目GDPが上昇しても実質GDPが減少したのでは国民の生活はより苦しくなる」というような主張をする人がいます。
ですが、もし実質GDPが減少する、つまり購入単価が減るということは、それは名目GDP、すなわち「購入総額」が減少することを意味しています。

問題になるのは、「GDPデフレーター」、つまり「購入単価」の減少にあるのです。

さきほどもご説明しましたように、この場合の「購入単価」には、「原価」にも「売価」にも含めて「生産」や「流通」にかかわったすべてのセクションで「利益」を確保することができていますから、名目GDPが上昇するのであれば、たとえ実質GDPが減少したとしても、企業は軒並み利益を得ることができていることになります。

企業の利益は従業員の給与にも反映されますから、おのずと国民の生活は豊かになることになります。
企業の内部留保が問題になることはありますが、このケースではあえて外して考えます。

ですが「GDPデフレーター」、つまり「購入単価」に相当する部分が減少するのであればこれは企業が利益を削っていることになりますから、これは従業員の給与にも反映されますから、国民の生活を苦しめることになります。

この様に記しますと、いかに「名目GDP」を上昇させることが大切なのかということが分かります。
喩え実質GDP、つまり「購入数量」が減ったとしても、名目GDPさえ成長するのであれば、これは「国民の利益が増えている」ことを示しているのですから。


「GDPデフレーター」と「輸入物価」の関係

この様に記しますと、「確かに名目GDPが上昇すれば、国民の利益は増加するかもしれない。だが、『円安の影響で輸入物価が上昇すれば、そのことが原因で国内の物価が上昇し、企業の利益が圧迫されるのではないか」と主張する人が現れます。

ちょうど安倍内閣がスタートした当初のマスコミがまさにこれでした。
結果的にアベノミクスの影響で(と、私は考えています。※第162回の記事 をご参照ください)原油価格が大幅な下落に転じ、「輸入物価」全体も上昇するどころか、むしろ「急落」することになりました。

ただ、仮に「円安の影響で輸入物価が上昇する」ケースを想定してみても、「GDPデフレーター」で考えると、マスコミのこのような主張は実にナンセンスなものへと変わってしまいます。

「GDPデフレーター」とは、繰り返しになりますが「名目GDP」を「実質GDP」で割ったものです。
改めて「GDP」について考えますと、前回の記事 で掲載した以下の表で考えると、とてもわかりやすく考えることができます。

GDP.png

縦軸に「消費支出・投資・在庫」、横軸に「家計・企業・政府」を取り、これに「輸出」と「輸入」の項目を加えたもの。これが「GDP」です。

「輸出と輸入の項目を加えた」と記しましたが、計算式上加えられているのは「輸出」のみであり、「輸入」は逆にマイナスされています。「GDP」からは、元々「輸入額」はマイナスされているのです。

つまり、円高によるかどうかは別として、輸入物価が上がろうが下がろうが、元々計算式に加えらえていない値が変化したところで、「GDP」そのものには全く影響がありません。

「GDPデフレーター」も同じ。GDPデフレーターで考える以上、輸入物価上昇による物価上昇など、元々考慮する必要はありません。仮に輸入物価の上昇により国内の利益が圧迫されるのであれば、物価から輸入額を差し引いた値はマイナスになりますから、名目GDPは減少します。

「GDPデフレーター」で見るのが良いのか、「消費者物価指数でみるのが良いのか」と考えた場合、輸入額の物価に対する影響まで包括できているのかどうかという点ではGDPデフレーターの方が優秀だと考えられます。


「GDPデフレーター」と「消費増税」

ところが、2014年に行われた「消費増税」。この場合は少し事情が異なってきます。
消費税は、ある一定以上の売り上げを上げている企業が販売するものには一律で課税されますから、それこそ「消費者の意思に関わらず」物価が上昇します。

しかも、その「利益」はGDP的には「政府」の利益になります。
勿論、この利益分が翌年には「社会保障費」として国民に分配されますので、消費増税悪玉論とつなげるべきではないと考えていますが、少なくとも単年度で考えると「家計最終消費支出」からはマイナスされるのです。

「GDPデフレーター」には政府の収益も加算されていますから、増税による物価上昇も「インフレ」として影響を与えるのですが、企業の利益を圧迫し、国民の消費動向を鈍らせる要素となっていますから、増税年度に限っては異なる見方をする必要が出てきます。


「消費者物価指数」と「消費増税」

ところが、これを「消費者物価指数」で考えますと、実はもう少し正確な見方をすることができます。
このことについては、日本総研様資料 で、以下のように記されています。

消費税が課税される個別品目でみた場合、消費税率の引き上げ分(5%⇒8%)がフル転嫁されれば、税込み価格は約2.86%((1.08-1.05)/1.05≒2.86%)押し上げられる。消費者物価指数(除く生鮮食品)に占める課税品目の割合(経過措置の影響で4月に旧税率が適用される品目を除く)は6割程度であることから、増税分がフル転嫁された場合、消費者物価指数(除く生鮮食品)は約1.7%ポイント押し上げられる計算となる。


要は、消費増税が消費者物価指数に与える影響は前年同月比で1.7%程度ですよ、ということです。
これをそのまま信用すれば、という前提条件付きにはなりますが、消費者物価指数から1.7%マイナスすることで、消費増税の影響を除いた、おおよその物価動向を見ることができます。


次回記事では、この「消費増税の影響を除いた消費者物価指数」の推移について、「原油価格下落の動向」と「GDPデフレーター」を絡める形で記事を作成してみたいと思います。


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第218回 GDPデフレーターとは何か?/日本一わかりやすく考える

前回の記事では、「GDPデフレーター」という指標について、それがそもそもどういう意味合いを持つもの何か、ということに着目して記事を作成しました。

作成しながら出来上がっていった考え方ではあるのですが、たぶんGDPデフレーターについてこのように説明している人はまずいないと思います。個人的に自信のある解説内容なので、ぜひ見ていただけるうれしいです。


この「GDPデフレーター」という言葉なのですが、そもそもその時点での経済が「インフレ」なのか、「デフレ」なのか、GDPデフレーターとは、この「物価状況」を図るための指標です。

第9回の記事 でも掲載していますが、GDPデフレーターは「基準年を100」とした場合、100を上回っていればインフレ、下回っていればデフレです。

前回の記事 の内容をおさらいしますと、「GDPデフレーター」とは以下の計算式で表すことができます。

 GDPデフレーター=名目GDP÷実質GDP

前回の記事では、スーパーマーケットでリンゴを総額5000円、個数を10個購入した場合の事例として、「名目GDP」は「総額」、「実質GDP」は「個数」、そして「GDPデフレーター」とは「購入単価」に相当するものであることをお示ししました。

あくまでもこの人が購入したりんごは1種類で、全て同じ金額であることを前提としたものにはなりますが。

GDPデフレーターが変動するということは、上の事例で考えれば「リンゴの単価」が変動することを示しています。
1個500円で売られていたリンゴが400円になればデフレ、600円になればインフレです。

前回も記した通り、アベノミクスが目指している社会とは、一個500円のリンゴではなく、一個600円のリンゴが選ばれる社会です。ものすごく喩えが小さいですけどね。


さて。改めまして今回のテーマはタイトルにもございます通り「GDPデフレーター」と「消費者物価指数」の違いです。

「GDPデフレーター」も、「消費者物価指数」も共に「物価変動」を見ることができる数字です。
では、日本国経済を考える場合、「GDPデフレーター」と「消費者物価指数」の内、どちらの数字を見ればより正確な「物価変動」を理解することができるのでしょうか。

「物価」

「GDPデフレーター」と「消費者物価指数」の違い

「GDPデフレーター」も「消費者物価指数」も、「物価動向の全体像」をとらえるための指標ですから、所謂「マクロ指標」となります。ですが、どちらがより生活の実感に近いかというと、これは圧倒的に「消費者物価指数」です。

「GDPデフレーター」とは、既にお伝えしています通り、「名目GDP」を「実質GDP」で割ったものです。

「GDP(支出側から見たGDP)」という指標は、まず2つの次元で構成されています。

縦軸を構成しているのが「消費支出」と「投資」と「在庫」。横軸を構成しているのが「家計」「企業」「政府」そして「輸出入」です。
縦軸を構成している「消費支出」と「投資」「在庫」という項目は輸出入には当てはまりません。

【GDPの構成要件】
GDP.png

こんな感じです。「消費者物価指数」とは、このうち「家計最終消費支出」に限定した「GDPデフレーター」といっても良いと思います。

「消費者物価指数」は「家計最終消費支出」を更に分割して「10大費目別」や「中分類」、「小分類」、「品目別」とさらに砕いていくことでより私たちの生活の実感に近い情報を手に入れることができるようになっています。


ですが、私の様に情報を分析することが好きな人間にとっては「消費者物価指数」を「10大費目別」や「品目別」まで砕いて見る機会もあるのですが、一般的にニュース等で報道されるときは、「消費者物価指数」というトータル指標として報道されます。

こんな感じです。

【日本経済新聞ニュース】
9月の全国消費者物価、0.5%下落 7カ月連続下落 2016/10/28 8:33

 総務省が28日発表した9月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、生鮮食品を除く総合が99.6と、前年同月比0.5%下落した。下落は7カ月連続。QUICKが発表前にまとめた市場予想の中央値は0.5%下落だった。8月は0.5%下落した。

 食料・エネルギーを除く「コアコア」のCPIは100.4と横ばいだった。生鮮食品を含む総合は99.8と、0.5%下落した。

 同時に発表した10月の東京都区部のCPI(中旬速報値、2015年=100)は、生鮮食品を除く総合が99.7と0.4%下落した。生鮮食品を含む総合は100.3と0.1%上昇した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕

タイトルに「消費者物価指数(総合)」、文中に「コアコアCPI」も掲載していますが、一般の方はこの「コアコアCPI」を意識することはあまりありません。

では、そもそも「GDPデフレーター」と「消費者物価指数」。どちらの動向を見ればより日本国内の現実に近い「物価動向」を見ることができるのでしょうか。


「物価」とは何か。

政府も日銀も、特に安倍内閣に入って以来、「物価上昇」を盛んに訴えています。
では、一体なぜ物価を上昇させなければならないのでしょうか。

これも過去の記事でお伝えしたことがあると思いますが、「物価」とは、「店頭売価」のことではなく、あくまでも「店頭で消費者が物品を購入した支払金額」のマクロデータを指標として現したものです。

店頭に500円の普通のリンゴと600円のおいしいリンゴが並んで売られていたときに、店頭で500円の普通のリンゴを勝った人より600円のおいしいリンゴを買った人の増加率が大きければこの店の「リンゴの物価」は上昇します。

逆に600円のリンゴよりも500円のリンゴを選んだ人の増加率画大きければ「リンゴの物価」は下落します。

よく「安倍内閣で物価が上昇したせいで国民の生活が苦しくなった」というような表現をする人がいますが、店頭で600円のリンゴを購入する人が増えなければ物価は上昇しません。

つまり、600円のリンゴを買う余裕のある人が増えるため、物価は上昇するのです。
いくら安倍内閣が物価上昇を煽ったところで、500円のリンゴを買う人の方が多ければ物価は上昇しないのです。

ここを勘違いしている人が多いのではないかと思います。


さて。この600円のリンゴですが、この600円という金額はどのようにして決められているのでしょうか。

当たり前の話ですが、「物価」とは「原価」と「利益」によって決められます。
「物価」が上昇するのは「原価」が上がるか「利益」があるのか、その両方が上昇するのか。このどれかしかありません。

例外として「消費増税」が行われたときには「原価」と「利益」以外に物価全体にかけられた「消費税」が増加しましたので、「原価」と「利益」以外の影響で物価が上昇しました。

ただ、増税が行われることはそう頻繁にあることではありませんから、普通は「原価」か「利益」か、もしくはその両方が上昇するかのどれかが原因になります。


「原価」の考え方

では、このうち「原価」の考え方なのですが、この「原価」もまた「物価」同様、「原価」と「利益」によって構成されています。

「物価」は販売店の経費だけでなく、リンゴであれば出荷する農家、農家から市場まで輸送するための設備費、輸送費、リンゴを仕分けるための機械、育てるための肥料や除草剤、殺虫剤等々、様々な費用がかけられているのです。

安倍内閣が掲げている「物価上昇」とは、単にリンゴを販売する際の販売額を挙げるだけでなく、これらの一連の工程の中でもきちんと利益を確保するようにしなさいと、そういっているのです。

農業

ですから、当然商品を仕入れる段階ではすでにその「原材料費」の中にその工賃が上乗せされることになります。
その上で店頭販売価格に利益を載せて、販売して売れるのかどうか。これが「アベノミクス」では問われていることになります。


記事が少し長くなりましたので、記事を分けます。
私は「物価」について、「店頭で、その価格で販売できなければ物価は上昇しない」とお伝えしました。

ですが、このように記しますと「原材料費が高騰するのだから、やっぱりアベノミクスでは『消費する側』の事情には関係なく物価が挙げられるんじゃないか」という人がいるかもしれません。

ですので、次回記事では、「原材料費が高騰した結果」、物価が上昇するとどのようなことになるのか。
そのような内容について重ねて掲載したいと思います。


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前回の記事 でもご案内しましたが、このところ「GDPデフレーター」に関連したキーワードからの検索が増えていますので、少しこのキーワードに関連した記事を追加してみたいと思います。

↓勿論過去にもこの「GDPデフレーター」について記事にしたことはあります。
第9回 GDPデフレーターとは何か

キーワードからのアクセスもこの記事にランディングしています。
ただ、私自身の知識量とすると、あの時より現在の方が増えていると思いますし、文字色をたくさん使ってしまっていることで、却って読みにくくなっているのではないか・・・という懸念もありましたので、今回改めてこの「GDPデフレーター」について記事を作成してみようと思います。


「GDPデフレーター」とは何か?

「GDPデフレーター」とは何かと申しますと、これは一言で、「国内の物価が『インフレ』であるか、『デフレ』であるかを判断するための指標」である、ということになります。

その計算式は、

 名目GDP ÷ 実質GDP × 100

で表されます。
既に何度もお伝えしていますように、「名目」とは「何円消費されたのか」という「金額」を表すための指標であり、「実質」とは「何個消費されたのか」という「量」を表すための指標です。

金額を個数で割るわけですから、「消費量1当たりの金額」が算出されます。

りんご

例えば、リンゴを総額5000円購入したとして、購入数量が10個であったとすると、りんご一つ当りの単価は

5000÷10=500

になりますよね?
つまり、500円のリンゴを10個買った結果合計で5000円支払いました、とこうなるわけです。

この場合、「総額5000円」に相当するのが「名目GDP」、「購入数量10個」に相当するのが「実質GDP」、「りんご一つ当りの単価」に相当するのが「GDPデフレーター」です。

このように考えるとわかりやすいですよね?
例えば総額が6000円になったけれども、購入数量は10個のままであったとすると、りんご一つ当りの単価は600円になります。

この現象をGDPに置き換えて考えると、名目GDPは2割上昇したが実質GDPは上昇しなかった。GDPデフレーターの上昇率は20%であった

というように表現されます。

「名目GDP」と「実質GDP」

この様に表現すると、多くの人の頭の中に、「クエスチョンマーク」が思い浮かぶかもしれません。

「え、だって『実質GDP』って金額で表されてるじゃん!」

と。

これは当然だと思います。
先ほどのリンゴの事例を用いて、少し頭の体操をしてみたいと思います。

【質問1】
Aさんは、とあるスーパーマーケットで、リンゴを10個、総額5000円購入しました。リンゴ一つ当りの単価は何円だったでしょう?

質問は先ほどの事例とまったく同じです。答えは5000÷10=500で500円になります。

ですが、この答えは本当に正しいのでしょうか?

【質問2】
Aさんは、とあるスーパーマーケットで、リンゴを10個、総額5000円購入しました。リンゴ一つ当りの単価は何円だったでしょう?
このスーパーマーケットで販売しているリンゴは「フジ」「つがる」「王林」「紅玉」「ジョナゴールド」の5種類です。

この様な問題であったとすると、いかがでしょう。

「リンゴ一つ当りの単価」は本当に 『5000円÷10個=500円』 という数式で表せるのでしょうか。

答えは「×」です。

実はこの500円という単価は「リンゴ一つ当りの単価」ではなく、「リンゴ一つ当りの平均単価」だったんですね。

では、次の質問です。

【質問3】
Aさんは、とあるスーパーマーケットで、リンゴとみかんを合計で10個、総額5000円購入しました。リンゴ一つ当りの単価は何円だったでしょう?
このスーパーマーケットで販売しているリンゴは「フジ」「つがる」「王林」「紅玉」「ジョナゴールド」の5種類です。

秋のフルーツ

いかがでしょう。こうなってくると、もうすでに平均値を求めることすら不可能ですね?
では、こんな質問だといかがでしょうか?

【質問3】
Aさんは、とあるスーパーマーケットで、リンゴと牛乳を総額5000円購入しました。Aさんは牛乳を何リットル購入したでしょう。
リンゴの平均単価は500円であると考えます。

先ほどまでは「単価」を問いかける質問でしたが、今回は「販売量」を問いかける問題になっています。

もう意味が分かりませんよね、ここまでくると。

では、次の質問です。

【質問3】
Aさんは、とあるスーパーマーケットで、リンゴと牛乳を総額5000円購入しました。Aさんはこのスーパーマーケットの商品をいくつ購入したでしょう。
リンゴの平均単価は500円、牛乳1リットル当たりの平均単価は200円であるとする

えっ、ってなりますよね、こんな聞き方されると。リンゴを数える単位が「個」であると考えている人もいらっしゃるかもしれませんが、ひょっとすると「g」かもしれません。牛乳の単位も「リットル」ではなく、「パック」かもしれません。

組み合わせが今回はまだスーパーマーケットで販売されている程度のものですから、まだ辛うじて想像できるかもしれませんが、ここに「ガソリン」であったり「パソコン」であったり、「車」であったり、「家」であったり、単位も、考え方も異なるコンテンツが入ってくると、もうとても「販売数量」など数えることは不可能になってしまいます。

ましてこれが国家レベルになると、「金融」だとか「設備投資費」だとか「税金」だとかとても同じ単位で考えることができないコンテンツだらけになってしまいますし、住んでいる地域が異なれば、一単位当たりの金額を平均化することそのものが不可能になるケースだらけになってしまいます。

そこで、「国家」規模でこれを考える場合、単位を「個」だとか「g」だとか「リットル」だとか、異なる単位で集計することはせず、「円」という共通の単位で販売数量を計測しているのです。正式には数式を用いて算出しています。
その最大の計算結果が「実質GDP」なのです。

つまり、「実質GDP」とは、単位こそ「円」で表現していますが、実際には金額ではなく、「数量」を表しているのです。

詳しくは、第53回の記事 などでも掲載しています。


「GDPデフレーター」とは何か。
それは、日本国内で1年や四半期などの期間内で消費されたありとあらゆるコンテンツの「平均単価(単位:%)」を現したものです。

日本国政府や日銀が「インフレ(物価上昇)」を目指しているのは、この平均単価で考えた場合、冒頭のリンゴの事例を挙げますと、500円のリンゴより、600円のリンゴが消費される社会を作ることを目指している、ということです。

ただ、その時に、確かに500円のリンゴより600円のリンゴの方が売れるようにはなったけれども、販売数量が9個しか売れなくなったのでは意味がありません。せめて同数、願わくば11個、12個と売れるような社会を作りましょう、というのが現在の安倍内閣の政策=「アベノミクス」なのです。

いかがでしょう。「GDPデフレーター」について、「日本一わかりやすく」考えるお手伝いができましたでしょうか?

次回記事では、同じ「物価」を計る指標として「GDPデフレーター」以外に「消費者物価指数」という指標があるわけですが、ではどちらの指標を用いるべきなのか、どちらの指標で見れば正確なインフレ・デフレの状況が判断できるのか。

そのようなテーマで記事を記したいと思います。


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