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この記事のカテゴリー >>日本の税収の見方


情報としては遅ればせながら・・・という形にはなりますが、2016年度税収がついに決定しました。最終的には7月に決算額として正式なものが発表されるわけですが、2016年4月~2017年5月まで追いかけ続けてきた「2016年度税収」がついに決定しました。

内容としては、

【2016年度(平成28年度)税収】
一般会計総額 55.46兆円(前年比98.5%)

所得税 計 17.6兆円(前年比98.9%)
 内源泉分 14.48兆円(前年比99.3%)
 内申告分 3.1兆円(前年比104.7%)

法人税収 10.3兆円(前年比95.4%)

消費税収 17.2兆円(前年比98.9%)

とまあ、軒並み前年度割れをする惨憺たる結果となってしまいました。

勿論原因はきちんと検証する必要があるわけですが、今回の記事では私がこの「税収」に着目して統計を集めるきっかけとなった、「消費税収」に着目して分析をしてみたいと思います。


消費増税によって本当に消費は減ったのか?

「消費税収」とは、基本的に「消費されたもの」に対して課せられる税金です。
私はこの「税収」以外に「消費者物価」についても着目して記事を作成していますが、それもこれも安倍内閣に於ける「消費」が実際に増えたのか減ったのか、これを分析するためです。

というのも、1997年におこなわれた当時の橋本龍太郎内閣5%消費増税において、橋本増税が行われて以来、それこそ安倍内閣が誕生するまで橋本龍太郎内閣以前の一般会計税収を上回った年度は1年度たりともありませんでした。

理由として、「消費増税が行われたことにより消費が減退し、この事が企業の業績にも悪影響を与えた」という理由が一般的です。

そして2014年、安倍内閣において8%増税が行われた際、「増税は消費に悪影響を及ぼす」として橋本増税の悪影響が再び日本を押そうかの様な主張が日本全国で行われました。

この主張は今でも一般的に行われており、2016年度に消費税収も含めて一般会計税収全体が前年度割れを起こしたことを受けて、これを「2014年度消費増税の影響だ」という説がまことしやかに行われています。

特に強いのは、実は野党を中心とする安倍内閣否定派ではなく、内閣参与まで務めた一部元官僚を含め、現在の安倍内閣を支持ししている人の中での論調です。

ですが、2014年度に消費増税が行われたことにより、本当に2016年度の「消費」は減退したのでしょうか?


2016年度消費税収が前年度割れした理由

さて。既に記していますように、2016年度の消費税収は98.9%と前年度割れしています。

既に述べていますように、「消費税」とは、実際に起きた「消費」に対してかけられるもので、この理屈だけから考えると、消費税収が前年度割れしているということは、2016年度の消費が2015年度の消費を下回ったことを意味しています。

ですが、この理屈は本当に正しいのでしょうか?


【消費税が納税される仕組み】

中間申告の方法

こちらは過去の記事で何度かお示ししたことがあると思うのですが、消費税を納税する際の「中間申告」について示した図表です。

企業の前年度の納税額に応じて1年間の中間申告を含めた申告回数を

1回 2回 4回 12回

に分け、より多く納税した企業ほど中間申告を行える回数が多くなっています。

ですが、その企業が1年間にどれくらい収入を挙げられるかは分かりませんから、中間申告を行う際、企業は「前年度の収入を参考に」消費納税を行うことができます。

確定申告を含めた申告回数が12回であれば、前年度の納税額を12等分し、これを本年度に1か月分ずつ納税していくやり方です。

前年度の納税額が1億2000万円だったとすれば、今年度はこれを12等分し、1カ月に1000万円ずつ納税します。

最終的に確定申告を行う際、不足していれば不足する分を支払いますから当然申告月の納税額は前年を上回る(100%以上)ことになりますし、逆に多く納税しすぎていれば前年を下回る(100%以下)ことになります。


【2016年度消費納税額に感じていた違和感】


【2016年度月別消費納税額前年同月比】
4月 (前年、本年共マイナス)
5月 (前年、本年共マイナス)
6月 (前年プラス、本年マイナス)
7月 95.1%
8月 100.3%
9月 94.7%
10月 92.9%
11月 91.5%
12月 101.8%
1月 102.8%
2月 98.7%
3月 100.4%
4月 101.9%
5月 111.7%

上記図表は、月別の前年同月比です。4、5、6月の実数がマイナスになっているのは、前年度、海外に向けて販売を行った業者が消費納税額の「還付」を受けていることが原因です。

では、私が何に対して「違和感」を感じていたのかと申しますと、前述致しました通り、基本的に「中間申告」は前年度の実績を参考に納税されますから、通常であれば前年度と今年度の申告額は「同額」でなければおかしいはずなのです。

勿論、消費納税には2か月間の猶予がありますから、当月に納めたのか、1カ月後に納めたのか、2カ月後に納めたのかによって多少の誤差は生まれると思います。ですが、例えば特に10月や11月の様に10%近くも前年度割れすることには違和感を覚えます。

そして、消費税の納税方法として、
前年度の納税額に応じて中間申告を行う。
中間申告を行う際、本年度の納税額は本年度が終了するまでわからないため、前年度の納税額を参考にして納税を行う。

という方法がとられます。そして、

確定申告時、中間申告時の納税額が不足していれば不足する分を余分に納める為、確定申告時の納税額は前年度の納税額を上回る

為、中間申告時の納税額を本年度が昨年度を上回れば、年度最終付きの納税額は前年同月比で100%を上回ることになります。

企業によって決算月が異なりますが、最も多くの企業が決算月を迎えるのが政府会計年度末である3月。
そして、消費税納税は2カ月の遅延が認められていることから、年度で最も多くの企業が納税する月は3月より2カ月後、5月になります。

と、ここまでお伝えすれば察しの良い方はもうお気づきかもしれませんね。
2016年度最終付きである5月の消費税納税額は前年同月比111.7%。4月が101.9%、3月が100.4%となっていますね。

これは即ち、2016年度の消費税納税額が2015年度を上回っていることを示しています。

では、なぜ消費税納税額はトータルで前年度を下回っているのでしょうか?


消費税還付金の罠


【2016年度4月~6月の消費納税額】※( )内は2015年度の納税額です
4月 -360億円(-197億円)
5月 -344億円(-318億円)
6月 -1343億円(+222億円)

いかがでしょう。4月~6月までの間で、納税もされていないうちからマイナスされている金額。これは前年度の「還付金」であると考えられます。

例えば、増税年度の2014年から経年で消費税納税額の推移を見てみます。

【2014年度~2016年度の消費税納税額】
2014年 16.03兆円
2015年 17.42兆円
2016年 17.22兆円

ですが、4月~6月にマイナスされている額は、本来それぞれの年度に加えるべきではない数字ですから、2015年度の数字に515億円、2016年度の数字に2060億円をそれぞれ加えます。

2015年 17.47
2016年 17.43

また、2016年4月~6月にマイナスされていた2060億円という数字は本来2015年度分からマイナスされるべき数字ですから、17.47兆円から2060億円をマイナスします。

2015年 17.27兆円
2016年 17.43兆円

という数字が出てきます。ただ、2016年度もまた2017年度分からマイナスされることになりますので、この計算式はまだ途中経過だということになります。

勿論、ここに見えていない還付額もまだあるはずですから、この数字が正しいと言い切ることは出来ませんが、2016年度分の消費納税額が本当に2015年度分と比較して減っているのかということはまだ定かではありません。

また、2014年度の消費税納税総額が16.03兆円ですから、これと比較すれば仮に2015年の納税額を仮に下回っていたとしても、増税年度に比較すれば1兆円を上回る納税額を記録していることが分かります。


さて。ただ、とはいえ「2%の物価上昇」を目指す政府としては、やはり「消費の伸び」は欠かせない部分があります。「横ばい」ではだめです。

物価の記事 でもお示ししましたが、そろそろ「アベノミクスマジック」にも限界が見え始めていることは確かです。

だからこそ、本来の「安倍内閣」の魅力である「経済」についての効果を国民が感じられるよう、切れ目のない政策を打つことがとても大切です。ほんと、森友だ、加計だと大騒ぎしている暇なんてないんですけどね・・・。

今が「正念場」ですよ、安倍さん。


この記事のカテゴリー >>アベノミクスを問う


このところ、安倍自民党を支持する私たちとしては本当に心が重たくなるニュースが続いていますが、そんな中で久しぶりに胸がスッとするニュースが届きました。それが、タイトルにもある「至公会」の誕生です。

記事は産経新聞より、全文を転載いたします。当然長文になりますから、枠内は読み飛ばしていただいても大丈夫です。

【産経ニュース 2017.7.3 17:39】
麻生太郎会長「安倍政権を力強く支えていく」
新派閥「志公会」設立記者会見詳報


至公会
新派閥「志公会」の設立記者発表で発言する副総理兼財務相の麻生太郎会長=3日午後、東京・虎ノ門のホテルオークラ東京(酒巻俊介撮影)

 自民党の麻生派や山東派などが合流した新派閥「志公会」が3日、正式に発足し、都内のホテルで記者会見を開いた。会長に就任した麻生太郎副総理兼財務相は「安倍(晋三)政権を力強く支えていく」と述べ、派閥として安倍政権支持の姿勢を強く打ち出した。記者会見の詳報は次の通り。



 麻生太郎会長「本日、新しい政策集団として『志公会』を立ち上げる。名称については真言宗高野山、東山大僧正からお話をいただき、志を高く持たねばならないという話もあった。

 国会議員として議員になるのはただの手段であって、自分の立てた志を果たすために議員になっているわけなので、志を高く持たねばならない。志の在り方としては、基本的にどの方向に志を持つのかは個々人の話だが、公というものをきちんと腹に収めてやってもらいたいという思いもあったので志公会という名前にした次第だ。

 新たな政策集団を立ち上げる趣旨については、過日の5月15日の合意文書に書いているし、あのときも話したので重ねて申し上げるつもりはない。とにかく数を拡張する、数合わせ等々に興味があるのではないということも過日説明した通りだ。

 われわれは今、安倍政権を力強く支えていくことが国益につながっていくと、そう思っている。ここにいるほとんどの者は今から約5年前、自民党の総裁選にあたって、マスコミでは3番目といわれた安倍晋三を抱えて1番にした。あのときの主力メンバーが今ここにいるメンバーでもある。

 高村(正彦)先生、甘利(明)先生等々、多くのメンバーが当時から一緒にやってきた仲間だ。新しく政策集団として立ち上げたが、今の安倍政権をど真ん中で支えていくということには一点の乱れもない。

 今、都議選等々いろいろな話が昨日の選挙の結果としていわれているが、私どもは少なくとも国政の中において引き続き安倍政権をきっちり支えていく。その真ん中で頑張っていく。その決意を新たにしている」

 山東昭子会長代行「いよいよ新しい政策集団が誕生したわけだが、今国民が政治家に求めているものは何だろうか。一番はやはり信頼であると思っている。

 4月の時点で1億2693万人といわれている日本の人口。その中で国会議員は選ばれた722人。であるからこそ、やはり国会議員としての一挙手一投足が本当に重要になってくる。

 ときには、せっかく多くの皆さん方の協力によって築き上げた自民党政権を揺るがせるようなことにもつながりかねない。

 たった一人の政治家の重みは、一人一人がきちんと考え、行動するということ。これが一番大切ではないかと思っている。そんなことで新たな政策集団、あらためて国民のために、国益を考えながら政策立案に全力を尽くしていきたい」

 佐藤勉会長代理「私ども昨年来、麻生先生、そしていろいろ紆余曲折あったが谷垣(禎一)先生のもとでのいろいろな情報等々を鑑みて合流にこぎつけた。

 私は当然、吸収合併という思いをしていたら、麻生会長が、派閥をつくった上で合流をするというご意思だった。少ない私どもを一つの派閥として認め、合流というのはこの政界長くあっても今回が初めてだという思いに非常に共感をする。二大政党制がなかなかうまくいかなくなった中で、私どもの派閥がどういう役割を果たすかが非常に重要ではないか。

 いろいろな場面で、間違いなくこの集団が力を発揮するという思いの中で麻生会長、山東先生を中心とするこの会でしっかりと私ども、頑張っていかなければいけないとこの集団に参加した。

 若輩の私を集団に組み入れていただいた皆さま方に心から感謝を申し上げ、その恩に報いるためにも、この集団をきらりと光る集団にしたい」

 --都議選の結果、自民は厳しい状況にある。今だからこそ志公会が取って代わって自民党を引っ張っていくという考えは

 麻生氏「取って代わっての定義は?」

 --今後、内閣改造・党役員人事を見据えて政権の中枢として引っ張っていこうと

 麻生氏「今でも政権の中枢にあるのが、ここにいるメンバーのほとんどだという自覚はある。5年前に初めて安倍内閣ができるというのを予想したときは、おたくの新聞(朝日新聞)では確か安倍は3着だったよな? 君が書いたのではないかもしれないが、そう書いてあったろ? 結果的には1着になった。その1着を支えたのはここにいる60人が支えてきたと。俺たちはそう思っている。

 だから今でもど真ん中。これからもど真ん中。新しい派閥ができたから変わるというわけではない」

 --都議選の結果をどう受け止めているか

 麻生氏「国会議員の発言が地方選挙に大きな影響を与えたことは間違いない事実であって、それは謙虚に反省せにゃいかんし、受け止めなければいけないということははっきりしているのでは。

 明らかに国会議員の影響で都議会議員が被害ということにもなろうかと思う。それは事実だから、端的に自分で反省すべきところは反省すべきであって。気の緩みとかいろいろな表現もあると思うが、やっぱり5年前、当時野党で安倍総裁を生んだあの時代と比べ、5年近くたっているが気分的な緩みがあるのではないか等々、真摯に受け止めるということはみんなよく使う。真摯という言葉がどういう意味で使っているのかよく分からんところがないわけではないが、私どもはそういった点は率直に認めた上できちんとした今後の対応をしていかなければいけない」

 山東氏「安倍首相はやはり高い支持率に守られてきた。答弁不足、答弁に納得ができないという世論の、いわゆる森をちょっとよく見なかったのではないか。その結果がこの選挙に表れているという気がする。本当に原点に返って、しっかりと自民党が立ち直っていかなければいけない」

 佐藤氏「結果は謙虚に受け止めなければいけないと思う。少なくとも国対で長く仕事をしてきた者としては、こういう会を通じて後輩の指導育成をしっかりとやっていくということをやらなければ、なかなかああいう発言等々収まっていかないのでは。

 言論を封じるということではなくて礼儀をしっかりと持っていただく。そして国会議員としての矜持をしっかりと持っていただくという教育の場を、私どもがしっかりと担っていくということではないかと思っている」

 --大宏池会構想という話もあって、岸田派との連携や合流は

 麻生氏「大宏池会の定義って? 大宏池会って、宏池会知らないだろ、基本的に? その若さだと。よほど勉強していない限り知っているはずないから。大宏池会の定義は?」

 --昔分かれた河野グループや谷垣グループなど、そういう勢力がもう一度結集するという…。今回ちょっと枠組みは違うかもしれないが、岸田派との合流はどう考えているか

 麻生氏「大宏池会というのではなくて、この派閥と岸田派が合併するかしないかと聞いた方がわかりやすいやね。大宏池会という誰かが使っているようなことをいい加減に使わない方がいいよ。知らないんだからね。知らないことは知らないと謙虚に反省してだな。

 岸田(文雄)さんのところがどうされるかについては、私どもとして今、岸田さんがどう考えているかはよく分からないので何ともお答えのしようがない。ただ現在、岸田さんと直接合併の話をしているということはない」

 --昨晩、安倍首相と菅(義偉)官房長官、麻生氏、甘利氏で会食したようだが、新派閥について総理と長官から何か言葉はあったか。安倍政権を支えていくというが、具体的にどういう政策で支えていくのか

 麻生氏「派閥立ち上げにあたっては『期待しているからね』と励ましてもらった。それ以外にはない。

 2つ目は、ど真ん中で支えるというのは政権が安定したが故にわれわれはこれまでの経済政策をこれだけうまくやれた。これは世界が認めている。(質問者の)産経新聞はどうか知らないけど。資産デフレーションによる不況からの脱却にわれわれは主眼を置いてやってきて、それがこれだけうまく成功できたのは経済政策に継続性が持たせられた(からだ)。

 すなわち経済政策を安定して続けることができたということは政権が安定したから。それに尽きる。政権の安定以上に経済政策に貢献した政策はなかったといってもいいくらいだ。

 基本として今、政権の真ん中にあってきちんとした経済政策を引き続き継続させていくことで国民生活のより安定、より繁栄というものをやっていくということだと理解してもらえればいい」

どこを切り取ってもこの記事の価値をさげてしまいそうなので、あえて全文を掲載しました。
記事の中で、私の中で特に熱く思ったのは、以下の部分です。

--昨晩、安倍首相と菅(義偉)官房長官、麻生氏、甘利氏で会食したようだが、新派閥について総理と長官から何か言葉はあったか。安倍政権を支えていくというが、具体的にどういう政策で支えていくのか

 麻生氏「派閥立ち上げにあたっては『期待しているからね』と励ましてもらった。それ以外にはない。

 2つ目は、ど真ん中で支えるというのは政権が安定したが故にわれわれはこれまでの経済政策をこれだけうまくやれた。これは世界が認めている。(質問者の)産経新聞はどうか知らないけど。資産デフレーションによる不況からの脱却にわれわれは主眼を置いてやってきて、それがこれだけうまく成功できたのは経済政策に継続性が持たせられた(からだ)。

 すなわち経済政策を安定して続けることができたということは政権が安定したから。それに尽きる。政権の安定以上に経済政策に貢献した政策はなかったといってもいいくらいだ。

 基本として今、政権の真ん中にあってきちんとした経済政策を引き続き継続させていくことで国民生活のより安定、より繁栄というものをやっていくということだと理解してもらえればいい」

文章としては一番最後のパーツですね。

以外に思われるかもしれませんが、このパーツの中で、まず最初にピンと来たのは産経記者の質問で、

 昨晩、安倍首相と菅(義偉)官房長官、麻生氏、甘利氏で会食したようだが、
 新派閥について総理と長官から何か言葉はあったか。


この部分、多くの方は以下のようなニュースでご覧になっているのではないでしょうか?

惨敗・自民 安倍首相が麻生、菅両氏らと仏料理店で会談 内閣改造・自民党役員人事へ
(サンケイビジネスより)

敢えてタイトルのみ引用しましたが、TVのニュースでも、

 「東京都議選に於ける惨敗を受けて、安倍さんが麻生副総理、菅官房長官らとフランス料理店で会談」

といった趣旨で報道されていたように思います。


第二次安倍内閣の原点

多くの方は忘れていらっしゃるかもしれません。
私の記憶からも薄れつつあったくらいですし。

第二次安倍内閣は、「安倍・麻生・菅」そして、「甘利」。この4人から始まったんです。

第54回 甘利特命担当大臣、本当にお疲れさまでした m(_ _)m

TPP交渉に於いて、正(まさ)しく「死ぬような思い」をして日本の為に邁進した甘利 明さんの存在です。
記者質問を読んだとき、私は本当にうれしい思いがしました。ああ、あの場に甘利さんがいたんだ・・・と。

そして、彼のその「功績」に泥を塗ったのもまた「マスコミ」でした。

今回の都議選までに至るマスコミと野党の「党利党略」のみを優先させた陰湿な嫌がらせを見ていると、麻生内閣が崩壊したあの過程を見ている様で、本当に怒りを覚えます。

麻生さんもきっとあの時に自分自身が味わった屈辱を彷彿しているのではないでしょうか。だからこそ、第二次安倍内閣に同じ思いをさせない様、本当に一生懸命なんだと思います。


オレたちは麻生派!

また、ピックアップした部分に、

 2つ目は、ど真ん中で支えるというのは政権が安定したが故にわれわれはこれまでの経済政策をこれだけうまくやれた。

 これは世界が認めている。(質問者の)産経新聞はどうか知らないけど。

 資産デフレーションによる不況からの脱却にわれわれは主眼を置いてやってきて、それがこれだけうまく成功できたのは経済政策に継続性が持たせられた(からだ)。


とあります。

私の中にある「政治」の原点は、何時だって麻生さんです。
所謂「保守層」の方たちに対して、あえて誤解を恐れずに述べるとしたら、「憲法」や「防衛」の問題も確かに確かに大切かもしれません。ですが、それよりも何よりも、やっぱり安倍内閣の最大の魅力は「経済」にあると思うのです。

勿論「憲法」や「防衛」の問題も蔑ろにしてよいとは思っていませんし、特に「憲法」に関しては安倍内閣でなければ実現できないことも沢山あると思います。

ですが、それよりも何よりも「経済」の安定。そしてその「繁栄」を私たち国民が本当の意味で「実感」出来ることこそ、本当に安倍内閣が求められているものなのではないでしょうか?

そしてその中心に、ついに麻生さんが着座しました。

だれが何と言おうが、私たちは「麻生派」です。
そして今回の記事に快哉を叫んだのは、そんな「麻生派」を「勝手に」自認している皆さんなのではないでしょうか?

もう一度あの「麻生内閣」を再現してほしい。それを心から願っているのは私だけではないはずです。
そして、現在の安倍内閣はこれを実現することができるはずです。

安倍内閣「第三の矢」は、構造改革ではありません。あくまでも「民間投資を喚起する成長戦略」なのです。

国民の目から見て「面白い!」とワクワクすることができるような新たなる経済政策をぜひ、麻生さんを中心に私たち国民に披露してもらいたいと、そう心から願っています!!

あの時の夢をもう一度!! 期待してますよ、麻生さん(*^^)v


この記事のカテゴリー >>日本の税収の見方


さて。本日は2017年6月4日ですが、6月の月初に、2016年度4月分税収が公表されています。

第317回の記事 でお伝えしましたが、2016年度9月まで、ほぼ毎月記事にしていた税収の話題なのですが、消費税の納税方法の観点から、毎月記事を更新することそのものに意味がないことに気づかされてしまったため、それ以降は税収に関連した記事を中断していました。

理由は 第317回の記事 をご参照いただければと思います。

ただ、いよいよ先月、2016年度3月より、2016年度の実績に伴った消費納税が本格的に行われ始めたのではないか、と推測されるため、先月より再び記事を作成しています。

政府会計年度に於ける2016年度は実際には3月で終了するのですが、税収に関しては特に法人税、及び消費税の申告期限が、「事業年度終了の日の翌日から2か月以内」となっていますので、税収の会計年度は5月迄継続します。

他の税収に関しましても、遅れて納税されるケースもありますので、他の税収に関しても5月迄納税額は増加しています。

さて、それでは2016年度4月税収を見てみましょう。

【2016年度4月分税収】
2016年度4月分税収


私がこの「税収」にこだわるのは、私がこのブログで年間を通じて掲載している「GDP」や「消費者物価」、「賃金」などの統計に比べて、この「税収」という項目は、正確な「実数」であるから。

GDPや消費者物価、賃金等あくまでも「アンケート結果」に基づいて計測し、統計的手法を用いて算出した「概数」でしかありません。その数字が本当にあっているのかどうかを知る方法など、政府機関も含めて誰も持ち合わせていないのです。

ところが、この「税収」だけは違います。
実際に企業が営業活動に応じて手にした売り上げや利益の中から、実際に納税した金額を集計して計測した「実数」なのです。

もちろん納税する側が正確に申告し、納税しているのかという問題はありますが、その部分を除けば「税収」ほどその年度内の経済状況を正確に反映しているものはありません。私が統計指標として「税収」を大切にしている最大の理由はこれです。

また、同時に既に述べていますように、「税収」はその項目によって集計方法や納税するためのルールが異なりますから、最終月、5月の時点で大どんでん返しがあることもありますので、税収からその年度の景気を予測する私としましては、本当にこのデータを示すのは、「戦々恐々」です。

では、4月度の税収の内、3大税収である「所得税」「法人税」「消費税」をピックアップしてみましょう。

【2016年度3月分税収】
所得税合計
4月分 2,654,259 前年同月比 100.9←117.2
累計 17,535,996 前年同月比  98.9←98.5
予算前年度比 99.5% 進捗 99.0% 前年度 99.6%

 源泉徴収分
 4月分 1,142,385 前年同月比 102.6←123.8
 累計 14,475,021 前年同月比  98.1←97.7
 予算前年度比 99.2% 進捗 98.8% 前年度 98.1%

 確定申告分
 4月分 363,233 前年同月比 99.6←111.5
 累計 1,511,874 前年同月比 103.0←106.5
 予算前年度比 100.7% 進捗 100.2% 前年度 98.0%

法人税 
4月分 411,243 前年同月比 91.6←110.6
累計 5,593,693 前年同月比 94.1←94.3
予算前年度比 102.9% 進捗 53.9% 前年度 58.9%
消費税
4月分 1,795,323 前年同月比 101.9←100.4
累計 14,250,596 前年同月比 96.6←95.8
予算前年度比 96.4% 進捗 84.8% 前年度 84.7%

一般会計税収総額
4月分 5,510,848 前年同月比  100.2←101.5
累計 47,580,778 前年同月比  97.9←97.7
予算前年度比 99.2% 進捗 85.2% 前年度 86.3%

さて。中々微妙な数字ですね・・・。
「所得税」に関しましては、年間を通じて最も大きな数字が出てくる月が4月、つまり今回の統計結果となっています。
前年度比として0.4%足りていませんが、5月度でどこまでこの数字をカバーできるかが肝ですね。

「所得税」の中でも確定申告分は累計で前年度比103%を達成しており、所得税の予算前年度比が100.7%、この数字に対する進捗割合が100.2%となっていますので、既に前年度をオーバーしていることが確定しています。

「法人税」と「消費税」の税収が年間で最も大きくなるのは次月である5月。

一般会計税収総額は前年度比97.9%。その額は約1兆円です。
法人税が▲3746億円、消費税▲5090億円。

所得税源泉徴収分差額が▲2871億円所得税申告分が+882億円。所得税全体としては▲1988億円。
所得税5月分は毎年全体で700億円~800億円ですから、どう頑張っても所得税全体でのマイナス分を取り返すことは難しいと思われます。

つまり、所得税収は前年度割れ。この理由として、私が居住する四国の所得税状況として、事業主が納める申告分所得税は増えたものの、投資から生まれる所得税が減少したため、前年度割れをした、との報道がありました。つまり、実体経済によらない、金融頼みで収益を得ていた人たちの所得が減収したということです。

これを見ても、私がさんざんお伝えしている通り、「金融頼み」ではなく、「労働の対価」として支払われる「給与」や「経営」によって所得を得ることが大切であることがよくわかります。

話が少しそれましたが、所得税で落とすことがほぼ確定している税収分を果たして法人税及び消費税で賄うことが出来るのか。この差額を5月一月で解消できるのか、という部分が見所ですね。

ちなみに、2015年度5月のデータによりますと、法人税収は4兆5889億円。消費税収は4兆1253億円。共に4兆円を上回る税収です。この2税で、4月分で前年度割れしている1兆円分を補てんすることが出来るのか。

本当にドキドキものです。


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<継承する記事>
第321回 2016年度(平成28年度)名目/実質GDPが公表(速報)前編

2016年度GDPに関しまして、前回の記事では高橋洋一氏の見解をただす形で記事を作成しましたが、今回は改めまして私自身の視点から「2016年度GDP」公表結果についてポイントを整理してみたいと思います。

既にお伝えしています通り、私が大切にしているGDPは

・名目
・原系列
・前年同月比

という3つの要素を持ち合わせた指標です。
一方マスコミ等が重宝したがる

・実質
・季節調整系列
・年率換算
・前期比

という指標は、実際の経済現象では起きていない、経済予測に基づいて人為的に算出された数字が多く用いられていますので、私は全くあてにしていません。「実質値」に関しては参考にはしていますが、それ以外の数値は信頼に値しない数字だと考えています。

ですので、四半期別GDPを考えるときは「名目原系列前年同月比」を中心に記事を作成しているわけですが、一年で唯一、「1-3月期」、つまり2016年度であれば「2016年度第4四半期」の統計データが出て来た時だけは、「前年同月比」ではなく、「前年度比」という1年間を通じて、季節の変化まですべて反映された統計データを比較することができます。

「四半期別GDP」ではなく、「年度別GDP」で最大のマクロ指標、「GDP」を見ることができます。

内閣府


2016年度GDPの統計結果

【2016年度GDP(前年度比)】
名目GDP
全体 537.986 兆円(1.2%)

 民間最終消費支出 299.8 兆円(1.2%)
 家計最終消費支出 293.0 兆円(0.3%)
  除く持家の帰属家賃 243.1 兆円(0.3%)

 民間住宅 16.9 兆円(6.2%)
 民間企業設備 82.4 兆円(1.6%)

実質GDP
全体 523.4 兆円(1.3%)

 民間最終消費支出 297.0 兆円(0.6%)
 家計最終消費支出 289.3 兆円(0.6%)
  除く持家の帰属家賃 236.5 兆円(0.4%)

 民間住宅 16.0 兆円(6.5%)
 民間企業設備 81.3 兆円(2.3%)

こちらが「2016年度」のGDP統計結果です。


2016年度GDP評

政府が様々な経済政策に取り組んでいる理由は、こちらに掲載された「民間」の消費を伸ばすことにあります。
言い換えれば、これらの項目さえ伸びているのであれば、「政府最終支出」や「公的固定資本形成」などを気にする必要はありません。

上記指標の中で大切なのは「名目GDP」が伸びているのか、それとも下落しているのかということなのですが、見ての通りきれいにすべての項目でプラス成長を遂げています。そしてそれは名目だけでなく実質も同様です。

民間最終支出、家計最終消費支出の伸び率が0.3%とやや勢いを欠くように見えますが、カテゴリー 「物価」の見方 で散々追求してきた様に、これらの消費支出には「エネルギー価格」の大幅な下落、及び家電製品の下落が反映されており、逆に言えばそれにも関わらず消費支出全体としてはプラス成長を遂げたのだ、ということです。

物価サイドから見ると、エネルギーの消費者物価前年同月比がマイナスからプラスに転じるのは2017年2月から。
家計最終消費支出を四半期別に見ると、第3四半期(10-12月度)も第4四半期同様プラス成長していますが、この時はまだエネルギー価格は全体でマイナス。代わりに生鮮食品が高騰しました。

第4四半期に至ってようやくエネルギー物価が前年同月比プラスに転じますが、それでも実際にプラス成長しているのは1月~3月の3か月の内、2月、3月の2か月間。

2016年度1年間の名目GDPを見ますと、4月~6月の第一四半期、7月~9月の第二四半期の民間・家計最終消費支出は前年度割れしており、残る10月~12月の第3四半期、1月~3月の6か月間で年度全体をプラスに押し上げていることになります。

この時、年度後半の二四半期がプラス成長した理由が本当に経済成長したからなのか、それとも私が説明した様に、「エネルギー価格」の前年度比が第4四半期においてようやくプラスに転じ、かつ第3四半期に於いて生鮮食品の価格が高騰したことに伴う一時的な現象なのか。

これを判断するときに役に立つのが「実質GDP」なのです。


2016年度実質GDPの動向から見える2016年度の経済状況

既実質GDPは名目GDPを持家に帰属する家賃を除く消費者物価指数で割ったものであり、名目も消費者物価指数も、元々人為的な計算方法を用いて算出されたものですから、人為的に算出された数字を人為的に算出された数字で割った「実質GDP」は、更に信憑性の薄いものとなります。

ですが、季節調整系列や年率換算に比べればまだ参考にはなる数字です。
実質GDPの捉え方は飽くまでその程度である、と念頭に置いた上で今後の文章は読んでいただければと思います。


前回の記事でも、第218回の記事 でもご説明しました様に、「実質GDP」とは消費された「数量」の事。名目GDPは消費された「合計金額」の事。

名目成長率と実質成長率は以下の様な数式で表すことができます。

 名目成長率-実質成長率=物価上昇率

この等式を頭に入れて2016年度名目GDPと実質GDPを見てみますと、とある特徴があることに気づかされます。
それは、全ての項目にわたって「実質成長率」が「名目成長率」を上回っているということです。

これは、言い換えると物価が下落しているということで、高橋洋一流に言えば「GDPデフレーターが下落している」ということで、「失われた20年や25年に戻った」ことになるのかもしれません。

ですが、そんな高橋洋一の説など詭弁にすぎません。
バブル崩壊以降の日本国経済は、「名目値が下落する中で物価が下落していた」のです。

ですが、2016年度に起きた経済現象は「物価が下落する中で、名目値は上昇していた」ということ。安倍内閣以前の経済とは全く事情が異なります。

言い方を変えれば、「物価は下落したが、販売総数は大幅に上昇し、結果として売上総額もプラス成長した」というのが2016年度のGDP評です。

一方で第3四半期に於いて生鮮食品の価格が高騰し、第4四半期に於いてエネルギー価格が前年度比でプラス成長したことが2016年度の家計最終消費支出を押し上げた最大の原因とは考えられるわけですが、2016年度第4四半期前年同月比に限定して数字を見てみますと、

【2016年度第4四半期GDP統計結果】
名目GDP
全体 0.8%

 民間最終消費支出 1.0%
 家計最終消費支出 1.0%
  除く持家の帰属家賃 1.2%

 民間住宅 8.0%
 民間企業設備 3.0%

実質GDP
全体 1.6%

 民間最終消費支出 1.0%
 家計最終消費支出 0.9%
  除く持家の帰属家賃 0.9%

 民間住宅 6.9%
 民間企業設備 3.0%

確かにGDP全体で見ると名目0.8%、実質1.6%、物価上昇率 -0.8% ですから、高橋洋一流に言えば「悪い状況」なのかもしれません。

ですが、よく見てみましょう。
民間最終消費支出は 名目1.0、実質1.0 の物価上昇率0%、
家計最終消費支出は 名目1.0、実質0.9 で +0.1% の物価上昇率。
除く持家の帰属家賃は 名目1.2、実質0.9 で +0.3% の物価上昇率。

民間住宅は 名目8.0、実質6.9%で1.1%の物価上昇率。
民間企業設備は 名目3.0、実質3.0で 0%の物価上昇率。

企業消費支出こそ0%と横ばいですが、家計、特に私が重視している「持家に帰属する家賃を除く家計」は0.3%のプラス成長、民間住宅は1.1%の物価上昇を果たしているわけです。

これ、本当に「悪い状況」なんですかね、高橋洋一さん。
確かに第4四半期は「エネルギー物価」がプラスに転じており、ひょっとするとそれが原因だったのかもしれません。

ですが、伸びているのは「名目」だけでなく「実質」も伸びています。エネルギー物価が上昇し、物価全体が上昇したにも関わらず、「名目」と同時に「実質」も上昇しているんですよ。

ではなぜ「GDP全体」では物価が下落したことになっているのか。
確かに「政府支出」が前年度割れしていることにも原因はあるのかも知れません。ですが、政府が経済政策を行う最大の理由は「GDPデフレーターをプラス成長させること」にあるのでしょうか?

違いますね。GDP統計で云うのなら、「家計最終消費支出(持家に帰属する家賃を除く)」ことにこそ政府が経済政策を行う理由はあります。

そして統計データとして、「輸出入デフレーター」に於いて、実質と名目で輸出入の前年同月比が逆転していることも忘れてはいけません

マネタリストたちの中では完全に「目的」と「手段」が入れ替わってしまっているのです。
GDP評で言うのなら、2016年度GDPは

「GDP、及び民間消費、設備投資に於いて名目成長率を実質成長率が上回る状態となったが、全ての項目に於いて名実ともにプラス成長することができた。

最新の2016年度第4四半期に於いては民間企業の物価成長率こそ横ばいだが家計においては名実、物価成長率すべてでプラス成長を果たしており、漸くアベノミクスの成果を家計に於いても実感できる状況が生れた」

とするのが正しいのではないでしょうか?

今後もGDP、賃金、物価、税収。これらの項目を中心に、引き続き詳細な政府統計の分析を行っていきたいと思いjます。


この記事のカテゴリー >>GDPの見方


年間に一度しか訪れないこの決定的瞬間。
私にとっては非常に楽しみな日でもあります。本日は2016年5月21日ですが、18日、2016年度GDPが発表されました。

あくまでも速報ベースではありますが、これは私が四半期ごとに追いかけてきたカテゴリー GDPの見方 の記事や、ほぼ毎月追いかけて来たカテゴリー 物価の見方 の記事の正当性が評価される瞬間でもあります。

分析屋としての私の情報が正しかったのか、それとも誤りだったのか。これが今回行われた年度別GDPの結果によって判断されます。


先ずは、ロイターによる報道から記事にしてみます。

【ロイター記事より】
1─3月期実質GDPは年率+2.2%、5四半期連続プラス成長=内閣府

[東京 18日 ロイター] - 内閣府が18日発表した2017年1─3月期国民所得統計1次速報によると、 実質国内総生産(GDP)は前期比プラス0.5%、年率換算でプラス2.2%となった。5四半期連続のプラス成長となった。

ロイターがまとめた民間調査機関の事前予測では1─3月期GDPの予測中央値は前期比プラス0.4%、 年率プラス1.7%だったが、これを上回った。   プラス成長に寄与したのは主に民間最終消費支出、外需だった。

GDPデフレーターは前年同期比マイナス0.8%だった。

この結果、2016年度の成長率は実質前年度比プラス1.3%、名目同1.2%となった。

私とすると、一番肝心なのは最後の文章一文なんですけどね。

私のブログを継続的にお読みいただいている皆さんには既にご存知のことかもしれませんが、GDP統計を見る中で私が一番重要だと思っているのは、「極力人為的な計算が行われていないこと」です。

もちろんこれを完全にやれ、何てのはまず不可能ですし、どうしても人為的な計算方法に頼らなければ算出できないのもGDPに代表されるマクロ指標の特徴です。

ですが、だからこそそんなマクロ指標の中でもより人為的な計算が加えられていない指標。即ち「名目値」が一番信頼に足る情報だと考えています。

で、今回引用しているロイター記事ですが、まあツッコミどころ満載、と。おそらく政府が発表した情報を何も考えることなくそのまま掲載したのでしょうが、

「1-3月期実質GDPは年率+2.2%」

と記されていますね?
一件、「めちゃめちゃいいじょうほうじゃん!」と大喜びしてしまいそうな情報ですが、

1.この数字はあくまでも「実質GDP」であり、名目値ではない。
2.「年率」とは年率換算の事であり、そもそも1-3月期と同じ成長率が1年間続くことなどありえないこと。
(年率換算に関しては、第140回の記事 をご参照ください)
3.年率換算が行われているということは同時に「季節調整」が行われており、その季節特有の状況を計算式で算出することなどそもそも不可能である

という3つの点から、まずこの数値そのものを私は相手にして居ません。
そもそも、ロイター記事文末に掲載されているとおり、「2016年度一年間を通じてのGDP」が既に出ているのに、なぜ一番大切な年間のGDPではなくわざわざ1-3月期の実質値を年率換算したものをタイトルとして選択するのか、私にはまったく理解できません。

ちなみにロイターだけでなく、他のほとんどの報道局が同様のタイトルを選択しています。


高橋洋一のデタラメなGDP解説

このことに関して、以下の動画内で、高橋洋一氏も同様の見解を述べているのですが、



私ははっきり言ってこの人が大っ嫌いです。
例えば動画内に於いて高橋洋一氏は、私と同じように「1-3月期実質GDPは年率+2.2%」という数字が名目値ではなく実質値であることを指摘し、「本当は名目値の方が生活実感に近く大切だ」と言っています。

彼のセリフを文章化してみます。
※読む価値ないんで、枠内はとりあえず読み飛ばしてください。後程ポイントとなる部分を解説します。
今のお話があったのは、実は実質っていうやつですね。

で、あの、実は経済っていうのは名目っていうのもあって、より実感に近いのは名目だと思いますよ。
で、名目の数字を見ますと、実は前期比の、年率換算っていうのを見ると、マイナス0.1%。ですね。えっと、前期比でやるとマイナス0%っていうことなんですけど、この値を4倍しまして0.1%っていうことになってますね。

で、こういう数字見るときにまあ、GDP速報ってたくさん数字があるんですけどね。私がいつも着目しているのは、実はGDPデフレータなんです。このGDPデフレーターっていうのは、消費者物価と卸売り物価を合わせたまあ、全部の物価みたいなイメージでいいです。

でそれが、1994年以降はず~っとマイナスだったんですよ。で、安倍政権になって1年くらいしてようやくプラスになりはじめて、プラスの2~3ぐらいまでうまく行ったときもあったんですね。それなんですけど今回この数字がまたマイナスになってしまったっていうのが私がすごく懸念しているところではあります。

このGDPデフレーターで今期の1-3月期を前の年と比べるとどうかっていうと、マイナス0.6%。っていう数字ですね。これよくないですね。ちょっとこの数字だけ見ますとデフレに戻っちゃったのかなと。そんなイメージっていうか、そういう事すらありますね。

安倍政権になってからこのデフレーターはずっとプラスになってたからよかったんじゃないかと思ってたんですけど、逆にこの、前の失われた20年か25年くらいに近い数字がちょっと出てきちゃった。

アナ
「実質でこの0.5%増っていうのは、ある意味で、物価が下がった分だけ上がった様に見えてるだけ」

そうそう。だから名目の方は実際は殆ど変わっていないってことは、実際実感はよくないと思いますね。

で、そのデフレーターの数字をまたあげますとね、2014年度はね、このデフレーターが2.5%だったわけなんですよ。
これは良い数字ですよ。

次がね、2015年度。これが、1.5%になっちゃった。

今度、2016年度、またマイナスになって、これすごく嫌な数字でマイナス0.2なんですよ。
で今もうちょっと、それより大きい数字でしょ?更にマイナスな数字でしょ?

これはね、悪い状況だと思うんですね。

アナ
「ここ3年見るとだから1%ずつデフレーターが下がってきちゃった」

これはね、そこの上のどんな変数がそこに関係しているかって見ると、その上の方に公的需要ってね、公的需要っていうと政府の消費と投資合わせた数字なんですけどね。その公的需要の数字を見ると2014年度、これが2.1。

それが2015年度、1.0。それで2016年度、マイナス0.6。なんか似てるじゃないですか、これ。

アナ
「これほど・・・」

動き同じでしょ。だからこういうの分析すると、これが悪いんじゃないのと、実は思えちゃう。同じような動きでしょ?
他の見ると同じような動きってないんですよ。だからこれがしぶちんになってて、緊縮財政なんですよ。

2014年度それすぐに税金巻き上げちゃったっていうのがあってその後。消費増税して、そして消費を崩して、その後段々消費は持ち返していくんですけど、その後の財政支出、2015年、16年度、この2年度で財政支出をしない。だから全然持ち上がらない。そんな感じ。

アナ
「決算見ると、確か2013年度がポンと上がったんですけどその後ってちょっとずつ減ってるんですよね。でそれが社会保障はどんどん増えてるから、実際使ってる真水がどんどん減っているような」

ですからね、財政の方がちょっと悪さしてて、オペレーションがちょっと間違ってるんじゃないかなっていう風にこの数字からは見えるんですね。ですから財政の方もうちょっと出してもいいと思うんですよね。

で今国債で私教育国債の話なんかしてますけどね。財政再建ができてなくて今でも財政危機だっていう人いるんですよ。それ、嘘ですよ。要するにマーケットに国債がない状態なんですよ。マーケットに1000兆あるんですけど、日銀が400兆円以上持ってるとか、ほんでほかの所にも手放せないなんて言ってもう、国債不足なんですよね。

こういう時に国債を出して、国債を出しつつ政府支出を出すっていうのがまあ常道なんですよね。王道なんでまあそれをやるべきってのがこの数字から見えてくるんじゃないかなって私は思ってるんですね。

アナ
「むしろ今千載一遇の好機っていうか」

ですよ。低金利っていうか、ゼロ金利でしょ?
こんな時に投資しない人いませんっていう話ですよ。こういう時にはどんどん投資しましょうと、

アナ
「これ、民間はこの金利に敏感だなっていうのが、民間住宅ってものすごく伸びてますよね。」

住宅金利があの、金利が安いから住宅ローンが安いからってからほとんどゼロとか0.何%ととか1%切ってるの多いじゃないですか。それはそれで出るんですよ。

でもね、民間はちょっと出にくいんですよ。住宅投資以外の設備投資だと先が不安なんですね。
今ちょっといいけど、この2~3年度どうなんですかっていうと不安なんですね。そういう時には先に出るのは実は政府です。

政府はそういうこと気にすることなくて、先に行って民間を呼び水の様にしたくなる。だから民間の呼び水になる、政府が出ていくって言うのがセオリーなんですけどね。それをちょっとしない、やらないっていうと、日本経済ちょっと、先行き不安ですね。

きりがないのでこのあたりで。

彼、「名目が大切だ」と言及した後で「私がいつも着目しているのは、実はGDPデフレータなんです」と発言しています。

私もGDPデフレータを見ることはは確かに大切だと思います。このことは、第218回の記事 でもご説明した通りです。

ですが彼、まずGDPデフレーターについて、以下の様に言及しています。

 「GDPデフレーターっていうのは、消費者物価と卸売り物価を合わせたまあ、全部の物価みたいなイメージでいいです」

いやいやいや・・・おたく、曲りなりににも経済学者を名乗ってるんでしょ? 全然違うんですけど。


高橋洋一のでたらめな実質GDP解説

「GDPデフレーター」っていうのは、そもそも「名目GDP」を「実質GDP」で割ったもの。
物価が下落すれば分母である実質GDPが上昇しますのでGDPデフレーターも下落しますし、逆に上昇すれば分母である実質GDPは下落しますので、GDPデフレーターは上昇します。

ではその「実質GDP」とは何ぞやと申しますと、「名目GDP」を「消費者物価指数(持家に帰属する家賃を除く)」で割ったものです。GDPに於いて下落するとされる物価はこの「持家に帰属する家賃を除く消費者物価指数」のことです。

実質GDPの分母に来るものが消費者物価指数ですから、物価である消費者物価指数が下落すれば実質GDPの値は大きくなり、消費者物価指数が上昇すれば実質GDPは小さくなります。

ですので、肝心なのはこの「消費者物価指数」が一体どのような理由で下落し、どのような理由で上昇したのか、という事。

例えばエネルギー以外の物価は上昇しているのに、エネルギーが大幅に下落したため消費者物価全体を引き下げてしまったとか、10-12期は生鮮食料品が高騰したけれども1-3月期は正常に戻っただとか、こういう特殊な事情がGDP統計では捕捉し切れていないんですね。

これは、私がカテゴリー 物価の見方 に於いてしつこいほど消費者物価指数の詳細を追いかけている理由の一つでもあります。

高橋洋一は、こういった消費者物価指数の側の事情をまったく把握せず、完全に憶測でGDP統計について口走っていますから、内容はとても経済学者の発言とは思えないほどに稚拙なものとなっています。


輸出入デフレーターを完全に無視する高橋洋一

輸出入に於ける実質値について影響を与えるのは国内の物価ではありませんし、為替変動も大きく影響してきますから、輸出入に関しては国内のGDPとは異なる算出方法が用いられます。

GDPを考える場合、輸出入に関しては、輸出はGDPに加算され、輸入はGDPからマイナスされます。

ですから、いくら輸出が増えたところで、輸入される品目の総額が輸出を上回れば、輸出入はGDPに対してマイナスの影響を与えます。日本国内の消費活動が活発で、いくら内需が活発であったとしても、輸入額が比較期間と比べて上昇すれば、GDPにはマイナスの影響を与えるのです。

例えば今回発表された2016年度1-3月期の輸出入を名目と実質で掲載してみます。

【2016年度1-3月期輸出入GDP】
名目輸出額
前期比 5%
前年同月比 7.5%

名目輸入額
前期比 7.9%
前年同月比 8..4%

実質輸出額
前期比 6.1%
前年同月比 2.1%

実質輸入額
前期比 1.3%
前年同月比 1.4%

解りますか?
1-3月期のデータとして、名目では前期比、前年同月比とも輸出よりも輸入の方が前年同月比が高くなっています。
つまり、輸出入の項目は名目GDPに対してはマイナスの影響を与えています。

所が、実質値ではその値が大きく逆転していますね?

前期比、前年同月比とも輸出が輸入を上回っているのです。つまり、輸出入の項目は実質GDPに関してはプラスの影響を与えているのです。年度全体に関しては事情が異なっていますが、1-3月期に於けるGDPデフレーターに関する高橋洋一氏の解説がいかに的外れなものかということはご理解いただけると思います。


高橋洋一のでたらめなGDPデフレータ解説

消費者物価指数や輸出入デフレーターの側面から考えても高橋洋一氏の言っていることがいかにめちゃくちゃな内容なのかということはご理解いただけると思うのですが、もう一つ。

彼は2016年度のGDPデフレーターに関して以下のような発言をしています。
GDPデフレーターで今期の1-3月期を前の年と比べるとどうかっていうと、マイナス0.6%。っていう数字ですね。これよくないですね。ちょっとこの数字だけ見ますとデフレに戻っちゃったのかなと。そんなイメージっていうか、そういう事すらありますね。

安倍政権になってからこのデフレーターはずっとプラスになってたからよかったんじゃないかと思ってたんですけど、逆にこの、前の失われた20年か25年くらいに近い数字がちょっと出てきちゃった。

ですが、ちょっと待ってください。

改めて2016年度1-3期のGDPを見てみましょう。
【2016年度1-3期GDP】

名目GDP
前年同月比 0.8% 
前期比 -0.0%

実質GDP
前年同月比 1.6%
前期比 0.5%

GDPデフレーター
前年同月比 -0.8%
前期比 -0.6%

年率換算に関してはフィクションの数字ですからここには掲載しません。冒頭でご説明しましたね?

さて、こちらのデータに関して、高橋洋一はアナのコメントに続いて以下のような解説をしています。
アナ
「実質でこの0.5%増っていうのは、ある意味で、物価が下がった分だけ上がった様に見えてるだけ」

そうそう。だから名目の方は実際は殆ど変わっていないってことは、実際実感はよくないと思いますね。


ここで、再度
を振り返って見ます。

「名目GDP」と「実質GDP」、そして「GDPデフレーター」の関係は、

名目GDP=購入総額
実質GDP=購入数量
GDPデフレーター=購入単価

を意味しています。日本国内にあるすべてのサービス・品目を同じ一つの単位で表すために「GDPデフレーター」というものが用いられ、その販売総数として「実質GDP」という値が用いられているのです。実質GDPに関しても、全てを同じ数量単位で表すことは出来ませんから、その数量という単位を「円」で表しているわけです。

このことを踏まえて2016年1-3月期の数字を振り返って見ますと、

「前期比」では
名目GDP(購入総額:-0.0%)=実質GDP(購入数量:0.5%)×GDPデフレーター(購入単価:-0.6%)

「前年同月比」では
名目GDP(購入総額:0.8%)=実質GDP(購入数量:1.6%)×GDPデフレーター(購入単価:-0.8%)

という計算式で考えることができます。
前期比の場合、確かに数値はマイナスがついていますから、決して好ましいものでありません。ですが、高橋洋一自身が言っている様に、あくまでもこの数字は「殆ど変わっていない」のです。

ですが、単価が下落したおかげで購入数量は増えきちんと前期とほぼ同等の金額が消費されているのです。
もし本当にこの数字を「実際実感はよくない」と消費者が感じたのであれば購入数量は減少するのではないでしょうか?

飽くまで私は様々な人為的な手が加えられた「実質値」など眉唾ものだと考えていますが、高橋洋一の土俵に上がって考えるとすればの話です。

その上で実質純輸入額が増えており、日本国内の実質値(消費数量)から差し引かれていますから、この輸入額分を差し引いて考えると日本国内で起きた消費数量は実際にはもっと多いはずです。当然これにデフレーター(消費単価)をかけた金額はプラスになります。

増して「前年同月比」で考えれば購入単価こそ下落していますが、「購入数量」も「購入総額」も共に増えています。前期比同様実質純輸入(消費数量)を差し引かれた上で、です。これを以て「実際実感はよくない」などという評論が果たして的を射ているのでしょうか?


日本の目指すヴィジョンのデタラメ解説

ここは、まず高橋洋一のデタラメヴィジョンを引用してみます。
財政の方がちょっと悪さしてて、オペレーションがちょっと間違ってるんじゃないかなっていう風にこの数字からは見えるんですね。ですから財政の方もうちょっと出してもいいと思うんですよね。

で今国債で私教育国債の話なんかしてますけどね。財政再建ができてなくて今でも財政危機だっていう人いるんですよ。それ、嘘ですよ。要するにマーケットに国債がない状態なんですよ。マーケットに1000兆あるんですけど、日銀が400兆円以上持ってるとか、ほんでほかの所にも手放せないなんて言ってもう、国債不足なんですよね。

こういう時に国債を出して、国債を出しつつ政府支出を出すっていうのがまあ常道なんですよね。王道なんでまあそれをやるべきってのがこの数字から見えてくるんじゃないかなって私は思ってるんですね。

常道に王道ねぇ。。。

この人、完全に「目的」と「手段」が入れ替わってますよね。
日本国が目指すべき将来、ヴィジョンとは、民間が政府に促されずとも、自ら受容を生み出して自立できる経済体制を築くことです。

これは高橋洋一自身も書いていますが、もし民間がこれができていないのであれば民間ではなく政府が「民間の呼び水になる、政府が出ていくって言うのがセオリー」となるわけです。

ですが・・・笑っちゃいたくなりますね。

では、2016年度の「民間消費支出前年度比」はどうなっているでしょう。

【2016年度民間最終消費支出】
民間最終消費支出前年度比
名目 0.3%
実質 0.6%
デフレーター -0.3%

家計最終消費支出
名目 0.3%
実質 0.6%
デフレーター -0.3%

家計最終消費支出(持家の帰属家賃を除く)
名目 0.3%
実質 0.4%
デフレーター -0.2%

この年度単位のGDPについて、高橋洋一は以下の様にも言っています。

そのデフレーターの数字をまたあげますとね、2014年度はね、このデフレーターが2.5%だったわけなんですよ。
これは良い数字ですよ。

次がね、2015年度。これが、1.5%になっちゃった。

今度、2016年度、またマイナスになって、これすごく嫌な数字でマイナス0.2なんですよ。
で今もうちょっと、それより大きい数字でしょ?更にマイナスな数字でしょ?

これはね、悪い状況だと思うんですね。

悪い状況ねぇ・・・。

例えば高橋洋一のいう2016年度の数字を私が解説すると、

 デフレーターが0.2%下落したおかげで名目GDPが1.2%上昇し、実質GDPは1.3%も成長したんですよ。
 特にこの成長を牽引しているのは民間の消費で、二年連続で名実ともにプラス成長を果たしたんです。

とこんな感じでしょうか。
特に民間住宅はその傾向が顕著で、名目で6.2%、実質で6.5%の前年度費を記録しています。これを高橋洋一はこんな風に表現しています。

住宅金利があの、金利が安いから住宅ローンが安いからってからほとんどゼロとか0.何%ととか1%切ってるの多いじゃないですか。それはそれで出るんですよ。

でもね、民間はちょっと出にくいんですよ。住宅投資以外の設備投資だと先が不安なんですね。
今ちょっといいけど、この2~3年度どうなんですかっていうと不安なんですね。

どうしてもアベノミクスの成果が出ていないことにしたいんでしょうかね?
言ってることがめちゃくちゃです。

例え金利が低いことが原因であったとしても、「住宅」って民間人が行う買い物の中では、人生の中で最も大きな消費物です。
金利が低くなっただけの理由でおいそれと購入するわけにはいかないんですよ。

で、「民間住宅」の消費が伸びているのに、なぜか高橋洋一は「民間はちょっと出にくいんですよ」と。は? 出てるのは民間住宅なんですが。で、返す刀で「住宅投資以外の設備投資だと先が不安なんですね」とか。

いやいやいや。「民間住宅」ってそもそも企業じゃなく「家計」からの支出の事なんですけど。
「民間企業」の支出は別に「民間企業設備」っていう項目があって、その数値も前年度比で2.3%を記録しているんですけど。

高橋洋一はどうしても「消費増税」が失敗であったことにしたくて仕方ないんですよ。

消費増税が失敗で、消費増税が行われて早まる3年経過しているにも関わらず、未だに消費増税の影響から抜け出せていなくて、国民の消費は低迷していて、民間の代わりに政府が消費を増やし、国債を発行しなければならない状況でなければ都合が悪いんでしょうね、何か。

民間の経済が活性化しつつあるのなら、政府が歳出を減らしても別に問題はないんですけど。
政府が歳出を減らしているにも関わらず、民間が発展できているのなら、それはまさにアベノミクスが成功していることをはっきり示しているんじゃないでしょうかね?

なんであんな奴が重宝されるのか、私にはまったく理解できません。


さて。次回は同じ情報を、今度は高橋洋一フィルターを外して、もう少しわかりやすくまとめてみたいと思います。


この記事のカテゴリー >>日本の税収の見方


カテゴリー名を長らく 消費増税問題 としていたのですが、カテゴリー名としては対象を限定してしまうので、「日本の税収の見方」へとカテゴリー名を修正しました。

改めて、2016年度3月分所得税・法人税・消費税に関する記事を掲載したいと思います。


税収に関しては、2016年9月までほぼ毎月記事にしていたのですが、税収を毎月記事にすることそのものに、余り意味がないことに気づいてしまったため、10月以降はこれを記事にすることを中断していました。

その最大の理由は「消費税」の納税方法にあります。

消費税は、前年度の納税額に応じて「毎月納税」「二カ月ごとに納税」「半年に一度納税」「年に一度納税」という4つのパターンがあります。

前年度の納税額が大きければ大きいほど納税回数が多くなるのですが、その納税額は「1年間の納税額を均等割りした金額」となります。

ですが、1年間で納税しなければならない納税額が一体いくらになるのか。これはその年度が終了しなければわかりません。
解らない以上、均等割りして納税することは不可能ですので、そこでその納税額は「前年度の納税額を参考に」納税してかまわないということになっています。

つまり、前年度1年間の納税額を均等割りし、最終付きに不足する分はまとめて納税したので構わない、というやり方です。
逆に多く納税しすぎていた場合は最終月の納税額が少なくなるわけです。

ということは、毎月収められている「消費納税額」は、今年度の収益に基づくものではなく、前年度の納税額に基づくもの。
つまり、まったく参考にならない額である・・・ということに私は気づかされてしまいました。

以来私は税収について記事にすることを中断したわけです。
ところが、ついにその「年度」の納税額が一体いくらになるのか・・・ということがわかる時が来ました。

それが今月です。もちろん既にお伝えしました様に、消費税の納税は2か月遅れても構わないことになっていますから、年度の納税額がはっきりしたからと言って、全社きちんとした額を納めるわけではありませんが、3月に納税された金額を参考にすれば、通年で納税される金額が一体どの程度になるのか、その予測がつくことになるのです。

また、これ以外にも

【所得税の申告期限】
源泉徴収分 毎月翌10日

 納期の特例を受けている場合(平成28年度の場合)
 1月~6月分・・・7月11日 7月~12月分・・・1月20日

確定申告分 3月15日

 予定納税 第1期・・・8月1日 第2期・・・11月30日

【法人税の申告期限】
事業年度終了の日の翌月から2か月以内

等となっており、毎月現状を把握できるのは源泉徴収分のみで、法人に関して言えば所得税は政府会計年度、法人税は事業会計年度が終了しなければ全体の納税額は解らない為、特に事業会計年度が集中すると考えられる3月末まで待つことで、年度通年の「税収」の見込みが立つこととなるわけですね。

要は、税金は基本的に年に1回納められるものであり、その期限が集中するのが3月であるため、3月にならなければその年度の「税収」は見込みがつかない、ということです。


で、その2016年度3月のデータがようやく出て来ました。

2016年度3月税収

一覧で書き出してみます。

【2016年度3月分税収】
所得税合計
3月分 718,068 前年同月比 117.2 ←105.9
累計 14,881,737 前年同月比 98.5 ←97.7

 源泉徴収分
 3月分 354,835 前年同月比 123.8 ←107.8
 累計 13,332,636 前年同月比 97.7 ←97.1

 確定申告分
 3月分 363,233 前年同月比 111.5 ←94.9
 累計 1,549,101 前年同月比 106.5 ←105.0

法人税 
3月分 218,714 前年同月比 110.6 ←105.0
累計 5,593,693 前年同月比 94.3 ←93.7

消費税
3月分 827,703 前年同月比 100.4 ←98.7
累計 12,455,894 前年同月比 95.8 ←95.5

一般会計税収総額
3月分 2,791,756 前年同月比 105.1 ←101.5
累計 42,072,523 前年同月比 97.7 ←97.1

さて。私としてはこの「税収予測」に関して、前回思いっきり外してしまった経験があるのでこの様な形で予測を行う事には戦々恐々なのですが・・・

ご覧の通り、3月の数字は全て2月分より改善していますから、当然累計でも改善されています。
私がなぜこの「税収」にこだわるのか。

これはカテゴリー名が以前は「消費増税問題」としていたことからもご推察いただけるかもしれませんが、私がチェックしているのは、安倍内閣に於いて「消費増税」が行われた結果、日本の「消費」は減退するのかどうかということです。

特に「消費税」というのは、日本国民が起こした「消費」にかけられる税金ですから、消費税収から逆算することで日本国全体で起きた「消費」総額をを求めることが出来ます。

例えば私がずっとこだわって記事にしている「消費者物価指数」や、その他統計局が発表している「家計消費」などのデータで日本国内で起きている「消費」を知ることができる・・・と一般的には思われているわけですが、実際にはこれらのデータは大元となっている情報が「アンケート結果」ですから、その信憑性ははっきり言うと「参考程度」にしかならない数字です。

ですが、「消費税収」に関してはこのあたりとても正直です。
勿論「消費」を起こすのは家計だけではありません。当然「企業」や「政府」も起こすわけですが、GDPデータ等から見てもその大半を「家計」が起こしていることは想像に難くありません。

つまり、「消費税収」が年間を通じて増えているのか、減っているのかということを調べることで、一年間の消費が増えたのか、それとも減ったのかということを知ることができるのです。

時間的イレギュラーや、必ずしも申告者が正確に申告するわけではないことなど、正確にならない要素もありはしますが、特に1年間待ち続けることで、少なくとも「時間的イレギュラー」は解消できますし、アンケート結果に頼った消費者物価や家計消費などに比べれば、よほどその信憑性は高い、と私は考えています。


一般会計税収全体としては、2016年11月まで2015年度比で政府は102.3%の予算を組んでいたわけですが、法人税収の伸び悩みなどから、途中でその目標を99.2%に下方修正しました。

このことで野党やその野党を指示している面々からは「アベノミクスの失敗だ」とか、また元々安倍内閣を支持していながら、消費増税に伴って手のひらを返した面々からは、「消費増税のせいだ」といった批判を受けたわけですが、既にお伝えした様に月ごとに正確な税収が反映されていたのは「源泉徴収分」のみ。

それ以外の数字は3月のデータが全てで揃うまで(2か月のタイムラグを合わせて5月のデータが出てくるまで)、信憑性のある税収の評価はできません。

ですので、個人的には目標を下げる必要などなったのではないか・・・とも思っているわけですが、これもまた5月が到来するまでは何とも言えませんね。

ただ、少なくとも3月のデータで見る限り、主要三税、「所得」「法人」「消費税」そして「一般会計税収総合」は全て前年度の数字を上回っています。

私にとって特に「消費税収」と「一般会計税収総合」はアベノミクスの成否を判断する上での試金石。
三月のデータを見る限りでは、4月、5月と一気に納税が行われるのではないか・・・と考えています。

両月の結果をハラハラしながら見守りたいとおもいます。


この記事のカテゴリー >>GDPの見方


一昨日(2017年3月8日)、2016年度(平成28年度)第3四半期速報が発表されましたので、今回はこの情報についての記事を掲載します。

一次速報の記事 でもご案内しましたように、2016年度第三四半期のGDP情報最大の特色は、「家計最終消費支出」がついに前年同月比でプラス成長を果たしたという事。

では、まずはこの「家計最終消費支出」について1次速報と2次速報を比較する形で情報を掲載いたします。

【名目家計最終消費支出】
1次速報原系列
 今年度 75,079
 昨年度 74,591
 成長率 0.65%

2次速報原系列
 今年度 75.124兆円
 昨年度 74.591兆円
 成長率 0.71%

持ち家の帰属家賃を除く1次速報原系列
 今年度 62.602兆円
 昨年度 62.113兆円
 成長率 0.78%

持ち家の帰属家賃を除く2次速報原系列
 今年度 62.647兆円
 昨年度 62.113兆円
 成長率 0.85%

【実質家計最終消費支出】
原系列
 今年度 73.823兆円
 昨年度 73.189兆円
 成長率 0.87%

2次速報原系列
 今年度 73.871兆円
 昨年度 73.189兆円
 成長率 0.92%

持ち家の帰属家賃を除く1次速報原系列
 今年度 60.597兆円
 昨年度 60.118兆円
 成長率 0.79%

持ち家の帰属家賃を除く2次速報原系列
 今年度 60.644兆円
 昨年度 60.118兆円
 成長率 0.87%

今回発表された二次速報と一次速報の比較です。
一次速報の時は、マスコミ報道との比較を行う為に敢えて季節調整系列や年率換算をデータとして掲載しましたが、本来あえて示す必要のあるデータではないので、今回の記事では割愛します。

その代り、季節調整系列や年率換算に比べるとよっぽど重要なデータであると考えられる、「持家に帰属する家賃を除く家計最終消費支出」を掲載しています。

なぜ季節調整系列や年率換算が重要ではないのかということは、私のGDPに関連した過去の記事 を、なぜ持家に帰属する家賃を除く消費支出の方が大切なのか、という情報については私の消費者物価指数に関連した過去の記事 をご覧ください。

さて。肝心のそれぞれの数字ですが、軒並み上方修正されていますね。
物価上昇率として考えますと、原系列は

0.71%-0.92%=-0.21%
で、0.21%の物価下落、持家に帰属する家賃を除く原系列では

0.85%-0.87%=-0.02%
で0.02%の物価下落となっています。

ただ、「持家に帰属する家賃」そのものが、実際には消費が行われていない架空の数字であり、これがマイナス成長していることから、より実態に近い成長率は当然「持家に帰属する家賃」を除く物価上昇率で、名実共に0.8%代後半の成長率を示す中での物価下落。

なぜ物価が下落しているのかという理由に就いては、皆さんもうご存知の通りですね。
「原油価格の下落に伴う物価下落」が原因であり、これは「輸入額の推移」を見ても明らかです。

第二四半期の二桁を超えるマイナス幅に比較すれば大分落ち着きましたが、それでも8.8%輸入額は前年度より下落しています。

ただ、おそらく12月の時点では輸入額はプラスに転じており、最終消費支出を下落させるためのファクターではなく、上昇させるためのファクターとして働いているはずです。

つまり、来期、第四四半期からは「実質消費支出」を下落させるためのファクターとして作用するはず。
私の過去の記事をご覧いただいている方はもう解ってはいらっしゃるでしょうが、私はこの「実質値」なるものをまともには信用していません。

ですが、それでも「原価」が増大し、「利益」を抑えるようなことが起きていないかどうかを見るためには、この「実質値」は大切な値になります。

名目値が増大する中で、同時に実質値も増大させることができるかどうか。これは第四四半期の家計最終消費支出(持家に帰属する家賃を除く)をみる上で、非常に大切な視点になります。


名目GDPと実質GDP

内閣府

さて。それでは改めて「名目GDP」と「実質GDP」。
一次速報と二次速報を比較してみましょう。

【名目GDP】
1次速報原系列
 今年度 140.425兆円
 昨年度 138.256兆円
 成長率 1.57%


2次速報原系列
 今年度 140.424兆円
 昨年度 138.241兆円
 成長率 1.58%

【実質GDP】
1次速報原系列
 今年度 134.394兆円
 昨年度 132.211兆円
 成長率 1.65%

2次速報原系列
 今年度 134,364
 昨年度 132,195
 成長率 1.64%

ふむ・・・。
名目原系列を見ますと、一次速報と二次速報の間で、二次速報の方が減少しているのですが、なぜか前年同月比は二次速報の方が大きくなる、という珍現象が起きてますね。

よく見てみますと、2016年全体でもそうなのですが、なぜか2015年の原系列までもが下方修正されています。
詳細に見てみますと、修正が行われているのはピンポイントで企業設備投資。

数値としては2016年度第三四半期の企業設備投資のみが上方修正され、2014年度第四四半期~2016年度第二四半期までトータルで下方修正されていますね。

で、その結果2016年度第三四半期の企業設備投資は一次速報の前年度比0.9%から二次速報では2.6%増と大幅な修正が行わています。

けれども、なぜか名目GDP原系列全体では一次速報より二次速報の方が減退。
詳細を見てみますと、民間・家計・持家に帰属する家賃を除く家計、民間住宅、そして先ほどお伝えした企業設備投資まで含めて、軒並み実数として増加しています。

代わりに下落しているのは「民間在庫」「政府消費支出」「公的資本形成」の3つ。
一次速報と二次速報との間での比較ですので、実際に何か物量の変化が起きているわけではありませんが、思ったより企業在庫が減っていて、政府消費支出と政府の設備投資費が減少していたという事。

つまり、「政府の力に頼らずとも、民間の力だけで経済成長を果たす」という理想の形に近づいている、ということですね。
ただ、なぜ2015年にまでさかのぼって企業の設備投資費が減少しているのかは・・・謎です。内閣府に直接聞いてみますかね。

それにしても、改めて2015年を暦年で見てみますと、経済成長という意味では非常に理想的な成長率を果たしていたんですね。
1-3は消費増税が行われた増税年度ですから、横においておくとしても、4-6が3.3%増、7-9が3.9%増、10-12が2.6%増

2016年になって1%を上回る程度の増加幅に落ち着きますが、よもや年間を通じて3%付近の成長率を果たしていたとは・・・。
実質で見ると消費増税の影響を受けていたはずの1-3が1.3%の実質成長率。4-6が0%、7-9が0.2%、10-12が-0.2%となっています。

そして2016年第三四半期は実質が名目を上回る「物価下落」の状況がみられる中で、名目そのものは1.5%を上回る成長率を果たしています。

「原油価格の下落やエネルギー価格の下落」に伴う物価下落は、決して日本国経済に対して悪い影響は与えておらず、むしろ好材料として作用していることを示す何よりもの証拠ですね。

ただ。原油価格がついに前年度をオーバーする数字となった以上、これからは「名目」がプラス成長を果たす中で、いかに実質値も合わせてプラス成長を果たしていくことができるのか。これが最大のポイントになります。

これを果たすことが、安倍内閣黒田日銀の目指す「2%物価成長率」を達成する上での必要最低条件です。
これからはもう「原油価格が前年度比で下落しているんだから」という理由は成り立たなくなります。

さて。「アベノミクス」の効果やいかに!


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<継承する記事>
第276回 2016年(平成28年)12月名目賃金と実質賃金(速報)

21日に 速報値の記事 を掲載したばかりだったのですが、どうもその翌日に確報値が掲載されていたらしく、そしてまたその速報値とのギャップがなかなか鮮やかなので、今回は珍しく「速報値」と「確報値」を合わせて掲載します。


「速報値」と「確報値」の比較

【2016年(平成28年)12月現金給与総額速報値】
調査産業計(12月)

【2016年(平成28年)12月調査産業計確報値】
調査産業計-2

さて、いかがでしょう。

速報値では、名目が0.1%成長、実質が-0.4%成長であったわけですが、これが確報値では名目0.5%成長、実質0.1%成長と、実に理想的な形に変わっているではありませんか。

6月や7月の情況は、原油価格の下落に伴って国内の消費者物価が下落する中で起きた現象です。
「原油価格」が高騰して日本国内で利益を上げられる企業はまずありませんから、これが「下落」するだけで、その下落した分が他の「消費」または「貯蓄」へと回されることになります。

日本国内にとってみればこれは非常に理想的な状況なのですが、原油価格だっていつまでも下落し続けるわけではありません。
大切なのは、「輸入物価の下落」に頼らずともきちんと利益を上げていける経済構造。

そのためにはやはり「物価」が上昇する中で「実質」も上昇する構造が一番望ましいわけです。

例えば天候不順に伴う生鮮食品の価格高騰や、海外の投機的な動きに伴った輸入価格の上昇などが原因で物価が上昇する場合は、これは日本の企業の利益を圧迫しますから、仮に名目と物価が共に上昇したとしても、実質にはマイナス要因として作用します。

だからこそ、「生鮮食品」や「輸入価格(エネルギー価格)」の動向に頼らず、日本国内の「内需」に起因する経済動向で物価を上昇させ、同時に「実質値=消費量」をも上昇させるような経済構造が必要になります。

勿論今回の話題は「消費」ではなく「賃金」に於ける名目値と実質値の問題ですから、「消費」とは必ずしも同列には語れませんけどね。


「速報値」と「確報値」が乖離した理由

さて。では、今回の名目賃金と実質賃金が、「速報値」と「確報値」の値がここまで開いた理由とは一体なんだったのでしょう。

【2016年(平成28年)12月決まって支給する給与速報値】
決まって支給する給与(12月)


【2016年(平成28年)12月決まって支給する給与確報値】
決まって支給する給与(12月)-2


第276回の記事 でも記しましたが、「決まって支給する給与」とは、「基本給+時間外手当」のことです。
グラフで見る限り、この項目は速報値と確報値との間で大きな変化はありませんね。

【2016年(平成28年)12月所定内給与速報値】
所定内給与(12月)


【2016年(平成28年)12月所定内給与確報値】
所定内給与(12月)-2

こちらは、いかがでしょう。「所定内給与」、つまり「基本給」の事です。
こちらは残念ながら、「名目賃金指数」が前年度比0.5%から0.4%上昇にダウン。合わせて「実質賃金指数」も「0.0%上昇」から「0.1%の下落」へと転じています。

ただ、確かに実質値は下落に転じていますが、特に「賃金指数」で考える場合、まずは「名目」です。
「物価」や「消費」で考える場合は、確かに「何が原因で上昇したのか」または「下落したのか」ということを考える必要があるのですが、賃金の場合は違います。

賃金は企業が生まれた利潤を労働者に還元するものですから、「輸入物価が上昇した」としても賃金は増えません(物価や消費『額』は上昇します)。むしろ下落します。

名目賃金が上昇するということは、「起業の利潤が増えている」ということを表しているからです。


少し話が脱線しましたが、「決まって支給する給与」に変化がなく、「所定内給与」の上昇幅が縮小したということは、「現金給与総額」の賃金指数が名実共に改善している理由はこの二つの要因ではないとういことです。

寧ろ、、「決まって支給する給与」に変化がなく、「所定内給与」の上昇幅が縮小したのであれば、この二つの項目は「現金給与総額」の賃金指数を悪化させる要因として働いていることになります。

では、一体なぜ「調査産業計の賃金指数」は名実共に改善したのでしょうか。

第276回の記事 をお読みいただいたかたはもう気づいているかもしれませんね?

「現金給与総額の賃金指数」が名実共に改善した最大の理由は、「特別に支払われた給与」。つまり「ボーナス」です。

速報値の段階では、2016年12月に支払われたボーナスは従業員一人当たり平均で28万4327円。
前年、2015年12月のボーナスが28万4537円ですから、割合にして約0.1%のマイナス。名目値で前年度割れと試算されていました。

所が、確定値では2016年12月に支払われたボーナスは従業員一人当たり平均で28万6866円。
0.8%のプラス成長です。持家に帰属する家賃の消費者物価指数が0.5%ですから、実質値では0.3%のプラス成長になります。

そう。このボーナスの大幅改善こそが「速報値」と「確報値」を乖離させた最大の理由だったのです。

前回の記事で、仮にほぼすべての被雇用者の賃金が増えていたとしても、

 「平均賃金を下回る給与所得者の数」×「平均賃金を下回る給与所得者の平均賃金上昇額」

が、

 「平均賃金を上回る給与所得者の数」×「平均賃金を上回る給与所得者の平均賃金上昇額」

を上回っていた場合、平均賃金は下落する、という話をお伝えしました。
特に安倍内閣スタート時の様に、大量の無職者が有職者となるようなケースであれば、元々賃金が「0(ゼロ)」であった無職者が、一斉に賃金を手にするようになるわけですから、当然

 「平均賃金を下回る給与所得者の数」×「平均賃金を下回る給与所得者の平均賃金上昇額」

の値は急速に上昇します。ですから、無職者が減り、給与所得者全体の賃金が上昇したとしても、「名目賃金が下落する」という様な矛盾が公然に発生していました。

で、この現象は「基本給」にのみ起きる現象ではなく、当然「ボーナス」に関しても発生します。
つまり、

 「平均ボーナスを下回る給与所得者の数」×「平均ボーナスを下回る給与所得者の平均ボーナス上昇額」



 「平均ボーナスを上回る給与所得者の数」×「平均ボーナスを上回る給与所得者の平均ボーナス上昇額」

を上回っていれば、当然「平均ボーナス」の金額は減少します。
例え給与所得者全員のボーナスの額が増額していたとしても、です。

速報値の段階では、ボーナスの名目賃金指数が0.1%のマイナスでしたから、私は

 「平均ボーナスを下回る給与所得者の数」×「平均ボーナスを下回る給与所得者の平均ボーナス上昇額」



 「平均ボーナスを上回る給与所得者の数」×「平均ボーナスを上回る給与所得者の平均ボーナス上昇額」

を上回っている

から発生した現象である、と指摘したのですが、なんと確定値ベースではこの「名目前年同月比」が0.8%ものプラス上昇。
速報値を0.9%も上回る結果です。

私が、中間層の見方 によってお示しした様に、安倍内閣に入って以来、毎年継続して「低所得者」の数が下落し、「中間層」の水準がどんどん上昇している傾向はとても顕著となってきています。

ボーナスの傾向も逆転し、

 「平均ボーナスを上回る給与所得者の数」×「平均ボーナスを上回る給与所得者の平均ボーナス上昇額」



 「平均ボーナスを下回る給与所得者の数」×「平均ボーナスを下回る給与所得者の平均ボーナス上昇額」

を上回っている

という情況に変化したということですね。

これは今回の賃金指数の見方としては非常に特徴的な部分だと思います。
2016年(平成28年)12月賃金指数の総評としては、

「アベノミクスの効果が、ついにボーナスの分野でもはっきりと見えるようになった」

というのが今回の私の総評でございます。


この記事のカテゴリー >>実質賃金と名目賃金


遅ればせながら・・・となるのでしょうか。
今月6日に2016年(平成28年)12月分「毎月勤労統計」が公表されておりまして、ここで12月度賃金指数が発表されておりますので、このことを本日の記事にしたいと思います。

前回の記事 で私の記事の検索結果掲載順位が下落し、ほぼすべてのページに関してアクセス数が下落した事をお伝えしました。

検索順位そのものは全体的に少しずつ回復しつつあるようなのですが、アクセス数は相変わらず・・・
むしろ更に下落しているくらいなのですが、ただ、そんな中でもやっぱりアクセス数が多いのは「名目賃金と実質賃金」に関する記事。

特に第156回の記事 については、ピーク時に比べると落ち込んではいるものの、毎日継続的なアクセスが見られます。

ただ、本日のアクセス状況を見ていると、同じ「名目賃金と実質賃金」に関する記事の中でも、第262回の記事 へのアクセスが目立ちます。

賃金に関する記事として「第262回の記事」の特徴は、現時点において、私の賃金に関する記事の中では「最新」であるという事。

ところが、データとしては11月のデータで、最新のデータとしては既に「2016年12月」のデータが出ていますので、ひょっとしてがっかりして帰らせてしまったのではないかな・・・と思いまして、今回の記事では改めて

 「2016年(平成28年)12月名目賃金と実質賃金(速報)」

について記事にしたいと思います。

2016年(平成28年)12月名目賃金と実質賃金(速報)

【2016年(平成28年)12月賃金指数推移(全体)】
調査産業計(12月)

こちらが「2016年度12月」までの「賃金指数」の推移。1年間の推移です。
さらに前年の推移もご覧になりたい方は先月の記事 をご覧ください。

9月の時点での賃金指数の特徴は、「名実逆転」。
「物価が下落する中で名目賃金」が上昇している(8.9月は0%、横ばいですが)為、名目の上昇率を実質が上回る・・・という歪な状況が続いていたわけですが、10月、11月で逆転状況が解消されましたよ、というのが11月の賃金指数をみる上での特徴でした。

ところが、今月「賃金指数」をグラフで見てみますと、名目が0.1%と辛うじて上昇している中で、「実質賃金」が-0.4%の下落に転じています。

最大の理由は、分母となる消費者物価指数の動向 です。

上記リンク先にて同月、12月の消費者物価指数に関して解説していますので、詳細はそちらをご覧ください。
一番大きな理由としては、「エネルギー価格の下落」がある程度落ち着き、特に「前年同月比」で見た場合、一部項目では上昇に転じているという事。

もちろんエネルギー価格だけではないのですが、この様な「消費者物価指数」の動向の影響を受け、実質賃金は下落に転じました。

この様な事を記すと、

「名目賃金はたった0.1%しか上昇していないし、物価が上昇したせいで『実質的な賃金』は下落したんだ!やっぱりアベノミクスは失敗だったんだ!」

という人が出てきそうですが・・・

実は、12月の「賃金指数」には、他の月にはない特別な数字が登場します。
それが「特別に支払われた給与」、つまり「ボーナス」のことです。


「賃金指数」の内訳

「賃金指数」とはそもそも、「基準年」を設定し、厚生労働省が企業に対して行ったアンケート結果をもとに算出した「現金給与総額」。

つまり、給与所得者が受け取っている賃金が、月額平均でいくらになるのか。これを金額で表したものを、基準年と比較して指数化したものの事を言います。

現在であれば、平成22年が「基準年」ですから、平成22年1年間の月額平均給与所得を平均化した上で、更に「100」に換算し、増えていれば100以上、減っていれば100以下になります。

12月はボーナス月ですので、他の月に比べると「賃金指数」そのものは跳ね上がります。
例えば2016年12月の賃金指数は「172.0」。基準年である平成22年年間を通じた平均月額給与所得より72%も上回っていることになります。

ですが、12月の賃金指数は毎月跳ね上がりますので、同じ数字を前年の171.9と比較すると、前年同月比では「0.1%」しか上昇していない、ということになるわけです。

「現金給与所得」=「決まって支給する給与」+「特別に支払われた給与」

という計算式で表すことができます。
そして、

「きまって支給する給与」=「所定内給与」+「所定外給与」

となります。

「特別に支払われた給与」とは「ボーナス」の事。
「所定内給与」とは「基本給」の事。
「所定外給与」とは「時間外手当」の事です。

そして、「基本給」と「時間外手当」を合わせた金額のことを「きまって支給する給与」と言います。


「きまって支給する給与」と「所定内給与」

【2016年(平成28年)12月賃金指数推移(決まって支給する給与)】
決まって支給する給与(12月)

【2016年(平成28年)12月賃金指数推移(所定内給与)】
所定内給与(12月)

2016年12月の「特別に支払われた給与」は、実は-0.1%と減少しています。
ですが、それ以上に「所定内給与」は上昇しており0.3%上昇。そして「所定内給与」は更に上昇していて「0.5%」の上昇。

「所定内給与」は6月以降、浮き沈みこそあれ、継続的に上昇しています。
しかもその「上昇幅」は12月が最も大きい、というのがこのグラフから読み取れる情報です。

「実質賃金」が下落しているのは、繰り返し述べますが、「消費者物価指数(持家に帰属する家賃を除く)」が9月から10月にかけて下落から上昇に転じたことが最大の理由で、これは経済実態を表している、というよりも計算式上の、テクニカルな問題であると言った方が表現としては的を射ていると思います。

そしてそれも、「所定内給与」、つまり「基本給」に照らしてみると、確かに11月は実質賃金も下落していますが、12月は0まで戻しています。

確かに「ボーナス」も増えるに越したことはありません。
ですが、「名目値」で考える場合もう一つ頭に入れておく必要があるのは、「被雇用者数の推移」です。


「名目賃金指数」が下落する理由」

第38回の記事 でもご説明しましたが、名目賃金で考える場合、

 「給与所得者の数が増加すると平均賃金が下落する」

という「平均のマジック」を考慮に入れる必要があります。
計算式で考えると、

 「平均賃金を下回る給与所得者の数」×「平均賃金を下回る給与所得者の賃金上昇額」
   <「平均賃金を上回る給与所得者の数」×「平均賃金を上回る給与所得者の賃金上昇額」

とならなければ、「名目賃金」が上昇に転じることはありません。

これが「きまって支給する給与」と「所定内給与」についてはほぼクリアされているわけですが、「特別に支払われた給与」=「ボーナス」についてはまだ解消されていない、と考えられるわけです。

「ボーナス」は基本的に「基本給×〇カ月」と計算されるわけですから、基本給が上昇するのであれば普通「ボーナス」は上昇するはずです。

勿論かけられる側の「〇カ月」が減少するケースもありますから一概には言えませんが、基本給が上昇しているわけですから、一方的にボーナスのみが減少している、ということは考えにくいのではないでしょうか。ここは「推測」であって何か明確な根拠があるわけではありませんけどね。

一番考えられるのは、

「ボーナスの支給額が増えた人の数」は増えた

けれども、

「ボーナスの平均支給額を下回る人の数」×「ボーナスの平均支給額を下回る人のボーナス上昇額」

の方が

「ボーナスの平均支給額を上回る人の数」×「ボーナスの平均支給額を上回る人のボーナス上昇額」

よりも多かった、と考えるのが一番すんなり来る考え方だと思います。
そして、それでも「きまって支給する給与」と「ボーナス」を合算した金額は前年を上回っていた。

つまり、「きまって支給する給与」、この中でも「基本給」の上昇幅がボーナスの平均支給額の下落をカバーするほどに大きかった、というのが今回の「賃金指数」の見方です。

この様なデータを見るときは、「情報を砕いて見る癖」と「平均のマジックを考慮に入れる癖」を身に付けることが大切だと思います。


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<継承する記事>
第271回 2016年度(平成28年)GDP第三四半期第一次速報が公表されました

前回の記事では、2017年2月13日に発表された「2016年度(平成28年)GDP第三四半期第一次速報」について、普通であれば全体から俯瞰して記事にするのですが、特徴的であった「個人消費(家計最終消費支出)」に着目して記事を作成してみました。

新聞各社、報道局の非常にねじ曲がった報道姿勢には本当に辟易しますね。

今回は、いつものように「GDP」を全体から見るスタンスで記事にしたいと思います。


2016年度(平成28年)GDP第三四半期第一次速報

繰り返しにはなりますが、「GDP」をはじめとする統計指標を見る際には、「実質」ではなく「名目」で見る癖をつけることがとても大切です。

「GDP」というのは、日本の経済統計指標の内で最大の「マクロデータ」となるわけですが、マクロデータを計測する際には、どうしても細部をを反映しきることができません(というよりまず不可能)ので、そこには「合成の誤謬」と言われる計測ミスが必然的に発生します。

第36回の記事 でも触れているのですが、改めて説明しますと、「合成の誤謬」というのは、

 「ミクロの世界で成り立つ現象が、マクロでは矛盾する現象」

の事を言います。
単位が違う、計測方法が違う、価値そのものが異なる様々な物やサービスを同じ一つの統計方法で集計しようとしているわけですから、当然です。出ない方がおかしい。

そして、同じGDPにも、「名目」と「実質」という二つの指標が存在します。

よく、「実質GDP」の事を、「物価変動による影響を取り除いたGDPの事」という説明をする人がいます(国語辞典ベースでもそういう説明です)が、実際にGDPから「物価変動による影響」を正確に取り除くことなどまず不可能です。

「実質GDP」とは、あくまでも「名目GDP」を「消費者物価指数総合(持家に帰属する家賃を除く)」という統計指標で割ったもの。
それ以上でも以下でもありません。

「名目GDP」も「消費者物価指数」も共に「マクロ指標」ですから、当然双方に「合成の誤謬」が発生しています。
「実質GDP」とは、つまり「合成の誤謬」というイレギュラーが含まれることが、予め解っている統計指標で割り算をしたデータだということになります。

つまり、「実質GDP」というのは、それほどに当てにすることができないデータだということなのです。
また更に、前回の記事でもお伝えした「季節調整系列」というデータは、そんないい加減な数字をもとに、「季節特有の影響」という、これまたフィーリング、感覚で決まるような情報を数値化し、そこからはじき出されたもの。

そして更に「年率換算」とは、そんないい加減な「季節調整系列」の「四半期別前期比」が1年間、合計4回継続したとしたら一体どんな数字になるのかという、既にフィクション。ファンタジーの世界に於ける数字です。

「名目GDP」自体に一種のフィクションのようなデータが含まれているわけですから、そこから算出される数字が非常に信頼性に乏しいデータとなることはまさしく「自明の理」。元々信頼性に欠けるデータであったとしても、それでも「名目」、特に「原系列」で見る癖が大切になるのは、そういう理由からです。

この考え方を念頭に於いて次にご紹介する「GDP」速報をご覧ください。

内閣府

【2016年度(平成28年)GDP第三四半期第一次速報(単位:兆円)】
名目GDP(前年同月比)
2015年
 10-12 138.2(2.6%)
2016年
 1-3   133.2(1.2%)
 4-6   132.5(1.3%)
 7-9   131.1(1.0%)
 10-12 140.4(1.6%)

実質GDP(前年同月比)
2015年
 10-12 132.2(1.1%)
2016年
 1-3   1308(0.1%)
 4-6   126.9(0.9%)
 7-9   129.6(1.1%)
 10-12 134.3(1.7%)

いかがでしょうか。
勿論お示ししている数字は全て「原系列」です。

さて、思い出して見てください。
安倍内閣がスタートしたのは2013年(正確には2012年12月)です。

安倍内閣によって組まれた予算(2012年度補正予算を除く)が執行されたのは2013年4月。
そして、2014年4月には「消費増税」が行われました。

「名目GDP」には、消費増税の影響も反映されますから、消費増税が行われれば当然名目GDPの数字も上昇します。
2013年は安倍内閣がスタートした月ですし、当然前年の民主党内閣と比較すれば、大幅に「名目GDP」の値も上昇しています。

2013年度(安倍内閣初年度)名目GDP前年同月比
第1四半期 1.5%
第2四半期 2.7%
第3四半期 2.6%
第4四半期 3.4%

2014年度(増税年度)名目GDP前年同月比
第1四半期 2.0%
第2四半期 0.9%
第3四半期 2.0%
第4四半期 3.3%

さて。安倍内閣初年度には「駆け込み需要」も発生していますし、当然大幅にGDPの影響が増大しています。
ただでさえ2013年度のGDPは急成長しているのに、2014年は「消費増税」の影響で更に「GDP」の値が上乗せされています。

安倍内閣初年度に急成長した上後、消費増税の影響で大打撃を受けているはずなので、当然2015年度の「名目GDP前年同月比」は反動で大幅に下落している・・・はずですよね?

2015年度(増税翌年度)名目GDP前年同月比
第1四半期 3.3%
第2四半期 2.9%
第3四半期 2.6%
第4四半期 1.2%

さて、いかがでしょう。消費増税の影響?何それ状態です。
第3四半期、第4四半期は「2016年度(平成28年)GDP第三四半期第一次速報(単位:兆円)」の所でも掲載しています。

第4四半期で成長率にブレーキがかかっている様に見えますが、

【輸出額前年同月比の推移】

2015年度
第1四半期 5.7%
第2四半期 5.0%
第3四半期 -4.6%
第4四半期 -7.9%

2016年度
第1四半期 -9.4%
第2四半期 -10.7%
第3四半期 -1.5%

いかがでしょう。実は、「名目GDPの伸び率」を鈍化させていた最大の原因は、「輸出額の減少」。
これは日本国内の影響ではなく、海外の景気の影響によるものですから、その責任を日本経済に向けられても困りますね。

金額でいうと、

2015年度(前年比)
第3四半期 -1.1兆円
第4四半期 -1.9兆円

2016年度
第1四半期 -2.1兆円
第2四半期 -2.5兆円
第3四半期 -0.3兆円

となります。GDP全体で考えれば、2兆円は約0.4%、2.5%は0.5%に相当する金額です。
勿論それでも「GDPの伸び率が『鈍化した』」と言えなくはない数字ですが、「海外の景気の低迷によって輸出産業がダメージを受ける中」ででも1%を超える経済成長率を日本国内需は続けてきた、ということをこの数字は示しています。

この様な中で、「個人消費(家計最終消費支出)が伸びない」ことが指摘され続けていたわけですが、実は「輸出額」以上に「輸入額」は更に大きな減少幅を記録しており、
【輸出額前年同月比の推移】
2015年度
第1四半期 -3.8%
第2四半期 -6.0%
第3四半期 -12.1%
第4四半期 -14.8%

2016年度
第1四半期 -16.5%
第2四半期 -18.2%
第3四半期 -8.8%

金額でいえば、元も減少幅の大きかった2016年度第2四半期で4.3兆円のマイナスを記録しています。

実は、この数字を「個人消費」が吸収していましたので、見かけ上の「個人消費」はあたかも減少し続けているかのように見えていました。

ですが、実際には「原価」が減少していただけであり、企業の利益や私たち従業員の「給与所得」は増え続けていたのだと、こう考えることができます。

詳細は私の記事カテゴリーである「物価の見方」 や「実質賃金と名目賃金」をご参照ください。


それでは改めて・・・
改めて、「2016年度(平成28年)GDP第三四半期第一次速報(単位:兆円)」を再掲します。

【2016年度(平成28年)GDP第三四半期第一次速報(単位:兆円)】
名目GDP(前年同月比)
2015年
 10-12 138.2(2.6%)
2016年
 1-3   133.2(1.2%)
 4-6   132.5(1.3%)
 7-9   131.1(1.0%)
 10-12 140.4(1.6%)

実質GDP(前年同月比)
2015年
 10-12 132.2(1.1%)
2016年
 1-3   130.8(0.1%)
 4-6   126.9(0.9%)
 7-9   129.6(1.1%)
 10-12 134.3(1.7%)

特に昨年度第3四半期以降で見る限り、上昇しているのは「名目」だけでなく、「実質」の値も上昇していることが解ります。

計算式で表すと、「名目成長率=実質成長率+物価上昇率」で表すことができますから、

2015年度
第3四半期成長率
 名目 2.6%
 実質 1.1%
 物価 1.5%

第4四半期成長率
 名目 1.2%
 実質 0.1%
 物価 1.1%

2016年度
第1四半期成長率
 名目 1.3%
 実質 0.9%
 物価 0.4%

第2四半期成長率
 名目 1.0%
 実質 1.1%
 物価 -0.1%

第3四半期成長率
 名目 1.6%
 実質 1.7%
 物価 -0.1%

これが「名目成長率と実質成長率の推移」です。

「GDP」というのは私たちの生活の「豊かさ」を表すための指標です。
2016年度第2、第3四半期は物価が0.1%ずつ下落していますが、私たちの生活の豊かさを示す指標である「GDP」は「名実共」にプラス成長しています。

しかも1.5%を超える上昇率を記録しています。
更に「消費増税」を経て記録した「2015年度第3四半期」の成長率は名目2.6、実質1.1、物価1.5%と非常に理想的な上昇率を記録しており、例えば「前年度は減少しているんだから今年度上昇するのは当たり前だろ」的な屁理屈は全く通用しない状況です。

最早「個人消費が減少しているんだからアベノミクスは失敗したんだ!」という悲観論者たちの屁理屈は全く通用しません。
これが「アベノミクス」の成果です。


次回記事では、改めて「なぜ日本は第二次世界大戦(大東亜戦争)を起こしたのか のシリーズへと記事を戻してみたいと思います。


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今回は真珠湾攻撃の話題は少しお休みして、今朝公表されたばかりの「2016年度(平成28年)GDP第三四半期第一次速報」について記事にしたいと思います。

先ずは、公表されたGDPについてのニュースから。結構歪んでます。

【日本経済新聞 2017年2月13日】
10~12月の実質GDP、年率1.0%増 外需に伸び

内閣府

2017/2/13 8:50

 内閣府が13日発表した2016年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.2%増、年率換算では1.0%増だった。プラスは4四半期連続。輸出主導で外需が伸びた。個人消費は振るわなかったが補った。

 QUICKが集計した民間予測の中央値は前期比0.3%増で、年率では1.0%増だった。

 生活実感に近い名目GDP成長率は前期比0.3%増、年率では1.2%増だった。名目も4四半期連続でプラスになった。

 実質GDPの内訳は、内需が0.0%分の押し下げ効果、外需の寄与度は0.2%分のプラスだった。項目別にみると、個人消費が0.0%減と、4四半期ぶりにマイナスだった。生鮮野菜の高騰が家計支出を抑制した。

 輸出は2.6%増、輸入は1.3%増だった。アジア向けや北米向けに需要が回復し輸出が拡大した。国内需要が伸び、輸入量が増加した。 設備投資は0.9%増と、2四半期ぶりにプラスだった。輸出増などを受けて生産活動が回復し、設備投資需要が高まった。住宅投資は0.2%増。公共投資は1.8%減。民間在庫の寄与度は0.1%のマイナスだった。

 総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期と比べてマイナス0.1%だった。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは0.3%のマイナスだった。

 同時に発表した16年暦年のGDPは実質で前年比1.0%増、生活実感に近い名目で1.3%増となった。

代表して日本経済新聞記事から引用していますが、今回の報道はどこもこんな感じ。今回のGDP速報にて最も特徴的な部分を、どの報道機関もまったく報道していないのです。

しかも・・・記事内容、ほぼ「嘘」ですからね。
「嘘」というと語弊があるんですが、報道機関で共通して掲載しているのは

 「輸出主導で外需が伸びた。個人消費は振るわなかったが補った」

という内容です。これ、まったくの嘘。出鱈目です。
寧ろ今回の速報の特徴は「個人消費が」伸びた」事。

しかも「横ばい」だとか「微増」だとか、そんなレベルじゃなく、「名実共」に、はっきりと。

「GDP(支出側)」っていうのは、基本的に以下のような項目で構成されています。

国内総生産(支出側)

 民間最終消費支出
  家計最終消費支出
  除く持ち家の帰属家賃

 民間住宅

 民間企業設備

 民間在庫変動

 政府最終消費支出

 公的固定資本形成

 公的在庫変動

 財貨・サービス

 純輸出
  輸出
  輸入

この内、「個人消費」と呼ばれるのは、

  家計最終消費支出
  除く持ち家の帰属家賃

の2つ。
「持家の帰属家賃」っていうのは、本来GDPにすら加えるべきではない指標だと思うのですが、なぜか継続して掲載され続けています。

合わせて言えば、「民間住宅」も「個人消費」として考えることができます。

過去のGDPに関する記事で何度もお伝えしていることですが、改めて復習がてら、「GDP」について解説してみたいと思います。

「GDP」には「名目」と「実質」の2種類があります。

このうち、「名目」とは、全体で「何円」消費されたのかという「金額」を考えるための統計データ。
一方「実質」とは、全体で「何個」消費されたのかという「数量」を考える為の統計データのことです。

ただ、この世の中にある全てのサービスを「個数」で表現することなどとてもできません。不可能です。
「何リットル」という単位、「何グラム」という単位、「何人」という単位等々数多の「単位」が存在しますし、同じ単位でもサービスによってその価値は大幅に変化します。

「実質GDP」というのは、その本来であれば集計することが不可能なはずの「単位」を強引に統合し、唯一示すことの出来る共通の単位、「円」で表現したものです。

ですがそもそも、例えばGDPを「みかん」で考えると、

 「100円のみかんを10個、合計で1000円購入した」場合。

合計値である「1000円」が名目GDP、購入数量である「10個」が実質GDP、更に単価である「100円」が「GDPデフレーター」と呼ばれるものです。

本当にただこれだけの話。こんな単純な指標なんですよ、ほんとは。
「組み合わせ」のパターンが余りにも複雑なんでとても分かりにくく感じるかもしれませんが、単純化する「GDP」とはそういう指標なんです。

四半期別GDPを見る際に問題なのは、政府が集計している指標の中に、「原系列GDP」と「季節調整系列GDP」、そして「年率換算」という3つの指標が含まれていること。名実共にそれぞれの指標がありますから、合計で6つの「GDP」が存在することになります。

今回の速報の中で、特に着目していただきたいのは、当然「個人消費」ですから、今回の記事はこの「個人消費」に着目して記事を作成したいと思います。


家計最終消費支出

2016年度(平成28年)第三四半期家計最終消費支出

名目家計最終消費支出

原系列
 今年度 75,079
 昨年度 74,591
 成長率 0.65%

季節調整系列
 今年度 293,430
 昨年度 291,549
 成長率 0.65%

 前期比 0.3%
 年率換算 1.1%(持家に帰属する家賃を除くと1.4%)

実質家計最終消費支出

原系列
 今年度 73,823
 昨年度 73,189
 成長率 0.87%


季節調整系列
 今年度 289,275
 昨年度 286,764
 成長率 0.88%

 前期比 -0.0%
 年率換算 -0.1%(持家に帰属する家賃を除くと-0.4%)

さて。いかがでしょうか。

どの程度この統計の意味が理解できているのか、という点で見え方は変わってくるとは思うのですが、

 「名目原系列」では昨年と比較して「0.65%」成長しており、
 「季節調整系列」でも同様に「0.65%」成長。
 前期、2016年度第2四半期と比較しても0.3%成長。
 これを「年率換算」すると1.1%成長、
 更にここから「持家に帰属する家賃」を除くと1.4%成長しています。

一方実質でも、

 「原系列」は0.87%成長、
 「季節調整系列」でも0.88%成長

しているのですが、これがなぜか「前期比」となると-0.0%成長、これを「年率換算」すると-0.1%成長、持家に帰属する家賃を除くと-0.4%成長と、軒並み「減少している」ことになってしまうのです。

おかしいですよね、これ?

ちなみに「前年同月比」を昨年12月より合計5四半期の推移を見てみますと、

名目
2015年度第3四半期(10-12) -0.3%
2015年度第4四半期(1-3) -0.5%
2016年度第1四半期(4-6) -0.2%
2016年度第2四半期(7-9) -0.4%
2016年度第3四半期(10-12) 0.7%

実質
2015年度第3四半期(10-12) -0.3%
2015年度第4四半期(1-3) -0.3%
2016年度第1四半期(4-6) 0.3%
2016年度第2四半期(7-9) 0.3%
2016年度第3四半期(10-12) 0.9%

わかりますか?
実質個人消費のマイナス成長は今年度に入って以来解消されていたのですが、名目は昨年度第3四半期より継続して下落しており、今年度第2四半期まで継続していたのですが今期に入ってようやく解消され、プラス成長を果たしたのです。

然も(四捨五入してですが)0.7%成長。
マスコミが大好きな「季節調整系列 前期比 年率換算」ではなんと1.1%。持家に帰属する家賃を除くと1.4%成長となるわけです。

また更に、今期の特徴では「個人消費」に於いても「名目上昇率」を「実質成長率」が上回っているということ。
計算式からすると0.2%物価が下落したことになるわけですが(当然GDPデフレーターもマイナスになります)、名目GDPは上昇し、実質GDPはこれを更に上回る成長率を記録したのです。

先ほどのみかんの例で例えると、

 「100円のみかんを10個、合計で1000円購入」

という状況で、みかんの値段が例えば90円に値下がりするのですが、おかげで販売数量は12個に増え、販売総額は1080円に増えた・・・と、そんなイメージです。

実質賃金と名目賃金のページ でもお伝えした、

 「物価が下落したおかげで、『消費金額』も『消費量』も共に上昇した」

という状況。この状況は「賃金」だけでなく、実際の「個人消費」のケースでも同様の経済現象が起きていたことが、GDPデータにより証明された形です。

ですが、今回ご紹介した日経をはじめ、大手新聞社が掲載した情報は

 輸出主導で外需が伸びた。個人消費は振るわなかったが補った。

消費は増えたんです。外需が伸びたかどうかなど関係ありません。
寧ろ「前年同月」で見れば輸出はマイナスです。

「経済面」を担当する「日本経済新聞」の記者なんですよ、この記事を書いた人物は。どなたかは知りませんが。
どんだけ経済音痴なんだと真剣に罵倒したい気分です。

何が「個人消費は振るわなかった」だ。
もっと真剣に経済統計を見ろよ、と言ってやりたいですね、はっきり言って。

もちろんここには「前年同月比では下落し続けていた原油価格がようやく前年の価格と釣り合った」ことや、「生鮮食品が高騰したこと」なども含まれているわけですが、「実質値を季節調整し、『前期』と比較し、年率換算した数値」はそんな事すら反映できていないわけです。

いい加減人為的な計算式で算出した「実質値」「季節調整系列」「年率換算」などのまったく当てにならない指標に依存した飛ばし記事を書くのはやめてほしいですね。

ちなみに「名目」の「民間住宅」、つまり人間が一生のうちで購入する最も高額な商品であると言われる「住宅」はの2016年度第3四半期の前年同月比は「7.1%」。

第1四半期4.2、第二四半期5.3ですから、どんどん上昇していることが分かります。
「2%物価上昇率」を目指すのは、あくまでも考え方の一つであって、例えこれに追いついていないとしても、「名目」も「実質」も共に大幅なプラス成長を果たしているのなら、最早掲げる必要性すらない目標値です。

難関を超え、大手新聞社の「記者」となった人物なのに、この程度の情報に気づけないなんて、私には信じられません。

この記事のカテゴリー >>実質賃金と名目賃金


第260回の記事 で少し話題にしましたが、今回は「賃金」データについて記事にしたいと思います。

私のブログ・・・一番最初に人気が出たのは第27回の記事 だったのですが、この記事を更に上回る記事として 第104回の記事 に人気が集まる様になりました。

勿論、第27回の記事の記事の閲覧数が減少した、とかそういうわけではなく、第27回の記事 の閲覧数はそのままに、これを更に上回る形で第104回の記事 の閲覧数が増加したのです。

共に「国債」に関連した記事だったのですが、ここ1~2か月の間、この2つの記事を更に上回る記事として、第156回の記事 に閲覧数が集まるようになりました。

まだまだ私のブログの閲覧数も自慢できるほどの数字ではありませんので詳細は掲載しませんが、一日当たりの閲覧数としては、第27回の記事 や第104回の記事 を一桁上回る数字です。

なぜこのような現象が起きたのか、というと、ツイッターをはじめ、何か所かで第156回の記事 を引用して掲載してくださった方がいたから。

関心が高かったのは7月の時点で名目賃金の上昇率が高い伸び率を記録する中で、「実質賃金」がこの数字を更に上回る成長率を示したこと。

「名目値」は金額を、「実質値」は消費量を表す数字ですから、この結果を受けて私が「日本国民の手取りが上昇している上に、手取りを上回るスピードで『消費量』も増えている」と掲載したことに多くの方が関心を持ってくださった様です。

「前年同月比」で見る限り、7月の時点ではまだ「原油価格」が下落する傾向にありましたから、企業の利益が増え、従業員の賃金が増え、名目賃金が上昇する中で更に原油価格の下落に伴って消費者物価が下落したことから発生した珍現象です。

第260回の記事 で「家電商品の物価」を例に「物価が減少したからと言って、この事を以て『アベノミクスは失敗した』というのは誤りだ」と表現しましたが、7月に起きた珍現象は、このことを象徴するような経済現象でした。


今回の記事では、この「名目賃金」と「実質賃金」の見方に付いて、現在確認できる最新のデータである、「2016年度11月賃金指数(確報)」データより過去2年間にわたる「前年同月比」の推移をグラフ化して、これを参考データとしながら記事を作成していきたいと思います。

【賃金指数前年同月比の推移(2014年12月~2016年11月)】
賃金指数前年同月比推移

水色が名目賃金指数、オレンジ色が実質賃金指数前年同月比の推移です。
物価が上昇していると水色のグラフ線が上に、、物価が下落しているとオレンジ色のグラフ線が上になります。

ちなみに計算式としては、

名目賃金指数÷消費者物価指数(持家に帰属する家賃を除く)=実質賃金指数

または
名目指数上昇率-物価上昇率=実質指数上昇率

となります。
2015年3月まで、名目上昇率と実質上昇率の間に大きな開きがあるのは消費増税に伴う物価変動が原因です。

青がオレンジ色を上回る状況は2016年1月の物価上昇率0%を挟み、2016年2月まで継続します。

さて。問題になるのはその翌月、2016年3月の数字です。

私、第156回の記事では、

「名目が高い上昇率を示す中で、名目成長率を実質成長率が上回るという珍現象が発生したのは、おそらく初めてのことではないか」

と表示しましたが、違いましたね。かなり最近、2016年3月の時点で発生していましたね。

あくまでも賃金ベースでの話にはなりますが、名目賃金の前年同月比が1.5%と高い上昇率を示す中で、同時に実質成長率は1.6%と、名目を更に上回る上昇率を示しています。

これはどのような状況が起きているのかと申しますと、

「物価が下落したおかげで、『消費金額』も『消費量』も共に上昇した」

と、そういう事を示しています。
翌4月は名目賃金が0、翌5月は名目賃金が前年比-0.1と下落するわけですが、その翌月、6月にはまた再び、名目成長率が1.4%という高い成長率を示す中で、実質賃金成長率はなんと2.0%という伸び率。

そして翌7月の数字は第156回の記事 で話題にした通り。

8月、9月は名目成長率が0%となりますが、翌10月からは漸く歪な状況が解消され、実質を名目が上回るようになります。

まあ、これは生鮮食品高騰の影響もありますから、一概に称賛できる話ではありませんが、賃金指数の推移から物価を見てみますと、

「物価が下落しているということが必ずしも個人消費が下落していることを示しているわけではない」

ということがよくわかります。

まあ、何しろ「アベノミクス」が行われた結果、起きた経済現象がこれまでのセオリーの斜め上を行くものが多発した・・・ということでしょうか。

前年同月比で考える原油価格が漸く安定し、より正確に「物価」を図ることができるようになったわけですから、自称経済専門家の皆さまもぜひ、メディア上で「個人消費が減退している!」などというデマを用いて世論をかき乱すようなことをせず、客観的、公正な視点から経済評論を行ってもらいたいものです。


この記事のカテゴリー >>GDPの見方


実は9日に作成し、公開直前まで出来上がっていたのですが、公開寸前でなんとブラウザがクラッシュ。
文章がすべて消えてしまいました。非常にショックでしたが、気を取り直して再度記事作成に取り掛かります。

今回の記事は、2016年度四半期別GDP 第2四半期 二次速報についての記事になります。

内閣府

私は一次速報について記事にすることはよくありますが、今回の様に二次速報を記事にすることはおそらく初めてではないでしょうか。今回の二次速報は、実はそれほどに大きな意味のあるものです。

第192回 内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より①
第193回 内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より②
第194回 「財政投融資債」とは何か?/「一般会計」と「財政投融資会計」の違い
第197回 内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より③
第198回 内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より④

上記5回のシリーズにてご案内しましたように、今回の第二四半期二次速報より、GDPの算出方法が見直され、その見直し結果に基づいた統計データが公表されています。


今回の一次速報と二次速報の違い


GDP算出方法の改定の詳細は上記リンク先をご覧いただければと思います。
この中でも、今回のGDP公表データー(支出側GDP)に大きな影響を与えているのは以下の2記事です。
(※支出側GDPについての考え方は第164回の記事 をご参照ください)

1.産業関連表の見直し
2.研究開発費を「資産」として計上

第192回の記事 でもご説明したのですが、「産業関連表」とは、「商品」が私たちの手元に届くまでにたどった「流通経路」をその加工される前の段階にまでさかのぼって集計した、その「分配率」を計算するための元データのことです。

詳細はリンク先記事をご覧ください。
今回見直された「産業関連表」は、「2011年」の流通経路を参考に算出されています。2011年。今から5年前の流通経路です。

5年前というだけでも非常に古い様に感じるのですが、1次速報までの段階で用いられていた産業関連表は、なんと2005年。今から11年も前のデータを用いて算出されていました。

また2点目。「研究開発費の資産計上」に関しましては、第193回の記事 にてご説明しています。

この項目は主に「民間企業設備投資」という項目に影響を与えます。これまで「経費」として、「支出側」ではなく一部「生産側」GDPに計上されていたデータが、「研究開発費」として「支出側」に掲載されることになりました。

研究開発費については、計上する場所が変わっただけですので、ちょっとしたトリックのようなイメージがありますが、「産業関連表の見直し」は話が違います。

これまで、誤ったデータに基づいて算出されていたGDPが、より正確なものに近づくことになります。今回の記事では、特にこの「産業関連表の見直し」に関連した内容を記事にしてみます。


【名目GDPと実質GDP】

まずは、最大の基礎データである「GDP(総合)」から見てみます。

【名目GDP(原系列/前年同月比)】

 1次速報 123兆4619億円(0.8%)
 2次速報 130兆9934億円(0.9%)

【実質GDP(原系列/前年同月比)】

 1次速報 132兆8753億円(0.9%)
 2次速報 129兆5584億円(1.1%)
 
実質GDPがガクッと下落している様に感じるのは、基準年の見直しが行われたことによるものです。
産業関連表と同じく2005年から2011年へと変更されています。

前年同月比ベースで考えますと、共に名目GDPより実質GDPの成長率の方が大きくなっており、2016年度第二四半期は2015年度第二四半期よりも物価が下落していることが分かります。これをGDPデフレーターで見ますと、

【GDPデフレーター(指数/前年同月比)】

 1次速報 92.9(-0.1%)
 2次速報 101.1(-0.2%)

2次速報の方がマイナス幅が大きくなっていますので、二次速報の方が「物価下落率」が大きくなっていることになります。
(GDPデフレーターの見方は、第218回の記事 をご参照ください)

「物価」で考えた場合、GDPは全てのマクロ指標を包括したデータになりますから、その最大の原因と考えられるのはやはり「原油価格」の存在です。

そこで、「原油価格」の影響が反映されている「輸入額」についてみてみます。

【輸入額(名目原系列)/前年同月比)】

 1次速報 19兆2429億円(-18.5%)
 2次速報 19兆4399億円(-18.4%)

このあたりは、「算出方法の改定」とはあまり関係のない分野ですが、18%を超えるマイナス(金額にして役3.5兆円)のマイナスは大きいですね。


【「研究開発費」の影響】

次に、「研究開発費」の影響を考えてみます。

分野とすると「民間企業設備」という項目になります。

【名目民間企業設備(原系列)/前年同月比)】

 1次速報 17兆1636億円(-1.3%)
 2次速報 19兆8888億円(-0.5%)

勿論、この中には「産業関連表」の見直しに伴う変化も含まれているわけですが、合計で約2.7兆の違いが生れています。
では一方で、「産業関連表」のみの影響を受けて変動していると考えられる、「家計最終消費支出」についてみてみましょう。


【産業関連表の見直しに伴う変化】

【名目家計最終消費支出(原系列)/前年同月比)】

 1次速報 70兆8315億円(-0.9%)
 2次速報 72兆9116億円(-0.4%)

約2.08兆円の違いです。二次速報に占める割合で考えると、約2.8%の「誤差」です。
民間企業設備の「誤差」が約13.7%。約11%違うわけですが、この違いが「研究開発費の資産計上」による影響を受けたものと考えられます。


【年度ベースでの比較】

さて、ではこれを「年度ベース」で見るとどうでしょうか。

勿論2016年度はまだデータが出ていませんから、2015年度と、安倍内閣がスタートする前の2012年度の数字を比較してみます。

【名目GDP2012年度/2015年度比較(原系列/前年同月比)】

 2012年度
  1次速報 474兆4037億円
  2次速報 494兆6744億円       
  1次速報-2次速報=20兆2707億円 

 2015年度
  1次速報 500兆6213億円
  2次速報 532兆1914億円       
  1次速報-2次速報=31兆5701億円 

いかがでしょう。この様なデータを示すと、「そもそも統計方法が違っているんだから、データが違うのは当たり前だろ!」

という意見が出るかもしれません。ですが、私が見てほしいのは、統計方法の改定により「いくらGDPが増えたのか」などという単純な話ではありません。

一番着目していただきたいのは、1次速報と2次速報の「誤差」です。
2012年度の誤差は20.27兆円であったものが、2015年度には31.57兆円に広がっています。

その差は約11.3兆円にも上ります。

例えば、「研究開発費」がデータとして加えられましたので、これを「研究開発費の伸びしろが影響している」と考える人もいるかもしれません。ですが・・・

【名目民間企業設備年度/2015年度比較(原系列/前年同月比)】

 2012年度
  1次速報 64兆7979億円
  2次速報 71兆8342億円       
  1次速報-2次速報=7兆0363億円 

 2015年度
  1次速報 70兆995億円
  2次速報 81兆2078億円       
  1次速報-2次速報=11兆1083億円 

民間企業設備の「2012年度の誤差」と「2015年度の誤差」の開きは4兆0720億円と確かに大きいのですが、

【名目家計最終消費支出2012年度/2015年度比較(原系列/前年同月比)】

 2012年度
  1次速報 281兆1680億円
  2次速報 283兆9824億円       
  1次速報-2次速報=2兆8144億円 

 2015年度
  1次速報 284兆7216億円
  2次速報 292兆3669億円       
  1次速報-2次速報=7兆4530億円 

民間家計最終消費支出の「2012年度の誤差」と「2015年度の誤差」の開きは4兆6386億円と、こちらも「民間企業設備」に負けず大きな開きとなっています。

2014年に消費増税もおこなれていますから、ここを問題にする人もいそうですが、では「消費増税後」の「2014年」と「2015年」を比較した場合はどうなのでしょうか。

【名目家計最終消費支出2014年度/2015年度比較(原系列/前年同月比)】

 2014年度
  1次速報 286兆1262億円
  2次速報 291兆5161億円      
  1次速報-2次速報=5兆3899億円 

 2015年度
  1次速報 284兆7216億円
  2次速報 292兆3669億円       
  1次速報-2次速報=7兆6453億円 

いかがでしょう。何度も言いますが、今回の二次速報より改定された改定内容は、「支出側GDP」で考えれば、「産業連関表の見直し」と「研究開発費の資産計上」の2点です。

この他、

A.「雇用者報酬の見直し」
B.「財政投融資債の計上方法の見直し」
C.「輸出入項目内訳の見直し」

が行われているわけですが、Aは生産(分配)側GDPの問題ですし、Bは政府の会計方法が見直されるだけで、金額そのものが変わるわけではありません。Cは名前の通り輸出入の問題ですから、今回主に掲載した「家計最終消費支出」や「民間企業設備」には関係がありません。

そして「研究開発費の資産計上」は「民間企業設備」にかかわる分野であり、「家計最終消費支出」がこの影響を受けることはありません。

つまり、「産業関連表」=「流通経路の見直し」が行われただけで、2015年度の「家計最終消費支出(名目)」は、2014年度と比較して、2005年度の古い産業関連表を用いて計算した計算結果では「1兆4046億円のマイナス」であったはずなのに、2011年度ベースの少し新しくなった産業関連表を用いただけで、8530億円のプラス成長に変わってしまったのです。

これは、私がこのブログを通じて、特に消費増税関連の問題で「消費増税が消費を減退させた」という論調に対して、「その評価は現状を正確に評価できていない」という考え方に基づいて、散々記事を記してきたことが証明されたに等しい内容です。

第53回 実質GDPへの疑惑
↑こちらの記事は、タイトルにある通り、「実質GDPの疑惑」について掲載したものです。

このころはまだ不勉強な部分もあったわけですが、記事中に掲載している「加重平均」やその結果算出された「ウェイト」については、実質GDPだけでなく、名目GDPや消費者物価指数を算出する済にも同じように用いられていますので、その後の記事で、私は「名目GDP」についても「消費者物価指数」についても、これが「当てにならない」ことを散々掲載してきました。

2015年度のGDPは、「速報ベース」ではなく、「確報ベース」の値です。
これが、「産業関連表の見直し」によって大幅に覆された結果となったのです。

「合成の誤謬」とはよく言ったものです。

この記事の作成方法として、私は実は今回の二次速報データを予め検証することをせず、私の頭の中にある予測を記事として書き記し、私の予測の中にある数字が出てくるかどうか、非常にワクワクしながら記事を作成しました。

その結果、内閣府統計データに記されていた数字が悉く私の予測通りの数字であったことは、非常にうれしく感じています。

来年中にはおそらくビッグデータを活用した、新たなる統計方法に基づいたGDPデータ が登場するはずです。

日本国内の経済の実態が、どの程度まで正確に反映された統計データが登場するのか、今からとても楽しみです。


この記事のカテゴリー >>GDPの見方


前回の記事 で少し触れましたが、一昨日(2016年11月14日)、2016年度第二四半期(7月~9月)のGDP一次速報が発表されましたので、今回はこの話題について記事にしたいと思います。

ニュース情報では、こんな感じで報道されています。

【日本経済新聞(2016/11/14 12:32)】
GDP実質2.2%増 7~9月年率、輸出・住宅伸びる

 内閣府が14日発表した2016年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.54%増、年率換算で2.2%増となった。プラスは3四半期連続。アジア向けを中心に輸出が伸び、国内でも住宅投資が堅調だった。一方、内需の2本柱である個人消費と設備投資はゼロ近傍で停滞した。

 実質GDPの増加率は、15年1~3月期(年率5.0%)以来の高い伸びとなった。市場の事前予測の中央値(年率0.8%、QUICK調べ)を大きく上回った。生活実感に近い名目GDPの増加率は0.2%、年率換算で0.8%だった。

 石原伸晃経済財政・再生相は同日の談話で「日本経済はこのところ弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」との認識を示した。

 前期比0.54%伸びた実質GDPの増減にどれだけ影響したかを示す寄与度をみると、外需が0.45%分押し上げた。輸出は2.0%増えた。「iPhone7」など新型スマートフォン(スマホ)の増産のため、半導体製造装置や電子部品の輸出が伸びた。アジア経済の復調も輸出を押し上げた可能性がある。

 GDP統計で輸出に分類される訪日外国人(インバウンド)消費は9.4%増えた。熊本地震で訪日を見送るケースが相次いだ4~6月期の落ち込みを取り戻した。輸入は0.6%減少した。

 内需は実質GDPを0.09%分押し上げた。住宅ローン金利の低下が購買意欲を刺激し、住宅投資は2.3%増えた。個人消費は0.06%の伸びにとどまった。新型スマホの販売が好調だったが、台風など天候不順の影響でアルコールを含む飲料やガソリンの消費が落ち込んだ。

 設備投資は0.03%の増加にとどまった。米欧の自動車市場が堅調な輸送機械は伸びたが、農業機械やソフトウエアの新規投資は振るわなかった。収益が伸び悩むなか、企業が設備投資を様子見している。公共投資は0.7%減った。16年度当初予算などの前倒し執行が押し上げた4~6月期の反動が出た。

 物価の動きを総合的に示すGDPデフレーターは前年同期比0.1%低下した。13年10~12月期以来11期ぶりに前年を下回った。円高が物価の重荷になっている。収入の動きを示す雇用者報酬は名目ベースで前年同期比2.0%増えた。

 内閣府は12月8日に公表する7~9月期改定値から推計方法を見直す。これまで付加価値を生まない「経費」として扱った研究開発費を付加価値を生む「投資」と見なし、GDPに加算する。内閣府の試算では、新たな基準年となる11年の名目GDPは19.8兆円かさ上げされるという。

財務省

どの記事にも共通して記されていたのは、実質GDPが2.2%増加し、これが3四半期連続でのプラス成長である、ということです。

おさらいになりますが、「GDP」には「名目GDP」と「実質GDP」の二つの種類があります。

「名目」と「実質」の違いについて記載しますと、

「名目とは『金額ベース』の指標」であり、
「実質とは『数量ベース』の指標」であるということ。

分かりやすく言えば、「名目GDP」とは、「総額で何円の消費が起きたのか」という数字で、「実質GDP」とは「総数で何個消費されたのか」ということです。

データとして記載しますと、

2016年度第1四半期の名目GDP 125兆円(前年同月比 1.4%)
2016年度第1四半期の実質GDP 129兆円(前年同月比 0.6%)

であったのに対して、

2016年度第2四半期の名目GDP 123兆円(前年同月比 0.8%)
2016年度第2四半期の実質GDP 132兆円(前年同月比 0.9%)

となっています。
二次速報を間に挟んでいないので、第140回の記事 で掲載した内容とは若干内容が変わっています。

勿論数字は「名目、および実質」の「原系列」。
原系列以外に「季節調整系列」というものがあります。季節特有の現象を計算式を用いて除外するわけですが、人為的に操作された数字で、実はそれが正確であるという明確な根拠に乏しいため、私は全く信用していません。

季節調整が行われる理由は、「前年同月」ではなく「前期」と比較し、「年率換算」をして「同じ成長率が1年間継続したらどうなるか」というフィクションに基づいた結果を計算するためです。(詳しくは 第140回の記事 をご参照ください)

第一四半期から第二四半期にかけての経済成長率がまる1年間継続するわけがありませんから、はっきり言って「年率換算」の数字を用いて経済を考えるなど、『論外』ですね。

暴走しました。理想としては、名目2%、実質1%、物価上昇率1%の上昇としたいのですが、ともに前年同月を上回っており、まずまずというところではないでしょうか。


ちなみに、第140回の記事 でも掲載しています通り、名目GDP成長率、実質GDP成長率、物価上昇率の関係は

 名目GDP成長率=実質GDP+物価上昇率

となっています。
今回は名目成長率が0.8、実質成長率が0.9ですから、物価上昇率は-0.1。つまり、物価は下落していることになります。

これは「消費者物価指数」に関連した記事 でも散々お伝えしていますので、みなさんご存知の通りですね。

理由はこちら。

 2016年度第2四半期の輸入額 19.242兆円(前年同月比 -18.6%)

数値は勿論、名目の原系列です。
日本の輸入の大部分を占めているのはもちろん「原油」。

「輸入額」というのは、日本にしてみればそのまんま「原価=仕入れ価格」になりますから、輸入額は本来少なければ少ないほど良いのだ、と考えることができます。(ただし、『経済活動が滞っている』ことが理由である場合もあるので、他の経済指標との比較はとても大切なことですが)

分かりやすく表現するとすれば、「輸入額+付加価値」=「物価」ですから、利益の増加幅以上に輸入額が下落すれば、当然物価は下落します。GDPは「物価」の集合体ですから、付加価値以上に輸入額が下落すれば、GDPの伸び率も抑えられてしまうわけです。


しかし、「原油価格」っていうのは、元々「名目は減少しているのに原油価格が上昇するせいで『消費者物価指数』が上昇している様に見えることを批判し、「数字から輸入額が除外されている『GDPデフレーター』」で物価を見ることが正しい、と言っていたのに、今では事態が逆転してしまっています。

GDPデフレータでは「原油価格下落による名目値の動向」と「原油価格を含まない名目値の動向」が混在してわからなくなってしまっているため、「GDPデフレーター」よりも「消費者物価指数」で「費目・品目別」に見る習慣をつけることの方が大切になっています。


「家計最終消費支出」について

「家計最終消費支出」とは、国全体の消費支出の内、「政府」でも「企業」でもない「家計」が消費に回すことができた金額の合計値です。

この金額が大きければ当然「家計ベースでの消費が増えた」こととなるわけですが、

 2016年度第二四半期の「家計消費支出」は「前年同月比-0.9%」。

まあ、みなさんご想像の通りですね。私はこの数字は当然「原油価格の下落」が大きく影響していると考えています。
第140回の記事 と見解は一緒なのですが、やはり大きな特徴として、「民間住宅」への支出が伸びていることがその理由です。

これは日本経済新聞記事にも記していますね?
内需は実質GDPを0.09%分押し上げた。住宅ローン金利の低下が購買意欲を刺激し、住宅投資は2.3%増えた。個人消費は0.06%の伸びにとどまった。新型スマホの販売が好調だったが、台風など天候不順の影響でアルコールを含む飲料やガソリンの消費が落ち込んだ。

掲載内容は「実質値」に関する掲載です。ツッコミどころ満載なんですが、「住宅投資」に関する記載はその通りだと思います。

「住宅」って日本人が一生で起こす消費の内、最も大きな買い物です。
ちなみに「民間住宅」は名目の前年同月比で5.9%も上昇しています。

第一四半期が4.4%でしたから、これに輪をかけての上昇となりました。
GDP指標の内「民間住宅」という分野は、「住宅」という限定的な分野に絞られていますし、この分野が「原油価格下落」の影響を受けることはありません。ですから、他の分野と比較しても、より正確に「消費」が反映されていると考えられるのです。

一生で一番大きな買い物である「住宅」にこれだけの消費を行えるようになっているのに、それ以外の「最終消費」はマイナスであることに対して非常に疑問を感じるわけです。

過去の記事で述べています通り、「賃金」も上昇していますしね。


ただ、気にかかる分野として、「企業設備投資」が前年同月比-1.3%と減少しているのは少し気にかかるところです。第一四半期が-0.1%ですから、企業に少し元気がなくなっているのかな、と感じさせる数字です。

12月8日には、「二次速報」が上がってきます。
ここでは、ついに新しい「産業関連表」に基づいて製作された新しいGDPが登場します。

2008SNAの件もあるのですが、こちらは私たちがよく見る「支出側から見るGDP」に繁栄される要素は少ないかなと考えているので、一番大きいのは「産業関連表」の問題だと思います。

今回の一次速報も、第一四半期の情報も、過去までさかのぼって修正されるはずですので、どのような修正内容となるのか、今から楽しみです。


次回記事では、改めて「GDPデフレーター」について記事を記してみたいと思います。




この記事のカテゴリー >>日本の税収の見方


<継承する記事>
第210回 2016年度9月次税収(消費税収・所得税収等)が発表されました①

「消費納税」の考え方

全開の記事より、「消費税」の部分だけをピックアップして記事にしてみます。
内容としては、2015年度中に私が考え続けていた「誤解」をより詳らかに説明することを目的とします。


【2015年度の「誤解」とは?】

何度もお伝えしています通り、「消費税」は「前年度の納税額」を参考に決められます。
今年は2016年なので、2015年の納税額を参考に決められています。2015年の納税額は、2014年の納税額を参考に決められています。

ですが、私は当初、「今年度」の「月別」データは、「今年度の消費」に対して支払われた税金だとずっと思いこんでいました。

【第一の誤解】

2014年。消費増税が行われた当時。

確かに5%から8%に増税されたため、「税収」だけで比較すれば3%分の誤差が生れるため、フェアな比較はできないかもしれない。だが、税率がかけられる前。税抜きの消費額同士を比較すれば、「消費の変化」を見ることができるはずだ。


【真実】
会計年度、決算月の違いにより、企業の中には2014年度に2013年度分の消費税を納税する企業がいる。
したがって2014年度の税収からは正確な「税抜きの消費金額」を計算することはできない。

【第二の誤解】

2014年の誤解を踏まえた上で。2015年度スタート当時。

2014年度は確かに税率が混在するかもしれないが、増税前の税率は5%、増税後の税率は8%なので、2013年の月別のデータから5%分、増税後、2015年の月別のデータから8%分の税率を引いて計算すれば、税抜きの消費金額を算出し、増税前後を比較することができるはずだ。

【真実】
「消費税率」には「国税」と「地方税」が混在していて、政府が公表しているのは「一般会計税収(国税)」であり、増税前は4%が国税分、増税後は6.8%が国税分なので、そもそも計算する税率が違う。

【第三の誤解】

自らの予測が大外れしてショックを受けた2015年5月までの間。

政府が発表している一般会計は「国税」であり、増税前の2013年度の月別の税抜き消費額を税率4%から逆算し、増税後、2015年度の月別の税抜き消費額を6.8%から逆算し、それぞれを比較すれば消費額の変化を月別に比較できるはずだ。

【真実】
年間の消費税納税総額が分かるまでの間、月別の消費税納税は前会計年度納税額を参考にして決められている。


特に、第三の誤解を知ったときは、正直雷で撃たれたような衝撃を覚えました。

これらの誤解に対するそれぞれの真実を踏まえた上で、増税前後の「消費税収」について考えてみます。


2014年度の消費税収と2015年度の消費税収についての考え方

消費税の「税抜き価格」を計算する場合、一番考え方が難しいのは2014年度です。


【2014年度の「月別」の消費納税額】

2014年の「月別」の消費納税額は、増税が行われる前。2013年度の消費納税額を参考に決められています。

ただ、実際に2014年の月別の納税額を見てみますと、2013年度の実績以上の納税が行われています。
考えられる理由としては分納を行うことができるのは前年度に納税額が大きかった企業だけですから、納税額そのものが大きくなっていること、などでしょうか。

また、年間を通じて実績を上げ続ける自信のある企業などはきちんと月別でも8%勘定の納税を行っていたのかもしれません。
どちらにしても2014年の月別の消費納税額は増税前、2013年のものを参考としていますので、本来の実績よりも低い納税額となっています。


【2014年度の「年間」の消費納税額】

一方、「年間の消費納税額」に関して言えば、2014年度の納税額の一部には2013年度の実績も含まれていますから、トータルでの納税額も年間を通じて完全に8%の税率が適用されている2015年度と比較すると低くなっています。


【2015年度の「月別」の消費納税額】

一方で、2015年度の「消費税収」は2014年度の実績をベースに決定されています。
ですので、2015年度の「月別」の納税額は2015年度実績ベースの納税額よりは低い納税額となっています。


では、改めて今年度(2016年度)9月次の「消費税納税額」を見てみます。

平成28年度 9月末租税及び印紙収入、収入額調 財務省

イメージからしますと、納税までに2か月の猶予がありますから、実際には2か月前。7月の納税額です。昨年度(2015年度)の7月の納税額を参考に行われた7月分の納税額です。勿論8月分や9月分の納税を行っている企業もいます。

6月までは還付分が反映されていて、累計はマイナスになっていますので、正味7月~9月の3か月分のデータです。
累計で前年同月比93.1%、予算比で98.6%となっています。

飽くまでも昨年度の実績が反映されたものであり、14年、15年の実績と違って初めて純粋の税率8%同士が比較されたデータであることもあるのですが、「マイナス」っていうのはあまり気持ちのいいものではありませんね。


【その他の税収について】

税収全体で見ますと、前年同月比は前年比95.2%、予算比が102.3%となっています。

下落幅として大きいのはやはり筆頭が「法人税」の累計53.1%(-2746億円)ですが、金額の面だけからいえば消費税の-3177億円も大きいです。

その他前年同月と比較して、揮発油税の-126億円、関税の-568.6億円などが大きいです。
一般会計税収全体としては8029億円のマイナス。ただ、予算比ではプラスとなっていますから、このまま予算ベースの値を維持することに期待したいですね。



この記事のカテゴリー >>日本の税収の見方


発表されてから少し時間が経過してしまいましたが、毎月月初に発表されている「税収」の月別の値が財務省より公表されていますので、こちらの内容を記事にしてみたいと思います。

第186回の記事 でもご説明しましたが、私がこの「月別の税収」にこだわり始めたのは、そもそも「消費増税が行われてから後、消費が落ちているのではないか」とする各種の主張に異を唱えることが目的でした。

「消費税」は「消費されたもの」に対してかけられる税金ですから、消費税率がかけられる前の「消費本体」の動向を見れば、本当に消費が減っているのかどうかを判別することが可能になるからです。

ただ、記事を作成していて、よくよく考えると、「今年度の月別の消費税収」は「昨年度の納税額」を参考にして決められているため、実際に今年度月別に収められている消費税の納税額は、昨年の納税額を参考にして決められていることになりますので、月別の「消費税納税額」は参考にはならない・・・ということに、8月の記事を作成していて気づいてしまいました。

ですから、「月別の消費税納税額」は「この年の消費動向の参考とはならない」ことを前提として記事を作成することになります。


【2016年度9月次税収】

平成28年度 9月末租税及び印紙収入、収入額調 財務省

こちらが2016年9月次一般会計税収一覧です。


【所得税収について】

8月分 と比較しての大きな違いとして、「所得税源泉分」の前年同月比ベースでのマイナスです。

8月は100.3%でしたが、9月は82.9%と大きく下落していますね。
ちなみに9月に納められる所得税収は、8月分の所得税収。

ですから、8月の「給与所得」が前年を下回っていたことになります。
但し、これについては第188回の記事 で既にその理由をご説明しています。

厚生労働省2016年8月分毎月勤労統計によりますと、2016年はボーナスの支払いが7月に集中しており、2015年は8月に集中していたため、その差として8月の名目賃金総額が下落しました。7月のボーナス支給が前年同月比でプラス3.7%、8月のボーナスが前年同月比でマイナス7.7%ですから、原因はここだと考えられます。

累計が前年同月比でマイナスになっていますので、私の主張は「希望的観測」なのかもしれませんが、政府の予算ベースでも101.9%と100%を超えていますので、政府も同様な予測を元々行っていたのだと思います。

また一方で同じ所得税でも「申告分」は前年比でプラスとなっています。
これは、企業が7月に行った「予定納税」が理由であり、9月にも前年を上回る予定納税が「遅延」して行われたものと考えられます。

トータルではやはり「所得税源泉分」が足を引っ張る形となり、前年比累計96%となっていますが、予算比では100.9%となっています。


【法人税収の推移】

「法人税」に関しましては、8月次の記事 でもお伝えしました通り、納期は年1回。前年の納税額が20万円を超える企業は中間納税を行うこととなっています。

累計の前年同月比が53.1%となっていますが、これは7月まで行われていました、前年度の法人税納税額の還付の影響が大きくなっています。9月次の納税額は前年同月比で96.7%、累計での政府予算比は113%となっています。


【消費税収について】

既にお伝えしています通り、「消費税納税額」は昨年度の納税額をベースに決められています。
ということは、昨年度の納税額は、「一昨年」の納税額をベースに決められていました。

消費税は、前年度の納税額によって、「毎月」「2か月に1度」「半年に一度」「1年に1度」という4つのパターンでの納税を行うことになっています。

この納税方法について、第114回の記事 で一度詳しく説明はしているのですが、では読んですぐ理解できるかというと、必ずしもそのような内容にはなっていないように感じますので、一度記事を分けて、「消費税」の部分だけピックアップして記事にしたいと思いjます。


この記事のカテゴリー >>日本国債の問題


<継承する記事>第197回 内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より③
前回の記事で予告しましたように、今回の記事では「建設国債」と「赤字国債」の違いについて記事にしたいと思います。

最終的に、前回の記事 に関連して、「研究開発費」が「GDP」に組み入れられることと、「財政政策の可能性」について言及する形で締めくくりたいと思います。


「建設国債」と「赤字国債」の違い

これが何か問いかけられて、きちんと答えられる人は意外と少ないかもしれませんね。
第194回の記事 で、「財政投融資債」についてご説明した時、少しこの話題に触れました。

日本の「国債」には3種類あり、それが「建設国債」「赤字国債」「財政投融資債」の3つです。
民主党内閣で「年金特例国債」という名称の国債も発行されましたが、これも「赤字国債」の一種です。

「建設国債」と「赤字国債」の最大の違いは、それぞれの国債を発行した後で、その発行額に対する「対価」が存在するかどうかということになります。

アクアライン

「建設国債」というのは、その名の通り、「建築建造物」に対して発行される国債ですから、国債が発行された後、例えば「構想道路」を作るために建設国債を発行すれば、当然そこには「高速道路」という建築構造物が出来上がります。

考え方でいうと、「もし仮に建設国債が返済不能に陥っても、『高速道路』という対価が残っているから問題ない」という考え方です。もし建設国債が返済不能に陥れば、高速道路を売却して返済すればいいでしょ、という発想です。

勿論日本の国債が破綻することなど、政府機関に巨大隕石が激突して財政運営そのものが破綻するようなことにでもならない限り120%ありえませんから、そんな事態に陥ることはまずありえないのですが、それでもそうなったときには、という話です。


最近まで私のブログで最大の人気を誇っていた 第27回の記事 が取り扱っている「60年償還ルール」。

日本の国債の返済期限が60年に設定されている理由は、建設国債を発行して作った建築建造物の減価償却期間を「60年」と考えていることに由来します。建設国債を使って作った建築構造物が、一年に60分の1ずつその価値を減らしていき、60年経過すると0になる、という考え方です。

「減価償却」っていうのは、例えばトンネルを一つ作っても、その価値がたった1年で償却されるわけではない、という考え方になります。「トンネル」を「消費物」であると考えたとき、一体何年で消費仕切るのか。これが「減価償却期間」です。

国の建築構造物的には、「トンネル」であれば「トンネル」を、1年間に60分の1ずつ、60年間かけて消費する、という考え方をします。

余談ですが、私のブログで現在は第104回の記事 が人気記事トップの座を奪取しております。

内容は「本当の国債発行残高」という内容。上記した「建設国債」や「赤字国債」以外に、「借換債」発行残高の推移についても掲載しています。

そういう意味では「借換債」も「第4の国債」と言えなくはありませんが、元々は「建設国債」や「赤字国債」であったものが姿を変えているだけですので、私としては「建設国債」や「赤字国債」の一種である、と考えています。

一方の「赤字国債」。これは、建設国債の様に「対価」となる資産を生み出さない目的のために発行される「国債」のことです。

道行く人々

実は、「国債」を発行するための裏付けとなる法律は、「財政法第4条第1項但し書き」がその根拠となっています。

【財政法第4条第1項】
第四条  国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。

但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。

別の機会にも掲載した気はしますが、記されているとおり、「公共事業費・出資金・貸付金」の財源としてのみ国債は発行することが認められているのです。ちなみに「出資金」や「貸付金」に該当するのが「財政投融資債」です。

つまり、法制度上、「公共事業費」以外に「国債」を発行することは認められていないのです。この法律に基づいて発行される国債のことを「建設国債」といいます。財政法第4条に基づいて発行されますから、別名「4条国債」といいます。

ですが、例えば「リーマンショック」であったり、「東日本大震災」のような、政府が元々想定していない緊急事態が発生した時にまでこの法律を守っていたのでは日本国は大変なことになります。

「雇用」や「企業活動」を維持したり、「失業者対策」を施したりするため、「対価を発生させない資金の需要」が急速に高まってしまいます。この様な場合に、「特例として」発行されるのが「特例国債」。別名「赤字国債」です。

赤字国債を発行するため、赤字国債を発行するための「特例公債法」という法律を作成し、国会の承認を得た上で発行されるのが「特例国債(赤字国債)」です。

特例債は「対価」を発生させませんから、仮にこの国債がもし返済不能に陥れば、「貸主」はその分損害を被ることになります。
資産から発行額を差し引いた値がマイナスになりますから、「赤字国債」と呼ばれるのです。


赤字国債の発行額とその目的

ところがこの「赤字国債」。実はリーマンショックや東日本大震災のような「緊急事態」が発生した場合以外でも、ほぼ毎年発行され続けています。

戦後初めて発行されたのが昭和40年で1,972億円。
その後しばらくの間発行されていないのですが、昭和50年~平成2年にかけて毎年発行された後、3年間を開けて平成6年に再開され、それ以後は毎年発行されています。

ちなみに今年度、2016年度の赤字国債発行額は28兆円となっています。建設国債が6兆円となっています。
一体何のために発行されているのか。第27回の記事 をご覧いただければわかると思いますが、その大部分が「過去に発行した国債の利払いと60年償還ルールで定められている元本の返済」に充てられています。額にして23兆6121億円です。


この様に記すと、「借金を借金で返しているのか!!!」と激怒する人が出てきそうですが、これについては再度第27回の記事 をご覧いただければと思います。

数値で記しますと、2016年度に発行されている「借換債」の額が109兆1144円。この金額に、13兆7161億円を加えた総額、122兆8305億円が2016年度に返済しなければならない日本国政府の借金の総額です。ただ、「借換債」の部分は事実上2016年度には返済する必要のない借金ですから、「借換債」を発行して再度借り直します。

13兆7161億円は返済する必要のある金額ですから借換債は発行せず、日本国政府が一般会計の中から支払います。
一方で利息が9兆8961億円発生していますから、これは全額返済します。

一般会計から支出された分に関しては「赤字国債」を発行していますので、これが「国債発行残高」として積み上げられていくことになります。

60年償還ルールがスタートしてからまだ60年経過していませんから、国債発行がスタートした昭和40年より昭和が23年。平成が28年間。合わせて51年分の「国債」が現在も返済し続けられていることになります。

去年は50年分、今年は51年分、来年は52年分と蓄積されていきますが、これが60年経過しますと、国債発行初年度の国債から完済されていきますので、発行しなければならない借換債の額も、赤字国債の額も頭打ちとなります。後は新規発行国債の額がいくらか、というところに集約されることになります。

「グラフもないしわかりにくい!」という方は、どうぞ第27回の記事 、または第104回の記事 をご覧ください。


「研究開発費」が「GDP」に「資産計上」される意義

さてこの記事。ここからが本題です。

研究

というより、ここまで記すと、もうお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんね。

「研究開発費」は、これまで「経費」とみなされてきましたから、例えば政府が民間に政府のシステム開発等を委託したとしても、ここにかかる経費には「国債」を発行することはできませんでした。

もしするとすれば、これは「赤字国債」を発行して行わざるを得ず、国会の承認を得る必要がありますから、野党にあらぬ噂を立てられてしまえばこれでご破算になってしまいます。

勿論「建設国債」であったとしても、これには国会の承認は必要になりますから、赤字国債とどう違うんだ、と言われると明確な違いをお示しすることはできませんが、これまでと異なってくるのは、例えば第190回の記事 でご紹介した「地域経済分析システム『リーサス』」の様な統計システムが、「資産」として計上されるということ。

「対価」が発生するのです。
ということは、ひょっとしてこのような「研究開発費」についても「建設国債」を発行することが可能になるんじゃないの!? ってことです。

今後、「GDP」についても「ビッグデータ」を導入するための研究開発が行われていくわけですし、当然その「研究結果」が「資産」として計上されるはずです。ここに建設国債を発行することが可能になるのならば、当然予算に余裕が出てきますから、国債の返済のために発行しなければならない赤字国債の額を減らすこともできるようになるはずです。

「今減らしても将来は!」云々といいたい方は改めて第27回の記事 、または第104回の記事 をご覧ください。

特に「赤字国債の返済」という項目は、金融機関や民間から「国債」という資産を回収することになりますから、確かに金融機関や民間の「現金資産」は増えるかもしれませんが、プラスマイナスで考えればゼロか、むしろマイナスになります。
勿論現在は「マイナス金利」ですので少し事情が変わるかもしれませんが。

ですが、「研究開発費」という名目で建設国債を発行し、これを研究機関に投資すれば、これは研究機関の「所得」にも還元されますし、研究機関が発注する先であったり、人件費等々の「投資」へと変化し、新たな所得構造を生み出します。

勿論今回の改正では「公共」の研究開発費で、「公共資産」が生れる研究開発に限定されることにはなりますがそれでも財政政策の幅は広がります。これまで土建業者相手にしか発行できなかった「国債」が、知的研究機関にも発行できるようになることは、非常に可能性を感じさせる出来事だと、個人的には思っております。

いざとなれば、その研究成果を政府が民間に無償で提供すれば、その成果によって民間企業にもさらなる利益を生み出します。
(実際に政府はそのような研究とノウハウの提供を行っています)


勿論これは私の勝手な憶測ですから、政府が本当にそういうやり方をしてくるのかどうかはまだわかりません。

私の考え方としては、「分配」はあくまで「労働の対価」として行われるべきだということ。これが支柱にあります。
ですから、「社会保障費」として赤字国債を発行してまで分配するやり方には正直賛成できません。

これをやってしまうと、短期的には良い効果をもたらす可能性はありますが、やがて国民から「労働する意欲」を奪ってしまう可能性を否定できないからです。(第28回の記事 をご参照ください)

日本国民が、自力で経済を成長し続ける力を取り戻すためには、「乗数効果の高い分野」へ「投資」を行うこと。これが一番だと思います。

あくまでも統計データレベルでのお話ですが、この様な見方があるということを考え方の一つに考えていただけると嬉しく思います。


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<継承する記事>第197回 内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より③
今回の記事では、「内閣府、GDP算出方法の改定」についてのシリーズ①~③までの記事内容を総括する記事を作成しようと思います。

まとめますと、今回内閣府が行う「GDP算出方法の改定」とは、まず一つ目に、これまで用いてきた「2005年度版産業関連表」から「2011年度版産業関連表」への変更を行うこと。
第192回記事 をご参照ください)

そして、これまで古い国際基準である「1993SNA」に対応して作成してきていたものを、新しい国際基準「2008SNA」に対応した内容に変更すること。
第193回記事 をご参照ください)

この2点です。

どちらにせよ、産業関連表は5年遅れ、SNA(国民経済計算の国際基準)は8年遅れですから、この更新を行うことで本当に国内の経済状況を正確にとらえられるのか、ということに関しては非常に疑問に感じる部分も大きいのですが、特に「産業関連表」に関しては、10年前の産業構造で現在を判断するよりは、さすがに5年前の状況で判断したほうが、まだましだろうとは思います。

データとしては恐らく過去に遡及した物を出してくるでしょうし、計測方法が変更されたため、データとしてかさ上げされることになりますので、本来の「国力」が上昇するわけではない、ということから、この変更内容の重要性については5段階あったとしたら、下から2番目くらいになるでしょうか。

重要度としては、第189回の記事 ~第191回の記事 にかけてご紹介した、「統計指標へのビッグデータの活用」の方がよほど大きいと思います。

この二つの改定に関しては、GDP算出方法の改定が今年度第2四半期(7月~9月)二次速報分から、ビッグデータを活用した指標の導入が早ければ来年度から、ということですから、時期がずれますので、変化の調査は行いやすいと思います。

ただ、GDP算出方法の改定に関連した内容としては、特に「非金融(実物)資産の範囲」という項目に関してはひょっとすると経済実態を計測する上で、大きな影響が出てくる可能性のある部分だとは考えています。
第193回の記事 に掲載してある内容です。

「研究開発費」が「資産」として残る・・・といってもイメージがしにくいかもしませんね。

【日本における研究開発費の研究主体別構成比】
「研究開発費」の内訳
※内閣府PDF

大部分が「企業」にはなっていますが、その他にも「大学」や「公的研究機関」なども含まれていますね?
想像しやすいのが、「ノーベル賞」などがこれに該当するのではないでしょうか。

青色発光ダイオードなどはイメージしやすいかもしれませんよね。
ノベール賞を受賞したのは研究者である中村修二教授だったのに、研究にお金を出したのは日亜化学工業だったという理由で、中村教授には報酬が経った2万円しか渡されず、中村教授激怒・・・という光景を覚えている方もいらっしゃると思います。

つまり、「青色発光ダイオード」という技術の開発にかかった費用(研究開発費)は日亜化学工業だったんだから、中村教授一人が偉いわけじゃない、みたいな理屈です。

この事例を持ち出したのは、この事件そのものについて言及したいわけではなく、「青色発光ダイオード」という技術(知的財産)にかけられた費用は、これまでのGDPではすべて「経費」として扱われ、この知的財団には何の価値も与えられていなかったわけです。

勿論「青色発光ダイオード」という技術開発にかけられた「研究費用」そのものがGDPに組み入れられることも大きいのですが、これは、日本の「財政政策」にとっても一つの新しい「可能性」が生れることを暗示しています。

次回記事に於きましては、ではこの「財政政策の可能性」とは何なのか。
これを「建設国債と赤字国債」というタイトルで掲載してみたいと思います。




タイトルで、なんとなく私の言わんとしていることに気づくことができた方は・・・さすがです。


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<継承する記事>第194回 「財政投融資債」とは何か?/「一般会計」と「財政投融資会計」の違い
記事は第194回の記事の続きです。

テーマは今回のタイトルにある、内閣府GDP算出方法の改定に関連した内容で、第193回の記事 に掲載した『国際基準「2008SNA」』より、

3.一般政府や公的企業の取扱精緻化
 ・一般政府と公的企業との間の例外的支払の取扱の精緻化 等

4.国際収支統計との整合
 ・財貨の輸出入における所有権移転原則の徹底 等

という二つのテーマについてご説明することを目的にしています。

第149回の記事 では、とくに3番の「一般会計や公的企業の取扱精緻化」というテーマについてご説明する上で、先に「財政投融資」という言葉についてご理解いただいておくことが必要だと感じたため、これを記事にしました。

それでは、改めて、まずは

「3.一般政府や公的企業の取扱精緻化」というテーマについて記事を進めていきます。


【一般政府や公的企業の取扱精緻化とは?】

内閣府資料 では、「一般政府や公的企業の取扱精緻化」について、以下のように掲載しています。

「公的企業から政府への特別な支払(財政投融資特別会計から一般会計への繰入れ等)の記録変更により、これまで振れの大きかった財政収支について、より基調の動きを記録」

つまり、「一般政府や公的企業の取扱精緻化」とは、「財政投融資特別会計から一般会計への繰入れ等の記録を変更」しますよ、ということです。

第194回の記事 に於きまして、「財政投融資特別会計」が、『政府の「一般会計」との間で、横断的に資金の行き来を行いながら運用』しているとお伝えしました。

平成28年度財政投融資特別会計

こちらは今年度。2016年度予算ベースでの「財政投融資特別会計」なのですが、右側、「歳出」の中に、「公債等事務取扱費一般会計へ繰り入れ」という項目がありますね?

これがそれに該当します。

28年度はこれが7100万円ですから、微々たるものであるように見えるかもしれませんが、

【「例外的支払」の例(「公的企業⇒政府」)】
2006 年度 財政投融資特別会計⇒国債整理基金特別会計 12兆円

2007年度 日本郵政公社⇒一般会計 約1兆円

2008年度 財政投融資特別会計⇒一般会計、国債整理基金特別会計 計約11.3兆円

2009年度 財政投融資特別会計⇒一般会計 約7.3兆円

2010年度 財政投融資特別会計⇒一般会計 約4.8兆円

2011年度 財政投融資特別会計⇒一般会計 約1.1兆円
(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構⇒一般会計 約1.2兆円
(独)日本高速道路保有・債務返済機構⇒一般会計 約0.3兆円

財政投融資特別会計に限ったものではありませんが、2001年度以降に限定して、これだけの金額が、「公的企業」から「一般政府」に「例外的に支払い」されています。

この際、GDPへの記載としては、「資産移転」という名目で計上されており、一見するとこれだけの金額、政府資産が増えたかのように見えてしまいます。実際そうなんですが、税収が増えたわけでもなんでもないのに収入が増えたように見えてしまうため、政府の財政状況が改善されたかの様に見えてしまうのです。

財政投融資特別会計的には、これらの資金は元々財政投融資資金を運用した結果生まれた「積立金」であり、財政投融資の資金は元々原資が「財政投融資債」と呼ばれる「国債」ですので、余剰資金が生れれば(利子率の変動に備えた一定の予備資金以外)全額「国債整理基金特別会計」へと組み入れられてきました。

上表で、「国債整理基金特別会計へ繰り入れ」とされているのがその積立金です。
財政投融資債の運用利益は国債の返済資金としても活用されているんですね。

ところが、2008年に勃発したリーマンショックの影響を受け、この財政投融資特別会計の積立金が切り崩され、「国債整理基金特別会計」ではなく、「一般会計」へと資産移転が行われているのです。

これは、実際の経済活動に伴ったものではありませんので、これを「GDP指標」に割り当てて国内の経済力を計る指標と考えるのは、本来であれば間違っているはずなのです。

このやり方は、今回採用される「2008SNA」だけでなく、これまで採用されていた「1993SNA」でも用いられていなかった、日本独特のやり方です。

「2008SNA」では、これを「資産移転」ではなく「持分の引出し」として項目を分けて表示します。
つまり、外側から見てこれらの収入が元々政府が同年に収入として得たものではなく、別会計から引き出したものだ、ということが外目から判別できるようにするわけです。

このことで、トータルでのGDPが変化することはありませんが、政府の収支状況もより正確な判断ができるようになりますね。


【国際収支統計との整合とは?】

よく読んでみたのですが、この項目は少しわかりにくいですね。私も誤解のないようにお伝えできるかどうかが少し自信ありません。

「財貨の輸出入における所有権移転原則の徹底」
とあります。

これ、要は日本が国外の生産地に対して、製造物等の「加工」を依頼した場合。
「財物」の移動があるかどうか、というところを重要視している様です。

つまり、車を1台製造するときに、車一台分、又はその一部を構成する材料が国境をまたいで移動した場合は確かに物の「輸出」と「輸入」が行われていますから、問題はありません。

ところが、製品が移動した後、物の移動がなくても、例えば電話で問い合わせをして、財物の移動が発生せずに問い合わせだけで依頼側の目的が完了したとしたら、これは当然「輸入」でも「輸出」でもありません。単に「サービス」の提供が行われただけです。

これまでは、この「サービス」についても輸入品、輸出品の金額に分配されていたわけですが、これを「財貨は財貨、サービスはサービスとして取扱なさい」という勧告を行っているのが2008SNAです。

まあ、どのみち「輸出入」に関連した部分ですので、日本国内の需要を計る指標としての重要性は薄い部分です。


次回記事に於きましては、①~③までの「GDP算出方法の改定内容」を総括する形で記事を締めくくりたいと思います。


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<継承する記事>第192回 内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より②
前回の記事を引き続き掲載しようと思っていたのですが、内容を理解していただくために、先に「財政投融資債」というものをご理解いただく必要があるなと感じたので、今回は「内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より」というテーマを少しお休みして、「財政投融資債」についての解説記事を作成します。


「財政投融資債」とは何か?

過去の記事で、「赤字国債」と「建設国債」の違いについて記事にしていたように思い込んでいたのですが、どうもこの記事は作っていなかったようですね。

日本の、所謂「国債」には「建設国債」と「赤字国債」の2種類の国債と、加えて「財政投融資債」と言われる3種類の国債が存在します。

順番から言えば、先に「建設国債」と「赤字国債」の説明を行ってから財政投融資債について説明を行うべきなのですが、今回のテーマは「国債」についての説明ではなく、「2008SNA」に従った、内閣府によるGDP改定がそもそものテーマですので、この話題は後日記事に委ねます。

ということで、今回の記事では「財政投融資債」というものについて説明します。

【財政投融資の流れ】
財政投融資の流れ

こちらは内閣府のホームページ に掲載されている、「財政投融資」の流れを、「一般会計」の動きとの間で比較できるようにしたものです。

図はいくつかあったのですが、これが一番わかりやすいと思います。
といっても、ぱっと見に理解できるものでもありませんね。

図の左側、青い部分が「一般会計」におけるお金の流れ。黄色い部分が「財政投融資」におけるお金の流れです。
「一般会計」というのは基本的に日本国政府全体の会計帳簿のことで、基本的に「税金」によって運用されています。

「財政赤字」などという言葉が使われるのは、基本的にこの「一般会計帳簿」の赤字のことを指します。

一方で「財政投融資」というのは、一般会計の会計帳簿とは別に、「財政投融資特別会計(財政融資資金勘定)」という会計帳簿の中で運用されます。「特別会計」と呼ばれるものの一つです。


「特別会計」には「財政投融資」以外にも、私がよくお示ししているものとして、「年金特別会計」というものがありますね? 年金会計については会計の仕組み上、「一般会計より繰り入れ」られる部分はあるのですが、逆に「一般会計に繰り入れ」られる項目はありません。

一般会計より繰り入れられる以外は、「年金特別会計」「基礎年金勘定」「年金積立金」という3つの会計帳簿の中で横断的に運用されています。

ところが、「財政投融資債」はこの年金特別会計のような特別会計とは異なり、政府の「一般会計」との間で、横断的に資金の行き来を行いながら運用されています。

運用状況はこんな感じです。

【2016年度財政投融資運用状況】
平成28年度財政投融資特別会計

「財政投融資特別会計」とは、制度的には「一般会計帳簿」とは別枠で取り扱われ、扱いとしては「金融機関」としての扱いとなります。

また一方で、この表の中に登場している「国債整理基金特別会計」という項目もまた一般会計や財政投融資特別会計とは別の、所謂「国債発行残高」を取り扱うための会計帳簿なのですが、こちらは「財政投融資特別会計」とは異なり、「中央政府」としての扱いになります。

次回以降で話題とする「GDP改定」で重要となる内容なので覚えておいてください。
今回はさらっと流しておきます。


【「財政投融資」の流れ】
では改めて、もう一度こちらの図を。

財政投融資の流れ

「財政投融資」とは、基本的に政府が発行した「財政投融資債」と呼ばれる国債で運用されています。

政府が発行した「財政投融資債」は、所謂「国債」ですから、市中金融機関に対して入札にかけられ、落札した金融機関に販売されます。

金融機関より受け取った資金は「財政投融資金」という、これまた別の会計帳簿に移されます。
「財政投融資金」に移された資金は他の行政機関、管理団体へと出資され、ここから私たち民間人や企業・地域などに有償で貸し付けが行われます。

ただ、その金利は現在で13年未満であれば0.01%。これを超えると0.1%、39年までで0.5%、それ以上で0.6%ということですから、非常に破格な貸付金利ではないでしょうか

勿論破綻する可能性もあり、回収不能に陥る可能性も否定できませんが、「赤字国債」や「建設国債」の様に「発注」という形でばらまくやり方に比べれば、財政的にも安定した運用が可能だと思います。

後日掲載しますが、「建設国債」は建築建造物が代替資産として残りますので「国富」として考えればプラマイゼロです(災害等で崩壊した場合は別です)。ですが、「赤字国債」にはこのような代替資産が残りませんので文字通りプラスマイナスすれば「赤字」になります。

ところが、これを「財政投融資債」によって賄えば、これは「貸付」ですから、バランスシート的には新規発行債を販売した際の「負債」と貸し付けを行ったことによる「貸付額」によって、双方が相殺されますから、こちらも「プラマイゼロ」ということになります。

貸付先が破たんした場合にこれが「赤字化」しますから、リスクを云々いうのであれば、まずは赤字国債を破たんさせる方法を提示してからにしろ、といいたくなります。共産党さん。

参院予算委 安倍政権の無責任さ浮き彫り リニア新幹線・辰巳議員が批判

ちなみに同記事では、『辰巳氏は「JRは、市場金利より低い金利で多額の借金を借り続けられる。利益供与ではないのか」と追及しました』とありますが、じゃあ赤字国債を発行して得た資金を投じた分野の業者にも同じように「利益供与だ」というのかと、これも突っ込んでやりたくなります。

「助成金」や「補助金」などはその最たる事例ですね。

最も共産党さんは、「赤字国債」そのものに反対していますから、このような論調がまかり通るのだと思いますが。

次回記事では、少し今回の「GDP改定」についての記事はお休みして、蓮舫氏の「二重国籍問題」について思うところがございますので、こちらを記事にしたいと思います。


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