日本の年金など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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<前回の記事 第31回 アベノミクスを問う⑥

アベノミクスを問う⑦

前回の記事では、「社会保障制度」全体を検証する上で、私自身がまだ解析したことのない、健康保険制度についての解析にチャレンジしてみました。

社会保険制度には主に「被用者保険」と「国民健康保険」の2種類あり、「保険料」と「給付金」の収支差額に着目すると、「被用者保険」は大幅な黒字、逆に国民健康保険については大幅な赤字になることがわかりました。

この赤字を補てんするために、被用者保険の収入(保険料+公費)から一部を補てんし、さらに公費を補てんして給付金を支出していること、しかしこの補てん分を含めた国民健康保険の収入分からさらに「後期高齢者医療保険」という項目に組み込んで、「後期高齢者医療保険制度」を構成しているということもわかりました。

医療保険制度からの支出は40兆近くあり、このうち約半分に公費が、残る半分に現役世代の保険料が充てられています。
保険料の収入が横ばいである中、「後期高齢者医療保険制度」への支出が増え続けているため、ここに国費を充てざるを得ない状況になっているということです。

ただし、
社会保障給付費・保険料差額

こちらのグラフを見ると、社会保障給付費の支出と社会保険料収入の間に、平成22年(2010年)の時点で47兆を超える収支差額があります。
健康保険制度の収支差額は約21兆円ほどで、グラフから読み取れる数字では、この分を差し引いてまだ26兆円近い収支差額があります。
前回の記事では、この残る差額分が「年金」の収支差額に相当するのではないか、という考え方をお示ししました。

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<前回の記事 第55回 情報を捏造する方法

予定しております、共産主義と左翼に関する記事ですが、中々まとめる時間が取れずにいますので、きちんとした時間が取れるまで少し記事を先延ばししたいと思います。後日、掲載したいと思います。

ブログへのアクセス状況

さて。私がブログをスタートして、約半年ほど経過しました。
ブログを掲載した目的として、一般的に考えられている「常識」と「真実」とのギャップをより多くの皆様に知っていただきたい、というのが最大の目的です。

私が作成しているようなタイプのブログとして、最もアクセスに期待ができるのが「キーワード検索」です。
最初は、いわゆる「リフェラスパム」と呼ばれる、海外の悪質なサイトからのアクセスが多かったのですが、今年に入ったあたりから、徐々にこのリフェラスパムとキーワード検索とのアクセス数が逆転するようになります。

中には「アベノミクスを問う 真実を問う」「データから見る日本」など、明らかに私のブログをピンポイントで検索していただいたのであろう、キーワードも含まれており、これはやはりうれしい限りです

ある程度キーワード検索されるようになってくると、次に期待したいのが、「参照元サイト」。つまり、どなたかのホームページやブログなどに私のサイトへのリンクURLが掲載され、そこから私のブログに流入されるようになること。

もちろん私自身もいくつかは仕掛けを行っていまして、外部サイトから私のブログに流入があるような仕掛けはしています。
ですが、それはほぼ「無作為に掲載された」、あるいは「たくさんのサイトの中の一サイト」として掲載していただいたのであり、そのサイト運営者が何らかの関心を持って掲載して下さっているわけではございません。

ところが、です。先日、解析を行っていますと、私が仕掛けをした記憶のない、見覚えのないサイトから、私のサイトへの流入がありました。

先方の了承を得ているわけではございませんので、もしサイト運営者が気づいた上で、もし不都合がある場合はぜひ削除依頼をお寄せください。

こちらのサイトです。
Spotlight 心うごかす、新発見を

このサイト中の、この記事になります。
「だったらもう廃止しろよ」安倍総理の“年金給付減額あり得る”に不安の声続々

この記事の中で、↓こちらの画像を、掲載元として私のブログをご紹介していただいたうえで掲載していただいています。

社会保障給付費・保険料差額

とても光栄なことだと思います。
本当なら、掲載していただいているサイトにコメントを行うことが可能なのであれば、そちらにコメントをしたかったのですが、コメントのできる仕様ではございませんでしたので、私のブログに直接掲載する形をとりたいと思います。

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<前回の記事 第110回 価値観の受け入れ方~「講師」という立場を通じて感じた意思疎通の難しさ~

前回の記事では、私が勉強会における「講師役」を担当させていただいたときの経験をベースに、「将来の年金問題」について記させていただいたのですが、あくまでもベースが「勉強会の報告」のような形になっていて、実際に記事にした内容が埋もれてしまいかねないので、改めて「将来の年金問題を考える」というタイトルで同じ内容を復活させる形で記事を掲載します。

継続的に読んでいただいていて、新しい記事を楽しみにしてくださっている方には物足りない内容とはなってしまいますが、ご了承いただければと思います。前回の記事を「雑記」としてカテゴライズし、今回の記事を「年金の問題」として改めて正式にカテゴライズします。

画像も、前回同様以下の画像からのスタートです。

【国民年金も厚生年金も実は大幅な黒字です】
国民年金も厚生年金も、実は大幅な黒字です。

こちらは、現役世代の「保険料総額」に「国庫負担分」を加えた金額から、受給世代の「給付費総額」をマイナスしたものです。
記事を読み進める前に、まずは第32回の記事を改めて熟読いただきまして、「年金が破綻しない理由」をしっかり頭の中に入れた上で、今回の記事をご覧ください。

【今回のテーマ】
第32回の記事は、主に「現在年金が破綻しない理由」を解説した記事です。

この記事を読んだとき、「確かに現在年金は破綻しないかもしれないが、将来も破綻しないとは言い切れないのではないか?」という疑問が出るのも最もなところだと思います。

前回の記事と重複する内容にはなりますが、では改めて「将来に向けて」も年金制度は本当に安全なのか。
この点を再度記事として取り扱いたいと思います。

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<前回の記事 第111回 将来の年金問題を考える~戦前の出生者数の推移と将来の年代別人口の推移から~
(※「マクロ経済スライド」についての説明は、後段3章目からスタートします。「マクロ経済スライド」についての説明のみ読みたい方は、後段3章目まで画面をスクロールさせてください)

シリーズ 年金の問題に於きまして、前回までの記事では、年金システムが国の制度としてそもそも破綻するのか、しないのかという、「支給する側」のシステムに基づいた解析結果をお示ししました。

ですが、それ以上に、みなさんが気にかかるのは、じゃあ自分たちが実際に受け取れる年金の受給金額。
これは将来どのくらいのものになるのか、ということになるのではないでしょうか。

私の記事を読んで、年金が破綻する可能性は限りなくゼロに近いことはわかった。だけど自分が一番知りたいのは、将来自分たちが納めた分以上の年金を受け取ることができるのかということなんだ・・・という理屈もまたごもっともだと思います。

年金手帳

【本日のテーマ】
そこで、今回のテーマは、これまで私がお示ししてきた「年金は破綻しない」という衝撃の事実。
これに基づいて、現在の年金の「給付システム」について検証してみたいと思います。

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<前回の記事 第116回 消費税問題最終結果から検証する新たなる課題

先日、私の記事をご覧いただいた方から、特にこの「年金制度」について、

「そうはいってもやっぱりわかりにくい」

「脳がパンクしそうだ(T_T)」

なる旨のご意見をいただきました。
私、このブログを始めた最大の目的は、一般的に「難しい」と考えられていることを、一般の方、情報に通じていない方でもわかりやすくご理解いただける記事にすることを目的としてこのブログをスタートしたのですが、改めて初心に返る大切さが必要だと痛感させられております。

年金の問題についていえば、一般的に年金の収支状況は「赤字」であり、年金会計は今にも破綻しそうである・・・という誤った情報にメスを入れ、決してそうではない。

年金制度は、事実大幅な「黒字」であり、「破綻」なる状況とはとても縁遠い位置にあることを「わかりやすく」解説しようとしていたのですが、そもそもその大本となる「年金制度」。

ここが「わかりにくい」というご意見が一般的に多いのだ・・・という視点を改めて大切にすべきだった、と痛感しております。
仕組みについては、第32回の記事で詳細に解説してはいるのですが、確かに・・・文字だけで、読んでいると脳が沸きそうです・・・。

【今回のテーマ】

【3つの年金会計帳簿】
年金システムのからくり

そこで、今回はこの図表を用いて、画面を動かしながら(といっても動画にするわけではございません)解説してみたいと思います。
わかりやすく・・・できるかな・・・?

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<前回の記事 第117回 公的年金制度の仕組みをわかりやすく図解入りで解説いたします。

前回の記事では、私の過去の検証が「国民年金」の運用状況に限定されていたことを受け、「厚生年金」の運用状況についても検証することをお約束しました。

厚生年金も、「基礎年金部分」については国民年金(第一号被保険者)と同じような運用方法がとられているのですが、所謂「二階部分」。

【公的年金制度の体系表】
年金制度2

上図で「厚生年金」と書かれている部分に関しては、「厚生年金勘定」と「年金積立金」の二つの会計帳簿だけで運用されています。
前回の記事でお伝えした「国民年金(基礎年金部分)」のような「基礎年金勘定」なる部分は存在しません。

この部分に関して私が放置していた理由の一つとして、「厚生年金は給与天引きであり、納付率100%(企業による未納部分は政府が補てんする)である」という理由にありました。
ですから、政府もこの部分に関しては「破綻する」という想定がありませんでしたので、私もあまり深くは考えてきませんでした。

【本日のテーマ】
ですが、やはりこの「厚生年金部分」に関しても検証は行っておくべきだと思います。
検証方法を考えたのですが、やはり一番フェアな検証方法は、最新の26年度単年度だけでなく、過去の収支状況まで遡って「安全である理由」を追求することが一番の検証方法ではないか、と考えました。

そこで、今回の記事では、現在厚労省のホームページで確認できる最も古いデータ(平成8年度:1995年)まで遡って、その収支状況を検証してみます。

情報的には厚生年金だけでなく、国民年金についても同様の調査を行います。

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このところ、私の「マクロ経済スライドの記事」へのアクセスが少し増えている状況にあります。

漸く皆さんの目に留まるようになったのかな・・・と軽く考えていたのですが、どうもその理由として、今国会で民進党が行っている質問内容に理由があったようです。

【玉木議員のマクロ経済スライドに関する質問】


質問者は玉木雄一郎議員です。
冒頭にあるGPIF関連についての内容は、まるでテニスコートの勝負を土俵で挑んでいるような内容になっているのですが、マクロ経済スライドに関連した話が出てくるのは2分40秒頃から。

玉木議員、「新規裁定者」についての解釈が間違ってますね・・・。
「新規裁定者」とは年金受給年度内に67歳になる人以下の年齢の人、既裁定者は年度内に68歳になる人以上の年齢の人を言います。「すでにもらっている人」とか「これからもらう人」とかいう解釈ではありません。

玉木議員の質問内容を文字起こししたものが民進党のホームページに掲載されていましたので、ご紹介しておきます。

2016年10月03日 【衆院予算委】「アベノミクスは年金と年金生活者の敵だ」と玉木議員

玉木議員が用いているパネルも掲載されていましたので、これも合わせてお示ししておきます。

【玉木議員事務所が作成したパネル】
マクロ経済スライド説明(玉木議員)
 年金制度をめぐっては、政府が先の通常国会で提出し、継続審議となっている年金制度改革関連法案では、賃金や物価の改定率よりも緩やかに年金の給付水準を調整する「マクロ経済スライド」を見直し、物価が上がっても賃金が下がった場合、今年金を受け取っている人の受給額を引き下げることを可能としている(現行ルールではゼロ改定)。

しかし、この玉木議員の質問、聞けば聞くほど頭が痛くなります。
多分、玉木議員、ある程度分かったうえで、あえてこのような説明を行っているのではないかと思うのですが、一体この人どっちを見て政治をやっているんだ、と思いっきり突っ込みたくなります。


厚生労働省が示しているマクロ経済スライド改定案

【公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案(平成28年3月11日提出)】
(※すべて必要なわけではないので読み飛ばしてください)
1.短時間労働者への被用者保険の適用拡大の促進(平成28年10月実施)

500人以下の企業も、労使の合意に基づき、企業単位で短時間労働者への適用拡大を可能とする。
(国・地方公共団体は、規模にかかわらず適用とする。)
※ 501人以上の企業等を対象に、平成28年10月から適用拡大を実施することは既に法定化。

2.国民年金第1号被保険者の産前産後期間の保険料の免除(平成31年4月施行)

次世代育成支援のため、国民年金第1号被保険者の産前産後期間の保険料を免除し、免除期間は満額の基礎年金を保障。
この財源として、国民年金保険料を月額100円程度引上げ。

3.年金額の改定ルールの見直し((1)は平成30年4月、(2)は平成33年4月施行)

公的年金制度の持続可能性を高め、将来世代の給付水準を確保するため、年金額の改定に際して、以下の措置を講じる。

(1) マクロ経済スライドについて、年金の名目額が前年度を下回らない措置を維持しつつ、賃金・物価上昇の範囲内で
前年度までの未調整分を含めて調整。

(2) 賃金変動が物価変動を下回る場合に賃金変動に合わせて年金額を改定する考え方を徹底。

4.年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の組織等の見直し(平成29年10月(一部公布日から3月以内)施行)

合議制の経営委員会を設け、基本ポートフォリオ等の重要な方針に係る意思決定を行うとともに、執行機関の業務執行
に対する監督を行うほか、年金積立金の運用に関し、リスク管理の方法の多様化など運用方法を追加する措置を講ずる。

5.日本年金機構の国庫納付規定の整備(公布日から3月以内施行)

日本年金機構に不要財産が生じた場合における国庫納付に係る規定を設ける。

厚労省が今回出している年金制度一部改訂に関する内容は上記の通りです。

玉木議員が話題にしているのはこのうち3番。

『年金額の改定ルールの見直し((1)は平成30年4月、(2)は平成33年4月施行)
公的年金制度の持続可能性を高め、将来世代の給付水準を確保するため、年金額の改定に際して、以下の措置を講じる。
(1) マクロ経済スライドについて、年金の名目額が前年度を下回らない措置を維持しつつ、賃金・物価上昇の範囲内で
前年度までの未調整分を含めて調整。
(2) 賃金変動が物価変動を下回る場合に賃金変動に合わせて年金額を改定する考え方を徹底。』

この内容を、「年金を減らす新ルールだ」と彼は言っているのですね。

ですが、本当にそうなのでしょうか?
次回記事に於きまして、玉木議員が発言している「デタラメ」な内容についてご説明したいと思います。

>>次回記事はこちら



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<継承する記事>第184回 マクロ経済スライドの改定内容をわかりやすくご説明いたします。①
それでは、前回の記事の続きです。
もう一度厚生労働省が提出した法案の内、年金に部分に関する概要をお示ししたいと思いjます。

【マクロ経済スライドの改正内容】
年金額の改定ルールの見直し((1)は平成30年4月、(2)は平成33年4月施行)

公的年金制度の持続可能性を高め、将来世代の給付水準を確保するため、年金額の改定に際して、以下の措置を講じる。

(1) マクロ経済スライドについて、年金の名目額が前年度を下回らない措置を維持しつつ、賃金・物価上昇の範囲内で
前年度までの未調整分を含めて調整。

(2) 賃金変動が物価変動を下回る場合に賃金変動に合わせて年金額を改定する考え方を徹底。

「年金制度」とはもともと、

「物価や賃金が上昇すれば物価や賃金に合わせて年金支給額を上昇させ、
物価や賃金が下落すれば物価や賃金に合わせて年金支給額も減少させましょう」


というルールで運用されてきました。これを「物価スライド」または「賃金スライド」といいます。
当時のルールでは、物価か賃金の内、上昇する場合は上昇幅が少ないほうを、下落する場合は下落する幅が少ない方を採用しましょう、ということになっていました。

西暦2000年に物価が下落した時、本来であれば年金支給額を減らす必要があったのですが、この時の経済状況を鑑みて、年金の下落を据え置く、「物価スライド調整措置」というものが採用されました。

このスライド調整は3年間継続し、2003年からはこの措置が終了し、物価が下落した分年金支給額も減少することになりましたが、この3年間の間据え置いた分の「物価スライド据え置き分」が解消されないまま、現在に至っているのです。

マクロ経済スライドが導入された2004年の年金制度改定では、この「据え置き分」について、

「過去3年分の物価スライドの特例措置(1.7%分)については、平成17(2005)年度以降、物価が上昇する状況の下で解消する。 」

とされていますが、2006年~2008年にかけて物価は上昇に転じるのですが、この据え置き分が解消されることはありませんでした。(2008年にはリーマンショックが発生しましたね)

現在の安倍内閣において年金支給額が減少している様に感じるのは、安倍内閣においてこの時の「据え置き分」の解消がスタートしたからです。ですが、この据え置き分の解消はすでに2015年に終了しており、2015年以降は正規の「マクロ経済スライド」が適用されています。


では、そもそも「マクロ経済スライド」と何なのか?


実は、先ほど述べた「物価下落」に関する記述は「マクロ経済スライド」に関する説明ではなく、あくまでも「物価スライド」。
つまり、マクロ経済スライドが導入される以前から導入されていた制度に関する記載です。

厚労省の改正内容の内、「マクロ経済スライド」に関する改正内容は実は(1)のみ。(2)は「物価スライド」や「賃金スライド」に関連した記載内容です。

「マクロ経済スライド」とは、同制度が実施されるまでの「物価スライド」や「賃金スライド」制度に「スライド調整率」を導入した仕組みのことを言います。

「スライド調整率」が導入されるのは物価が上昇する場合のみで、下落する場合には導入されません。ということは、「マクロ経済スライド」とは「年金上昇率を抑えるための仕組み」ということになりますね?

【スライド調整率図解】
スライド調整率

内容は第112回の記事 と同じものになりますが、内容は上図のようなイメージです。

「スライド調整率」は現役世代の人口の伸び率や受給世帯の平均余命(何歳まで生きるのか)というデータに基づいて政府が独自に作成したもの。計算方法まではわかりません。

法律では、「受給権者が65歳に達した日の属する年度の初日の属する年の3年後の4月1日の属する年度」以前と以降で法律を分けて適用されることになっています。


「物価変動率」と「賃金変動率」

私、単純に「新規裁定者」は賃金スライドが、「既裁定者」は物価スライドがそれぞれ単純に適用されるものと思っていたのですが、法律によりますと、どうやらいくつか組み合わせがあるようです。

大枠で、

新規裁定者が「名目手取り賃金変動率が1以上である場合」と「1を下回る場合」、
既裁定者が「物価変動率が1以上である場合」と「物価変動率が1を下回る場合」

に分けられます。

【新規裁定者の場合】
・名目手取り賃金変動率が1を下回る場合(通常は名目手取り賃金変動率を基準とします)
物価変動率が賃金変動率を上回る場合・・・物価変動率を基準とする。


【既裁定者の場合】
・物価変動率が1以上である場合(通常は物価変動率を基準とします)
物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回る場合・・・名目手取り賃金変動率を基準とする

・名目手取り賃金変動率が1を下回る場合
物価変動率が名目手取り賃金以下である場合・・・名目手取り賃金変動率を基準とする。
物価変動率が名目手取り賃金を上回る場合・・・物価変動率を基準とする

となっています。
「マクロ経済スライド」とは、それぞれの「基準」に従って毎年物価、又は賃金上昇率を「スライド調整」します。
このスライド調整率が現在は0.9となっていて、基準となる変動率が0.9を上回った場合にのみ年金支給額が上昇します。

0.9以下の場合は変動しません。改定ルールの中で、

『(1) マクロ経済スライドについて、年金の名目額が前年度を下回らない措置を維持しつつ、賃金・物価上昇の範囲内で
前年度までの未調整分を含めて調整』

とされているのは、物価(もしくは賃金)が上昇する過程において、例えば物価上昇率が0.5であった場合。
スライド調整率を下回っていますが、その差額0.4がマイナスされることはありませんよ、ということです。

物価、もしくは賃金が上昇する過程においては、年金が前年度を下回ることはなく、0.9以上上昇すれば年金も上昇しますよ、ということです。

それでは、もう一つ。私が「マクロ経済スライドの改正内容」に記した、厚労省の法案。

(2) 賃金変動が物価変動を下回る場合に賃金変動に合わせて年金額を改定する考え方を徹底。
これはすでに現行法案にも記されている内容です。改正法案では、重複していたりわかりにくかったりする部分を整理してはいますが、記している内容は全く同じ内容を記しています。


今回の改正内容には、あくまでも「賃金変動が物価変動を下回る場合に賃金変動に合わせて年金額を改定する考え方を『徹底』」するとしているだけで、何か特別に変更しようとか、そういうことを書いているわけではありません。

マクロ経済スライド説明(玉木議員)

そもそも「年金を減らす新ルール」などという表現が間違っていることは簡単に理解できますね?
玉木議員の説明は、「現行法制度を守る必要はない」と言っているに等しいのです。

しかもこのケースが発生するのは、
物価上昇率が1%を上回る状況の中で、名目手取り賃金の下落率が物価上昇率の絶対値を下回る場合、

もしくは
物価上昇率が1%を下回る状況の中で、名目手取り賃金下落率が1%を下回る場合

のどちらかです。
しかも玉木議員は、この状況が「現在発生している」と言っていますが、現在名目手取り賃金は上昇し続けています。

【全労働者の内、1年以上継続で働いた労働者の平均給与所得(国税庁より)】
2015年国税庁平均給与推移
「手取り」というわけではありませんが、明らかに安倍内閣に入って以来、給与所得の名目値は上昇し続けていますね?

今年度の厚労省データを見てみましても、5月にこそ前年同月比で0.1のマイナスを記録していますが、6月は1.4%、7月は1.2%とプラス成長。また賃金に反映される「物価」とは「消費者物価指数(総合)」ですが、原油価格の下落の影響で、むしろマイナスを記録しています。

パターンとして、名目手取り賃金変動率が1以下で、かつ物価変動率が名目以下である場合以外、年金はマイナスされてしまうことになるんですが、玉木議員が本当に年金受給者のことを思うのなら、本当に問わなければならないのはこの事じゃありませんかね?

安倍内閣としては、これを補てんするため、年金受給者に対して年6万円の給付を行うことを考えている様ですが。
玉木議員も動画の終わり辺りでこのことに言及しており、この点に関しては自民・民進の意見は一致した、と考えてよいのでしょうか?

大切な国会の予算委員会なんですから、このような見当はずれのレッテル貼りに終始するのではなく、きちんと国民の方を向いた、国民にとって本当に必要な議題について、安倍首相を論破するためじゃなく、国民が分かりやすく理解するためにその時間を使ってもらいたいものです。


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