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第一四半期ですので、4月~6月期GDP速報になります。
ニュースではこんな感じですね。関心がある方は全文目を通してみてください。

GDP、年4.0%増=11年ぶり6期連続プラス-内需堅調で・4~6月期 (共同通信社記事より)
 内閣府が14日発表した2017年4~6月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比1.0%増、この成長ペースが1年続くと仮定した年率換算では4.0%増だった。

 個人消費や民間の設備投資など国内需要が堅調で、輸出の落ち込みを補い、11年ぶりに6四半期連続のプラス成長となった。年率の伸びは15年1~3月期(4.8%増)以来の大きさ。

 物価変動の影響を反映し、生活実感に近い名目GDPは前期比1.1%増、年率4.6%増。16年後半以降の輸出主導型の経済成長が内需主導型に切り替わりつつある。

 茂木敏充経済再生担当相は記者会見で、「良い数字だが、消費はまだ力強さに欠ける」と指摘した。景気の先行きについては「緩やかに回復していくことが期待される」と語り、安倍政権が掲げる「人づくり革命」や生産性向上などの重点課題に取り組むことで、内需主導の持続的な成長を目指す考えを示した。

 実質GDPを項目別に見ると、個人消費は前期比0.9%増と6期連続のプラス。雇用・所得環境の改善から飲食・サービスが好調で、買い替え需要などで自動車販売やエアコン、冷蔵庫も伸びた。

 設備投資は2.4%増。人手不足を背景に、建設業や小売業などで省力化投資が伸びた。住宅投資は戸建て、貸家ともに底堅く1.5%増。公共投資は、16年度第2次補正予算の執行が本格化したことに伴い5.1%増。伸び率は第2次、第3次安倍政権を通じ最大の13年7~9月期(5.0%増)を上回った。

 輸出は0.5%減と4期ぶりのマイナス。統計上は輸出に分類される訪日外国人の消費は増えたが、アジア向けのスマートフォン関連部品の需要一服などが響いた。輸入は原油・天然ガスの価格上昇から1.4%増えた。

 実質GDPの増減にどれだけ影響したかを示す寄与度は内需がプラス1.3%。一方、外需はマイナス0.3%で、6期ぶりのマイナスだった。(2017/08/14-11:46)

内閣府

要約すると、2017年度第一四半期GDPの内、季節調整を行った実質GDPの前月比が1%上昇し、これを年率換算すると4%の上昇率になりますよ、ということになります。

ただ、私のブログにおいて、GDPに関連する記事では繰り返しお伝えしています通り、そもそも

 ・「名目GDP」そのものがサンプルデータを用いて人為的に作成されたデータであること
 ・「実質GDP」はこの数字を更にサンプルデータを用いて人為的に作成した「持家に帰属する家賃を除く消費者物価指数」で割ったものであること
 ・この実質GDPを更に人為的に作成した公式に当てはめて計算した数字が「季節調整系列」であること。
 ・更に「年率換算」は前述した方法によって算出された「季節調整系列前月比」が「仮に4半期連続で継続したとしたらいくらになるのか」というありえない予測に基づいて算出されたフィクションの数字であるということ

以上の様な理由により、「季節調整系列」という数字も、「年率換算」という数字も私自身は全く信用していません。

一つ目の、「名目値」に関するバイアスだけは解消することができないけれども、他のバイアスに関しては解消することが可能である、「名目原系列、前年同期比」を検証することが一番大切なことだと私は考えています。

ということで、私のGDP速報は、この「名目原系列、前年同月比」を中心に記事を進めてみたいと思います。


2017年度GDP第一四半期第一次速報統計結果

【2017年度GDP第一四半期第一次速報(前年同期比)】
名目GDP
全体 134.556 兆円(1.6%)

 民間最終消費支出  75.012 兆円(1.9%)
 家計最終消費支出 73.095 兆円(1.8%)
  除く持家の帰属家賃  60.613 兆円(2.2%)

 民間住宅 4.185 兆円(7.3%)
 民間企業設備 19.407 兆円(6.4%)

実質GDP
全体  129.498 兆円(2.0%)

 民間最終消費支出 73.808 兆円(1.8%)
 家計最終消費支出  71.948 兆円(1.8%)
  除く持家の帰属家賃  58.674 兆円(2.0%)

 民間住宅  3.935 兆円(5.6%)
 民間企業設備 19.070 兆円(5.8%)

実質を合わせて掲載しているのは、確かにその信憑性に関しては疑問があるものの、それでも一つの指標にはなるということと、名目と実質の数字を用いることでそれぞれの項目における「物価上昇率」を見ることが出来るからです。

項目としては、基本的に日本区全体の「GDP」をまずは掲載しているのですが、続いて家計最終消費支出者、つまり民間人と民間企業を合算した「消費支出」、続いて「家計」の最終消費支出、ここから更に「持家に帰属する家賃」を除いた消費支出を掲載しています。

続いて掲載している「民間住宅」は民間人が住宅におこなった投資金額(購入額)、民間企業設備は民間企業が行った設備投資費の事です。

安倍内閣が目指している経済社会とは、政府支出におんぶにだっこ、何時まで経っても民間で稼ぐことのできないような社会ではなく、民間が政府の力に頼らずとも、自ら自力で回転していけるような社会です。

この情報をきちんと吸い上げて統計化しているのが上記枠内のデータです。


2017年度GDP第一四半期第一次速報への評価

ニュース記事でも書かれているのですが、今回のGDP評として一番大きいのはやはり「内需」の拡大です。

特に注意してみるべき箇所は民間最終消費支出の内、「持ち家の帰属家賃を除く家計最終消費支出」の動向です。

これも何度も言っている様に、「持ち家の帰属家賃」とは、「もし今住んでいる持ち家が借家だった場合、家賃はいくらになるのか」という非常に意味の解らないフィクションの数字ですから、本来GDPには加えるべきではない数字です。

この数字が名目で前年同期比2.2%、実質で2.0%、物価上昇率0.2%という形で上昇しています。これは非常に理想的な形ですね。

また一方で、「企業設備投資費」に関しても前年同期比で名目が6.4%、実質が5.8%、0.6%の物価上昇率を記録しており、これは完全に「デフレから脱却した」と言っても問題がないような状況となっています。

政府日銀が目指している部下上昇率は2.0%ですから、まだまだじゃないか、という声も聞こえてきそうですが、私としてはその物価上昇率には無理があると考えており、やはり麻生内閣時代の名目3%、実質2%、1%の物価上昇率を目指す事こそ一番理想的な経済成長ではないかと考えています。

2%の物価上昇率というのは、どちらかというと安倍内閣誕生時に安倍さんの周辺を取り巻いていたマネタリストたちの非現実的な妄想が招いた政策の弊害だと私は考えています。


もう一つの視点(輸出入GDP)

ただ、ではアベノミクスはついに成功したのか、と単純に考えるのは実は時期尚早だと思います。

いや、アベノミクスは十分成功していると私は思っているのですが、今回の数字をぬか喜びしてよい数字なのかどうか、という点で1点だけ注意してみておくべき点がある、ということを申し上げたいのです。

それは、「輸入額」の事です。
重ねて輸出額も掲載します。

【2017年度GDP第一四半期第一次速報(輸出入GDP統計)】
2016年度輸入額 19.655 兆円
2017年度輸入額  22.178 兆円
輸入額前年度差額(前年同期比) 2.523 兆円(12.8%)

2016年度輸出額 20.890 兆円
2017年度輸出額 23.038 兆円
輸出額前年度差額(前年同期比) 2.148 兆円(10.3%)

額、率とも輸入が輸出を上回っていますので、輸出入GDPはGDP全体を縮小させる要因として働いています。

ですが、それは輸出入全体にいえることであって、消費支出を初めとする各項目の数字の中には輸出入GDPの内「輸入額」が含まれているわけです。

昨年の記事を読み返していただくとわかると思いますが、2016年度は原油価格が前年同月を大幅に下回る状況にありましたから、原油額が大半を占める「輸入額」は消費支出等各項目を前年に対して下落させる要因として働いていました。

ところが、今年度2017年度は原油価格が前年度を上回っていますので、これが今度は各項目を上昇させる要因として働いています。

勿論、輸入額増加額2.5兆円の内、その全てが原油額というわけではありませんし、今月輸入した原油額がそのまま今月の消費者物価に反映されるのかというと、そういうわけでもありません。

ですが、例えば持家に帰属する家賃を除く家計最終消費支出は前年同期と比較して1.3兆円増えたわけですが、これがそのまま内需に起因する上昇額となるわけではない、ということです。


これらの要素を踏まえて統計データを見る必要はあるわけですが、少なくとも今年度第一四半期のGDPデータは、私たちの想像を上回るほど上昇しました。

またGDP全体で見ますと、輸入額が輸出額を上回っており、GDPに対してはネガティブに作用しているにも関わらず、名目GDP全体は1.6%の上昇率を記録しています。

繰り返しますが、「輸入額」が「輸出額」を上回っていますので、名目GDPの上昇幅は明らかに「原油額の上昇幅を差し引いた内需」に起因するものです。

この事をポジティブな要素としてきちんと受け止めることが大切です。

ポジティブな情報は、「期待インフレ率」として作用し、経済を成長させる大きな起爆剤となりますからね。


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<継承する記事>
第321回 2016年度(平成28年度)名目/実質GDPが公表(速報)前編

2016年度GDPに関しまして、前回の記事では高橋洋一氏の見解をただす形で記事を作成しましたが、今回は改めまして私自身の視点から「2016年度GDP」公表結果についてポイントを整理してみたいと思います。

既にお伝えしています通り、私が大切にしているGDPは

・名目
・原系列
・前年同月比

という3つの要素を持ち合わせた指標です。
一方マスコミ等が重宝したがる

・実質
・季節調整系列
・年率換算
・前期比

という指標は、実際の経済現象では起きていない、経済予測に基づいて人為的に算出された数字が多く用いられていますので、私は全くあてにしていません。「実質値」に関しては参考にはしていますが、それ以外の数値は信頼に値しない数字だと考えています。

ですので、四半期別GDPを考えるときは「名目原系列前年同月比」を中心に記事を作成しているわけですが、一年で唯一、「1-3月期」、つまり2016年度であれば「2016年度第4四半期」の統計データが出て来た時だけは、「前年同月比」ではなく、「前年度比」という1年間を通じて、季節の変化まですべて反映された統計データを比較することができます。

「四半期別GDP」ではなく、「年度別GDP」で最大のマクロ指標、「GDP」を見ることができます。

内閣府


2016年度GDPの統計結果

【2016年度GDP(前年度比)】
名目GDP
全体 537.986 兆円(1.2%)

 民間最終消費支出 299.8 兆円(1.2%)
 家計最終消費支出 293.0 兆円(0.3%)
  除く持家の帰属家賃 243.1 兆円(0.3%)

 民間住宅 16.9 兆円(6.2%)
 民間企業設備 82.4 兆円(1.6%)

実質GDP
全体 523.4 兆円(1.3%)

 民間最終消費支出 297.0 兆円(0.6%)
 家計最終消費支出 289.3 兆円(0.6%)
  除く持家の帰属家賃 236.5 兆円(0.4%)

 民間住宅 16.0 兆円(6.5%)
 民間企業設備 81.3 兆円(2.3%)

こちらが「2016年度」のGDP統計結果です。


2016年度GDP評

政府が様々な経済政策に取り組んでいる理由は、こちらに掲載された「民間」の消費を伸ばすことにあります。
言い換えれば、これらの項目さえ伸びているのであれば、「政府最終支出」や「公的固定資本形成」などを気にする必要はありません。

上記指標の中で大切なのは「名目GDP」が伸びているのか、それとも下落しているのかということなのですが、見ての通りきれいにすべての項目でプラス成長を遂げています。そしてそれは名目だけでなく実質も同様です。

民間最終支出、家計最終消費支出の伸び率が0.3%とやや勢いを欠くように見えますが、カテゴリー 「物価」の見方 で散々追求してきた様に、これらの消費支出には「エネルギー価格」の大幅な下落、及び家電製品の下落が反映されており、逆に言えばそれにも関わらず消費支出全体としてはプラス成長を遂げたのだ、ということです。

物価サイドから見ると、エネルギーの消費者物価前年同月比がマイナスからプラスに転じるのは2017年2月から。
家計最終消費支出を四半期別に見ると、第3四半期(10-12月度)も第4四半期同様プラス成長していますが、この時はまだエネルギー価格は全体でマイナス。代わりに生鮮食品が高騰しました。

第4四半期に至ってようやくエネルギー物価が前年同月比プラスに転じますが、それでも実際にプラス成長しているのは1月~3月の3か月の内、2月、3月の2か月間。

2016年度1年間の名目GDPを見ますと、4月~6月の第一四半期、7月~9月の第二四半期の民間・家計最終消費支出は前年度割れしており、残る10月~12月の第3四半期、1月~3月の6か月間で年度全体をプラスに押し上げていることになります。

この時、年度後半の二四半期がプラス成長した理由が本当に経済成長したからなのか、それとも私が説明した様に、「エネルギー価格」の前年度比が第4四半期においてようやくプラスに転じ、かつ第3四半期に於いて生鮮食品の価格が高騰したことに伴う一時的な現象なのか。

これを判断するときに役に立つのが「実質GDP」なのです。


2016年度実質GDPの動向から見える2016年度の経済状況

既実質GDPは名目GDPを持家に帰属する家賃を除く消費者物価指数で割ったものであり、名目も消費者物価指数も、元々人為的な計算方法を用いて算出されたものですから、人為的に算出された数字を人為的に算出された数字で割った「実質GDP」は、更に信憑性の薄いものとなります。

ですが、季節調整系列や年率換算に比べればまだ参考にはなる数字です。
実質GDPの捉え方は飽くまでその程度である、と念頭に置いた上で今後の文章は読んでいただければと思います。


前回の記事でも、第218回の記事 でもご説明しました様に、「実質GDP」とは消費された「数量」の事。名目GDPは消費された「合計金額」の事。

名目成長率と実質成長率は以下の様な数式で表すことができます。

 名目成長率-実質成長率=物価上昇率

この等式を頭に入れて2016年度名目GDPと実質GDPを見てみますと、とある特徴があることに気づかされます。
それは、全ての項目にわたって「実質成長率」が「名目成長率」を上回っているということです。

これは、言い換えると物価が下落しているということで、高橋洋一流に言えば「GDPデフレーターが下落している」ということで、「失われた20年や25年に戻った」ことになるのかもしれません。

ですが、そんな高橋洋一の説など詭弁にすぎません。
バブル崩壊以降の日本国経済は、「名目値が下落する中で物価が下落していた」のです。

ですが、2016年度に起きた経済現象は「物価が下落する中で、名目値は上昇していた」ということ。安倍内閣以前の経済とは全く事情が異なります。

言い方を変えれば、「物価は下落したが、販売総数は大幅に上昇し、結果として売上総額もプラス成長した」というのが2016年度のGDP評です。

一方で第3四半期に於いて生鮮食品の価格が高騰し、第4四半期に於いてエネルギー価格が前年度比でプラス成長したことが2016年度の家計最終消費支出を押し上げた最大の原因とは考えられるわけですが、2016年度第4四半期前年同月比に限定して数字を見てみますと、

【2016年度第4四半期GDP統計結果】
名目GDP
全体 0.8%

 民間最終消費支出 1.0%
 家計最終消費支出 1.0%
  除く持家の帰属家賃 1.2%

 民間住宅 8.0%
 民間企業設備 3.0%

実質GDP
全体 1.6%

 民間最終消費支出 1.0%
 家計最終消費支出 0.9%
  除く持家の帰属家賃 0.9%

 民間住宅 6.9%
 民間企業設備 3.0%

確かにGDP全体で見ると名目0.8%、実質1.6%、物価上昇率 -0.8% ですから、高橋洋一流に言えば「悪い状況」なのかもしれません。

ですが、よく見てみましょう。
民間最終消費支出は 名目1.0、実質1.0 の物価上昇率0%、
家計最終消費支出は 名目1.0、実質0.9 で +0.1% の物価上昇率。
除く持家の帰属家賃は 名目1.2、実質0.9 で +0.3% の物価上昇率。

民間住宅は 名目8.0、実質6.9%で1.1%の物価上昇率。
民間企業設備は 名目3.0、実質3.0で 0%の物価上昇率。

企業消費支出こそ0%と横ばいですが、家計、特に私が重視している「持家に帰属する家賃を除く家計」は0.3%のプラス成長、民間住宅は1.1%の物価上昇を果たしているわけです。

これ、本当に「悪い状況」なんですかね、高橋洋一さん。
確かに第4四半期は「エネルギー物価」がプラスに転じており、ひょっとするとそれが原因だったのかもしれません。

ですが、伸びているのは「名目」だけでなく「実質」も伸びています。エネルギー物価が上昇し、物価全体が上昇したにも関わらず、「名目」と同時に「実質」も上昇しているんですよ。

ではなぜ「GDP全体」では物価が下落したことになっているのか。
確かに「政府支出」が前年度割れしていることにも原因はあるのかも知れません。ですが、政府が経済政策を行う最大の理由は「GDPデフレーターをプラス成長させること」にあるのでしょうか?

違いますね。GDP統計で云うのなら、「家計最終消費支出(持家に帰属する家賃を除く)」ことにこそ政府が経済政策を行う理由はあります。

そして統計データとして、「輸出入デフレーター」に於いて、実質と名目で輸出入の前年同月比が逆転していることも忘れてはいけません

マネタリストたちの中では完全に「目的」と「手段」が入れ替わってしまっているのです。
GDP評で言うのなら、2016年度GDPは

「GDP、及び民間消費、設備投資に於いて名目成長率を実質成長率が上回る状態となったが、全ての項目に於いて名実ともにプラス成長することができた。

最新の2016年度第4四半期に於いては民間企業の物価成長率こそ横ばいだが家計においては名実、物価成長率すべてでプラス成長を果たしており、漸くアベノミクスの成果を家計に於いても実感できる状況が生れた」

とするのが正しいのではないでしょうか?

今後もGDP、賃金、物価、税収。これらの項目を中心に、引き続き詳細な政府統計の分析を行っていきたいと思いjます。


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年間に一度しか訪れないこの決定的瞬間。
私にとっては非常に楽しみな日でもあります。本日は2016年5月21日ですが、18日、2016年度GDPが発表されました。

あくまでも速報ベースではありますが、これは私が四半期ごとに追いかけてきたカテゴリー GDPの見方 の記事や、ほぼ毎月追いかけて来たカテゴリー 物価の見方 の記事の正当性が評価される瞬間でもあります。

分析屋としての私の情報が正しかったのか、それとも誤りだったのか。これが今回行われた年度別GDPの結果によって判断されます。


先ずは、ロイターによる報道から記事にしてみます。

【ロイター記事より】
1─3月期実質GDPは年率+2.2%、5四半期連続プラス成長=内閣府

[東京 18日 ロイター] - 内閣府が18日発表した2017年1─3月期国民所得統計1次速報によると、 実質国内総生産(GDP)は前期比プラス0.5%、年率換算でプラス2.2%となった。5四半期連続のプラス成長となった。

ロイターがまとめた民間調査機関の事前予測では1─3月期GDPの予測中央値は前期比プラス0.4%、 年率プラス1.7%だったが、これを上回った。   プラス成長に寄与したのは主に民間最終消費支出、外需だった。

GDPデフレーターは前年同期比マイナス0.8%だった。

この結果、2016年度の成長率は実質前年度比プラス1.3%、名目同1.2%となった。

私とすると、一番肝心なのは最後の文章一文なんですけどね。

私のブログを継続的にお読みいただいている皆さんには既にご存知のことかもしれませんが、GDP統計を見る中で私が一番重要だと思っているのは、「極力人為的な計算が行われていないこと」です。

もちろんこれを完全にやれ、何てのはまず不可能ですし、どうしても人為的な計算方法に頼らなければ算出できないのもGDPに代表されるマクロ指標の特徴です。

ですが、だからこそそんなマクロ指標の中でもより人為的な計算が加えられていない指標。即ち「名目値」が一番信頼に足る情報だと考えています。

で、今回引用しているロイター記事ですが、まあツッコミどころ満載、と。おそらく政府が発表した情報を何も考えることなくそのまま掲載したのでしょうが、

「1-3月期実質GDPは年率+2.2%」

と記されていますね?
一件、「めちゃめちゃいいじょうほうじゃん!」と大喜びしてしまいそうな情報ですが、

1.この数字はあくまでも「実質GDP」であり、名目値ではない。
2.「年率」とは年率換算の事であり、そもそも1-3月期と同じ成長率が1年間続くことなどありえないこと。
(年率換算に関しては、第140回の記事 をご参照ください)
3.年率換算が行われているということは同時に「季節調整」が行われており、その季節特有の状況を計算式で算出することなどそもそも不可能である

という3つの点から、まずこの数値そのものを私は相手にして居ません。
そもそも、ロイター記事文末に掲載されているとおり、「2016年度一年間を通じてのGDP」が既に出ているのに、なぜ一番大切な年間のGDPではなくわざわざ1-3月期の実質値を年率換算したものをタイトルとして選択するのか、私にはまったく理解できません。

ちなみにロイターだけでなく、他のほとんどの報道局が同様のタイトルを選択しています。


高橋洋一のデタラメなGDP解説

このことに関して、以下の動画内で、高橋洋一氏も同様の見解を述べているのですが、



私ははっきり言ってこの人が大っ嫌いです。
例えば動画内に於いて高橋洋一氏は、私と同じように「1-3月期実質GDPは年率+2.2%」という数字が名目値ではなく実質値であることを指摘し、「本当は名目値の方が生活実感に近く大切だ」と言っています。

彼のセリフを文章化してみます。
※読む価値ないんで、枠内はとりあえず読み飛ばしてください。後程ポイントとなる部分を解説します。
今のお話があったのは、実は実質っていうやつですね。

で、あの、実は経済っていうのは名目っていうのもあって、より実感に近いのは名目だと思いますよ。
で、名目の数字を見ますと、実は前期比の、年率換算っていうのを見ると、マイナス0.1%。ですね。えっと、前期比でやるとマイナス0%っていうことなんですけど、この値を4倍しまして0.1%っていうことになってますね。

で、こういう数字見るときにまあ、GDP速報ってたくさん数字があるんですけどね。私がいつも着目しているのは、実はGDPデフレータなんです。このGDPデフレーターっていうのは、消費者物価と卸売り物価を合わせたまあ、全部の物価みたいなイメージでいいです。

でそれが、1994年以降はず~っとマイナスだったんですよ。で、安倍政権になって1年くらいしてようやくプラスになりはじめて、プラスの2~3ぐらいまでうまく行ったときもあったんですね。それなんですけど今回この数字がまたマイナスになってしまったっていうのが私がすごく懸念しているところではあります。

このGDPデフレーターで今期の1-3月期を前の年と比べるとどうかっていうと、マイナス0.6%。っていう数字ですね。これよくないですね。ちょっとこの数字だけ見ますとデフレに戻っちゃったのかなと。そんなイメージっていうか、そういう事すらありますね。

安倍政権になってからこのデフレーターはずっとプラスになってたからよかったんじゃないかと思ってたんですけど、逆にこの、前の失われた20年か25年くらいに近い数字がちょっと出てきちゃった。

アナ
「実質でこの0.5%増っていうのは、ある意味で、物価が下がった分だけ上がった様に見えてるだけ」

そうそう。だから名目の方は実際は殆ど変わっていないってことは、実際実感はよくないと思いますね。

で、そのデフレーターの数字をまたあげますとね、2014年度はね、このデフレーターが2.5%だったわけなんですよ。
これは良い数字ですよ。

次がね、2015年度。これが、1.5%になっちゃった。

今度、2016年度、またマイナスになって、これすごく嫌な数字でマイナス0.2なんですよ。
で今もうちょっと、それより大きい数字でしょ?更にマイナスな数字でしょ?

これはね、悪い状況だと思うんですね。

アナ
「ここ3年見るとだから1%ずつデフレーターが下がってきちゃった」

これはね、そこの上のどんな変数がそこに関係しているかって見ると、その上の方に公的需要ってね、公的需要っていうと政府の消費と投資合わせた数字なんですけどね。その公的需要の数字を見ると2014年度、これが2.1。

それが2015年度、1.0。それで2016年度、マイナス0.6。なんか似てるじゃないですか、これ。

アナ
「これほど・・・」

動き同じでしょ。だからこういうの分析すると、これが悪いんじゃないのと、実は思えちゃう。同じような動きでしょ?
他の見ると同じような動きってないんですよ。だからこれがしぶちんになってて、緊縮財政なんですよ。

2014年度それすぐに税金巻き上げちゃったっていうのがあってその後。消費増税して、そして消費を崩して、その後段々消費は持ち返していくんですけど、その後の財政支出、2015年、16年度、この2年度で財政支出をしない。だから全然持ち上がらない。そんな感じ。

アナ
「決算見ると、確か2013年度がポンと上がったんですけどその後ってちょっとずつ減ってるんですよね。でそれが社会保障はどんどん増えてるから、実際使ってる真水がどんどん減っているような」

ですからね、財政の方がちょっと悪さしてて、オペレーションがちょっと間違ってるんじゃないかなっていう風にこの数字からは見えるんですね。ですから財政の方もうちょっと出してもいいと思うんですよね。

で今国債で私教育国債の話なんかしてますけどね。財政再建ができてなくて今でも財政危機だっていう人いるんですよ。それ、嘘ですよ。要するにマーケットに国債がない状態なんですよ。マーケットに1000兆あるんですけど、日銀が400兆円以上持ってるとか、ほんでほかの所にも手放せないなんて言ってもう、国債不足なんですよね。

こういう時に国債を出して、国債を出しつつ政府支出を出すっていうのがまあ常道なんですよね。王道なんでまあそれをやるべきってのがこの数字から見えてくるんじゃないかなって私は思ってるんですね。

アナ
「むしろ今千載一遇の好機っていうか」

ですよ。低金利っていうか、ゼロ金利でしょ?
こんな時に投資しない人いませんっていう話ですよ。こういう時にはどんどん投資しましょうと、

アナ
「これ、民間はこの金利に敏感だなっていうのが、民間住宅ってものすごく伸びてますよね。」

住宅金利があの、金利が安いから住宅ローンが安いからってからほとんどゼロとか0.何%ととか1%切ってるの多いじゃないですか。それはそれで出るんですよ。

でもね、民間はちょっと出にくいんですよ。住宅投資以外の設備投資だと先が不安なんですね。
今ちょっといいけど、この2~3年度どうなんですかっていうと不安なんですね。そういう時には先に出るのは実は政府です。

政府はそういうこと気にすることなくて、先に行って民間を呼び水の様にしたくなる。だから民間の呼び水になる、政府が出ていくって言うのがセオリーなんですけどね。それをちょっとしない、やらないっていうと、日本経済ちょっと、先行き不安ですね。

きりがないのでこのあたりで。

彼、「名目が大切だ」と言及した後で「私がいつも着目しているのは、実はGDPデフレータなんです」と発言しています。

私もGDPデフレータを見ることはは確かに大切だと思います。このことは、第218回の記事 でもご説明した通りです。

ですが彼、まずGDPデフレーターについて、以下の様に言及しています。

 「GDPデフレーターっていうのは、消費者物価と卸売り物価を合わせたまあ、全部の物価みたいなイメージでいいです」

いやいやいや・・・おたく、曲りなりににも経済学者を名乗ってるんでしょ? 全然違うんですけど。


高橋洋一のでたらめな実質GDP解説

「GDPデフレーター」っていうのは、そもそも「名目GDP」を「実質GDP」で割ったもの。
物価が下落すれば分母である実質GDPが上昇しますのでGDPデフレーターも下落しますし、逆に上昇すれば分母である実質GDPは下落しますので、GDPデフレーターは上昇します。

ではその「実質GDP」とは何ぞやと申しますと、「名目GDP」を「消費者物価指数(持家に帰属する家賃を除く)」で割ったものです。GDPに於いて下落するとされる物価はこの「持家に帰属する家賃を除く消費者物価指数」のことです。

実質GDPの分母に来るものが消費者物価指数ですから、物価である消費者物価指数が下落すれば実質GDPの値は大きくなり、消費者物価指数が上昇すれば実質GDPは小さくなります。

ですので、肝心なのはこの「消費者物価指数」が一体どのような理由で下落し、どのような理由で上昇したのか、という事。

例えばエネルギー以外の物価は上昇しているのに、エネルギーが大幅に下落したため消費者物価全体を引き下げてしまったとか、10-12期は生鮮食料品が高騰したけれども1-3月期は正常に戻っただとか、こういう特殊な事情がGDP統計では捕捉し切れていないんですね。

これは、私がカテゴリー 物価の見方 に於いてしつこいほど消費者物価指数の詳細を追いかけている理由の一つでもあります。

高橋洋一は、こういった消費者物価指数の側の事情をまったく把握せず、完全に憶測でGDP統計について口走っていますから、内容はとても経済学者の発言とは思えないほどに稚拙なものとなっています。


輸出入デフレーターを完全に無視する高橋洋一

輸出入に於ける実質値について影響を与えるのは国内の物価ではありませんし、為替変動も大きく影響してきますから、輸出入に関しては国内のGDPとは異なる算出方法が用いられます。

GDPを考える場合、輸出入に関しては、輸出はGDPに加算され、輸入はGDPからマイナスされます。

ですから、いくら輸出が増えたところで、輸入される品目の総額が輸出を上回れば、輸出入はGDPに対してマイナスの影響を与えます。日本国内の消費活動が活発で、いくら内需が活発であったとしても、輸入額が比較期間と比べて上昇すれば、GDPにはマイナスの影響を与えるのです。

例えば今回発表された2016年度1-3月期の輸出入を名目と実質で掲載してみます。

【2016年度1-3月期輸出入GDP】
名目輸出額
前期比 5%
前年同月比 7.5%

名目輸入額
前期比 7.9%
前年同月比 8..4%

実質輸出額
前期比 6.1%
前年同月比 2.1%

実質輸入額
前期比 1.3%
前年同月比 1.4%

解りますか?
1-3月期のデータとして、名目では前期比、前年同月比とも輸出よりも輸入の方が前年同月比が高くなっています。
つまり、輸出入の項目は名目GDPに対してはマイナスの影響を与えています。

所が、実質値ではその値が大きく逆転していますね?

前期比、前年同月比とも輸出が輸入を上回っているのです。つまり、輸出入の項目は実質GDPに関してはプラスの影響を与えているのです。年度全体に関しては事情が異なっていますが、1-3月期に於けるGDPデフレーターに関する高橋洋一氏の解説がいかに的外れなものかということはご理解いただけると思います。


高橋洋一のでたらめなGDPデフレータ解説

消費者物価指数や輸出入デフレーターの側面から考えても高橋洋一氏の言っていることがいかにめちゃくちゃな内容なのかということはご理解いただけると思うのですが、もう一つ。

彼は2016年度のGDPデフレーターに関して以下のような発言をしています。
GDPデフレーターで今期の1-3月期を前の年と比べるとどうかっていうと、マイナス0.6%。っていう数字ですね。これよくないですね。ちょっとこの数字だけ見ますとデフレに戻っちゃったのかなと。そんなイメージっていうか、そういう事すらありますね。

安倍政権になってからこのデフレーターはずっとプラスになってたからよかったんじゃないかと思ってたんですけど、逆にこの、前の失われた20年か25年くらいに近い数字がちょっと出てきちゃった。

ですが、ちょっと待ってください。

改めて2016年度1-3期のGDPを見てみましょう。
【2016年度1-3期GDP】

名目GDP
前年同月比 0.8% 
前期比 -0.0%

実質GDP
前年同月比 1.6%
前期比 0.5%

GDPデフレーター
前年同月比 -0.8%
前期比 -0.6%

年率換算に関してはフィクションの数字ですからここには掲載しません。冒頭でご説明しましたね?

さて、こちらのデータに関して、高橋洋一はアナのコメントに続いて以下のような解説をしています。
アナ
「実質でこの0.5%増っていうのは、ある意味で、物価が下がった分だけ上がった様に見えてるだけ」

そうそう。だから名目の方は実際は殆ど変わっていないってことは、実際実感はよくないと思いますね。


ここで、再度
を振り返って見ます。

「名目GDP」と「実質GDP」、そして「GDPデフレーター」の関係は、

名目GDP=購入総額
実質GDP=購入数量
GDPデフレーター=購入単価

を意味しています。日本国内にあるすべてのサービス・品目を同じ一つの単位で表すために「GDPデフレーター」というものが用いられ、その販売総数として「実質GDP」という値が用いられているのです。実質GDPに関しても、全てを同じ数量単位で表すことは出来ませんから、その数量という単位を「円」で表しているわけです。

このことを踏まえて2016年1-3月期の数字を振り返って見ますと、

「前期比」では
名目GDP(購入総額:-0.0%)=実質GDP(購入数量:0.5%)×GDPデフレーター(購入単価:-0.6%)

「前年同月比」では
名目GDP(購入総額:0.8%)=実質GDP(購入数量:1.6%)×GDPデフレーター(購入単価:-0.8%)

という計算式で考えることができます。
前期比の場合、確かに数値はマイナスがついていますから、決して好ましいものでありません。ですが、高橋洋一自身が言っている様に、あくまでもこの数字は「殆ど変わっていない」のです。

ですが、単価が下落したおかげで購入数量は増えきちんと前期とほぼ同等の金額が消費されているのです。
もし本当にこの数字を「実際実感はよくない」と消費者が感じたのであれば購入数量は減少するのではないでしょうか?

飽くまで私は様々な人為的な手が加えられた「実質値」など眉唾ものだと考えていますが、高橋洋一の土俵に上がって考えるとすればの話です。

その上で実質純輸入額が増えており、日本国内の実質値(消費数量)から差し引かれていますから、この輸入額分を差し引いて考えると日本国内で起きた消費数量は実際にはもっと多いはずです。当然これにデフレーター(消費単価)をかけた金額はプラスになります。

増して「前年同月比」で考えれば購入単価こそ下落していますが、「購入数量」も「購入総額」も共に増えています。前期比同様実質純輸入(消費数量)を差し引かれた上で、です。これを以て「実際実感はよくない」などという評論が果たして的を射ているのでしょうか?


日本の目指すヴィジョンのデタラメ解説

ここは、まず高橋洋一のデタラメヴィジョンを引用してみます。
財政の方がちょっと悪さしてて、オペレーションがちょっと間違ってるんじゃないかなっていう風にこの数字からは見えるんですね。ですから財政の方もうちょっと出してもいいと思うんですよね。

で今国債で私教育国債の話なんかしてますけどね。財政再建ができてなくて今でも財政危機だっていう人いるんですよ。それ、嘘ですよ。要するにマーケットに国債がない状態なんですよ。マーケットに1000兆あるんですけど、日銀が400兆円以上持ってるとか、ほんでほかの所にも手放せないなんて言ってもう、国債不足なんですよね。

こういう時に国債を出して、国債を出しつつ政府支出を出すっていうのがまあ常道なんですよね。王道なんでまあそれをやるべきってのがこの数字から見えてくるんじゃないかなって私は思ってるんですね。

常道に王道ねぇ。。。

この人、完全に「目的」と「手段」が入れ替わってますよね。
日本国が目指すべき将来、ヴィジョンとは、民間が政府に促されずとも、自ら受容を生み出して自立できる経済体制を築くことです。

これは高橋洋一自身も書いていますが、もし民間がこれができていないのであれば民間ではなく政府が「民間の呼び水になる、政府が出ていくって言うのがセオリー」となるわけです。

ですが・・・笑っちゃいたくなりますね。

では、2016年度の「民間消費支出前年度比」はどうなっているでしょう。

【2016年度民間最終消費支出】
民間最終消費支出前年度比
名目 0.3%
実質 0.6%
デフレーター -0.3%

家計最終消費支出
名目 0.3%
実質 0.6%
デフレーター -0.3%

家計最終消費支出(持家の帰属家賃を除く)
名目 0.3%
実質 0.4%
デフレーター -0.2%

この年度単位のGDPについて、高橋洋一は以下の様にも言っています。

そのデフレーターの数字をまたあげますとね、2014年度はね、このデフレーターが2.5%だったわけなんですよ。
これは良い数字ですよ。

次がね、2015年度。これが、1.5%になっちゃった。

今度、2016年度、またマイナスになって、これすごく嫌な数字でマイナス0.2なんですよ。
で今もうちょっと、それより大きい数字でしょ?更にマイナスな数字でしょ?

これはね、悪い状況だと思うんですね。

悪い状況ねぇ・・・。

例えば高橋洋一のいう2016年度の数字を私が解説すると、

 デフレーターが0.2%下落したおかげで名目GDPが1.2%上昇し、実質GDPは1.3%も成長したんですよ。
 特にこの成長を牽引しているのは民間の消費で、二年連続で名実ともにプラス成長を果たしたんです。

とこんな感じでしょうか。
特に民間住宅はその傾向が顕著で、名目で6.2%、実質で6.5%の前年度費を記録しています。これを高橋洋一はこんな風に表現しています。

住宅金利があの、金利が安いから住宅ローンが安いからってからほとんどゼロとか0.何%ととか1%切ってるの多いじゃないですか。それはそれで出るんですよ。

でもね、民間はちょっと出にくいんですよ。住宅投資以外の設備投資だと先が不安なんですね。
今ちょっといいけど、この2~3年度どうなんですかっていうと不安なんですね。

どうしてもアベノミクスの成果が出ていないことにしたいんでしょうかね?
言ってることがめちゃくちゃです。

例え金利が低いことが原因であったとしても、「住宅」って民間人が行う買い物の中では、人生の中で最も大きな消費物です。
金利が低くなっただけの理由でおいそれと購入するわけにはいかないんですよ。

で、「民間住宅」の消費が伸びているのに、なぜか高橋洋一は「民間はちょっと出にくいんですよ」と。は? 出てるのは民間住宅なんですが。で、返す刀で「住宅投資以外の設備投資だと先が不安なんですね」とか。

いやいやいや。「民間住宅」ってそもそも企業じゃなく「家計」からの支出の事なんですけど。
「民間企業」の支出は別に「民間企業設備」っていう項目があって、その数値も前年度比で2.3%を記録しているんですけど。

高橋洋一はどうしても「消費増税」が失敗であったことにしたくて仕方ないんですよ。

消費増税が失敗で、消費増税が行われて早まる3年経過しているにも関わらず、未だに消費増税の影響から抜け出せていなくて、国民の消費は低迷していて、民間の代わりに政府が消費を増やし、国債を発行しなければならない状況でなければ都合が悪いんでしょうね、何か。

民間の経済が活性化しつつあるのなら、政府が歳出を減らしても別に問題はないんですけど。
政府が歳出を減らしているにも関わらず、民間が発展できているのなら、それはまさにアベノミクスが成功していることをはっきり示しているんじゃないでしょうかね?

なんであんな奴が重宝されるのか、私にはまったく理解できません。


さて。次回は同じ情報を、今度は高橋洋一フィルターを外して、もう少しわかりやすくまとめてみたいと思います。


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一昨日(2017年3月8日)、2016年度(平成28年度)第3四半期速報が発表されましたので、今回はこの情報についての記事を掲載します。

一次速報の記事 でもご案内しましたように、2016年度第三四半期のGDP情報最大の特色は、「家計最終消費支出」がついに前年同月比でプラス成長を果たしたという事。

では、まずはこの「家計最終消費支出」について1次速報と2次速報を比較する形で情報を掲載いたします。

【名目家計最終消費支出】
1次速報原系列
 今年度 75,079
 昨年度 74,591
 成長率 0.65%

2次速報原系列
 今年度 75.124兆円
 昨年度 74.591兆円
 成長率 0.71%

持ち家の帰属家賃を除く1次速報原系列
 今年度 62.602兆円
 昨年度 62.113兆円
 成長率 0.78%

持ち家の帰属家賃を除く2次速報原系列
 今年度 62.647兆円
 昨年度 62.113兆円
 成長率 0.85%

【実質家計最終消費支出】
原系列
 今年度 73.823兆円
 昨年度 73.189兆円
 成長率 0.87%

2次速報原系列
 今年度 73.871兆円
 昨年度 73.189兆円
 成長率 0.92%

持ち家の帰属家賃を除く1次速報原系列
 今年度 60.597兆円
 昨年度 60.118兆円
 成長率 0.79%

持ち家の帰属家賃を除く2次速報原系列
 今年度 60.644兆円
 昨年度 60.118兆円
 成長率 0.87%

今回発表された二次速報と一次速報の比較です。
一次速報の時は、マスコミ報道との比較を行う為に敢えて季節調整系列や年率換算をデータとして掲載しましたが、本来あえて示す必要のあるデータではないので、今回の記事では割愛します。

その代り、季節調整系列や年率換算に比べるとよっぽど重要なデータであると考えられる、「持家に帰属する家賃を除く家計最終消費支出」を掲載しています。

なぜ季節調整系列や年率換算が重要ではないのかということは、私のGDPに関連した過去の記事 を、なぜ持家に帰属する家賃を除く消費支出の方が大切なのか、という情報については私の消費者物価指数に関連した過去の記事 をご覧ください。

さて。肝心のそれぞれの数字ですが、軒並み上方修正されていますね。
物価上昇率として考えますと、原系列は

0.71%-0.92%=-0.21%
で、0.21%の物価下落、持家に帰属する家賃を除く原系列では

0.85%-0.87%=-0.02%
で0.02%の物価下落となっています。

ただ、「持家に帰属する家賃」そのものが、実際には消費が行われていない架空の数字であり、これがマイナス成長していることから、より実態に近い成長率は当然「持家に帰属する家賃」を除く物価上昇率で、名実共に0.8%代後半の成長率を示す中での物価下落。

なぜ物価が下落しているのかという理由に就いては、皆さんもうご存知の通りですね。
「原油価格の下落に伴う物価下落」が原因であり、これは「輸入額の推移」を見ても明らかです。

第二四半期の二桁を超えるマイナス幅に比較すれば大分落ち着きましたが、それでも8.8%輸入額は前年度より下落しています。

ただ、おそらく12月の時点では輸入額はプラスに転じており、最終消費支出を下落させるためのファクターではなく、上昇させるためのファクターとして働いているはずです。

つまり、来期、第四四半期からは「実質消費支出」を下落させるためのファクターとして作用するはず。
私の過去の記事をご覧いただいている方はもう解ってはいらっしゃるでしょうが、私はこの「実質値」なるものをまともには信用していません。

ですが、それでも「原価」が増大し、「利益」を抑えるようなことが起きていないかどうかを見るためには、この「実質値」は大切な値になります。

名目値が増大する中で、同時に実質値も増大させることができるかどうか。これは第四四半期の家計最終消費支出(持家に帰属する家賃を除く)をみる上で、非常に大切な視点になります。


名目GDPと実質GDP

内閣府

さて。それでは改めて「名目GDP」と「実質GDP」。
一次速報と二次速報を比較してみましょう。

【名目GDP】
1次速報原系列
 今年度 140.425兆円
 昨年度 138.256兆円
 成長率 1.57%


2次速報原系列
 今年度 140.424兆円
 昨年度 138.241兆円
 成長率 1.58%

【実質GDP】
1次速報原系列
 今年度 134.394兆円
 昨年度 132.211兆円
 成長率 1.65%

2次速報原系列
 今年度 134,364
 昨年度 132,195
 成長率 1.64%

ふむ・・・。
名目原系列を見ますと、一次速報と二次速報の間で、二次速報の方が減少しているのですが、なぜか前年同月比は二次速報の方が大きくなる、という珍現象が起きてますね。

よく見てみますと、2016年全体でもそうなのですが、なぜか2015年の原系列までもが下方修正されています。
詳細に見てみますと、修正が行われているのはピンポイントで企業設備投資。

数値としては2016年度第三四半期の企業設備投資のみが上方修正され、2014年度第四四半期~2016年度第二四半期までトータルで下方修正されていますね。

で、その結果2016年度第三四半期の企業設備投資は一次速報の前年度比0.9%から二次速報では2.6%増と大幅な修正が行わています。

けれども、なぜか名目GDP原系列全体では一次速報より二次速報の方が減退。
詳細を見てみますと、民間・家計・持家に帰属する家賃を除く家計、民間住宅、そして先ほどお伝えした企業設備投資まで含めて、軒並み実数として増加しています。

代わりに下落しているのは「民間在庫」「政府消費支出」「公的資本形成」の3つ。
一次速報と二次速報との間での比較ですので、実際に何か物量の変化が起きているわけではありませんが、思ったより企業在庫が減っていて、政府消費支出と政府の設備投資費が減少していたという事。

つまり、「政府の力に頼らずとも、民間の力だけで経済成長を果たす」という理想の形に近づいている、ということですね。
ただ、なぜ2015年にまでさかのぼって企業の設備投資費が減少しているのかは・・・謎です。内閣府に直接聞いてみますかね。

それにしても、改めて2015年を暦年で見てみますと、経済成長という意味では非常に理想的な成長率を果たしていたんですね。
1-3は消費増税が行われた増税年度ですから、横においておくとしても、4-6が3.3%増、7-9が3.9%増、10-12が2.6%増

2016年になって1%を上回る程度の増加幅に落ち着きますが、よもや年間を通じて3%付近の成長率を果たしていたとは・・・。
実質で見ると消費増税の影響を受けていたはずの1-3が1.3%の実質成長率。4-6が0%、7-9が0.2%、10-12が-0.2%となっています。

そして2016年第三四半期は実質が名目を上回る「物価下落」の状況がみられる中で、名目そのものは1.5%を上回る成長率を果たしています。

「原油価格の下落やエネルギー価格の下落」に伴う物価下落は、決して日本国経済に対して悪い影響は与えておらず、むしろ好材料として作用していることを示す何よりもの証拠ですね。

ただ。原油価格がついに前年度をオーバーする数字となった以上、これからは「名目」がプラス成長を果たす中で、いかに実質値も合わせてプラス成長を果たしていくことができるのか。これが最大のポイントになります。

これを果たすことが、安倍内閣黒田日銀の目指す「2%物価成長率」を達成する上での必要最低条件です。
これからはもう「原油価格が前年度比で下落しているんだから」という理由は成り立たなくなります。

さて。「アベノミクス」の効果やいかに!


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<継承する記事>
第271回 2016年度(平成28年)GDP第三四半期第一次速報が公表されました

前回の記事では、2017年2月13日に発表された「2016年度(平成28年)GDP第三四半期第一次速報」について、普通であれば全体から俯瞰して記事にするのですが、特徴的であった「個人消費(家計最終消費支出)」に着目して記事を作成してみました。

新聞各社、報道局の非常にねじ曲がった報道姿勢には本当に辟易しますね。

今回は、いつものように「GDP」を全体から見るスタンスで記事にしたいと思います。


2016年度(平成28年)GDP第三四半期第一次速報

繰り返しにはなりますが、「GDP」をはじめとする統計指標を見る際には、「実質」ではなく「名目」で見る癖をつけることがとても大切です。

「GDP」というのは、日本の経済統計指標の内で最大の「マクロデータ」となるわけですが、マクロデータを計測する際には、どうしても細部をを反映しきることができません(というよりまず不可能)ので、そこには「合成の誤謬」と言われる計測ミスが必然的に発生します。

第36回の記事 でも触れているのですが、改めて説明しますと、「合成の誤謬」というのは、

 「ミクロの世界で成り立つ現象が、マクロでは矛盾する現象」

の事を言います。
単位が違う、計測方法が違う、価値そのものが異なる様々な物やサービスを同じ一つの統計方法で集計しようとしているわけですから、当然です。出ない方がおかしい。

そして、同じGDPにも、「名目」と「実質」という二つの指標が存在します。

よく、「実質GDP」の事を、「物価変動による影響を取り除いたGDPの事」という説明をする人がいます(国語辞典ベースでもそういう説明です)が、実際にGDPから「物価変動による影響」を正確に取り除くことなどまず不可能です。

「実質GDP」とは、あくまでも「名目GDP」を「消費者物価指数総合(持家に帰属する家賃を除く)」という統計指標で割ったもの。
それ以上でも以下でもありません。

「名目GDP」も「消費者物価指数」も共に「マクロ指標」ですから、当然双方に「合成の誤謬」が発生しています。
「実質GDP」とは、つまり「合成の誤謬」というイレギュラーが含まれることが、予め解っている統計指標で割り算をしたデータだということになります。

つまり、「実質GDP」というのは、それほどに当てにすることができないデータだということなのです。
また更に、前回の記事でもお伝えした「季節調整系列」というデータは、そんないい加減な数字をもとに、「季節特有の影響」という、これまたフィーリング、感覚で決まるような情報を数値化し、そこからはじき出されたもの。

そして更に「年率換算」とは、そんないい加減な「季節調整系列」の「四半期別前期比」が1年間、合計4回継続したとしたら一体どんな数字になるのかという、既にフィクション。ファンタジーの世界に於ける数字です。

「名目GDP」自体に一種のフィクションのようなデータが含まれているわけですから、そこから算出される数字が非常に信頼性に乏しいデータとなることはまさしく「自明の理」。元々信頼性に欠けるデータであったとしても、それでも「名目」、特に「原系列」で見る癖が大切になるのは、そういう理由からです。

この考え方を念頭に於いて次にご紹介する「GDP」速報をご覧ください。

内閣府

【2016年度(平成28年)GDP第三四半期第一次速報(単位:兆円)】
名目GDP(前年同月比)
2015年
 10-12 138.2(2.6%)
2016年
 1-3   133.2(1.2%)
 4-6   132.5(1.3%)
 7-9   131.1(1.0%)
 10-12 140.4(1.6%)

実質GDP(前年同月比)
2015年
 10-12 132.2(1.1%)
2016年
 1-3   1308(0.1%)
 4-6   126.9(0.9%)
 7-9   129.6(1.1%)
 10-12 134.3(1.7%)

いかがでしょうか。
勿論お示ししている数字は全て「原系列」です。

さて、思い出して見てください。
安倍内閣がスタートしたのは2013年(正確には2012年12月)です。

安倍内閣によって組まれた予算(2012年度補正予算を除く)が執行されたのは2013年4月。
そして、2014年4月には「消費増税」が行われました。

「名目GDP」には、消費増税の影響も反映されますから、消費増税が行われれば当然名目GDPの数字も上昇します。
2013年は安倍内閣がスタートした月ですし、当然前年の民主党内閣と比較すれば、大幅に「名目GDP」の値も上昇しています。

2013年度(安倍内閣初年度)名目GDP前年同月比
第1四半期 1.5%
第2四半期 2.7%
第3四半期 2.6%
第4四半期 3.4%

2014年度(増税年度)名目GDP前年同月比
第1四半期 2.0%
第2四半期 0.9%
第3四半期 2.0%
第4四半期 3.3%

さて。安倍内閣初年度には「駆け込み需要」も発生していますし、当然大幅にGDPの影響が増大しています。
ただでさえ2013年度のGDPは急成長しているのに、2014年は「消費増税」の影響で更に「GDP」の値が上乗せされています。

安倍内閣初年度に急成長した上後、消費増税の影響で大打撃を受けているはずなので、当然2015年度の「名目GDP前年同月比」は反動で大幅に下落している・・・はずですよね?

2015年度(増税翌年度)名目GDP前年同月比
第1四半期 3.3%
第2四半期 2.9%
第3四半期 2.6%
第4四半期 1.2%

さて、いかがでしょう。消費増税の影響?何それ状態です。
第3四半期、第4四半期は「2016年度(平成28年)GDP第三四半期第一次速報(単位:兆円)」の所でも掲載しています。

第4四半期で成長率にブレーキがかかっている様に見えますが、

【輸出額前年同月比の推移】

2015年度
第1四半期 5.7%
第2四半期 5.0%
第3四半期 -4.6%
第4四半期 -7.9%

2016年度
第1四半期 -9.4%
第2四半期 -10.7%
第3四半期 -1.5%

いかがでしょう。実は、「名目GDPの伸び率」を鈍化させていた最大の原因は、「輸出額の減少」。
これは日本国内の影響ではなく、海外の景気の影響によるものですから、その責任を日本経済に向けられても困りますね。

金額でいうと、

2015年度(前年比)
第3四半期 -1.1兆円
第4四半期 -1.9兆円

2016年度
第1四半期 -2.1兆円
第2四半期 -2.5兆円
第3四半期 -0.3兆円

となります。GDP全体で考えれば、2兆円は約0.4%、2.5%は0.5%に相当する金額です。
勿論それでも「GDPの伸び率が『鈍化した』」と言えなくはない数字ですが、「海外の景気の低迷によって輸出産業がダメージを受ける中」ででも1%を超える経済成長率を日本国内需は続けてきた、ということをこの数字は示しています。

この様な中で、「個人消費(家計最終消費支出)が伸びない」ことが指摘され続けていたわけですが、実は「輸出額」以上に「輸入額」は更に大きな減少幅を記録しており、
【輸出額前年同月比の推移】
2015年度
第1四半期 -3.8%
第2四半期 -6.0%
第3四半期 -12.1%
第4四半期 -14.8%

2016年度
第1四半期 -16.5%
第2四半期 -18.2%
第3四半期 -8.8%

金額でいえば、元も減少幅の大きかった2016年度第2四半期で4.3兆円のマイナスを記録しています。

実は、この数字を「個人消費」が吸収していましたので、見かけ上の「個人消費」はあたかも減少し続けているかのように見えていました。

ですが、実際には「原価」が減少していただけであり、企業の利益や私たち従業員の「給与所得」は増え続けていたのだと、こう考えることができます。

詳細は私の記事カテゴリーである「物価の見方」 や「実質賃金と名目賃金」をご参照ください。


それでは改めて・・・
改めて、「2016年度(平成28年)GDP第三四半期第一次速報(単位:兆円)」を再掲します。

【2016年度(平成28年)GDP第三四半期第一次速報(単位:兆円)】
名目GDP(前年同月比)
2015年
 10-12 138.2(2.6%)
2016年
 1-3   133.2(1.2%)
 4-6   132.5(1.3%)
 7-9   131.1(1.0%)
 10-12 140.4(1.6%)

実質GDP(前年同月比)
2015年
 10-12 132.2(1.1%)
2016年
 1-3   130.8(0.1%)
 4-6   126.9(0.9%)
 7-9   129.6(1.1%)
 10-12 134.3(1.7%)

特に昨年度第3四半期以降で見る限り、上昇しているのは「名目」だけでなく、「実質」の値も上昇していることが解ります。

計算式で表すと、「名目成長率=実質成長率+物価上昇率」で表すことができますから、

2015年度
第3四半期成長率
 名目 2.6%
 実質 1.1%
 物価 1.5%

第4四半期成長率
 名目 1.2%
 実質 0.1%
 物価 1.1%

2016年度
第1四半期成長率
 名目 1.3%
 実質 0.9%
 物価 0.4%

第2四半期成長率
 名目 1.0%
 実質 1.1%
 物価 -0.1%

第3四半期成長率
 名目 1.6%
 実質 1.7%
 物価 -0.1%

これが「名目成長率と実質成長率の推移」です。

「GDP」というのは私たちの生活の「豊かさ」を表すための指標です。
2016年度第2、第3四半期は物価が0.1%ずつ下落していますが、私たちの生活の豊かさを示す指標である「GDP」は「名実共」にプラス成長しています。

しかも1.5%を超える上昇率を記録しています。
更に「消費増税」を経て記録した「2015年度第3四半期」の成長率は名目2.6、実質1.1、物価1.5%と非常に理想的な上昇率を記録しており、例えば「前年度は減少しているんだから今年度上昇するのは当たり前だろ」的な屁理屈は全く通用しない状況です。

最早「個人消費が減少しているんだからアベノミクスは失敗したんだ!」という悲観論者たちの屁理屈は全く通用しません。
これが「アベノミクス」の成果です。


次回記事では、改めて「なぜ日本は第二次世界大戦(大東亜戦争)を起こしたのか のシリーズへと記事を戻してみたいと思います。


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今回は真珠湾攻撃の話題は少しお休みして、今朝公表されたばかりの「2016年度(平成28年)GDP第三四半期第一次速報」について記事にしたいと思います。

先ずは、公表されたGDPについてのニュースから。結構歪んでます。

【日本経済新聞 2017年2月13日】
10~12月の実質GDP、年率1.0%増 外需に伸び

内閣府

2017/2/13 8:50

 内閣府が13日発表した2016年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.2%増、年率換算では1.0%増だった。プラスは4四半期連続。輸出主導で外需が伸びた。個人消費は振るわなかったが補った。

 QUICKが集計した民間予測の中央値は前期比0.3%増で、年率では1.0%増だった。

 生活実感に近い名目GDP成長率は前期比0.3%増、年率では1.2%増だった。名目も4四半期連続でプラスになった。

 実質GDPの内訳は、内需が0.0%分の押し下げ効果、外需の寄与度は0.2%分のプラスだった。項目別にみると、個人消費が0.0%減と、4四半期ぶりにマイナスだった。生鮮野菜の高騰が家計支出を抑制した。

 輸出は2.6%増、輸入は1.3%増だった。アジア向けや北米向けに需要が回復し輸出が拡大した。国内需要が伸び、輸入量が増加した。 設備投資は0.9%増と、2四半期ぶりにプラスだった。輸出増などを受けて生産活動が回復し、設備投資需要が高まった。住宅投資は0.2%増。公共投資は1.8%減。民間在庫の寄与度は0.1%のマイナスだった。

 総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期と比べてマイナス0.1%だった。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは0.3%のマイナスだった。

 同時に発表した16年暦年のGDPは実質で前年比1.0%増、生活実感に近い名目で1.3%増となった。

代表して日本経済新聞記事から引用していますが、今回の報道はどこもこんな感じ。今回のGDP速報にて最も特徴的な部分を、どの報道機関もまったく報道していないのです。

しかも・・・記事内容、ほぼ「嘘」ですからね。
「嘘」というと語弊があるんですが、報道機関で共通して掲載しているのは

 「輸出主導で外需が伸びた。個人消費は振るわなかったが補った」

という内容です。これ、まったくの嘘。出鱈目です。
寧ろ今回の速報の特徴は「個人消費が」伸びた」事。

しかも「横ばい」だとか「微増」だとか、そんなレベルじゃなく、「名実共」に、はっきりと。

「GDP(支出側)」っていうのは、基本的に以下のような項目で構成されています。

国内総生産(支出側)

 民間最終消費支出
  家計最終消費支出
  除く持ち家の帰属家賃

 民間住宅

 民間企業設備

 民間在庫変動

 政府最終消費支出

 公的固定資本形成

 公的在庫変動

 財貨・サービス

 純輸出
  輸出
  輸入

この内、「個人消費」と呼ばれるのは、

  家計最終消費支出
  除く持ち家の帰属家賃

の2つ。
「持家の帰属家賃」っていうのは、本来GDPにすら加えるべきではない指標だと思うのですが、なぜか継続して掲載され続けています。

合わせて言えば、「民間住宅」も「個人消費」として考えることができます。

過去のGDPに関する記事で何度もお伝えしていることですが、改めて復習がてら、「GDP」について解説してみたいと思います。

「GDP」には「名目」と「実質」の2種類があります。

このうち、「名目」とは、全体で「何円」消費されたのかという「金額」を考えるための統計データ。
一方「実質」とは、全体で「何個」消費されたのかという「数量」を考える為の統計データのことです。

ただ、この世の中にある全てのサービスを「個数」で表現することなどとてもできません。不可能です。
「何リットル」という単位、「何グラム」という単位、「何人」という単位等々数多の「単位」が存在しますし、同じ単位でもサービスによってその価値は大幅に変化します。

「実質GDP」というのは、その本来であれば集計することが不可能なはずの「単位」を強引に統合し、唯一示すことの出来る共通の単位、「円」で表現したものです。

ですがそもそも、例えばGDPを「みかん」で考えると、

 「100円のみかんを10個、合計で1000円購入した」場合。

合計値である「1000円」が名目GDP、購入数量である「10個」が実質GDP、更に単価である「100円」が「GDPデフレーター」と呼ばれるものです。

本当にただこれだけの話。こんな単純な指標なんですよ、ほんとは。
「組み合わせ」のパターンが余りにも複雑なんでとても分かりにくく感じるかもしれませんが、単純化する「GDP」とはそういう指標なんです。

四半期別GDPを見る際に問題なのは、政府が集計している指標の中に、「原系列GDP」と「季節調整系列GDP」、そして「年率換算」という3つの指標が含まれていること。名実共にそれぞれの指標がありますから、合計で6つの「GDP」が存在することになります。

今回の速報の中で、特に着目していただきたいのは、当然「個人消費」ですから、今回の記事はこの「個人消費」に着目して記事を作成したいと思います。


家計最終消費支出

2016年度(平成28年)第三四半期家計最終消費支出

名目家計最終消費支出

原系列
 今年度 75,079
 昨年度 74,591
 成長率 0.65%

季節調整系列
 今年度 293,430
 昨年度 291,549
 成長率 0.65%

 前期比 0.3%
 年率換算 1.1%(持家に帰属する家賃を除くと1.4%)

実質家計最終消費支出

原系列
 今年度 73,823
 昨年度 73,189
 成長率 0.87%


季節調整系列
 今年度 289,275
 昨年度 286,764
 成長率 0.88%

 前期比 -0.0%
 年率換算 -0.1%(持家に帰属する家賃を除くと-0.4%)

さて。いかがでしょうか。

どの程度この統計の意味が理解できているのか、という点で見え方は変わってくるとは思うのですが、

 「名目原系列」では昨年と比較して「0.65%」成長しており、
 「季節調整系列」でも同様に「0.65%」成長。
 前期、2016年度第2四半期と比較しても0.3%成長。
 これを「年率換算」すると1.1%成長、
 更にここから「持家に帰属する家賃」を除くと1.4%成長しています。

一方実質でも、

 「原系列」は0.87%成長、
 「季節調整系列」でも0.88%成長

しているのですが、これがなぜか「前期比」となると-0.0%成長、これを「年率換算」すると-0.1%成長、持家に帰属する家賃を除くと-0.4%成長と、軒並み「減少している」ことになってしまうのです。

おかしいですよね、これ?

ちなみに「前年同月比」を昨年12月より合計5四半期の推移を見てみますと、

名目
2015年度第3四半期(10-12) -0.3%
2015年度第4四半期(1-3) -0.5%
2016年度第1四半期(4-6) -0.2%
2016年度第2四半期(7-9) -0.4%
2016年度第3四半期(10-12) 0.7%

実質
2015年度第3四半期(10-12) -0.3%
2015年度第4四半期(1-3) -0.3%
2016年度第1四半期(4-6) 0.3%
2016年度第2四半期(7-9) 0.3%
2016年度第3四半期(10-12) 0.9%

わかりますか?
実質個人消費のマイナス成長は今年度に入って以来解消されていたのですが、名目は昨年度第3四半期より継続して下落しており、今年度第2四半期まで継続していたのですが今期に入ってようやく解消され、プラス成長を果たしたのです。

然も(四捨五入してですが)0.7%成長。
マスコミが大好きな「季節調整系列 前期比 年率換算」ではなんと1.1%。持家に帰属する家賃を除くと1.4%成長となるわけです。

また更に、今期の特徴では「個人消費」に於いても「名目上昇率」を「実質成長率」が上回っているということ。
計算式からすると0.2%物価が下落したことになるわけですが(当然GDPデフレーターもマイナスになります)、名目GDPは上昇し、実質GDPはこれを更に上回る成長率を記録したのです。

先ほどのみかんの例で例えると、

 「100円のみかんを10個、合計で1000円購入」

という状況で、みかんの値段が例えば90円に値下がりするのですが、おかげで販売数量は12個に増え、販売総額は1080円に増えた・・・と、そんなイメージです。

実質賃金と名目賃金のページ でもお伝えした、

 「物価が下落したおかげで、『消費金額』も『消費量』も共に上昇した」

という状況。この状況は「賃金」だけでなく、実際の「個人消費」のケースでも同様の経済現象が起きていたことが、GDPデータにより証明された形です。

ですが、今回ご紹介した日経をはじめ、大手新聞社が掲載した情報は

 輸出主導で外需が伸びた。個人消費は振るわなかったが補った。

消費は増えたんです。外需が伸びたかどうかなど関係ありません。
寧ろ「前年同月」で見れば輸出はマイナスです。

「経済面」を担当する「日本経済新聞」の記者なんですよ、この記事を書いた人物は。どなたかは知りませんが。
どんだけ経済音痴なんだと真剣に罵倒したい気分です。

何が「個人消費は振るわなかった」だ。
もっと真剣に経済統計を見ろよ、と言ってやりたいですね、はっきり言って。

もちろんここには「前年同月比では下落し続けていた原油価格がようやく前年の価格と釣り合った」ことや、「生鮮食品が高騰したこと」なども含まれているわけですが、「実質値を季節調整し、『前期』と比較し、年率換算した数値」はそんな事すら反映できていないわけです。

いい加減人為的な計算式で算出した「実質値」「季節調整系列」「年率換算」などのまったく当てにならない指標に依存した飛ばし記事を書くのはやめてほしいですね。

ちなみに「名目」の「民間住宅」、つまり人間が一生のうちで購入する最も高額な商品であると言われる「住宅」はの2016年度第3四半期の前年同月比は「7.1%」。

第1四半期4.2、第二四半期5.3ですから、どんどん上昇していることが分かります。
「2%物価上昇率」を目指すのは、あくまでも考え方の一つであって、例えこれに追いついていないとしても、「名目」も「実質」も共に大幅なプラス成長を果たしているのなら、最早掲げる必要性すらない目標値です。

難関を超え、大手新聞社の「記者」となった人物なのに、この程度の情報に気づけないなんて、私には信じられません。

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実は9日に作成し、公開直前まで出来上がっていたのですが、公開寸前でなんとブラウザがクラッシュ。
文章がすべて消えてしまいました。非常にショックでしたが、気を取り直して再度記事作成に取り掛かります。

今回の記事は、2016年度四半期別GDP 第2四半期 二次速報についての記事になります。

内閣府

私は一次速報について記事にすることはよくありますが、今回の様に二次速報を記事にすることはおそらく初めてではないでしょうか。今回の二次速報は、実はそれほどに大きな意味のあるものです。

第192回 内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より①
第193回 内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より②
第194回 「財政投融資債」とは何か?/「一般会計」と「財政投融資会計」の違い
第197回 内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より③
第198回 内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より④

上記5回のシリーズにてご案内しましたように、今回の第二四半期二次速報より、GDPの算出方法が見直され、その見直し結果に基づいた統計データが公表されています。


今回の一次速報と二次速報の違い


GDP算出方法の改定の詳細は上記リンク先をご覧いただければと思います。
この中でも、今回のGDP公表データー(支出側GDP)に大きな影響を与えているのは以下の2記事です。
(※支出側GDPについての考え方は第164回の記事 をご参照ください)

1.産業関連表の見直し
2.研究開発費を「資産」として計上

第192回の記事 でもご説明したのですが、「産業関連表」とは、「商品」が私たちの手元に届くまでにたどった「流通経路」をその加工される前の段階にまでさかのぼって集計した、その「分配率」を計算するための元データのことです。

詳細はリンク先記事をご覧ください。
今回見直された「産業関連表」は、「2011年」の流通経路を参考に算出されています。2011年。今から5年前の流通経路です。

5年前というだけでも非常に古い様に感じるのですが、1次速報までの段階で用いられていた産業関連表は、なんと2005年。今から11年も前のデータを用いて算出されていました。

また2点目。「研究開発費の資産計上」に関しましては、第193回の記事 にてご説明しています。

この項目は主に「民間企業設備投資」という項目に影響を与えます。これまで「経費」として、「支出側」ではなく一部「生産側」GDPに計上されていたデータが、「研究開発費」として「支出側」に掲載されることになりました。

研究開発費については、計上する場所が変わっただけですので、ちょっとしたトリックのようなイメージがありますが、「産業関連表の見直し」は話が違います。

これまで、誤ったデータに基づいて算出されていたGDPが、より正確なものに近づくことになります。今回の記事では、特にこの「産業関連表の見直し」に関連した内容を記事にしてみます。


【名目GDPと実質GDP】

まずは、最大の基礎データである「GDP(総合)」から見てみます。

【名目GDP(原系列/前年同月比)】

 1次速報 123兆4619億円(0.8%)
 2次速報 130兆9934億円(0.9%)

【実質GDP(原系列/前年同月比)】

 1次速報 132兆8753億円(0.9%)
 2次速報 129兆5584億円(1.1%)
 
実質GDPがガクッと下落している様に感じるのは、基準年の見直しが行われたことによるものです。
産業関連表と同じく2005年から2011年へと変更されています。

前年同月比ベースで考えますと、共に名目GDPより実質GDPの成長率の方が大きくなっており、2016年度第二四半期は2015年度第二四半期よりも物価が下落していることが分かります。これをGDPデフレーターで見ますと、

【GDPデフレーター(指数/前年同月比)】

 1次速報 92.9(-0.1%)
 2次速報 101.1(-0.2%)

2次速報の方がマイナス幅が大きくなっていますので、二次速報の方が「物価下落率」が大きくなっていることになります。
(GDPデフレーターの見方は、第218回の記事 をご参照ください)

「物価」で考えた場合、GDPは全てのマクロ指標を包括したデータになりますから、その最大の原因と考えられるのはやはり「原油価格」の存在です。

そこで、「原油価格」の影響が反映されている「輸入額」についてみてみます。

【輸入額(名目原系列)/前年同月比)】

 1次速報 19兆2429億円(-18.5%)
 2次速報 19兆4399億円(-18.4%)

このあたりは、「算出方法の改定」とはあまり関係のない分野ですが、18%を超えるマイナス(金額にして役3.5兆円)のマイナスは大きいですね。


【「研究開発費」の影響】

次に、「研究開発費」の影響を考えてみます。

分野とすると「民間企業設備」という項目になります。

【名目民間企業設備(原系列)/前年同月比)】

 1次速報 17兆1636億円(-1.3%)
 2次速報 19兆8888億円(-0.5%)

勿論、この中には「産業関連表」の見直しに伴う変化も含まれているわけですが、合計で約2.7兆の違いが生れています。
では一方で、「産業関連表」のみの影響を受けて変動していると考えられる、「家計最終消費支出」についてみてみましょう。


【産業関連表の見直しに伴う変化】

【名目家計最終消費支出(原系列)/前年同月比)】

 1次速報 70兆8315億円(-0.9%)
 2次速報 72兆9116億円(-0.4%)

約2.08兆円の違いです。二次速報に占める割合で考えると、約2.8%の「誤差」です。
民間企業設備の「誤差」が約13.7%。約11%違うわけですが、この違いが「研究開発費の資産計上」による影響を受けたものと考えられます。


【年度ベースでの比較】

さて、ではこれを「年度ベース」で見るとどうでしょうか。

勿論2016年度はまだデータが出ていませんから、2015年度と、安倍内閣がスタートする前の2012年度の数字を比較してみます。

【名目GDP2012年度/2015年度比較(原系列/前年同月比)】

 2012年度
  1次速報 474兆4037億円
  2次速報 494兆6744億円       
  1次速報-2次速報=20兆2707億円 

 2015年度
  1次速報 500兆6213億円
  2次速報 532兆1914億円       
  1次速報-2次速報=31兆5701億円 

いかがでしょう。この様なデータを示すと、「そもそも統計方法が違っているんだから、データが違うのは当たり前だろ!」

という意見が出るかもしれません。ですが、私が見てほしいのは、統計方法の改定により「いくらGDPが増えたのか」などという単純な話ではありません。

一番着目していただきたいのは、1次速報と2次速報の「誤差」です。
2012年度の誤差は20.27兆円であったものが、2015年度には31.57兆円に広がっています。

その差は約11.3兆円にも上ります。

例えば、「研究開発費」がデータとして加えられましたので、これを「研究開発費の伸びしろが影響している」と考える人もいるかもしれません。ですが・・・

【名目民間企業設備年度/2015年度比較(原系列/前年同月比)】

 2012年度
  1次速報 64兆7979億円
  2次速報 71兆8342億円       
  1次速報-2次速報=7兆0363億円 

 2015年度
  1次速報 70兆995億円
  2次速報 81兆2078億円       
  1次速報-2次速報=11兆1083億円 

民間企業設備の「2012年度の誤差」と「2015年度の誤差」の開きは4兆0720億円と確かに大きいのですが、

【名目家計最終消費支出2012年度/2015年度比較(原系列/前年同月比)】

 2012年度
  1次速報 281兆1680億円
  2次速報 283兆9824億円       
  1次速報-2次速報=2兆8144億円 

 2015年度
  1次速報 284兆7216億円
  2次速報 292兆3669億円       
  1次速報-2次速報=7兆4530億円 

民間家計最終消費支出の「2012年度の誤差」と「2015年度の誤差」の開きは4兆6386億円と、こちらも「民間企業設備」に負けず大きな開きとなっています。

2014年に消費増税もおこなれていますから、ここを問題にする人もいそうですが、では「消費増税後」の「2014年」と「2015年」を比較した場合はどうなのでしょうか。

【名目家計最終消費支出2014年度/2015年度比較(原系列/前年同月比)】

 2014年度
  1次速報 286兆1262億円
  2次速報 291兆5161億円      
  1次速報-2次速報=5兆3899億円 

 2015年度
  1次速報 284兆7216億円
  2次速報 292兆3669億円       
  1次速報-2次速報=7兆6453億円 

いかがでしょう。何度も言いますが、今回の二次速報より改定された改定内容は、「支出側GDP」で考えれば、「産業連関表の見直し」と「研究開発費の資産計上」の2点です。

この他、

A.「雇用者報酬の見直し」
B.「財政投融資債の計上方法の見直し」
C.「輸出入項目内訳の見直し」

が行われているわけですが、Aは生産(分配)側GDPの問題ですし、Bは政府の会計方法が見直されるだけで、金額そのものが変わるわけではありません。Cは名前の通り輸出入の問題ですから、今回主に掲載した「家計最終消費支出」や「民間企業設備」には関係がありません。

そして「研究開発費の資産計上」は「民間企業設備」にかかわる分野であり、「家計最終消費支出」がこの影響を受けることはありません。

つまり、「産業関連表」=「流通経路の見直し」が行われただけで、2015年度の「家計最終消費支出(名目)」は、2014年度と比較して、2005年度の古い産業関連表を用いて計算した計算結果では「1兆4046億円のマイナス」であったはずなのに、2011年度ベースの少し新しくなった産業関連表を用いただけで、8530億円のプラス成長に変わってしまったのです。

これは、私がこのブログを通じて、特に消費増税関連の問題で「消費増税が消費を減退させた」という論調に対して、「その評価は現状を正確に評価できていない」という考え方に基づいて、散々記事を記してきたことが証明されたに等しい内容です。

第53回 実質GDPへの疑惑
↑こちらの記事は、タイトルにある通り、「実質GDPの疑惑」について掲載したものです。

このころはまだ不勉強な部分もあったわけですが、記事中に掲載している「加重平均」やその結果算出された「ウェイト」については、実質GDPだけでなく、名目GDPや消費者物価指数を算出する済にも同じように用いられていますので、その後の記事で、私は「名目GDP」についても「消費者物価指数」についても、これが「当てにならない」ことを散々掲載してきました。

2015年度のGDPは、「速報ベース」ではなく、「確報ベース」の値です。
これが、「産業関連表の見直し」によって大幅に覆された結果となったのです。

「合成の誤謬」とはよく言ったものです。

この記事の作成方法として、私は実は今回の二次速報データを予め検証することをせず、私の頭の中にある予測を記事として書き記し、私の予測の中にある数字が出てくるかどうか、非常にワクワクしながら記事を作成しました。

その結果、内閣府統計データに記されていた数字が悉く私の予測通りの数字であったことは、非常にうれしく感じています。

来年中にはおそらくビッグデータを活用した、新たなる統計方法に基づいたGDPデータ が登場するはずです。

日本国内の経済の実態が、どの程度まで正確に反映された統計データが登場するのか、今からとても楽しみです。


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前回の記事 で少し触れましたが、一昨日(2016年11月14日)、2016年度第二四半期(7月~9月)のGDP一次速報が発表されましたので、今回はこの話題について記事にしたいと思います。

ニュース情報では、こんな感じで報道されています。

【日本経済新聞(2016/11/14 12:32)】
GDP実質2.2%増 7~9月年率、輸出・住宅伸びる

 内閣府が14日発表した2016年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.54%増、年率換算で2.2%増となった。プラスは3四半期連続。アジア向けを中心に輸出が伸び、国内でも住宅投資が堅調だった。一方、内需の2本柱である個人消費と設備投資はゼロ近傍で停滞した。

 実質GDPの増加率は、15年1~3月期(年率5.0%)以来の高い伸びとなった。市場の事前予測の中央値(年率0.8%、QUICK調べ)を大きく上回った。生活実感に近い名目GDPの増加率は0.2%、年率換算で0.8%だった。

 石原伸晃経済財政・再生相は同日の談話で「日本経済はこのところ弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」との認識を示した。

 前期比0.54%伸びた実質GDPの増減にどれだけ影響したかを示す寄与度をみると、外需が0.45%分押し上げた。輸出は2.0%増えた。「iPhone7」など新型スマートフォン(スマホ)の増産のため、半導体製造装置や電子部品の輸出が伸びた。アジア経済の復調も輸出を押し上げた可能性がある。

 GDP統計で輸出に分類される訪日外国人(インバウンド)消費は9.4%増えた。熊本地震で訪日を見送るケースが相次いだ4~6月期の落ち込みを取り戻した。輸入は0.6%減少した。

 内需は実質GDPを0.09%分押し上げた。住宅ローン金利の低下が購買意欲を刺激し、住宅投資は2.3%増えた。個人消費は0.06%の伸びにとどまった。新型スマホの販売が好調だったが、台風など天候不順の影響でアルコールを含む飲料やガソリンの消費が落ち込んだ。

 設備投資は0.03%の増加にとどまった。米欧の自動車市場が堅調な輸送機械は伸びたが、農業機械やソフトウエアの新規投資は振るわなかった。収益が伸び悩むなか、企業が設備投資を様子見している。公共投資は0.7%減った。16年度当初予算などの前倒し執行が押し上げた4~6月期の反動が出た。

 物価の動きを総合的に示すGDPデフレーターは前年同期比0.1%低下した。13年10~12月期以来11期ぶりに前年を下回った。円高が物価の重荷になっている。収入の動きを示す雇用者報酬は名目ベースで前年同期比2.0%増えた。

 内閣府は12月8日に公表する7~9月期改定値から推計方法を見直す。これまで付加価値を生まない「経費」として扱った研究開発費を付加価値を生む「投資」と見なし、GDPに加算する。内閣府の試算では、新たな基準年となる11年の名目GDPは19.8兆円かさ上げされるという。

財務省

どの記事にも共通して記されていたのは、実質GDPが2.2%増加し、これが3四半期連続でのプラス成長である、ということです。

おさらいになりますが、「GDP」には「名目GDP」と「実質GDP」の二つの種類があります。

「名目」と「実質」の違いについて記載しますと、

「名目とは『金額ベース』の指標」であり、
「実質とは『数量ベース』の指標」であるということ。

分かりやすく言えば、「名目GDP」とは、「総額で何円の消費が起きたのか」という数字で、「実質GDP」とは「総数で何個消費されたのか」ということです。

データとして記載しますと、

2016年度第1四半期の名目GDP 125兆円(前年同月比 1.4%)
2016年度第1四半期の実質GDP 129兆円(前年同月比 0.6%)

であったのに対して、

2016年度第2四半期の名目GDP 123兆円(前年同月比 0.8%)
2016年度第2四半期の実質GDP 132兆円(前年同月比 0.9%)

となっています。
二次速報を間に挟んでいないので、第140回の記事 で掲載した内容とは若干内容が変わっています。

勿論数字は「名目、および実質」の「原系列」。
原系列以外に「季節調整系列」というものがあります。季節特有の現象を計算式を用いて除外するわけですが、人為的に操作された数字で、実はそれが正確であるという明確な根拠に乏しいため、私は全く信用していません。

季節調整が行われる理由は、「前年同月」ではなく「前期」と比較し、「年率換算」をして「同じ成長率が1年間継続したらどうなるか」というフィクションに基づいた結果を計算するためです。(詳しくは 第140回の記事 をご参照ください)

第一四半期から第二四半期にかけての経済成長率がまる1年間継続するわけがありませんから、はっきり言って「年率換算」の数字を用いて経済を考えるなど、『論外』ですね。

暴走しました。理想としては、名目2%、実質1%、物価上昇率1%の上昇としたいのですが、ともに前年同月を上回っており、まずまずというところではないでしょうか。


ちなみに、第140回の記事 でも掲載しています通り、名目GDP成長率、実質GDP成長率、物価上昇率の関係は

 名目GDP成長率=実質GDP+物価上昇率

となっています。
今回は名目成長率が0.8、実質成長率が0.9ですから、物価上昇率は-0.1。つまり、物価は下落していることになります。

これは「消費者物価指数」に関連した記事 でも散々お伝えしていますので、みなさんご存知の通りですね。

理由はこちら。

 2016年度第2四半期の輸入額 19.242兆円(前年同月比 -18.6%)

数値は勿論、名目の原系列です。
日本の輸入の大部分を占めているのはもちろん「原油」。

「輸入額」というのは、日本にしてみればそのまんま「原価=仕入れ価格」になりますから、輸入額は本来少なければ少ないほど良いのだ、と考えることができます。(ただし、『経済活動が滞っている』ことが理由である場合もあるので、他の経済指標との比較はとても大切なことですが)

分かりやすく表現するとすれば、「輸入額+付加価値」=「物価」ですから、利益の増加幅以上に輸入額が下落すれば、当然物価は下落します。GDPは「物価」の集合体ですから、付加価値以上に輸入額が下落すれば、GDPの伸び率も抑えられてしまうわけです。


しかし、「原油価格」っていうのは、元々「名目は減少しているのに原油価格が上昇するせいで『消費者物価指数』が上昇している様に見えることを批判し、「数字から輸入額が除外されている『GDPデフレーター』」で物価を見ることが正しい、と言っていたのに、今では事態が逆転してしまっています。

GDPデフレータでは「原油価格下落による名目値の動向」と「原油価格を含まない名目値の動向」が混在してわからなくなってしまっているため、「GDPデフレーター」よりも「消費者物価指数」で「費目・品目別」に見る習慣をつけることの方が大切になっています。


「家計最終消費支出」について

「家計最終消費支出」とは、国全体の消費支出の内、「政府」でも「企業」でもない「家計」が消費に回すことができた金額の合計値です。

この金額が大きければ当然「家計ベースでの消費が増えた」こととなるわけですが、

 2016年度第二四半期の「家計消費支出」は「前年同月比-0.9%」。

まあ、みなさんご想像の通りですね。私はこの数字は当然「原油価格の下落」が大きく影響していると考えています。
第140回の記事 と見解は一緒なのですが、やはり大きな特徴として、「民間住宅」への支出が伸びていることがその理由です。

これは日本経済新聞記事にも記していますね?
内需は実質GDPを0.09%分押し上げた。住宅ローン金利の低下が購買意欲を刺激し、住宅投資は2.3%増えた。個人消費は0.06%の伸びにとどまった。新型スマホの販売が好調だったが、台風など天候不順の影響でアルコールを含む飲料やガソリンの消費が落ち込んだ。

掲載内容は「実質値」に関する掲載です。ツッコミどころ満載なんですが、「住宅投資」に関する記載はその通りだと思います。

「住宅」って日本人が一生で起こす消費の内、最も大きな買い物です。
ちなみに「民間住宅」は名目の前年同月比で5.9%も上昇しています。

第一四半期が4.4%でしたから、これに輪をかけての上昇となりました。
GDP指標の内「民間住宅」という分野は、「住宅」という限定的な分野に絞られていますし、この分野が「原油価格下落」の影響を受けることはありません。ですから、他の分野と比較しても、より正確に「消費」が反映されていると考えられるのです。

一生で一番大きな買い物である「住宅」にこれだけの消費を行えるようになっているのに、それ以外の「最終消費」はマイナスであることに対して非常に疑問を感じるわけです。

過去の記事で述べています通り、「賃金」も上昇していますしね。


ただ、気にかかる分野として、「企業設備投資」が前年同月比-1.3%と減少しているのは少し気にかかるところです。第一四半期が-0.1%ですから、企業に少し元気がなくなっているのかな、と感じさせる数字です。

12月8日には、「二次速報」が上がってきます。
ここでは、ついに新しい「産業関連表」に基づいて製作された新しいGDPが登場します。

2008SNAの件もあるのですが、こちらは私たちがよく見る「支出側から見るGDP」に繁栄される要素は少ないかなと考えているので、一番大きいのは「産業関連表」の問題だと思います。

今回の一次速報も、第一四半期の情報も、過去までさかのぼって修正されるはずですので、どのような修正内容となるのか、今から楽しみです。


次回記事では、改めて「GDPデフレーター」について記事を記してみたいと思います。




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<継承する記事>第197回 内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より③
今回の記事では、「内閣府、GDP算出方法の改定」についてのシリーズ①~③までの記事内容を総括する記事を作成しようと思います。

まとめますと、今回内閣府が行う「GDP算出方法の改定」とは、まず一つ目に、これまで用いてきた「2005年度版産業関連表」から「2011年度版産業関連表」への変更を行うこと。
第192回記事 をご参照ください)

そして、これまで古い国際基準である「1993SNA」に対応して作成してきていたものを、新しい国際基準「2008SNA」に対応した内容に変更すること。
第193回記事 をご参照ください)

この2点です。

どちらにせよ、産業関連表は5年遅れ、SNA(国民経済計算の国際基準)は8年遅れですから、この更新を行うことで本当に国内の経済状況を正確にとらえられるのか、ということに関しては非常に疑問に感じる部分も大きいのですが、特に「産業関連表」に関しては、10年前の産業構造で現在を判断するよりは、さすがに5年前の状況で判断したほうが、まだましだろうとは思います。

データとしては恐らく過去に遡及した物を出してくるでしょうし、計測方法が変更されたため、データとしてかさ上げされることになりますので、本来の「国力」が上昇するわけではない、ということから、この変更内容の重要性については5段階あったとしたら、下から2番目くらいになるでしょうか。

重要度としては、第189回の記事 ~第191回の記事 にかけてご紹介した、「統計指標へのビッグデータの活用」の方がよほど大きいと思います。

この二つの改定に関しては、GDP算出方法の改定が今年度第2四半期(7月~9月)二次速報分から、ビッグデータを活用した指標の導入が早ければ来年度から、ということですから、時期がずれますので、変化の調査は行いやすいと思います。

ただ、GDP算出方法の改定に関連した内容としては、特に「非金融(実物)資産の範囲」という項目に関してはひょっとすると経済実態を計測する上で、大きな影響が出てくる可能性のある部分だとは考えています。
第193回の記事 に掲載してある内容です。

「研究開発費」が「資産」として残る・・・といってもイメージがしにくいかもしませんね。

【日本における研究開発費の研究主体別構成比】
「研究開発費」の内訳
※内閣府PDF

大部分が「企業」にはなっていますが、その他にも「大学」や「公的研究機関」なども含まれていますね?
想像しやすいのが、「ノーベル賞」などがこれに該当するのではないでしょうか。

青色発光ダイオードなどはイメージしやすいかもしれませんよね。
ノベール賞を受賞したのは研究者である中村修二教授だったのに、研究にお金を出したのは日亜化学工業だったという理由で、中村教授には報酬が経った2万円しか渡されず、中村教授激怒・・・という光景を覚えている方もいらっしゃると思います。

つまり、「青色発光ダイオード」という技術の開発にかかった費用(研究開発費)は日亜化学工業だったんだから、中村教授一人が偉いわけじゃない、みたいな理屈です。

この事例を持ち出したのは、この事件そのものについて言及したいわけではなく、「青色発光ダイオード」という技術(知的財産)にかけられた費用は、これまでのGDPではすべて「経費」として扱われ、この知的財団には何の価値も与えられていなかったわけです。

勿論「青色発光ダイオード」という技術開発にかけられた「研究費用」そのものがGDPに組み入れられることも大きいのですが、これは、日本の「財政政策」にとっても一つの新しい「可能性」が生れることを暗示しています。

次回記事に於きましては、ではこの「財政政策の可能性」とは何なのか。
これを「建設国債と赤字国債」というタイトルで掲載してみたいと思います。




タイトルで、なんとなく私の言わんとしていることに気づくことができた方は・・・さすがです。


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<継承する記事>第194回 「財政投融資債」とは何か?/「一般会計」と「財政投融資会計」の違い
記事は第194回の記事の続きです。

テーマは今回のタイトルにある、内閣府GDP算出方法の改定に関連した内容で、第193回の記事 に掲載した『国際基準「2008SNA」』より、

3.一般政府や公的企業の取扱精緻化
 ・一般政府と公的企業との間の例外的支払の取扱の精緻化 等

4.国際収支統計との整合
 ・財貨の輸出入における所有権移転原則の徹底 等

という二つのテーマについてご説明することを目的にしています。

第149回の記事 では、とくに3番の「一般会計や公的企業の取扱精緻化」というテーマについてご説明する上で、先に「財政投融資」という言葉についてご理解いただいておくことが必要だと感じたため、これを記事にしました。

それでは、改めて、まずは

「3.一般政府や公的企業の取扱精緻化」というテーマについて記事を進めていきます。


【一般政府や公的企業の取扱精緻化とは?】

内閣府資料 では、「一般政府や公的企業の取扱精緻化」について、以下のように掲載しています。

「公的企業から政府への特別な支払(財政投融資特別会計から一般会計への繰入れ等)の記録変更により、これまで振れの大きかった財政収支について、より基調の動きを記録」

つまり、「一般政府や公的企業の取扱精緻化」とは、「財政投融資特別会計から一般会計への繰入れ等の記録を変更」しますよ、ということです。

第194回の記事 に於きまして、「財政投融資特別会計」が、『政府の「一般会計」との間で、横断的に資金の行き来を行いながら運用』しているとお伝えしました。

平成28年度財政投融資特別会計

こちらは今年度。2016年度予算ベースでの「財政投融資特別会計」なのですが、右側、「歳出」の中に、「公債等事務取扱費一般会計へ繰り入れ」という項目がありますね?

これがそれに該当します。

28年度はこれが7100万円ですから、微々たるものであるように見えるかもしれませんが、

【「例外的支払」の例(「公的企業⇒政府」)】
2006 年度 財政投融資特別会計⇒国債整理基金特別会計 12兆円

2007年度 日本郵政公社⇒一般会計 約1兆円

2008年度 財政投融資特別会計⇒一般会計、国債整理基金特別会計 計約11.3兆円

2009年度 財政投融資特別会計⇒一般会計 約7.3兆円

2010年度 財政投融資特別会計⇒一般会計 約4.8兆円

2011年度 財政投融資特別会計⇒一般会計 約1.1兆円
(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構⇒一般会計 約1.2兆円
(独)日本高速道路保有・債務返済機構⇒一般会計 約0.3兆円

財政投融資特別会計に限ったものではありませんが、2001年度以降に限定して、これだけの金額が、「公的企業」から「一般政府」に「例外的に支払い」されています。

この際、GDPへの記載としては、「資産移転」という名目で計上されており、一見するとこれだけの金額、政府資産が増えたかのように見えてしまいます。実際そうなんですが、税収が増えたわけでもなんでもないのに収入が増えたように見えてしまうため、政府の財政状況が改善されたかの様に見えてしまうのです。

財政投融資特別会計的には、これらの資金は元々財政投融資資金を運用した結果生まれた「積立金」であり、財政投融資の資金は元々原資が「財政投融資債」と呼ばれる「国債」ですので、余剰資金が生れれば(利子率の変動に備えた一定の予備資金以外)全額「国債整理基金特別会計」へと組み入れられてきました。

上表で、「国債整理基金特別会計へ繰り入れ」とされているのがその積立金です。
財政投融資債の運用利益は国債の返済資金としても活用されているんですね。

ところが、2008年に勃発したリーマンショックの影響を受け、この財政投融資特別会計の積立金が切り崩され、「国債整理基金特別会計」ではなく、「一般会計」へと資産移転が行われているのです。

これは、実際の経済活動に伴ったものではありませんので、これを「GDP指標」に割り当てて国内の経済力を計る指標と考えるのは、本来であれば間違っているはずなのです。

このやり方は、今回採用される「2008SNA」だけでなく、これまで採用されていた「1993SNA」でも用いられていなかった、日本独特のやり方です。

「2008SNA」では、これを「資産移転」ではなく「持分の引出し」として項目を分けて表示します。
つまり、外側から見てこれらの収入が元々政府が同年に収入として得たものではなく、別会計から引き出したものだ、ということが外目から判別できるようにするわけです。

このことで、トータルでのGDPが変化することはありませんが、政府の収支状況もより正確な判断ができるようになりますね。


【国際収支統計との整合とは?】

よく読んでみたのですが、この項目は少しわかりにくいですね。私も誤解のないようにお伝えできるかどうかが少し自信ありません。

「財貨の輸出入における所有権移転原則の徹底」
とあります。

これ、要は日本が国外の生産地に対して、製造物等の「加工」を依頼した場合。
「財物」の移動があるかどうか、というところを重要視している様です。

つまり、車を1台製造するときに、車一台分、又はその一部を構成する材料が国境をまたいで移動した場合は確かに物の「輸出」と「輸入」が行われていますから、問題はありません。

ところが、製品が移動した後、物の移動がなくても、例えば電話で問い合わせをして、財物の移動が発生せずに問い合わせだけで依頼側の目的が完了したとしたら、これは当然「輸入」でも「輸出」でもありません。単に「サービス」の提供が行われただけです。

これまでは、この「サービス」についても輸入品、輸出品の金額に分配されていたわけですが、これを「財貨は財貨、サービスはサービスとして取扱なさい」という勧告を行っているのが2008SNAです。

まあ、どのみち「輸出入」に関連した部分ですので、日本国内の需要を計る指標としての重要性は薄い部分です。


次回記事に於きましては、①~③までの「GDP算出方法の改定内容」を総括する形で記事を締めくくりたいと思います。


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<継承する記事>第192回 内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より①
前回の記事の続きです。

内閣府が行うもう一つの改定基準、『新たな国際基準「2008SNA」』について。

「2008SNA」とは、日本語で正式名称を「2008年版国民勘定体系」という名称です。
こちらは2009年に、「国際連合」で合意された国民経済計算の「最新」の国際基準なのだそうです。

今更感マックスですが、つまり2009年に「国民経済計算(GDP)」の国際基準が改定されたのに、日本ではいまだにそれ以前の基準のものを用いていた、ということ。

内閣府資料によりますと、「2008年版国民勘定体系」とは、以下の様に掲載されています。

【国際基準「2008SNA」とは】
□国連で合意された国民経済計算に関する最新の国際基準

□前身の1993SNAからの変更事項は63項目にわたる

□1993SNAをベースに、90年代以降の経済・金融環境の変更を織り込んだ改定が中心。以下の4分野に集約

1.非金融(実物)資産の範囲の拡張等
 ・研究・開発(R&D)の資本化
 ・兵器システムの資本化 等

2.金融セクターのより精緻な記録
 ・雇用者ストックオプションの記録
 ・企業年金受給権の記録の改善 等

3.一般政府や公的企業の取扱精緻化
 ・一般政府と公的企業との間の例外的支払の取扱の精緻化 等

4.国際収支統計との整合
 ・財貨の輸出入における所有権移転原則の徹底 等

日本経済


【各国の以降状況】

この2008SNAの移行は、

・オーストラリア 2009年
・カナダ 2012年
・アメリカ 2013年
・ヨーロッパ各国 2014年
・韓国 2014年

と、日本以外の国はほぼ完了しており、日本はオーストラリアより7年、カナダより4年、アメリカより3年、欧州・韓国より2年遅れて導入するわけです。

これもまた、何だかなぁ・・・と思わざるを得ない部分ですね。


【金融セクターのより精緻な記録とは?】

2番は、同じ「国民経済計算」の中でも「分配側(生産側)GDP」の問題となります。

雇用者ストックオプションというのは、将来、一定の価格で雇用者が自社株を受け取ることができる権利のこと。
将来、権利を行使しようとしたときに、この「一定の価格」を株価が上回っていればこの雇用者は利益を得て、逆に下回っていればこの権利を放棄することができます。(上がるまで待つこともできます)

この、雇用者が手にした利益分を「雇用者報酬」これまでは計算に加えていなかったのですが、これを「雇用者報酬」に加えましょう、というのが「雇用者ストックオプション」に関する内容。

「企業年金」は所謂「国民年金」や「厚生年金」以外に企業に所属している従業員が積み立てている「上乗せ年金」のこと。
この受給権の記録を、これまでは上場企業にしか行っていなかったため、上場企業以外の企業にも導入しましょう、というのが「企業年金受給権」に関する内容です。


【非金融(実物)資産の範囲の拡張とは?】

この項目は、「生産側(分配側)」ではなく、「支出側」。つまり、私たちがよく見かけるあの「GDP」に関連する内容です。(生産側GDPと支出側GDPの違いについては、第164回の記事 をご参照ください)

「兵器システム」も同様だと思うのですが、「知的資本」。
ここでは「研究・開発」と記されています。今回の改定では、この「研究開発」という形を持たない成果物を生み出すためにかけられた費用を、「知的資本」として計上しましょう、ということになります。

「研究開発費」に該当するのは、

「人件費、原材料費、固定資産の減価償却費及び間接費の配賦額等、研究開発のために費消された全ての原価」

とされています。例えば「原材料費」であれば、その購入金額を「設備投資費」として企業は投資することができるわけですが、例えば「人件費」はこれがスタッフに対するお給料として発生していれば、これは「分配側(生産側)GDP」に計上されるものなので、支出側GDPには計上されません。

「固定資産の減価償却費」は読んで字のごとく減価償却されますので、固定資産の価値からマイナス計上されることになります。

「間接費の賦課額」というのは、例えば研究開発に直接関係のない、他の事業と共同で利用している設備の減価償却費であったり、研究開発は行わない、警備スタッフの人件費などを「研究開発費」として割り当てて原価計算する計算方法のことです。

従来、この様な費用は、「経費」としてそのまま処理されていたわけですが、今度の改定ではこのような経費を「研究開発費」として資産計上することとなります。

これまで計上されていなかった研究開発費が、GDP上「民間企業設備」という項目に計上されることになりますので、これがGDP全体を押し上げることになります。


次回記事では、「90年代以降の経済・金融環境の変更を織り込んだ改定」の内、残る2項目、その他改定内容についての解説を行っていきたいと思います。



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<継承する記事>第191回 内閣府 ビッグデータ活用の新たな経済指標開発へ②
こちらの記事 でもご紹介したのですが、タイトルにもございますように、内閣府はGDP(国内経済計算)の算出方法を見直し、その改定内容を今年度(2016年度)第二四半期(7月~9月)GDP二次速報より、反映させます。

今回の記事では、内閣府が改正する「国内経済計算」の計算方法について、その背景およびその改定内容が一体どのようなものなのか、その結果何がどう変化するのか、という内容についてご説明したいと考えています。

【ロイター記事より】
(※記事は関心がある方のみご覧ください)
GDP算出方法改定、名目19.8兆円増 「600兆円経済」に追い風か
[東京 15日 ロイター] - 内閣府は15日、国民経済計算の基準改定に伴い、基準年となる2011年の名目国内総生産(GDP)が19.8兆円、率にして4.2%押し上げられるとの試算を公表した。研究開発費や防衛装備品の購入費が新たに算入されることで、安倍政権が掲げる「600兆円経済」の実現に向けて追い風になる可能性もある。

今年12月に発表する16年7─9月期の2次速報から適用する。最新の「11年産業関連表」を取り込んだうえで、国連が09年に採択した国際基準を反映させた。試算は11年を基準年とし、名目GDPへの影響を分析した。

押し上げ分19.8兆円のうち、主な内訳は、1)研究開発の資本化16.6兆円、2)特許サービスの扱い変更1.4兆円、3)防衛装備品の資本化0.6兆円──など。11年の名目値は471.6兆円だったが、算出方法の改定で491.4兆円に増える見込みだ。

政府は20年ごろまでに名目GDPを600兆円に増やす目標を掲げている。内閣府の中長期試算によると、20年度の名目GDPは、高い成長率を維持したケースで582.7兆円。

11年と同様の押し上げ効果が見込まれれば目標は達成可能だが、実質2%・名目3%の成長確保が前提となる状況は変わらない。
内閣府

「GDP」は「国内総生産」という意味ですが、政府はこの確報データを「国民経済計算」という統計データの中に掲載しています。
こちらの記事 でもご紹介しました通り、「国内総生産」とは、「国民経済計算」の中の「国内総生産勘定」という項目に該当します。

内閣府は、この「国民経済計算」の計算方法を改定します、としています。

「GDP」が改定される理由

改定内容は、こちらのPDF で内閣府が紹介しています。

どのような内容に改正するのか、ということですが、PDFでは以下のように掲載されています。

【次回の基準改定に向けて】
• 平成28(2016)年を目途に実施を目指す

• 最新の「平成23年産業連関表」等を取り込む

• 新たな国際基準「2008SNA」への対応も併せて行う

一つ目。「最新の平成23年産業関連表」等を取り込むということですが、「産業関連表」につきましては、第159回の記事 で少しお伝えしましたね?

【産業関連表の構造】
産業関連表

簡単に言えば、企業側で生産された生産物が、どのような流通経路をたどって私たち消費者の手元に届くのか。
この経路を数値化した一覧表です。

例えば、

1.北海道の農場で生産された小麦が収穫され、小麦粉メーカ―に出荷され

2.小麦粉メーカーにて小麦は小麦粉として加工され、小麦粉はパン工場に出荷され

3.小麦粉はパン工場で加工されて食パンになり、食パンはスーパーマーケットまで出荷され、

3.食パンはスーパーマーケットで店頭に並べられ、これを手に取った消費者がレジで会計を済ませて

初めて私たち消費者の手元にまで届きます。

では、小麦が生産されて私たちの手元に届くまでの間に、同じ「小麦粉」にどれだけの付加価値が乗っているのでしょう。

例えば出荷するときには出荷業者も関わっているわけですし、加工する際には工場の部品メーカーも関わっています。
店頭に並べられる際にも販売員の手を通って店頭に並べられますし、レジを経由して私たちの手元に届きます。

この様に、商品が加工されて私たちの手元に届くまでの間に、どれだけの経路を経て付加価値が生れているのか、という指標のことを「中間消費」といいます。

産業連関表とは、この「中間消費」がいくらになるのかということを計算するために用いられる「分配率」の一覧表です。
産業連関表は5年ごとに更新され、最新の産業連関表は今年度(2016年度)6月に公表されました。

2016年度6月に公表されたのですが、そのデータは平成23年度(2011年度)のもの。
5年前かよ、というツッコミを入れたくなるところですが、これまではさらにその5年前。平成17年(2005年)のデータが用いられていたということになります。10年前のデータで現在の「名目GDP」は計算されているんですね。

これを5年前のデータに改定しましょう、というのが今回の改定内容の一つ。


次回記事ではもう一つ、『国際基準「2008SNA」』その他、今回の「改定内容」について記事にしたいと思います。


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<継承する記事>
第159回 GDP1次・2次速報、確報値の違い/三面等価の原則のバイアス

【前回までの振り返り】
今回の記事は、前述しているとおり、第159回の記事でお伝えした「三面等価」について検証することを目的とした記事です。

記事を作成するきっかけとなったのは、昨日報道されたこちらのニュース。
内閣府、名目GDP19兆円上積み 23年 新基準採用

関連して以下の二つのニュースを読んでいて、私のブログで記事にする「価値」を見出したからです。
<総務省>個人消費の新指標開発へ 19年にも公表
7月消費活動指数は前月比1.4%上昇、14年12月以来の高水準=日銀

引用はgooからの引用なので、時間がたつと消えてしまうニュースが、今回は備忘録的にニュースリンク先を掲載しているだけで、上記3つの記事に関しては次回以降で継続して記事を作成する予定です。

ですので、内容の掲載は次回以降に委ねるとして、まずはタイトルだけ把握をお願いします。

内閣府

【今回のテーマ】
今回の記事は、次回掲載予定の「消費活動指数」の内容への伏線です。
現在(2016年9月16日時点)私がこのブログに課している命題は、「日本の個人消費は本当に伸びていないのか?」という命題です。

結論から言うと、私は「伸びている」と考えています。これは過去の記事をご覧いただいてもご理解いただけると思います。
伸びていないように見える理由として、

・「輸入物価の下落」が物価を押し下げているため、消費が伸びていないように見える。
・政府が公開している統計データには「サンプルバイアス」をはじめとする様々な「誤差」が生れているため、消費状況を正確に把握しきれていない。

主にこの2点が原因だと考えています。

次回作成予定の「消費活動指数」。実は今回の記事をこのテーマで掲載しようと考えていたのですが、調べていく中で登場した「国民経済計算」という言葉。ぶっちゃけて言えば「GDP(国内総生産)」と同じ資料になるのですが、私たちがよく見る

「家計の消費/投資/貯蓄」+「企業の消費/投資/貯蓄」+「政府の消費/投資/貯蓄」

という項目で掲載されている統計指標とは別に、「国民経済計算」というデータを見ると、同じGDPでも、その項目が例えば「貯蓄」であったり、「可処分所得」であったり、私たちの生活により直結したデータが多く存在することが分かりました。

というか、確かにこのデータを使って私は過去に資料作成をしたことがあるな・・・と。

今回の記事では、タイトルにもある通り、この「国民経済計算」というデータから「国内総生産勘定」というデータを用い、「生産側のGDP」と「支出側のGDP」を比較する形でグラフ化し、目に見える形でこの「GDP」というデータの歪さを把握していただく事を目的としています。。

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<継承する記事>
第140回 2016年度(平成28年)GDP第一四半期速報が公表されました

【前回までの振り返り】
昨日(2016年9月8日)の私のブログへのアクセス状況を見ていますと、第140回の記事 へのアクセスが増えていました。

日本経済

理由はこちら。

【朝日新聞 2016年9月8日10時20分】
実質GDP改定値、年率+0.7%に上方修正 設備投資上振れ

[東京 8日 ロイター] - 内閣府が8日発表した2016年4─6月期実質国内総生産(GDP)2次速報値は、前期比プラス0.2%(1次速報値プラス0.048%)、年率換算ではプラス0.7%(同プラス0.2%)と上方修正された。設備投資や民間在庫投資の上振れが寄与した。 

 ロイターの事前予測調査では、中央値が前期比プラス0.0%、年率プラス0.0%だった。

 財務省が1日に発表した法人企業統計を反映させた結果、民間設備投資は1次速報値の前期比マイナス0.4%からマイナス0.1%に上方修正された。

 民間在庫投資の寄与度はマイナス0.0ポイントからプラス0.1ポイントに改定。在庫自体は積み上がっており、1次速報値と比べて1─3月期から増加幅が拡大したことが要因となった。電子通信機器などの原材料在庫や仕掛品在庫が増加した。

 公的固定資本形成は前期比プラス2.6%と1次速報の同プラス2.3%から上振れた。個人消費は前期比プラス0.2%と変わらずだった。

 一方、名目GDPは前期比プラス0.3%、年率プラス1.3%。1次速報では前期比プラス0.2%、年率プラス0.9%だった。

タイトルにも掲載しました通り、昨日2106年度(平成28年度)第一四半期(4~6月期)のGDP二次速報が発表されたからです。
ただ、やはり検索後、表示されるのは一次速報の記事。やはりせっかく二次速報の情報を求めて検索をかけてくださったのに、一次速報の情報しか載せていないのは申し訳ないな・・・と思うわけです。

また、第156回の記事 に於きまして、正確性を欠く情報を掲載してしまっていたことが判明しました。

【今回のテーマ】
そこで、今回の記事では、第156回の記事 に掲載した内容の修正と共に、昨日掲載された「二次速報」のニュースをベースに、一次速報と比較して、私なりの意見を掲載してみたいともいます。

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